国会での活動
国会での活動 − 国会質問、税制(庶民増税・徴税)
【14.04.16】庶民増税の“二重取り”「社会保障回すは偽りだ」と批判
2014年4月16日、佐々木憲昭議員は、財務金融委員会で「消費税増税分はすべて社会保障に回す」という安倍政権の言い分の偽りを追及しました。
政府は消費税増税による国民の負担増を5兆円と見込んでいますが、社会保障経費(国と地方)は、消費税増税を織り込む前と後を比較すれば、増えるのは3.7兆円です。
「あとの1.3兆円はどこにいくのか」と佐々木議員は質問。古川禎久財務副大臣は「将来の世代の負担軽減になる」と答弁しました。佐々木議員は「1.3兆円は借金の穴埋めに回るということだ。誤解を与える宣伝はやめるべきだ」と批判しました。
佐々木議員は、社会保障費に回すという3.7兆円のうち「社会保障の充実」になるのは5000億円だけであることを示し、「家計に還元されるのは(増税分の)10分の1にすぎない」と指摘しました。
佐々木議員は、基礎年金の国庫負担分(2分の1)に消費税増税分を充てることは不当だと主張。2004年度の「与党税調・税制改正大綱」で年金の国庫負担財源のために所得税・住民税を増税し、年金課税の強化をしてきたことにふれ、「庶民のふところから二重取りするようなものだ」と批判しました。
佐々木議員の主張
●消費税増税は景気に冷水
4月1日から消費税が8%に増税されました。日本共産党は、消費税増税に反対です。それは、低所得者を中心に庶民生活を直撃し、中小業者は転嫁できない、全体として消費を落ち込ませ、ひいては税収にもプラスにならないと考えているからです。
消費税増税で、今年度、国・地方でいくらの増収を見込んでいるかと質すと、古川財務副大臣は5兆円と答えました。
しかし、国民の側から見ると、この4月から来年の3月までの1年間で、8兆円の負担増になるのです。5兆円というのは、事業者の決算期の関係等で税収としてあらわれる額です。
政府が「5兆円」「5兆円」というものですから、国民の負担があたかも5兆円であるかのように印象づけられていますが、家計消費や景気への影響を考える場合、8兆円の負担増で判断しなければなりません。
日銀が3月に行った「生活意識に関するアンケート調査」によると、消費税が引き上げられたら「支出を控える」35.4%「支出をやや控える」34.2%、あわせて69.6%、約7割が支出を控えるといっています。各新聞社・通信社の世論調査でも、同じようなの傾向が出ているのです。
GDPの6割が「家計消費」ですから、今後これが落ち込めば大きな影響が出ると思います。しかし、麻生財務大臣は、政府としていろいろ手を打っているというだけで、景気への影響について、まともに答えませんでした。
●増税分の5兆円は「全額社会保障に使う」のウソ
政府は、ポスターをはじめ、消費税増税の広報をさかんにやってきました。これまでに、テレビスポット、ラジオ、雑誌広告、屋外広告、新聞折り込みなどが行われています。
政府は、この「社会保障と税の一体改革」の政府広報にいくら費用をかけたのかときいたら、12億6000万円と答えました(平成25年度)。
リンク【14.03.25】政府広報を使って消費税増税宣伝
ポスターには、こう書いてあります。「あなたの医療・年金・介護・子育てを守るため、消費税のご負担をお願いします。今回の消費税引き上げ分は全て医療・年金などにあてられます」と。
他の政府広報を見ても「消費税増税分はすべて社会保障に回す」と説明しています。
そこで政府に確認しました。消費税増税前の「改革を織り込んでいない」ばあいの社会保障4経費(国・地方)は、いくらか。改革を織り込んだばあいはいくらになるかと。
答弁は、32.9兆円から36.6兆円になるというものでした。社会保障4経費は、3.7兆円増えるだけなのです。
「あとの1.3兆円はどこにいくのか」ときいたところ、「後代への負担の付け回しの軽減」になると答えました。つまり、社会保障のためではなく、借金の穴埋めに使うということなのです。「全額社会保障に回る」と言うが、実際には違うではありませんか。
じっさいの予算ベースで見ても、昨年度の当初予算の社会保障4経費は29兆1224億円、今年度は30兆5175億円。従って、約1兆4000億円しか増えていないのです。
「社会保障に全額使う」などというデタラメな宣伝はやめるべきではないでしょうか。
以前、みずほ総合研究所の「みずほ政策インサイト」というレポートには、こう書いていました。−−「お金には色がないため、消費税収が社会保障財源に充てられることで、これまで社会保障費に充てられてきた他の税収を社会保障以外の使途に振り向けることができる、消費税の目的税化(つまり「全額社会保障に使う」)は消費税率引き上げを容易にするレトリックにすぎない」と。まったく、その通りだ。
消費税を増税すると、財源に「ゆとり」ができ、大型公共事業にも、軍事費にも、大企業減税にも使えるということになります。実際に予算を見ると、防衛関係費は2.8%増、公共事業関係費は12.9%増となっているのです。
次に、「社会保障の充実に回るのはいくらか」ときくと、0.5兆円と答えました。5兆円のうち、実際に家計に還元されるのは10分の1にすぎないのです。
もうひとつは「消費税増税に伴う経費増0.23兆円」。これは、消費税を増税しなければ発生しない経費です。
●基礎年金国庫負担を理由に国民から二重取り
さらに、年金の国庫負担2分の1の置き換え分2.95兆円は、消費税ではなく、もともと他の財源でまかなうはずだったのです。
基礎年金に対する国庫負担については、2003年12月17日に決まった2004年度の「与党税調・税制改正大綱」があります。そのなかに、こう書いています。「年金課税の適正化を行う。この改正により確保される財源は、平成16年度以降の基礎年金拠出金に対する国庫負担の割合の引上げに充てるものとする。」それから、「恒久的減税(定率減税)の縮減、廃止とあわせ、三位一体改革の中で、国・地方を通じた個人所得課税の抜本的見直しを行う。これにより、平成17年度以降の基礎年金拠出金に対する国庫負担割合の段階的な引き上げに必要な安定した財源を確保する。」と書かれていました。
もともと、この年金課税の強化と定率減税の廃止で財源をつくるというアイデアは公明党が考え出したものです。日本共産党は、庶民増税になるのでこれに反対しました。
当時、公明党は、必要な財源は、定率減税を三段階で廃止して約2兆5000億円、年金課税で約2000億円、合わせて2兆7000億円を確保できると言っていた。
じっさいに、定率減税の廃止、年金課税強化で幾ら増収になったかというと、2兆8400億円程度の増税だったのです。
佐々木議員は、2011年11月30日に厚生労働委員会で質問しました。当時の藤田財務副大臣の答弁は、「平年度ベースで、年金課税の見直しが2400億円程度、これは、公的年金等控除の見直しによる増収が1160億円、老年者控除廃止による増収額が1240億円の合計2400億円、それから定率減税の縮減、廃止が2・6兆円程度、合わせて2兆8400億円程度と見込んでいるところでございます」というものでした。
基礎年金2分の1に充当する分として、2兆8400億円も入っていたはずなのに、それは、どこにいったのでしょうか。
赤字の穴埋めなど、他の財源として使われてしまったのです。
だいたい、年金の国庫負担の財源にすると言って、所得税・住民税の増税、年金課税を実施しておきながら、それはどこかに使ってしまうこと自体、とんでもない話です。
そのうえ、こんどは消費税の増税分をあてるというのでは、庶民のフトコロから二重取りをするようなものではありませんか。
リンク【11.11.30】年金名目の増税を批判 2.8兆円の増収はどこへ
●簡素な給付措置は“焼け石に水”
社会保障は、ますます悪くなっています。
4月からの社会保障のおもな負担増を見ても
○年金は、支給額を0.7%削減、国民年金保険料を引き上げ。
○医療は、70〜74歳の医療費具担アップ、診療報酬を見直し(初診料、再診料を値上げ)
○介護は、40〜64歳の介護保険料アップ。
○児童扶養手当を0.3%削減。
国民負担のオンパレードではありませんか。
佐々木議員は、年金、医療、介護で「家計にプラスになるものは、何かあるか。あるなら示せ」とききました。
ところが、麻生財務大臣は、すぐに答弁に立てない状況でした。改善するものが、すぐ頭に浮かばないほど、社会保障は全体として悪くなっていることが、あらためて浮き彫りになりました。
次に、「簡素な給付措置」についてききました。政府広報でも、これを強調して宣伝しているからです。
4月から1年半の間に、住民税非課税世帯の方々に、たった一回、1人1万円を給付するとしていますが、「何を根拠にその数字を出したのか。なぜ1万円なのか」とききました。
答弁は、「所得の少ない家計ほど生活に必要不可欠な食料品の消費支出の割合が高いことを踏まえ、消費税率の引上げによる1年半分の食料品の支出額の増加分を参考に、給付額を1万円とする」というものでした。
「1年半分の食料品の支出額」をもとに算出したというのです。対象となるのは、食料品だけです。しかし、生きていくのに欠かせない電気代、ガス代、水道代などの増加分は対象になっていないのです。
住民税非課税世帯の消費支出は、「全国消費実態調査」によると約18万円です。対象となるのはその4分の1の食料品だけというのですから、低所得世帯からもムシリ取る姿勢がありありです。
1万円のお金を給付しても、月にするとたった500円程度(556円)ですから、焼け石に水ではないでしょうか。
みずほ総合研究所がおこなった「家計負担の階層別試算」によると、2014年度は2013年度に比べ、年収200万円の世帯で、消費税増税、厚生年金保険料、児童手当を考慮すると、年に1万8121円の負担増、年収300万円の世帯で、年に5万732円の負担増となります。
これは1年分ですから1年半に置き換えると、年収200万円の世帯で2万7000円。年収300万円の世帯で、7万5000円の負担増となります。
1万円程度では、とうてい負担増をカバーできないのです。
リンク【13.11.29】安倍政権政策は所得増加策がないと批判
その一方、復興特別法人税は前倒しでやめて、法人税の減税は、さらに続けるというのです。
結局、安倍内閣がやっているのは、サラリーマンからも、中小業者からも、高齢者からもお金を取り上げて、大企業に減税していやるということなのです。
このままいけば、国民の所得が減り→消費が減少し→経済停滞が現れるという「悪循環」しかありません。多くの国民は、ますます苦しい生活を強いられることになります。これで、どうして「好循環が実現」するのでしょうか。
これ以上、「庶民の負担を増やすな」ということを指摘して質問を終わりました。