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金融(銀行・保険・証券) (金融のバリアフリー)

2007年10月24日 第168回 臨時国会 財務金融委員会 【414】 - 質問

視覚障害者対応のATMが3年で3倍に増加、金融機関の代筆・代書の調査を要求

 2007年10月24日の財務金融委員会で、都市銀行が設置する視覚障害者向けのATMが、3年で3倍以上に増えていることが、明らかとなりました。
 視覚障害者の団体と佐々木憲昭議員たちが数年来、要望し続けてきたもので、関係者からは「銀行が利用しやすくなる」と喜ばれています。
 視覚障害者対応のATMは、受話器に操作ボタンが付き、点字表示をしたり、取引額や残高を確認できる音声案内の機能を加えたものです。

 郵便局(ゆうちょ銀行)ではすべてのATMで対応してきましたが、銀行、信金・信組の取り組みが遅れがちです。
 金融庁の答弁によると、都市銀行の障害者対応ATMの設置数は、2004年5月末時点の3460台から2007年9月末の1万1110台と3倍以上に増加しました。すべてのATMに占める比率は、5割を近くになります。
 佐々木議員は、障害者団体運動と結び、国会でこの問題を取り上げ、対応を求めてきました。
 05年の参考人質疑では、全国銀行協会の会長が「どなたでも簡単に利用できるように、対応策の検討を進める」と答弁していました。

 佐々木議員は、視覚障害者が強く要望している「代書・代筆」問題についてもとりあげました。
 「プライバシーを守りながら、複数人で確認するなどの方法をとるように、金融機関に徹底すべきだ」と求めました。
 これにたいして、金融庁の西原政雄監督局長は「障害者向けサービスが不当に制限されることのないようにする」と対応を約束しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 きょうは、渡辺大臣に、金融のバリアフリーというテーマでお聞きをしたいと思います。
 政府は、総理大臣を本部長として、障害者施策推進本部を設置しております。渡辺大臣もそのメンバーでございます。その基本計画には社会のバリアフリー化をうたっておりまして、「ユニバーサルデザインの観点から、すべての人にとって生活しやすいまちづくり、ものづくりを推進する。」ということが掲げられております。それに沿って重点施策実施五カ年計画というのが策定されておりまして、今年度で終了して、新たな五カ年計画を策定する、こういうことになっています。
 2年前に、全銀協の会長が、当委員会の参考人質疑のときにこういうふうに答弁をされました。どなたでも簡単に御利用いただけるように、ユニバーサルデザインということを念頭に置いて対応策の検討を進めてまいりたい。竹中大臣も、社会として望まれるところでありますので、しっかりそれをプッシュするような方向を見出していきたい、こういうふうに答えております。
 最初に、渡辺大臣のこの点での基本姿勢を確認したいと思います。
○渡辺金融担当大臣 金融庁としましては、障害者の方々などに配慮した取り組みが金融機関の経営判断に基づいて自発的に行われることが、企業の社会的責任の観点から、極めて重要であると考えております。
 また、金融庁においては、利用者利便の向上等の観点から、企業の社会的責任事例集の公表を行うことにより、金融機関に対し、障害者の方々に配慮した取り組みを含め、社会的責任を踏まえた取り組みを促しているところでございます。
 このような取り組みと相まって、金融機関における障害者に配慮した取り組みがより一層充実していくことを期待いたしております。
○佐々木(憲)委員 そこで、障害者の方々の中でも、特に視覚障害者の方の対応についてお聞きしたいと思うんです。
 銀行の視覚障害者対応ATM、その数を確認したいんですが、都銀、地銀、第二地銀、信金、信組それぞれについて、台数と比率はどうなっているか。また、金融庁がこの調査を始めた2004年5月と比べまして、現在、視覚障害者対応ATMの増加台数、全体に占めるその比率、これを示していただきたい。
○西原政府参考人(金融庁監督局長) お答え申し上げます。
 平成19年の9月末時点での調査ですが、まず、都銀につきましては、ATMの設置台数が全体で約2万2800台ございますが、このうち視覚障害者対応のATM、これが約1万1110台ございます。したがいまして、比率は約49%ということでございます。
 地銀について申し上げますと、同じように、ATM全体では3万9800台、このうち視覚障害者対応のものが9340台。したがいまして、比率が約23%でございます。
 それから、第二地銀でございますが、ATM全体が約1万3600台、そういう数字ですが、視覚障害者対応のものが約1620台。したがいまして、比率が約12%となっております。
 信用金庫でございますが、全体で約1万9600台、このうち視覚障害者対応のものが約7800台。比率にいたしますと約40%となっております。
 それから、信用組合でございますが、全体で約2310台、そのうち視覚障害者対応のものが約640台。したがいまして、比率が約28%というふうになっております。
 それから、この調査を開始した2004年の5月時点と比較してまいりますと、都銀につきましては、台数としては約7650台ふえておりまして、設置率でいいますと、当時約15%でしたので、したがいまして、約34%ポイント増加している。
 それから、地銀でございますが、対応した設置台数が約6250台ふえておりまして、設置率でいいますと約15%ポイント増加している。
 それから、第二地銀でございますが、設置台数で約1180台増加いたしておりまして、設置率では約8%ポイントの増加ということでございます。
 それから、信用金庫、信用組合でございますが、これは比較の時点が、とり始めたのが昨年の12月でございますので、その時点と比較いたしますと、信用金庫については、設置台数で約1300台ふえまして、設置率でいいましても約7%ポイントふえております。
 信用組合につきましては、約270台ふえまして、設置率では約12%ポイントの増加ということでございます。
○佐々木(憲)委員 今細かな数字を教えていただいたんですが、総体としては3倍以上にふえておりまして、これ自体、大変よいことだと思うんです。
 そこで、10月1日から民営化されたゆうちょ銀行についてお聞きをしたい。
 民営化される直前の9月28日に、郵政公社に確認をしてみました。これまでの郵貯で行ってきた障害者向けの施策はすべて継承をするのかと言いましたら、継承いたしますという答えでした。
 郵政民営化の法案審議の際にも、郵便局のATMは100%障害者対応だったんですね。ところが、民間銀行は13%だったんです。そういう意味で郵貯の方がすぐれていたわけでありますが、麻生大臣は、そうなっているのは公という意識の問題だ、こういうふうに答えました。
 渡辺大臣にお聞きしますけれども、障害者向け施策というものは、ゆうちょ銀行になっても全部継承をし、発展させる、こういう基本姿勢は今後とも変わりませんか。
○渡辺金融担当大臣 ゆうちょ銀行における個々のサービスの中身については、同行の経営判断にゆだねられるのが基本でございます。
 日本郵政公社の業務等の承継に関する実施計画というのがございます。そこにおいて、「これまで日本郵政公社で取り扱ってきた郵便貯金、郵便為替・郵便振替等については、同様の商品・サービスを引き続き提供し、お客様のニーズにお応えしていきます。」とされています。同行においても、民間金融機関として望まれるサービスの提供がなされるものと期待をいたしております。
 また、御指摘の視覚障害者の代筆につきましては、ゆうちょ銀行からは……(佐々木(憲)委員「それは後で言います、それは後で」と呼ぶ)
 以上でございます。
○佐々木(憲)委員 聞いていないところまで言わなくて結構なんですね。
 まず、ゆうちょ銀行のATM全体の設置台数を確認したいと思うんですが、2004年度から今日までの推移、2007年度の撤去計画と新設計画、これはどうなっていますか。
○西原政府参考人(金融庁監督局長) お答え申し上げます。
 ゆうちょ銀行のATMの設置台数でございますが、前身であります日本郵政公社の郵便貯金業務におけるATMの設置台数ということで見てまいりますと、2004度年末では2万6519台、それから5年度末ですが、2万6297台、6年度末では2万6103台ということでございます。
 それで、今年度でございますが、これにおきましては今計画の段階ですが、ATMの撤去対象台数というのが131台というふうに伺っております。そのうち再配置するものもあるということですが、再配置台数は現段階では未定であるというふうに伺っております。
 なお、新設予定台数はないというぐあいに承知をいたしております。
○佐々木(憲)委員 今の数字を聞きますと、ATMの全体の設置台数がどんどん減ってきているわけです。しかも、今年度、131台も撤去してしまう、新しくつくるのは全然ない、こういう話であります。
 竹中大臣が郵政担当大臣だったときに、民営化によってこれを後退させるということは想定されないんだという答えがあったわけです。しかし、実際に、近くにあったATMがなくなって不便になった人がいるわけですね。それだけサービスが後退したわけです。障害者にとっても、せっかく100%視覚障害者対応になっていても、身近にあったATMが減ったのでは、なおさら不便になるということなんです。
 渡辺大臣にお聞きしますが、ATMについては、その地域で利用する人があるわけですから、余り極端な減らし方というのはやるべきじゃないと思うんです。サービスは低下させない、こういう基本姿勢からいって、どんどん撤去してしまうというのはやはり問題があるのではないかと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
○渡辺金融担当大臣 ゆうちょ銀行は民間会社でございますから、当然、今までやってきたサービスが低下をするということになりますと、お客様が離れていってしまうということになろうかと思います。
 先ほども申し上げましたように、民間金融機関として望まれるサービスの提供がなされる、そういうことが期待されているわけでございますので、その期待にはこたえてくれるものと考えます。
○佐々木(憲)委員 民間銀行になったから何やってもいいということにはならぬわけであって、サービスを低下させないと言った以上は、しっかりとサービスを維持してもらわなければ困るわけであります。
 次に、先ほどちょっと答弁が先走ってありましたが、ゆうちょ銀行の窓口の視覚障害者に対する代書の問題です。
 例えば、愛知県のある市の郵便局で、この9月に、全盲の視覚障害者が窓口で書類の代書を依頼した。それはこれまでどおりやってくれたらしいんですが、そのときにこう言われたと言うんです。10月になったら民間になるので代書はできなくなると。東京の大塚でも、9月に郵便局に行ったら、視覚障害者が、これまでは公務員だったからできたけれども、今後は民営化されるので代書は行わないんだ、上からの指示が来ているんだ、こういうふうに言われたと言うんです。
 視覚障害者の方は、点字で民営化のお知らせが届いて、その中には、これまでとサービスは変わりませんと書いてあった。それにもかかわらず、これだと郵便局も使えなくなってしまうんじゃないか、そういう不安が広がっているわけです。
 こういう事実を金融庁としてどう把握されているのか。サービスを低下させないという国会答弁、これに照らして、きちっとそこは正すということが大事だと思うんですが、いかがでしょうか。
○渡辺金融担当大臣 視覚障害者の代筆については、法令上の規制は存在いたしません。代筆を取り扱う場合には、一般に、それぞれの金融機関の内規でその取り扱いが定められております。ゆうちょ銀行においても、その手順が定められていると聞いております。
 また、視覚障害者の代筆について、ゆうちょ銀行からは、民営化後においても引き続き行うこととしていると私どもは聞いております。
○佐々木(憲)委員 時間が参りましたので最後ですけれども、これは、ゆうちょ銀行だけじゃなくて金融機関全体にかかわる問題でありまして、視覚障害者の方が銀行に要望しているのは、プライバシーを守りながら複数人で確認する、これが大事なんですね。不正が起こらないようにするということです。
 銀行によっては、おろすときは代筆はしますが、ローンは代筆はしません、こういう対応をしているところもあるということです。
 私は、各銀行の今おっしゃいました内規というものがどのようなものになっているか、大変大事だと思いますので、ゆうちょ銀行、都銀、地銀、第二地銀、信金、信組で、代筆、代書の内規をつくっているのはどれだけあるのか、それから、その内容についても、ぜひ調査して報告をいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○西原政府参考人(金融庁監督局長) お答え申し上げます。
 窓口における代筆の問題でございます。
 これについて、内規において規定している機関数、今現在はつまびらかにはしておりませんけれども、私どもが調べた限りでは、例えばゆうちょ銀行あるいは都銀については、すべてのところで内規を設け、複数で対応というようなことも規定をされております。
 それ以外におきましても、内規を定めて対応しているということが相当数ございますが、いずれにしましても、本人の意思確認をきちんと行いながら、障害を持つことでサービスが不当に制限されることのないように配意するということが望ましいというふうに考えておりまして、私どもとしては、各金融機関において適切に対応していただきたいと考えておりますし、それを促していきたいというふうに考えております。

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