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税制(庶民増税・徴税), 医療・介護・年金 (消費税, 社会保障・税一体改革)

2014年04月16日 第186回 通常国会 財務金融委員会 【783】 - 質問

庶民増税の“二重取り”「社会保障回すは偽りだ」と批判

 2014年4月16日、佐々木憲昭議員は、財務金融委員会で「消費税増税分はすべて社会保障に回す」という安倍政権の言い分の偽りを追及しました。

 政府は消費税増税による国民の負担増を5兆円と見込んでいますが、社会保障経費(国と地方)は、消費税増税を織り込む前と後を比較すれば、増えるのは3.7兆円です。
 「あとの1.3兆円はどこにいくのか」と佐々木議員は質問。古川禎久財務副大臣は「将来の世代の負担軽減になる」と答弁しました。佐々木議員は「1.3兆円は借金の穴埋めに回るということだ。誤解を与える宣伝はやめるべきだ」と批判しました。
 佐々木議員は、社会保障費に回すという3.7兆円のうち「社会保障の充実」になるのは5000億円だけであることを示し、「家計に還元されるのは(増税分の)10分の1にすぎない」と指摘しました。

 佐々木議員は、基礎年金の国庫負担分(2分の1)に消費税増税分を充てることは不当だと主張。2004年度の「与党税調・税制改正大綱」で年金の国庫負担財源のために所得税・住民税を増税し、年金課税の強化をしてきたことにふれ、「庶民のふところから二重取りするようなものだ」と批判しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 定足数に達しているかどうかわからぬようなこういう状況でありますが、時間になりましたから、始めさせていただきます。
 きょうは、消費税の問題でお聞きをしたいと思うんです。
 4月1日から消費税が8%に増税をされました。私どもは消費税増税は反対だという立場を貫いてきたわけでありますが、理由は、低所得者を中心に庶民の生活を直撃し、中小企業は転嫁できない、全体として消費を落ち込ませ、ひいては税収にもプラスにならないのではないか、こう考えたからであります。
 確認をいたしますが、消費税増税で、今年度、国、地方で幾らの増収を見込んでいるか、示していただきたいと思います。
○古川財務副大臣 お答えいたします。
 26年度予算におきましては、5%から8%への消費税引き上げに伴う増収額につきまして、国、地方合わせて5兆円程度と見込んでおるところでございます。
○佐々木(憲)委員 国民の側から見ますと、4月1日から来年の3月末まで1年間、約8兆円の負担増になるのではないかと思うんです。
 1%分で2・7兆円ですから3%だと約8兆円、こうなるはずなんですが、5兆円とする根拠、これを説明していただきたいと思います。
○古川副大臣 お答えします。
 26年度予算におきまして5兆円程度に見込みをしておりますのは、一つには、例えば4月期決算法人の場合は、8%で行われる取引のうち、26年4月に行われた取引分のみが納税されるわけです。残りの11カ月分につきましては27年度に納税されるということになるわけですから、このように決算の時期によりまして納税の時期に差が生ずるということが一点ございます。
 もう一つは、例えば25年9月30日までに契約した長期請負契約のように、ことしの4月以降も5%の税率が適用される取引というものが一部ございます。
 このようなものがございますので、その結果、5兆円というふうに見込んでいるところでございます。
○佐々木(憲)委員 事業者の決算期の問題あるいは支払いとの関係で5兆円と。ただ、これは平年度に置きかえますと8兆円、こういうことだろうと思うんです。
 政府は5兆円、5兆円と言うものですから、何か国民の負担があたかも5兆円であるかのように印象づけられておりますけれども、5兆円と8兆円の負担というのは、影響は全く違うわけです。国民は実際に払うのは8兆円ですよ。
 家計消費あるいは景気への影響を5兆円で想定して計算しているのか、8兆円で計算しているのか、政府はどういうふうにしているんでしょうか。
○麻生財務・金融担当大臣 消費税率の3%の引き上げによります国民の負担増につきましては、引き上げ分の消費税額、いわゆる平成26年度8兆円から、政府による支払い分がございますので、支払い分を除きまして、6・3兆円と試算をいたしております。
 一方、消費税率引き上げによる財源というものは、全て社会保障の充実、安定化に求められ、国民に還元されるということにいたしておりますので、今我々も非常に関心がありますというか気にしております低所得者層に対する個人負担の軽減策としていろいろなものをやっておりますのはもう御存じのとおりでありますけれども、こういった消費税率の引き上げ分につきましては、これは負担面ではなく受益面もあわせて総合的に考える必要があるなとは思っております。
 いずれにいたしましても、反動減の緩和等々をやらせていただいて、25年度の補正、26年度の予算の前倒し等々、影響に対しまして万全の措置をやっていかねばならぬと思っております。
○佐々木(憲)委員 消費税の増税で国民は実際に1年間で8兆円払うということになるわけです。それが全額社会保障に回るかどうかはまた後で議論します。
 景気への影響ですけれども、消費が全体として落ち込むということは確実だと思います。例えば、日銀の生活意識アンケート調査がありますけれども、お手元の資料の一枚目ですが、消費税が引き上げられたら支出を控えるが35・4%、支出をやや控えるが34・2%、合わせて69・6%、約7割。資料の右側の上にありますけれども、この円グラフが示しているとおりであります。各新聞社、通信社の世論調査でも、同じような傾向が出ているわけです。
 GDPの6割が家計消費でありますから、これがこのような形で買い控えがどんどん進んでいく、こうなりますと、かなり大きな影響が出ると思いますが、その辺はどのように見ておられるでしょうか。
○麻生国務大臣 御質問をいただいていなかったので。
 基本的に、今私どもとしては、先ほどの答弁のところで一部申し上げましたけれども、反動減対策をいろいろやらせていただいております。
 4―6の落ち方が、民間予測、41社の平均で約1コンマというような数字が出ておりましたので、私どもとしては、そういったようなものの反動減をなるべくということで補正を組ませていただいたり、本予算におきましても早期着工ということをやらせていただく等々、いろいろなことをやらせていただいております。私どもとしては、それをなるべく低目にということを考えておりまして、低目にいけば、7―9の部分が逆にいけば伸びやすくなってくる状況もあろうかと思いますので、その点につきましては、最大限の配慮をしていかねばならぬところだと思っております。
○佐々木(憲)委員 この影響についてはまだ実態が出ているわけではありません、まだ4月の前半分しか実際にはありませんので。
 ただ、いろいろな手を打っているといいますけれども、その手の打ち方が家計に響いていないんですよ。大企業に対して減税をやるなんて典型ですけれども。そういう形で、予算を組みましたといいますけれども、家計に回っていかない状況ですから、最終的な消費がかなり落ち込む可能性がある。その辺は、今後、事実関係を見ていきたいと思います。
 では次に、配付した資料の二枚目ですけれども、政府は、この間、ポスターを初め消費税増税の広報を盛んにやってまいりました。これまでにテレビスポット、ラジオ、雑誌広告、屋外広告、新聞折り込み、さまざまな手段で行われておりますが、この社会保障・税の一体改革の政府広報に幾ら費用をかけたのか、明らかにしていただきたいと思います。
○古川副大臣 この政府広報につきましては、内閣府において実施するということでございますけれども、通告をいただいておりましたので、あらかじめ内閣府に問い合わせてまいりました。
 社会保障と税の一体改革の実施額、これは明確に区分できるものの合計は、平成25年度におきまして約12億6千万円と伺っております。
○佐々木(憲)委員 これはこんなに金をかけて広報をやる必要があるのかなという気がいたします。
 ポスターを見ますと、こう書いてあるんですね。「4月から8% あなたの医療・年金・介護・子育てを守るため、消費税のご負担をお願いします。 今回の消費税率引き上げ分は全て医療・年金などにあてられます。」こういうふうに書いているわけです。
 確認しますが、消費税増税前の改革を織り込んでいない場合の社会保障四経費は国、地方合わせて幾らか、改革を織り込んだ場合は幾らになるか、それぞれ数字を答えていただきたい。
○古川副大臣 お答えします。
 26年度の改革を織り込んでいない場合の社会保障四経費につきましては、32・9兆円でございます。
 これに、消費税率引き上げによる増収分を活用し、社会保障の充実、安定化を図るという改革を織り込んだ場合、具体的には基礎年金国庫負担割合二分の一への引き上げに2・95兆円程度、社会保障の充実に0・5兆円程度、消費税率引き上げに伴う社会保障四経費の増加に0・2兆円程度を反映した場合には、36・5兆円となります。
○佐々木(憲)委員 消費税増税前が32・9兆円ですよね、社会保障四経費。増税後が、今、36・5兆円とおっしゃいましたね。
 そうしますと、ふえる分は3・6兆円ということになりますね。消費税は、国の税収が5兆円ですね。5兆円なのに、社会保障に3・7兆円しか回らない。
 あと1・3兆円はどこに行くんですか。
○古川副大臣 将来の世代の負担の軽減に充てております。
○佐々木(憲)委員 つまり、社会保障のためというんじゃなくて、借金の穴埋めに回す、こういうことになりますね。
 そうすると、これは実際の予算ベースで見ましても、昨年度の当初予算の社会保障四経費は29兆1224億円ですね。今年度は30兆5175億円です。したがって、約1兆4千億しかふえていないわけです、前の年に比べて。
 だから、社会保障に全額回ると言いながら、改革前、改革後を比較しても3・7兆円しか社会保障には回らない、あとは借金の穴埋めに回る。政府予算の実際の数字を見ても1兆円台、こういうことになるわけですね。
 だから、5兆円全額社会保障に回るということはないわけであります。誤解を与えるような宣伝はやめるべきじゃありませんか。
○古川副大臣 先ほど資料として添付いただいております「あなたの医療・年金・介護・子育てを守るため、消費税のご負担をお願いします。」ということでございますが、御案内のとおり、我が国の社会保障制度というのはある意味自律的に回せていない状況でありまして、借金によって賄っている部分が大変多くございます。将来へのツケ回しを減らすためにその部分に1・3兆円を回しておるということは、これは消費税の税収を社会保障のために充てているということになると思います。
○佐々木(憲)委員 借金というのはいろいろな形で使われるわけです、一般会計に入るわけですから。その穴埋めに使うというわけであって、結局、社会保障に直結するとは限らないわけですね。
 ですから、みずほ総合研究所のみずほ政策インサイトというレポートが、以前このように書いておりました。お金には色がないため、消費税収が社会保障財源に充てられることでこれまで社会保障費に充てられてきた他の税収を社会保障以外の使途に振り向けることができる、消費税の目的税化、つまり全額社会保障に使うということは、消費税率引き上げを容易にするレトリックにすぎないと。私はまさにこのとおりだと思うんです。
 消費税を増税すると、結果的に、全体として財源にゆとりができる。そうなると、大型公共事業も、あるいは軍事費も、あるいは大企業減税も、こういう形で使えるということになっていくわけです。実際に予算を見ても、防衛関係費が今年度は2・8%の増、公共事業関係費は12・9%の増になっているんですね。だから、全額社会保障に回すと言いながら、実は別のところに使っている、こういうことになるわけであります。
 それから、もう一つ、3・7兆円は社会保障ですよ、そういう説明がありました。しかし、その中身が問題ですね。
 まず、社会保障の充実という部分、国民に還元される部分、これは幾らになりますか。
○古川副大臣 先ほどお答え申しましたとおり、0・5兆円程度でございます。
○佐々木(憲)委員 これは、わずか0・5兆円なんです。つまり、実際に家計に還元されるのは十分の一なんですね。
 あとは、消費税増税に伴う経費増。これは、0・23兆円といいますけれども、消費税増税しなければ出てこない経費ですね。
 もう一つの問題は、年金の国庫負担二分の一の置きかえ分が2・95兆円。これはかなり大きいんです。これはもともと、消費税ではなくてほかの財源で賄うはずだったものなのではないですか。
○麻生国務大臣 これは平成16年の話をしておられるのかなと思うんですが、御質問の内容がそういうことだという前提で話をさせていただきます。
 10年前の話ですが、平成16年度の税制改正によって、年金課税の見直しに伴う国の増収分は平年度分で約0・24兆円、平成17、18年度の税制改正によって、定率減税の縮減やら廃止に伴います国の増収分が平年度ベースで約2・6兆円となっております。
 これらのうち地方交付税分を除いた増収分につきましては、平成16年度の税制改正大綱を踏まえて、基礎年金国庫負担割合の引き上げ、また公債発行の削減に充てられるということにいたしておりました。
 具体的には、年金課税の見直しに伴います国の増収分0・24兆円のうち、地方交付税分を除いた0・16兆円については、基礎年金国庫負担割合の引き上げ、三分の1、33%から34・4%に充てられております。
 また、定率減税の縮減、廃止に伴います国の増収分約2・6兆円のうち、地方交付税分を除いた1・8兆円につきましては、使途が法定されておりません一般財源であるため、厳密に特定することは極めて困難ですが、与党での議論を踏まえて、基礎年金国庫負担割合の引き上げ、34・4%を36・5%に約0・3兆円が充てられたものと承知いたしております。
 残りは、財政の健全化のため、公債発行の削減に充てられたものと承知いたしております。
○佐々木(憲)委員 お配りした資料を見ていただきたいんです。今おっしゃった平成16年度の税制改正要綱、これは自民党の要綱ですけれども、こう書いてある。
 今おっしゃったように、年金課税の適正化、つまり増税ですね、この改正によって確保された財源は基礎年金拠出金に対する国庫負担の割合の引き上げに充てるものとする、それから、恒久的減税、つまり定率減税の縮減、廃止とあわせ、三位一体改革の中で国、地方を通じた個人所得課税の抜本的見直しを行う、これにより平成17年度以降の基礎年金拠出金に対する国庫負担割合の段階的な引き上げに必要な安定した財源を確保する、こう書いていたわけです。これが本当に使われていたなら、今のような消費税で穴埋めするということにならなかったわけであります。
 そこで、確認ですけれども、今数字を言われましたのは、約2兆8400億円、これが当時の新たな税収でありました。
 それが、先ほど麻生さんが答弁されたところによると、借金の穴埋めにも使われた、こういうふうな話ですね。つまり、この2兆8400億円というお金の部分の本来目的としていた年金国庫負担二分の一分の充当に充てるとしていたものが、大体2兆8千億でそれが埋まるわけであります。それをやらずに、ほかの財源に使った。
 だから、その後、財源がないというようなことで、いろいろな埋蔵金だとか借金だとかという話が出てきて、その後、消費税分をまた持っていく。これは、庶民の懐からすると、年金財源という口実で住民税は上がる、所得税は上がる、今度また、それはどこかへ行っちゃって、消費税で賄うんだと。国民からいったら二重取りじゃないか、こういう話になると思うんですが、麻生さん、どう思いますか。
○麻生国務大臣 今のお話ですけれども、基本的に、年金課税の見直しや定率減税の縮減、廃止によって、基礎年金国庫負担金の割合が、従前の三分の一から、19年度までに36・5%に引き上げられたものだと先ほど申し上げたとおりだと思います。
 一方、消費税8%への引き上げによります増収分につきましては、基礎年金国庫負担の割合36・5から2分の1、50%への引き上げに充てられるというところでありまして、これは二重取りとかいうような感じとは少し違うと思っております。
○佐々木(憲)委員 いやいや、それは全然、麻生さん、認識がおかしいと思うのは、年金を二分の一国庫負担するんですよ、国が出すんですよということで最初始まったんです。これは誰が最初に提起したかというと、アイデアを出したのは公明党でして、当時、必要な財源は、定率減税を三段階で廃止して2兆5千億円、年金課税で約2千億円、合わせて2兆7千億円を確保できる、こう言って始めたわけです、自民党が受け入れて。そして、実際に2兆8千億の税収が確保できた。
 ところが、基礎年金の国庫負担分に充てる分は、ほんの一部、ちょろちょろ。実際は、ほかのものに、大部分を借金の穴埋めに使っちゃった。だから、財源がどこかへ行っちゃって、それで困った困ったという話をして、結局また消費税でそれを穴埋めする。
 だから、国民からいったらこれは明らかに二重取りなんですよ。国民の立場からいうと、取られているのに、年金はおかしくなって、どんどん給付は下げられるし、負担ばかりふえる、こうなるわけです。
 4月からの社会保障の主な負担増を見ますと、年金は、支給額を0・7%削減、国民年金保険料は引き上げる、それから医療は、70歳から74歳の医療費負担をアップする、診療報酬の見直しで初診料、再診料の値上げにつながる、あるいは介護は40歳から64歳の介護保険料の引き上げ、児童扶養手当は0・3%削減。社会保障に使うと言いながら、社会保障をどんどん切り縮めているんじゃありませんか。
 年金、医療、介護で家計にプラスになるもの、今年度予算で何かあるんでしょうか、目立つものがあったら、教えてください。
○林田委員長 佐々木委員、もうちょっと詳しくというか、かみ砕いて質問してください。
○佐々木(憲)委員 別に簡単な質問なんですけれども。
 年金、医療、介護の中で、国民にとって、つまり家計にプラスになる、そういう改革が今度の予算に盛り込まれているとしたら、例を挙げると何がありますか。これが質問です。
○麻生国務大臣 ちょっと今急な御質問であれだったんですけれども、小児医療のあれがあったのと、それから難病の範囲を拡大とか、そういったのが幾つか入った。
 別に質問をいただきましたら、調べて御返事申し上げます。今のは私の記憶の範囲です。
○佐々木(憲)委員 ぱっと答えられないほど、特別に何かよくなったというものはないわけです。もちろん、部分的な改善は私も認めます。だけれども、金額は、全体の予算からいうと、消費税増税に対しては非常に微々たるものであります。
 そういうことで考えていきますと、消費税は増税するわ、社会保障は負担はふえるわ、それで年金国庫負担の理由で年金課税も負担がふえて、さらに消費税で取られる。庶民からいうと、こんなに負担がふえたら消費を少し控えようか、こうなっていくのは当たり前であります。しかも、年金で暮らしている高齢者の方は、これ以上もう削減するところがないということで、我々に大変な怨嗟の声が届けられております。私は、今回の消費税増税は非常に重大な事態をもたらすというふうに思っております。
 それから次に、時間がもうなくなってまいりましたが、簡素な給付措置というので、盛んに政府広報でも、1万円上げますよ、こういうことをやっておりますけれども、この1万円の根拠は一体何なんでしょうか。
○麻生国務大臣 この簡素な給付措置は、消費税の引き上げの際に、いわゆる低所得者に与える負担を緩和する観点から、税制抜本改革法に基づきまして暫定的、臨時的な施策として実施するものです。
 今、根拠と言われましたので、市町村民税、これは均等割ですけれども、非課税者約2400万人に対して一人当たり1万円を給付することとしておりますが、このうち、年金受給者に対しては一人当たり5千円を加算ということが今回の内容です。この給付額につきましては、所得の少ない家計というか家庭ほど生活に必要な食料品の消費支出分の割合が高いということを踏まえまして、消費税率引き上げによる1年半分の食料品の支出額の増加分を参考にして設定をいたしたものであります。
 これによって、低所得者について食料品の支出の増加分を相殺できるのではないか、十分とは申し上げませんけれども、できるのではないか、また消費税率引き上げの影響を緩和することもできるのではないかというふうに考えておるところであります。
○佐々木(憲)委員 今説明がありましたけれども、1年半分の食料品の支出額をもとに算出をした、こういうことですね。
 しかし、生活していくのに、食料品だけじゃありませんよ。電気代、ガス代、水道代、こういうものがあるわけです。これがなければ生きていけません。その増加分は対象になっておりませんし、しかも、金額を見ますと、1万円のお金を支給しても、1年半でありますから、月にすると500円程度ですよ。
 みずほ総研が家計負担の階層別試算を行っております。それによりますと、2014年度は、2013年度に比べて、年収200万の世帯で、消費税増税、年金保険料、児童手当を考慮すると、年に1万8121円の負担増、これは1年半だと2万7千円の負担増になるわけです。年収300万の世帯で年に5万732円の負担増、1年半ですと7万5千円の負担増ですね。これは、1万円を出したからといってカバーできないんじゃありませんか。
○麻生国務大臣 今回の給付措置というのは、消費税の引き上げに当たりまして、所得の少ない家計、御家庭ほど所得に対する消費税負担率は高くなるといういわゆる逆進性の問題を踏まえて給付措置を実施するものなので、その給付措置の趣旨に基づいて、消費支出の中では最も消費支出性というか必要性が高いと考えられる食料品の支出額の増加分を参考に、与党の中における御議論を踏まえて1万円を行うことにさせていただきました。
 それ以外の負担増も考えるべきとの御趣旨ですが、そもそも、今回の消費税によります増収分は全額社会保障給付として国民に還元されるものですから、社会保障給付は、通常、低所得者に対して手厚く配分されることは十分留意をしておいていただかないかぬところだと思っております。
 その上で、もう一点。
 簡素な給付措置に加えて、社会保障と税の一体改革の取り組みとして、国民健康保険制度などの保険料に係ります低所得者の負担軽減などの取り組みを推進することにいたしておりますので、低所得者に対する適切な配慮は行っておる。細目につきましては、時間もあろうと思いますので、割愛させていただきます。
○佐々木(憲)委員 もう時間になりましたけれども、全額社会保障に回すというのもでたらめだし、実際に社会保障の方は負担がふえていく。その一方で、復興法人税を早々とやめて、大企業は法人税減税だ。こういうやり方で、何をやっているんだとこれからじわじわと国民の怒りの声が広がらざるを得ない、そういう状況だということを指摘して、きょうのところはこれで終わりたいと思います。
 ありがとうございました。

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