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金融(銀行・保険・証券) (金融のバリアフリー)

2013年05月17日 第183回 通常国会 財務金融委員会 【734】 - 質問

障がい者が識別しやすい紙幣、利用しやすい金融機関を目指して

 2013年4月26日、財務省と日本銀行と国立印刷局は、視覚障害者が使いやすい紙幣にする取り組みとして、5千円券のホログラムの拡大や券種の識別機器の開発などに着手しているとことを発表しました。

 5月17日の財務金融委員会で、佐々木憲昭議員は、この問題を取り上げました。
 佐々木議員は、これまでにも「金融のバリアフリー」を一貫して求めてきました。
 質疑のなかで、佐々木議員は「一歩前進」と評価しつつ、いっそうの改善に向けて障害者の声をくみつくすべきだと主張しました。
 山口俊一財務副大臣は「ご指摘の通り。できるだけ幅広く意見を聞き利用者の立場にたって改善していきたい」と応じました。
 佐々木議員は「買い物で後ろに人が並ぶと焦る。紙幣の隅々まで触って判別するのは難しい」など視覚障害者の切実な声を示しました。
 障害者と協議してユーロ紙幣を発行する欧州の取り組みにもふれ、「一瞬にして形や手触りでわかる紙幣」などの具体的な改善を促しました。
 麻生太郎財務大臣は「ユーロの基本的な考え方はまったく理解できる」、山口副大臣は「欧州は福祉の視点に立っており、さすがだなと思う」と答えました。

 また、佐々木議員は金融機関のバリアフリーについても質問。
 視覚障害者が金融機関の窓口でおこなう代筆依頼への対応を徹底するよう求めたのに対し、麻生大臣は「きめ細かい対応が必要。金融庁としても金融機関に対してさらに徹底させたい」と表明。
 点字の通帳など視覚障害者が取引の履歴がわかる書類の発行についても「障害者の利便性がいっそう高まるように、金融機関の取り組みを促すよう進めたい」と述べました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 私は、この間、10年前ぐらいから、障害者、高齢者にとって利用しやすい金融機関にどうしていくのかと、金融のバリアフリー問題を取り上げてまいりました。この間、前進した面もありますけれども、まだまだ課題も多いというのが現状だと思っております。
 障害者基本法の「目的」には、「全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのつとり、全ての国民が、障害の有無によつて分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、」と、この第一条で定められております。
 そこで、きょうは、貨幣の改善と金融機関の対応についてただしたいと思います。
 言うまでもなく、生活する上で、お金を正しく数えられるというのは、これは絶対に必要でございます。現代の社会において、金融機関を使わずに社会生活を送れるかというと、なかなかそうはいかない。
 まず、麻生大臣に、基本的姿勢ですけれども、障害者、高齢者に優しく、誰でも利用しやすい、金融のバリアフリー化を進めることは大事だと思いますが、どのようなお考えをお持ちか、お聞きしたいと思います。
○麻生財務・金融担当大臣 これは、前々から話題になっていた話ではありますが、特に視覚障害者の方にとっては極めて大きな問題だと思っております。視覚障害がなくても、だんだん目が荒れてくると、5千円と1万円と区別がつかなくなったり、いろいろします。国によっては、大きさを全部変えたりしているところもありますし、アメリカみたいに一律全部同じというところもあり、実にいろいろなんです。
 今年の4月の26日、財務省と日本銀行及び独立行政法人国立印刷局におきまして、日本銀行券が、視覚障害者、目の不自由な方々にとっても使いやすいようなものにするような具体的な取り組みを発表しております。
 現在の5千円券、樋口一葉の載っかった分ですけれども、あれのホログラムのところを拡大するとか、それから、携帯電話で当てると5千円ですとか千円ですとかいうような、いわゆる券種の識別アプリというものをくっつけるとか、また、券種の識別機器の開発で、すごく小さなものなんですけれども、こういったものを載っけると2千円とか5千円とか教えてくれる、そういった三つの具体的な取り組みに向けて、早期に実験を開始するということで、今既に着手をさせております。
 また、将来のこういった印刷に向けまして、目下、関係者から意見の徴収を行っているというのが現状でございます。
○佐々木(憲)委員 私は、一歩前進だと思っております。
 当面の取り組みとして、今紹介のありました、5千円札の改良を挙げられましたけれども、ホログラムの、つるつるしている透明シールを大きくするということなんですけれども、なぜ5千円札に着目したのか。この点について、これは副大臣に、もしよければお答えいただきたい。
○山口財務副大臣 佐々木先生のツイッターも拝見をいたしました。
 今お話しの5千円札でありますが、これは、視覚障害、目の不自由な皆様方から、横幅が中間的なサイズでございます5千円券について特に識別がしにくいというふうなお声があったということを考慮させていただきました。
 目の不自由な方から出ておる触感の改善要望に対しまして、ATM等の現金取り扱い機器への影響を最小としつつ、できる限り早期に応えるには、5千円券のホログラムの大きさ、形状を変更することが望ましいというふうに考えた次第でございます。
○佐々木(憲)委員 5千円札に着目したのは、一番間違えやすい券種だということだと。
 そこで、資料をちょっと見ていただきたいんですけれども、現在有効な紙幣、22種類あるそうですけれども、そのうち七種類を示しております。
 サイズを見ていただきますと、横の長さが、2千円札が154ミリであります。旧5千円札は155ミリ。5千円札は156ミリなんですね。これはそれぞれ横幅がたった一ミリしか違わないんですよ。以前にこの識別問題を取り上げたときにも言いましたけれども、この一ミリの違いを手で触って識別しなさいというのはほとんど不可能であります。
 それから、ホログラムも、わかりにくいというのが障害者の皆さんの声で、例えば、何回か折りますと区別がつかなくなる。それから、流通して古くなると、なおさらわからなくなる。それと、中途失明者あるいは糖尿病などで手の感覚が敏感でない方は、非常に判別が難しい。
 ホログラムだけではなくて、インクの盛りで識別できるというようなことも工夫をされているようですけれども、これもやはり同じような問題があるんですね。
 これはやはりさらに改善が必要だと思いますけれども、副大臣はどのような感想をお持ちですか。
○山口財務副大臣 ホログラムについてでございますが、これは、現在使用しておるインクの盛り上げによる識別マークよりも摩耗はしにくいというふうなことはあるわけでありますが、同時に、今回の改良というのは、佐々木先生の強い御要望もございましたので、早期にともかく実施できるようにということになりますと、既存のATM等への影響を最小限にしなきゃならぬというふうな事情もございまして、触感を改善する方策というふうなことにしたわけでございます。
 しかしながら、さらなる識別性の改善の方策ということも御指摘がございます。将来の改刷に向けた課題であろうというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 さらに、二つ目の、スマホ対応のアプリの開発ですね。財務省にお聞きしますと、今回対応するのはアイフォンということなんですけれども、どれだけの視覚障害者の方がアイフォンを使っているか、その他のスマートフォンを利用しているか、これはどの程度だと思われますか。
○山口財務副大臣 御指摘のとおり、今回アイフォンということでありますが、全ての目の不自由な方々を対象として携帯電話の保有状況に関する調査というのは行われておりません。具体的な保有状況については、申し上げるということは非常に困難ではありますが、総務省が昨年6月に公表した調査がございますが、これによりますと、目の不自由な方々の携帯電話利用者におけるスマートフォンの利用というのは10%弱というふうに承知をいたしております。
○佐々木(憲)委員 スマートフォンが10%弱であると。その中で、今回の対象はそのまた一部なんですね。
 ATMの問題でも私は取り上げたんですけれども、そもそも視覚障害者の方々は、タッチパネルの利用が困難なんです。物理的なボタン式でないと、どこをさわっているかわからないという問題があります。
 スマートフォンの改善も必要なんですけれども、ほかにも対応策はいろいろあるんじゃないかと思いますが、この点、いかがでしょうか。
○山口財務副大臣 実は、私もガラ携を使っておりまして、御指摘のようなことは確かにあろうかと思います。
 ただ、問題なのは、スマホに関しては容量が結構あるものですから、今回、識別のアプリについては8メガ程度というふうなことで、ところが、ボタン式の携帯電話になりますと、5メガから7メガぐらいの容量しかないというふうなこともございまして、非常に困難であるというふうなことを事業者の方からも聞いておるわけでございます。
 そこら辺もあるわけでありますが、何とか、とりあえずスマホの方でそういったことが可能であるということで、やっていただきたいということでお願いをしておるところであります。
○佐々木(憲)委員 これは一歩ですからね。今、容量の話もいろいろありましたけれども、それは技術革新がどんどん進んでいますから、いろいろな可能性もあり得るので、何かに限定してこれで済みというのではなくて、今おっしゃったように、さらに改善をしていく、可能性を広げていく、ぜひそういう方向でやっていただきたいと思います。
 それから、三点目の、識別のための簡単な機械の開発ですけれども、これが安価で視覚障害者が手に入れやすいということであれば、私は前進だと思います。ただ、識別のための機械ができたからといってすぐ問題が全部解決するわけじゃなくて、例えば、買い物をしている途中で一々機械で判別するというわけにもいかないわけです。
 視覚障害者の方は、例えばあんまの治療院をやったり、働いている方も多いわけです。そうすると、お客さんから代金をもらいますね。その場で機械で判別する。これは千円です、これは1万円札ですというふうに声が出る。お客さんとの信頼関係上、なかなか、目の前でそういうことを確かめるというのは非常に難しいと言うんですよ。こういう実態も考慮しなければいけないと思います。
 それから、そういう意味では、使う人の立場、使う側の感覚、これも非常に私は大事だと思いますので、識別しやすい紙幣にするためにさらに改善すると同時に、こういう点についても直接視覚障害者の方々の意見を聞いて改善していくということが大事だと思います。
 今、アンケートをとろうという話があるようですけれども、例えば、点字のアンケート、点字の回答があって当然だと思いますけれども、これはいかがでしょうか。
○山口財務副大臣 先ほどお話がございました識別の機械でありますが、さらなる簡便な方向性と、イヤホンで聞けるようなことも実は考えております。
 今御質問がございましたアンケートでございますが、本件の公表後、アンケートの実施方法について実は目の不自由な皆様方といろいろ協議を開始させていただいたところでございまして、この実施の方法については、当然、御指摘の点字というふうなこともあろうかと思います。
 十分踏まえて、さまざまに御意見をお伺いする中で検討を重ねてまいりたいと考えております。
○佐々木(憲)委員 点字以外にも、例えば、実際に現物にさわっていただいてその感想をお聞きするとか、あるいはインターネットで意見を募集するとか、いろいろな方法があると思うんです。紙幣の改善という点では、やはり使う方々の意見をぜひ聞いていただきたい。
 そして、実は、視覚障害者だけではなくて、耳の不自由な聴覚障害者、こういう方々、両方の障害のある方がいらっしゃるわけです。盲聾者と言われるそうですけれども、そういう方たちの意見も私はぜひ聞いていただきたいと思うんです。スマホや機械を使って音声を読み上げたとしても判別できない。盲聾者の場合は体表点字という手段があるそうで、それを使いますと紙幣の読み取りができると聞いております。誰もが使いやすいという観点で、障害者の方々や高齢者など、広く声を集めるべきだと思います。
 一番大事なことは、今の紙幣で何に困っているのか、どう改善してほしいのか、こういう声を酌み尽くすことだと思いますけれども、もう一度確認をしておきたいと思います。
○山口財務副大臣 お話しのとおり、御指摘のとおりだろうと思います。ともかく、アンケートの方法につきましても、可能な限りいろいろな方法を考えていきたい。
 同時に、その対象ということにつきましても、今御指摘のような、重ねた障害をお持ちの方もおいでになりますし、同時に、実は、調べてみますと、視覚障害者の方々は全国で約31万人ということでありますが、ところが、どうしても主としてまず団体の方とのお話し合いということになるわけで、その場合は、例えば社会福祉法人日本盲人会連合というのが5万人ですよね。等々、そこら辺、いろいろありますので、できるだけ幅広く御意見をお伺いしていきたいと考えております。
○佐々木(憲)委員 例えば、以前私も質問で紹介したんですが、資料の二枚目を見ていただきますと、ユーロの紙幣は視覚障害者の方々に非常に識別しやすいように工夫されているんですね。これは日本の紙幣とは大分違うわけです。
 私、ここに現物を持ってまいりましたけれども、これは、五ユーロから百ユーロまで、大体、縦が五ミリ、横も六ミリから七ミリずつ大きさが違うんです。例えば、200ユーロと500ユーロは、幅が七ミリ違うわけですね。
 それから、色も、ごらんになってわかりますように、はっきり区別しておりまして、これは弱視の方やお年寄りにも判別しやすいということであります。例えば、五ユーロはグレー、十ユーロは赤、20ユーロは青、50ユーロはオレンジ、百ユーロは緑、200ユーロは黄茶、500ユーロは紫。こういうふうに、ユーロは、金額の値が大きいほど大きさは大きい、それから、近い紙幣は対照的な色を使っている、そういうふうに大変区別しやすくなっているんですね。
 そこで、確認ですけれども、ユーロは、このように識別しやすい紙幣をつくった背景、経緯があると思うんですが、わかっている範囲で回答をいただきたいと思います。
○山口財務副大臣 御指摘のように、ユーロはまさに識別しやすいということでありますが、これは急遽、調査させていただきました。
 欧州中央銀行の資料によりますと、同行の前身であります欧州通貨機関が、1995年以降、銀行券のデザインと寸法について、欧州視覚障害者同盟という団体がございますが、そういった目の不自由な方々の団体と連携をして検討を重ねて、2002年の発行に至ったものということでございます。
 さすが、とりわけこうした福祉関係、しっかりと捉えておられるなと感心をしたところでございます。
○佐々木(憲)委員 最近も欧州中央銀行のホームページにこの点が出ておりまして、今月から新しい紙幣が発行されるんですね。まず五ユーロから発行されるそうなんです。
 そのホームページによりますと、紙幣の最初のシリーズと同様に、第二シリーズのデザイン段階で視覚障害者と協議を行い、彼らの必要条件は最終的なデザインに含められたというふうに紹介しているんです。やはり、デザインをつくる段階から視覚障害者などから要望を聞いて、実際に使いやすいようにしている。今の副大臣の御答弁のとおりであります。
 視覚障害者の方にお話を聞きますと、普通はどういうふうに紙幣を管理しているかというと、財布の中で、金額ごとに入れる場所を変えているんですね。買い物の際に、おつりとともに、同じようなサイズで領収書をもらう場合もあるんです。そうすると、紙幣と領収書と形が同じ場合があるものですから、間違えて、紙幣と思い込んで領収書を出してしまうなんという場合もあるという声もあります。
 それから、弱視の方からは、夜間が一番困るというんですね。大きさだけで判別しにくいので、例えば、タクシーに乗ったときに見えづらいので、間違って別な紙幣を渡してしまう。正直な運転手さんがいれば、ああ、違いますよと言ってくれるんだけれども、必ずしも、そうでない場合もある。これは、はっきりした色であれば識別できる、こういう話があります。
 それから、買い物をするときに、後ろに人が並んでいると非常に焦るというわけです。ゆっくり紙幣の隅々までさわってじっくり判別するということがなかなか難しい。そうすると、非常に、自分で確認できないのが気が気じゃないというふうなことになって、後回しにする、そこから離れてしまう、こういう声もあります。
 ですから、今後、大事なことは、ユーロの例もありますけれども、短時間で形でわかること、それから手ざわりでわかる、こういうものに改善していくというのが大事だと思いますけれども、この点、麻生大臣に確認をしていきたいと思います。
○麻生財務・金融担当大臣 一つだけ質問ですけれども、これはどれくらいにせ札が出るんですかね、ユーロの場合。(佐々木(憲)委員「聞いておりません」と呼ぶ)日本はほとんど出ないんですよ。採算が合わないんですよ、にせ札をつくっても。物すごく精巧にできているから。精巧につくるためには、大体、あのわけのわからぬ、似たような色になるんですよ。これが一番。そちらの方はきれいな色ですから、逆に言えば、識別はしやすいけれども、にせ札はどうかと。
 にせ札が一番つくりやすいのはドルということになっているんですが、ドルは、御存じのように、こうやったら色が落ちますし、印刷なんて、いいかげんな印刷ですよ、私に言わせれば。ざっと壁にやったら落ちますし。日本のお札なんか、幾ら壁にすったって色は落ちませんから。そういった技術の差というのは出てきます。
 そのユーロの基本的な考え方は全くよく理解できるところですが、色をやるとき、にせ札がどうなのかなというのだけ、今ちょっと思った、正直な実感です。
○佐々木(憲)委員 にせ札対策は、それはそれとして大事なことだと思います。
 例えば、長さとか幅とか、これは変え得ると思いますね。技術的には非常に簡単な話であります。ただ、それに対応するいろいろな問題点が出てくると思いますけれども、それは、やろうと思ったらできると思います。日本の技術は世界一と言われていますからね。
 そういう意味で、今懸念を表明された点については当然克服できると思います。ヨーロッパでどの程度にせ札があるのかというのは私は調べておりませんが、ぜひ調べていただきたいと思います。
 それから、最後に、障害者に対する金融機関の対応の問題についてお聞きしたいと思うんです。
 この問題を最初に私が取り上げたのは2004年の4月でありまして、それまで、銀行の障害者対応がどうなっているか、金融庁はほとんど実態を把握しておりませんでした。しかし、この間、金融庁の取り組みもありまして、改善されております。
 当時、視覚障害者の方々にお聞きしますと、窓口が減ってATMを使うようにと言われるけれども、ATMの機械そのものが使えない、こういう訴えでした。
 まず、銀行の視覚障害者対応ATMの整備状況、これについて、2004年当時と比べて最近はどうなっているか、報告をいただきたいと思います。
○細溝政府参考人(金融庁監督局長) 銀行における視覚障害者対応ATMについての御質問でございます。
 例えば、タッチパネル操作のかわりに電話の受話器のようなハンドセットを用いる方式、そういったATMにつきましては、銀行、これは都銀、地銀、第二地銀でございますが、ヒアリングベースで数字を申し上げますと、御指摘の平成16年5月の段階では12%でございました。それが、24年9月末段階では71%に増加しております。
○佐々木(憲)委員 これは大変前進しているんです。視覚障害者の方々のお話を聞いても、対応のATMが非常にふえたというのが実感できると言っています。そういう意味では大変大きな前進だったと思います。
 もう一点、ぜひ考えていただきたいのは、預金の残高を点字で知るだけではなくて、途中で、いつどういう内容でお金が入ってきたのか、それからどういう理由で出ていったのか、その記録が得られないという問題があるんです。
 これは普通は通帳を見ればわかるわけですけれども、通帳自身が点字式の通帳になっていれば履歴がわかるわけですけれども、現状は、今どうなっているのか、御報告をいただきたいと思います。
○細溝政府参考人 平成24年9月現在で行いましたアンケートがございます。それによりますと、金融機関全体で、取引履歴の明細について点字通知を実施しているものは、金融機関、これは銀行から信用組合まで合わせて569行ございますが、普通預金につきましては48行、定期預金については28行がそうした点字通知を行っているというふうに承知しております。
○佐々木(憲)委員 全体で569行の中で、普通預金について点字通帳を発行しているのは8%、それから定期預金については5%という状況であります。
 これは、確かにATMは増加したんですけれども、点字で入出金の記録を発行するということはまだまだ行われておりません。お金を預けている本人が取引の内容がわかるようにするというのは大変大事だと思いますが、この点の改善について、大臣の見解を聞きたいと思います。
○麻生財務・金融担当大臣 これは、御存じのように、障害を持っておられる方に関して、平成23年の4月の監督指針で、取引記録を視覚障害者でも認識できるように提供するよう努めているかという着眼点を新たに設けてスタートいたしておるというところでありますが、これが今どこまで進んでいるかというのは、今、監督局長、細溝に聞いておられたとおりなんですが、いずれにしても、視覚障害に限りませんけれども、障害をお持ちの方々の利便性というものが一層高まっていくように、御指摘の点も含めまして、その他いろいろ視覚障害者の方々から見た視点というのはおありになろうと思いますので、金融機関の取り組みを聞いた上で促すように進めてまいりたいと考えております。
○佐々木(憲)委員 それから、障害者の方が大変要望されているのは、銀行窓口での代筆の制度の問題です。これは、既にそういう仕組みはありますけれども、なかなか徹底されていないということなんですね。
 ATMに並ぶと、後ろに人が並んでいて、もたもたしているとみんなに迷惑をかけるんじゃないかというような気持ちになって、窓口に行かれるわけですね。そうすると、自分で書くことが困難な場合、それからまた確認ができないという場合に、手続の代筆依頼という制度があります。これをお願いしますと言っても、断られる場合があるというのを聞いております。
 代筆依頼というのは、窓口係員が記入したものをその上司に当たる行員が内容を読み上げ確認し、窓口係員と上司行員が捺印するという仕組みなんです。窓口係員だけで対応する代筆とはこれまた別なものでありますが、この方法を実際に内規で整備をしているというのは、ほとんどの銀行で今整備をしているわけですが、実際には徹底されていないものですから、内規がきちっとされていても窓口の対応が十分できていないというのがあります。
 最後に、その問題について、ぜひ改善をしていただきたいということを質問して、終わりたいと思います。
○麻生財務・金融担当大臣 御要望というか、引き続き障害者の立場に立ってきめ細かい対応ということを言っておられるんだと存じますけれども、金融庁といたしましても、金融機関に対して、できているんだから、さらに徹底するように、意見を下におろすというように、きちんと対応させたいと存じます。
○佐々木(憲)委員 以上で終わります。

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