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税制(庶民増税・徴税), 財政(予算・公共事業) (消費税, 社会保障・税一体改革)

2012年11月14日 第181回 臨時国会 財務金融委員会≪総理出席≫ 【703】 - 質問

公債特例法案は赤字国債発行を自由化するもの・政府試算で24万円負担増「低所得者ほど重くなる」

 2012年11月14日 佐々木憲昭議員は、9日に引き続いて、財務金融委員会で野田総理に対する質疑と討論に立ちました
 赤字国債の自動発行を認めることについて、佐々木議員は「今日はじめて提案されたものであり、(審議の)やり方も乱暴だ」と指摘。
 国会の議決や財政の単年度主義を定めた憲法規定(83条、86条)や赤字国債の発行を原則禁じた財政法(4条)に反しており、財政規律を保つための最低限必要な国会の承認も外す“赤字国債発行自由化法案”になっていると強調。「際限ないムダ遣いに道を開き、財政破たんの危険性をますます高めるだけだ」と批判しました。



 佐々木議員は、7日の財務金融委員会での質問で、政府に消費税増税と税金・社会保険料などによる家計負担増の試算を公表するよう求めていました。政府が負担増を明らかにしたのは初めてです。この日は、その試算にもとづいて質問しました。
 試算によると、年収300万円世帯(40歳以上の会社員の夫・専業主婦・子ども2人)で負担増が24.29万円にのぼり、負担率は年収の8%となります。
 年収900万円でも、4.7%の負担増。低所得者ほど重い負担増となることを示しています。
 共働き世帯(夫300万円、妻200万円、子ども2人)では31万円の負担増になります。
 公的年金収入しかない75歳以上の高齢者世帯では、夫婦で最大10万円、単身で6.4万円も負担が増えます。
 民自公は、負担増対策と称して、ごく一部の世帯に1万円をばらまくことを検討していますが、“焼け石に水”にもならないことを示しています。
 佐々木議員は「低所得者ほど負担が重くなり、消費税増税を実施すれば格差が拡大する」と指摘。「こんな格差が拡大し、低所得者の負担が増えるやり方は絶対にやってはならない」と批判しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 初めに、一言申し上げておきたいと思います。
 野田総理は、国民に負担をお願いする以上、定数削減も必要である、議員も身を切らなければならないという発言をされました。我々は、この消費税増税には反対でありまして、国民に負担を押しつけることに反対をしてまいりました。それは、逆進性の問題とか、あるいは中小業者が転嫁ができないとか、それから消費が冷えて全体として経済も税収も落ち込んでしまう、多角的な議論をやってまいりました。増税を国民にのませるために議員が身を切るというような議論、これに我々がくみするわけにはいかないわけであります。
 もともと、選挙制度というのは、議会制民主主義の土台でありまして、全ての政党にかかわる問題でございます。これを二党あるいは三党で決める、これは民主主義からいいますと全く逆行することになるわけでして、少なくとも、各党の間で議論を行って合意を目指すということをやるべきであります。何か、期限を切って、いつまでにさっさと上げるんだというような議論は、とてもこれは、我々、のめる話ではない、このことを最初に申し上げておきたいと思います。
 それで、法案の内容ですけれども、この法案質疑の最終段階になって突然、昨日、民自公三党で確認書が交わされて、それに基づく法案が、きょうになって議員立法で突然提出される。大体、提案したその日、つまりきょうですよ、きょう、質疑を行い、質疑終局し、採決をする、こういう強硬なやり方は到底受け入れられるものではありません。委員会における充実した審議を否定するものであります。
 こういう点で提案者はどう考えているか、まずお聞きしておきたいと思います。
○古本委員 お答えいたします。
 これは随分前になりますけれども、三党党首会談で、野田総理、党代表から、自民党の安倍総裁、そして公明党の山口代表に対して、予算が成立しているんだけれども執行ができない、自治体を初めいろいろなところに、今、国民経済、生活にしわ寄せを来している、この状況を何とか打開することはできないだろうかということで、丁寧に御提案をさせていただいたことが出発点でございます。
 したがいまして、佐々木憲昭先生には大変恐縮ですけれども、唐突という言葉が適切かどうかは、これは議論の余地があると思います。昨日の理事懇の場で修正案を開示、御提案させていただいたわけでありますけれども、それから24時間しかたっていないじゃないかということに関しては、大変いとまがなかったことは、ここで心苦しく思っておることを素直に認めます。
 でも、その上で、これはやはり待ったなしの、国民生活に影響を及ぼしてはならないという待ったなしの議論であるということについて、ぜひ深い御理解を賜りたいというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 大体このやり方自体が極めて乱暴でありまして、三党の間では何か議論しているかもしれませんけれども、国会の中で公式に議論は一回もやっていないわけです。それをいきなり前の日、24時間前に出して、さあ、次の日に採決だ、議会運営の中ではこういう話はありません、大体。
 内容に入りますが、修正案によりますと、平成24年度から平成27年度までの間の各年度の特例公債の発行を認める、こうなっているわけです。これは極めて重大な内容でありまして、まず、憲法第83条、ここには「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」と定めておりますが、ここで言う財政というのは、財務大臣、どういうものですか。
○城島財務大臣 御質問の憲法83条は、いわゆる財政民主主義の原則として、今おっしゃいましたように、「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」と定めております。御質問の、ここで言う財政とは何かということでありますが、ここで言う財政とは、国民に対して各種のサービスを提供するといった任務を遂行するために、必要な財源を調達し、これを管理、使用することをいうものと認識しております。
○佐々木(憲)委員 そのとおりでありまして、必要な財源を調達し、これを管理、処分する一切の作用を財政というわけであります。つまり、どこから財源を調達するかも含めて、主権者である国民を代表する国会の議決に基づくものとする、こうなっているわけですね。
 では、憲法第86条、これがどうなっているか。「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。」と規定しております。この原則を受けまして、財政法第四条では、「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。」としております。つまり、公債や借入金は認めていないわけですね。ただし、公共事業等のための公債発行と借入金だけは一定の条件のもとで認める、こういうふうになっていると思いますが、いかがですか。
○城島財務大臣 一点目の、憲法86条との関係でございますが、今回の法案修正においても、各年度の特例公債の発行限度額というのは、毎年度予算総則で規定をし国会の議決を経るということでありますから、憲法86条の予算の単年度主義との関係が問題になるものではないというふうに考えております。
 また、財政法四条との関係でございますが、今御指摘の点について言っても、現下の厳しい財政状況のもとでは、建設国債のほかにも公債を発行しなければ、財政を運営することは極めて困難であります。このため、財政法四条一項の特例といたしまして特例公債の発行を認めていただくよう、今回の法案を提出したものというふうに認識しております。
○佐々木(憲)委員 予算の総則に書いても、予算は予算ですよ。法案ではありません。したがって、これは極めて重大な、すり抜け方式といいますか、法案については審議しないわけですから、公債特例法案を毎年毎年やるということをやめて、4年間、今後は3年間、審議なしでやる、これは明らかにおかしな話であります。
 もともと、この財政の穴埋めに出す特例公債は、財政法第四条で認められておりません。かつて、大平正芳さんは、昭和50年12月のこの大蔵委員会で、赤字国債発行について、こう述べたことがあります。「本来の財政法の原理に立ち返らなければならぬと思います。財政法は、公債の発行は四条公債以外認めていないわけでございますので、このことはあくまで銘記しておかなければならぬわけでございます。」特例公債の発行が「習い性となっては困るわけでございますので、異例の措置であればその年度限り、その特定の目的のためにこれだけのものをお願いするというように限定しなければならぬというように考えておるわけでございます。」こういうふうに述べているわけですね。これは真っ当なことだと思います。
 公債特例法案として閣法を出して、その都度国会の承認を得るというのが原則であります。単年度に限定したのは、財政規律を辛うじて保つために最低限必要なことなんです。それが原則だったと思いますが、総理、この大平さんの発言をどのように受けとめていますか。
○野田内閣総理大臣 佐々木委員御指摘のとおり、特例公債を発行したのが昭和51年だったと思いますけれども、まさに、赤字国債を発行するというのは特例であって異例であるという中における当時の大平総理の思いというものは、しっかり踏まえなければいけないだろうと思います。
 したがって、毎年毎年しっかり財政規律を考えながら、財政当局は緊張感を持って財政運営をする、そして、国会で毎年財務金融委員会において御審議をいただくという統制を受ける、それが基本だったわけです。
 ただ、毎年特例のようだったものが、残念ながら、今は恒常的に特例公債を発行せざるを得ない状況になっていて、しかも、今は一般会計予算の4割を占めるに至っているという状況が生まれました。
 少なくとも、どのような政権がこれから生まれても、特例公債に当面は頼らざるを得ない状況があります。もちろん、その額は抑える努力はしていかなければなりませんけれども、今そのような恒常的な状況の中で、残念ながら、予算は成立をしても、その裏づけとなる特例公債がなかなか成立をしないという状況があって、今回もそうでありますが、地方団体含めて国民生活に支障を及ぼすような状況も生まれかねない。
 こうした弊害を乗り越えるために、少なくとも我々は、財政運営戦略で向こう10年間でプライマリーバランスの対GDP比、赤字を黒字化していく、2015年までにはそれを半分にしていく、そういう方針を立てました。こうした方針のもとで、財政規律を守りながら予算と特例公債と一緒に対応するような、そういう御提案を今回議員立法としていただいたものと承知をしておりますし、財政規律は守っていかなければいけないと考えております。
○五十嵐委員長 大平さんは、昭和51年当時は、総理大臣ではなくて大蔵大臣だったと思います。
○佐々木(憲)委員 今、総理の答弁は、踏まえなければならないとか基本だったとか、こういうふうに言いながら、それを今回は、特例公債がたくさん、半分近くになった、だから、そういうことを外して自由に発行できるようにしたい。これは原理原則を逸脱しており、基本を外れている、そういう議論でありまして、総理がそういうことに踏み出すというのは極めて重大であります。
 修正案は、予算と公債特例、一体のものをばらばらにして、単年度という限定を外して、3年間、ことしも含めれば4年間、特例公債の発行を認めるというものであります。こんなやり方をすると、財政規律は完全に歯どめを失います。
 平成25年度、つまり来年度ですね、26年度、27年度、この予算は、まだ予算内容が明らかになっておりません。来年以降の話であります。それなのに、中期財政フレームがあるからと。これは単なる枠組みであります。枠組みなので、中身じゃないんです。どのような予算が組まれるか、全くわからない。にもかかわらず、この修正案は、どんな予算を組もうが赤字国債が発行できる、そういうことになるんじゃありませんか。
○城島財務大臣 先ほど申し上げましたように、特例公債の発行限度額は、従来どおり、各年度の予算総則に規定をして、予算委員会で審議いただくことになっておりますので、必ずしも御指摘のようなことにはならないというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 予算総則に書けば何でもできるじゃないですか。赤字国債をこれだけ発行します、それは与党・政府が多数を占めていれば、そう書き込んだら自動的にそれが認められる。しかし、国会のチェックが法律としてやられないわけですから。全くこの説明になっていません。
 しかも、何か、努力する、中期財政フレームがあるからそれに合わせるんだと言うんですけれども、そのときの政権に対して赤字国債の発行を白紙委任するということは変わらない。これは、赤字国債発行自由化法、こう言ってもいいと思います。しかも、国会のチェック機能が3年間外れるわけですから。
 憲法第83条は、「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」こう決めているわけです。したがって、国会の議決なしに赤字国債を発行するということになれば、これは憲法に抵触することになるんじゃありませんか。提案者、どうですか。
○古本委員 先生の御主張を先ほど来伺っておりますけれども、大事な観点を我々共有しなければならないのは、毎年度の予算は、時の内閣が国会に提出し、衆議院で申し上げれば、予算委員会でそれを審議し、そして最終的に、お互いに納得した上で採決に応じるわけですね。これは当然、時の野党の方針によっては、その採決に応じない、応じるで、またいろいろな混乱が第一委員室で毎年繰り広げられるわけでありますが、最終的には、何十時間にもなんなんとする予算審議の結果、毎年の予算は衆議院において可決、決定されてきているわけでありまして、その議論が今後ともより丁寧に、とりわけ歳入、この公債発行についてセットで議論をされる仕組みを衆議院の予算委員会においていかにつくっていくかということが、恐らく議論の具体的なポイントになってくるんだと思います。
 これまで、率直に言えば、公債特例法案は重要広範議案でした。当財務金融委員会で毎年、総理入りで充実した質疑で行ってきたのは事実であります。しかしながら、予算が一方で成立しているにもかかわらず、歳入の裏づけがないままに執行が滞っているという今日のこの問題を何とかしたいという中で、ハウスの知恵を出したいと思っていますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○佐々木(憲)委員 総理が出席をして重要広範議案として議論するから、しっかりとした歯どめをかけることができるわけなんですよ。それを外して、予算は予算で通した、通した途端に財源まで一緒に通っちゃう、そんなでたらめなことがありますか。財源は、財政法に基づいてきちっと法律として国会を通らなければ、これは確保できないというのが原理原則ですよ。そういうものを逸脱してしまうということになる。
 3年後というのはどういうことかといえば、10%に消費税率が引き上がる。それまでの間は、赤字国債は時の政権が自由に発行できる、こういうことになる。経済状況を好転させなければならない、そういう理屈でいいますと、結局そのために財政を投入する、こういうことになりますね。これは大変重大な、いわば赤字国債を大量に発行して、ともかく経済対策ということで無制限な、まあ、無制限とは、そういう言葉ではないんだという反論もあるかもしれない、しかし、事実上、政権がやりたい放題できるじゃないですか、これで。
 そこで、自民党にまず聞きたい。
 消費税の増税法案の附則18条第一項の中に「総合的な施策の実施」、第二項には「成長戦略」等々が規定されております。私、これは社会保障・税特別委員会で確認をしましたが、自民党の提案者が、我々の要望で書き込んだんだ、こういう答弁でございました。
 自民党の国土強靱化計画というのがありますね。10年で200兆の大規模投資を行うと書いてあります。年間にすると20兆円。最初の3年間を集中期間であるとしまして、15兆円を追加投資すると書かれている。つまり、最初の3年間は、1年ごとに見ますと25兆円ずつ投資をするという形になるわけです。その財源はどこから捻出するんですか。
○竹本委員 お話しのように、10年間で200兆円という計画を立てております。別に、政府としてこれが最終の数字だといって決められたわけではありませんけれども、我々自民党は、その財源については特例公債じゃなくて、使うのであれば建設国債、それから、経済成長によって利益が上がれば、それによる税収を活用したい。
 一番問題なのは、1400兆円か500兆円あると言われる金融資産、これの運用先としてこれを使えばどうかというふうに考えております。
 ですから、例えば大きいプロジェクトを進める場合に巨額な資金が必要になります。これについては、主体が例えばPFIのようなものであれば、株券を発行し、あるいは政府の信用も使いながらやる新型証券という方法もあり得ると思います。
 そういう意味において、民間資金を中心として毎年10兆円、おっしゃるように初年度は25兆円というふうになりますか、そういうことをやろうと思っておりまして、決して借金でやろうとしているわけではございません。
○佐々木(憲)委員 自民党のこの計画によりますと、大規模投資するための財源として日本再生債を創設する、こういうふうに書かれていますね。この日本再生債というのはどういうものですか。
○竹本委員 昨年、東北の大震災をこうむりました。それで、復興には多額のお金がかかります。日本は地震列島でありますから、どこでどういう災害が起きるかわからない。そういう意味で、日本を再生するために、今申し上げたような、一定の利率を上げまして、それを買えば、株の投資と一緒で利益が還元される、そうすると民間の資本がどんどん集まってくる、それによってこういう大きい事業をやっていこう、こういうことでございます。
○佐々木(憲)委員 要するに赤字国債と変わらないじゃありませんか。要するに、国債を、日本再生債を発行して民間に買い取っていただいて、それで集めたお金で投資をしようと。
 これは、建設国債とは必ずしも一致しないです。なぜかといいますと、この計画によりますと、国家機能代替性確保、原発安全確保、通信手段確保、行政機関の業務継続用通信システムの整備、工場移転の支援、国際競争力強化のための社会資本整備等々、周辺海域の警備強化、こんなものが入っているんですよ。これは、建設国債に限らない、性格からいうと赤字国債ということにならざるを得ない。こうなると、消費税増税前に、仮に自民党が政権についたら、我々は望んでおりませんけれども、もしついたら、際限ない無駄遣いに道を開くということになるんじゃありませんか。
 私は、財政破綻の危険性をますます高めるというふうに思います。つまり、三党合意で修正案を今回提案して、その案が通ったら、どこの党が政権につこうが、ともかくこういう形で赤字国債発行自由化が3年間保証される。到底認めるわけにはいかない。
 次に、消費税等負担増の家計への影響、この点についてお聞きします。
 消費税増税は、2009年の総選挙で民主党幹部が述べた、消費税の引き上げは行わない、こういう公約に反する行為であります。我々は、この法案が通る前に国民に信を問うて、そして増税がいいか悪いかを判断してもらうべきだと言ったんですけれども、総理は、いやいや、税率を引き上げるまでに期間があるから、総選挙があるはずなので、そこで信を問えばいい、こういうものでした。
 そうしますと、次の総選挙、16日にも解散という話がありますが、その総選挙で、消費税増税を実施してよいかどうか、この点について信を問う、こういうことになりますね、総理。
○野田内閣総理大臣 次の総選挙においては、それぞれが政権公約をまとめて国民の皆様にお訴えになると思います。
 我が党においても、マニフェスト、この国をどうしたらいいのか、我々が政権をとった暁にはどういう国をつくっていくのか、そういうことをしっかりと議論を踏まえて、まとめて打ち出したいと思います。
 当然のことながら、これまでマニフェストの検証をやってきました。できたこととできないこと、あります。言っていなかったことでやったことの一番大きな眼目はこの社会保障と税の一体改革でありますので、我々が、当然この三党合意を踏まえて、これからも社会保障の、まだこれは改革の道半ばでありますので、そのことについては当然記載をしなければいけないだろうというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 そうしますと、政府が決めた国民負担増の総額は、これは三党合意で決まったわけですけれども、消費税で13・5兆円、年金、介護、医療、子ども手当などの負担増、給付減、これは合わせて6・5兆円、全体で20兆の負担増になるんですよ。国民に信を問うということになるのであれば、当然、判断材料として、各家庭がこの一体改革でどういう負担を負うことになるのか、何が改善されるかをきちんと説明責任を果たさなければならない。
 そこで、私は政府に要望して試算をしていただいた資料がありまして、配付資料を見ていただきたいと思います。
 世帯類型別に出してきた政府の試算を単純に集計したものですが、2011年と2016年でどれだけ年間負担額がふえるか、これを示しております。
 内閣府に確認しますけれども、この数字に間違いありませんね。
○藤本内閣府副大臣 この数字のもとになりますのは、先週のこの委員会で佐々木議員から要望がございましてお出ししたものでございますが、議員から指定された各項目、この配付の資料の一番左の欄、消費税、所得税、住民税、そしてあとは年金保険料とか各保険料、これを指定いただきました。そして、右の列に行きますと、今、世帯類型別で三つの類型が出ていますが、佐々木議員から15の類型を示していただいて、それぞれの項目をその前提に基づいて機械的に計算をしたものでございます。
 恐らくこの表は、佐々木議員が、そのそれぞれの項目ごとの数字を足し合わせて、2011年と16年の差額を出したものだというふうに承知をしております。もちろん我々が、内閣官房が出した数字というのは正しいわけでありますけれども、幾つか前提の置き方が違うかなというふうに思うものはございます。
 例えば負担増として、2011年には住民税の年少扶養控除というのがあったわけですが、2012年の6月にこれが廃止をされておりますので、2016年度に関してはこれを廃止したという形でここに載ってきております。それを財源として子ども手当、そして新たな児童手当ということになってきているんですが、その給付増の部分はここでは一切反映をされていないという点がございますので、前提の置き方が若干問題があるのかなというふうに思います。
 それと、今、佐々木議員から社会保障と税の一体改革による負担増というふうにお話がございましたが、この中には、例えば厚生年金保険料などは2004年の段階でもう決められて毎年上がってきていますので、今回の社会保障と税の一体改革とはまた別物でございますので、一体改革によるものとよらないものが一緒に入っているということと、消費税引き上げに伴いますいわゆる給付面の充実、医療、介護であるとか子ども・子育て支援とかそういったところについて、あるいは今後実施をしていく低所得者に対する配慮というところがここの中には反映されていないということがございますので、若干ミスリードをしてしまうような危険性を恐れるというのもあるのかなというふうには思っております。
 そもそも、今回の社会保障と税の一体改革については、社会保障を安定化させていく、充実化させていくという、それがそもそもの目的でございますので、それに伴う負担というのがあるんですが、これは社会保障の充実によって給付があるいはサービスがふえるということになろうかと思います。
○佐々木(憲)委員 答弁が長過ぎる。
 この数字は、政府が、あなた方がつくったものですね。それをベースにして私が集計をしたものであります。ここに入っていない類型については、例えば、就学前の子供のいる世帯とか、あるいは中学生、高校生のいる世帯、これはもちろん入っておりません。だから、その中の一部です。しかし、この数字自体は正確なものです。したがって、何かミスリードとか言いますが、サラリーマンのこの所得階層別、同時にまた各類型、これは間違いありませんので。
 さて、そこで、これは総理に最後にお聞きしますけれども、総理は、格差の拡大を抑えていかなければならない、こういうふうに予算委員会等で答弁をされました。
○五十嵐委員長 簡潔に願います。
○佐々木(憲)委員 しかし、この数字を見ていただきますと、二枚目の表ですけれども、低所得者ほど負担が重い、こういう結果になるわけです。総理は、これは実施すれば格差は拡大するという結果になる、そう思いませんか。
○五十嵐委員長 時間が来ておりますので、総理、簡潔にお願いします。
○野田内閣総理大臣 思いません。
 これは、委員からの前提を、こういうものを入れてくれということを踏まえて政府が作業をしたものであって、その前提の置き方が妥当かどうかというのは、さっき副大臣が御説明したとおりであります。
 加えて、負担だけではなくて、低所得者に対する給付の問題もしっかりバランスをとって考えなければいけないので、御指摘は当たらないと思っています。
○五十嵐委員長 佐々木君、まとめてください。
○佐々木(憲)委員 はい、まとめます。
 政府が出した数字に基づいてやったものであって、これからやることは入っていないですよ、もちろん。低所得者対策なんて何にも決まっていないじゃないですか。1万円を低所得者にばらまくと言うけれども。何が決まったんですか。何にも決まっていないじゃありませんか。
 したがって、この数字は極めて正確な、政府が出した数字ですからね、こんな格差が拡大して低所得者が負担がふえるようなやり方は絶対にやってはならない。総選挙で明確に国民の審判を受けるべきだということを述べて、質問を終わります。

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