2006年05月12日 第164回 通常国会 財務金融委員会 【357】 - 討論
「金融商品取引法案」に反対討論
2006年5月12日財務金融委員会で、「金融商品取引法案」(投資サービス法案)が採決され、日本共産党、民主党などが反対するなか、自民党、公明党の与党の賛成多数で可決されました。
採決に先立ち、佐々木憲昭議員が、日本共産党を代表して反対討論に立ちました。
この法案は、4月25日、5月10日の午前、午後、5月12日に政府に対する質疑、4月28日、5月10日、5月12日に参考人質疑が行われました。
議事録
○佐々木(憲)委員 私は、日本共産党を代表して、証券取引法等改正案及びその整備法案について反対の討論を行います。
政府は、金融ビッグバンのもと、銀行、証券、保険の垣根を取り払い、金融商品販売等の規制緩和を進める一方、同時に行うべき消費者保護法制の整備は多くの指摘がなされているにもかかわらず先送りしてきました。そのもとで、融資一体型の変額保険や外国為替証拠金取引、商品先物取引などの金融被害が頻発し、老後のための貯蓄や生活資金まで根こそぎ失うという事態が全国で発生しました。
本法案は、こういった経過と金融被害の実態を踏まえ、投資者保護のための横断的法制を整備するとの目的で提出されたものではありますが、その内容は国民の要請にこたえるものになっておらず、到底賛成できるものではありません。
以下、反対の理由を述べます。
第一に、本法案に反対する理由は、横断的な制度といいながら、商品先物取引などの投資商品や預金、保険、融資といった金融商品を対象から除外していることです。この間の金融被害の実態を踏まえれば、一部の投資商品に限定した本法案が不十分であることは明らかであります。金融審議会でも多くの委員から、消費者保護に立ち、包括的、横断的に規制すべきとの指摘が行われたことを見ても、本法案の内容は重大な後退であります。
第二の理由は、不招請勧誘の禁止の対象が外国為替証拠金取引などの店頭金融先物取引に限定するなど、現状よりも後退する問題です。政府は、被害が起これば迅速に対象を拡大すると説明しますが、これは、既に必要もない商品先物取引などのハイリスク金融商品による被害が拡大している実態を無視するものであります。多くの金融被害のきっかけは不招請勧誘にあることから、すべての金融商品の不招請勧誘を原則禁止とすべきであります。
その他、商品取引所法において、損失補てんの禁止が規定され、示談による被害者救済の道が狭められるなど、消費者保護の点から重大な後退もあり、以上の理由から本法案及び整備法案に対して反対いたします。
なお、民主党提出の証券取引委員会設置法案については、現行の証券取引等監視委員会より独立性が高くなることと、行政処分をみずから執行できるなど監督権限が移譲されることから、実効性の高い体制が確保されるとの理由から賛成いたします。
また、民主党提出の証券取引法等の一部を改正する法律案に対する修正案及び整備法の修正案については、消費者保護の観点から見て、本修正案は不招請勧誘の禁止などの行為規制の強化を求めないなど不十分な内容ではあるけれども、違法行為を行っている業者が金融商品、商品先物の分け隔てなく問題を起こしている実態を勘案すれば、一定の前進と評価でき、賛成いたします。
以上、討論といたします。(拍手)