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金融(銀行・保険・証券) (金融のバリアフリー)

2004年05月26日 第159回 通常国会 財務金融委員会 【250】 - 質問

障害者対応の銀行ATMを 佐々木議員の質問に金融担当大臣「銀行に求める」

 2004年5月26日の財務金融委員会で、佐々木憲昭議員は、障害者にも利用しやすい銀行ATMの設置を金融庁に求めました。

 ATMは、画面を見て触って操作するタッチパネル式のため、視覚障害者や手が震えてしまうような障害者には使えず、画面が高すぎるため車椅子の方にとっても使えないものとなっています。
 佐々木議員の質問に、金融庁は、7万2900台ある銀行ATMのうち、視覚障害者対応のATMの設置比率は12%にすぎず、音声操作案内・タッチパネル以外の操作ボタン・点字表示が全てのATMに導入されている郵便局と比べても、極端に少なくなっていること明らかにしました。
 佐々木議員は、特別障害者手当などの振込先が「銀行・信金・農協」のみの扱いとなっているのが42都府県で、郵便局での扱いを認めているのは5道府県にすぎず、銀行のATMが障害者に使いにくいことによって、支障をきたしていることを指摘。
 また、銀行の店舗を減らし、コンビニのATMに移行しているが、コンビニATMでの障害者対応のATMはゼロであることも指摘しました。
 これを受けて、竹中金融担当大臣は「当然望まれる方向であり、銀行にはしっかりとりくんでもらいたい」「政府もそのとりくみを押していく」と答えました。
 佐々木議員は、4月の質問で全国銀行協会の三木繁光会長(当時)が、障害者対応のATM設置に向けたとりくみ強化を約束していることもあげて、障害者のみならず、高齢者にとっても、使いやすいATMに改善するよう指導・督励すべきだとのべました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 政府は、小泉総理を本部長といたしまして、障害者施策推進本部というものを設置されております。竹中大臣はその本部員ということだそうであります。平成15年度からの障害者基本計画がつくられておりまして、障害の有無にかかわらず、国民だれもがその能力を最大限発揮しながら、安全に安心して生活できるようなユニバーサルデザインの視点を持つべきだという点を強調して、生活しやすい町づくりを進めることを挙げているわけです。
 きょう取り上げたいのは、ATMを障害者に利用しやすいように改善していくという問題でございます。
 ATMは、銀行にもありますし、また郵便局にもあります。そこで、まず郵便局のATMについてお聞きをしたいんですけれども、総務省にお聞きをいたします。
 障害者に対してバリアフリー化のATMというものを推進しているというふうにお聞きしておりますけれども、その特徴と設置状況を端的にお話しいただきたいと思います。
○清水政府参考人(総務省郵政行政局長) お答え申し上げます。
 郵便局におきましても、公的金融機関という立場から、なるべく視聴覚障害者の方にも十分な金融サービスが受けられるようにということで、平成15年の3月末現在のATM総数が2万6123台でございます。
 その2万6123台のすべてに、視覚障害者の方々が利用できるように、まず一つは音声による操作誘導、音声でこういうふうにやりなさいという誘導、それから2番目は、カードの挿入するところに点字で表示をする、それから3番目に、イヤホンを用意してありまして、差し込みイヤホンで音声のものが聞こえる。これは、例えば金額等、いじりますと金額が音声でほかの人に知られると困るということから、そんなことをやっているのを全ATMにつけてございます。
 なお、最近では、新たにテンキーつきの受話器というものを用意いたしまして、大体3月末で7800台ぐらいになりますが、これは受話器でやりながら手元の操作ボタンで操作できるというもので、大体ATM全体の3割程度はこれで対応しているところでございます。
○佐々木(憲)委員 今説明がありましたのは、お配りしております資料を見ていただければよくわかるわけですけれども、1枚目が郵便貯金の自動預け払い機であります。左側にテンキーつきハンドセット搭載というふうにありまして、より詳しくは次のページで写真が載っております。テンキー部分というのは右上にあるようなものです。これは参議院の郵便局で撮った写真なんですね。衆議院の郵便局は、まだテンキーつきではないのがありました。これは順次最新式のものに切りかえていくということでございます。
 私、こういう方向というのは大変大事なことだと思いまして、当然、銀行の場合も障害者に利用しやすいATMをふやすということは大変必要だと思うんです。そこで、先日の参考人質疑の際に、私は全銀協の会長に直接ただしました。
 これに対しまして、全銀協の会長さんはこう言っていました。全銀協といたしましては、現在各行の判断で一部やっている銀行があるわけですけれども、こういった取り組みを後押ししたいと考えておりまして、検討部会で意見交換を行っており、また、そのATMの設計コンセプト等につきまして専門家の方々から意見を伺うことをしております、業界全体のレベルアップに努めているところでございます、こういうふうな話であります。そういう方向で取り組みを強化したい、全銀協としてもそういう決意だという答弁でした。
 そこで竹中大臣にお伺いしますけれども、当然これは政府の基本計画に基づいた方向でもあると思いますので、政府自身が、竹中大臣自身が推進するという立場で取り組むべきだと思いますけれども、その基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
○竹中国務大臣(金融担当)  私も、本部員として、障害者基本計画に沿った障害者に優しい社会づくりというのは、これは当然のことながらしっかりと進めていかなければいけないというふうに思っております。
 お尋ねの銀行の件でございますけれども、今御紹介くださいましたように、4月20日の参考人質疑の中で全銀協会長も答弁しておられますように、視覚障害をお持ちの方々が利用しやすいATMの設置につきましては、まず検討部会で意見交換をする、2にATMの設計コンセプト等に関する専門家からの意見を聴取する、さらに、有用と思われる事例の会員への周知等の取り組み、そうした取り組みがなされているものと承知をしております。
 また、個別の金融機関におきましても、音声による操作案内機能及びテンキーつきのATM、大きな文字による画面表示が選択可能なATM等の、視覚障害をお持ちの方々が利用しやすいものを導入する、そのATMの入力部分やカード挿入口等の点字表示等の対応を行っているというふうに承知をしております。
 お尋ねの件でございますけれども、これは当然のことながらやはりそういう方向に持っていくというのが大変望まれることでありまして、我々としても、今自主的な取り組みを金融機関の方で進めていらっしゃいますけれども、これは大変望ましい方向だと思っておりますので、しっかりとそういう方向に向かうように、この銀行の取り組みを見守っていきたいというふうに思っているところでございます。
○佐々木(憲)委員 見守るだけではなくて、督励し推進する、基本的には当然そういう立場でなければならぬと思うんです。政府自身の推進本部の本部員なんですから、推進するんだという姿勢が大事だと思うんですが、いかがですか。
○竹中国務大臣(金融担当)  推進することは大変重要でございます。今申し上げましたように、銀行は利便性向上のために自主的に取り組みを今しっかり進めております。これは大変望ましいことだと思っておりますので、その方向に行くように、しっかりと我々としても取り組みを見守っていきたい、期待を持って見守っていきたいというのが現状でございます。
○佐々木(憲)委員 推進するということであります。
 実態をお聞きしますけれども、先ほどの郵便局の場合は約3割というお話がありました。これは最新式が3割と。しかし、旧来のものも含めまして、障害者対応の形のATMはほぼ全部である、こういうことなんですね。
 そこで、銀行の業態別のATMの台数、ATMの設置箇所数、それからその中で障害者対応になっている台数、その比率、これはどうなっておりますでしょうか。
○五味政府参考人(金融庁監督局長) 御説明いたします。
 銀行からヒアリングをいたしました結果の集計でございますが、まず都銀5行でございます。ATMの台数が約2万3800台。このうち、ATMのみの設置箇所数、補助員や何かがいない、そういう状況のATMのみの設置箇所数というのが約4460カ所、視覚障害者対応のATMの設置数約3460台。また、ATM全体に対します視覚障害者対応のATMの割合が、以上の結果、約15%。
 地銀について申し上げます。65行です。ATM台数3万6700台、ATMのみの設置箇所数約1万900カ所、視覚障害者対応のATM設置数約4130台。ATM全体に対する視覚障害者対応ATMの割合は約11%。
 次に第二地銀49行ですが、ATM台数1万2400台、ATMのみの設置箇所数3610カ所、視覚障害者対応の設置数1010台。したがいまして、視覚障害者対応のATMの割合は約8%。
 以上のようになっております。
○佐々木(憲)委員 銀行の実態は、今お話ありましたように、都銀で15%、地銀11%、第2地銀が8%という、大変低いわけでございます。
 これでは非常に使いにくいということで、具体的な事例を挙げますと、各都道府県で特別障害者手当というものが出されておりますが、その振り込み先が銀行、信金、農協のみの扱いとなっていて、郵便局の扱いになっていないというのが圧倒的なんですが、47都道府県中42都府県、郵便局で取り扱っているのはたった5の道府県にすぎません。これでは障害者にとって非常に利用しにくいわけでありまして、やはり、政府が国の施策としてそういうユニバーサルデザインということを掲げて推進している以上、今のような銀行の対応では非常に不十分であると思います。
 それから、今あるタッチパネル式の指で押さえてやっていく方式は、これは視覚障害者には利用できないわけであります。最近はそのそばに点字の説明書きをつけるという話もありますけれども、その程度ではだめなんです。視覚障害者だけではなくて、例えば手が震えるような障害者の場合も使えない。あるいは、車いすで来られた方も、足がつかえて手が届かないという状況もあります。画面が高くて届かない、そういう使いにくさもあるわけでありまして、そういう方々が使いやすいようにきちっと内容を改善する、そしてまた、そういうATMを普及していく、そういう立場で指導、督励すべきだと思いますけれども、大臣の見解をお聞きしたいと思います。
○竹中国務大臣(金融担当)  今佐々木委員から、具体的に、要は福祉機器をどのように改善していって、どういう点に配慮すべきかという御指摘をいただきました。大変重要な御指摘であろうというふうに思います。
 先ほども御紹介しましたように、全銀協におきましてもそうしたことを含めた意見交換を今行っているところでございますし、何といってもATMの設計コンセプトに関する専門家からの意見聴取をやっておりますので、私はしっかりと今議論されているというふうに思っております。
 いずれにしましても、今御指摘のような方向は、これは当然社会として望まれるところでありますので、現実に銀行は問題意識を持って今大きくそこに動いているというふうに思っております。我々としても、しっかりとそれをプッシュするような方向を見出していきたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 最後に、コンビニのATMについてお聞きしたいんですけれども、最近は銀行は店舗をどんどん縮小して数を減らす、ATMに置きかえていくけれども、そのATMの数もかなりの部分が今度はコンビニに肩がわりということが進んでおりまして、そうなりますと、コンビニのATMというものは、これが障害者対応になっていないんですね。
 大体、コンビニは3万7923軒というのがことし3月の数字だそうですが、そのうちATM設置数は1万7000台、約45%のコンビニに設置されているそうでありますが、ATMの障害者対応の機能というものは全くありません。
 したがって、その面についても、当然これはコンビニのATMも金融機能の延長線上でありますから、金融庁が実態を調べまして改善するように指導すべきだと思うわけです。これは障害者だけの問題ではなくて、高齢者にとっても利用しやすい条件をつくるという意味で大変重要だと思いますけれども、この点についての大臣の見解を伺いたいと思います。
○竹中国務大臣(金融担当)  御指摘のコンビニ等に設置されているATMに関する問題も大変重要であると思います。視覚障害をお持ちの方々への対応として、例えばATMのテンキー等の点字表示や、ATMに備えつけているインターホンによる説明等の対応を行っているところもあると承知をしております。しかし、全体としておくれているという委員の指摘はそのとおりなのだと思います。
 恐らく、コンビニに本当にこれだけたくさんの機器が設置されるようになったのは、せいぜいここ数年のことでございます。先ほど郵政の事例がございましたけれども、まさにこれから郵政の民営化等々の議論の中で、コンビニと郵政というのはいろいろな関係で競合関係も出てまいります。そうした競争を通して、まず、やはりしっかりとサービスを向上させるというメカニズムが私は働くものというふうに思っておりますし、ぜひ各銀行の取り組みをしっかりと行ってもらいたいというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 郵政の民営化の議論はいろいろな議論がありまして、我々、民営化には反対でありますけれども、それはまた別の機会に議論するといたしまして、コンビニでのATM、障害者対応への改善という点で前向きの答弁もいただきましたので、ぜひそれを推進していただきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

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