税制(庶民増税・徴税), 財政(予算・公共事業) (消費税, 定率減税の廃止, 年金制度, 社会保障・税一体改革)
2012年11月09日 第181回 臨時国会 財務金融委員会 【702】 - 質問
財金委で「年金口実に2度増税か」景気悪化は明らかと批判
2012年11月9日、佐々木憲昭議員は、前日の本会議に引き続き、財務金融委員会で公債特例法案について質問しました。
佐々木議員は、基礎年金の国庫負担を2分の1に引き上げるための財源を新たに発行する年金特例公債で賄い消費税増税で償還する仕組みについて、「一つの証文で2回取り立てるものだ」と批判しました。
自公政権時代、年金財源のためとの口実で所得税・住民税の定率減税の廃止と老年者控除・公的年金等控除の見直し・廃止によって、大増税が行われました。
当時大増税への国民の不満・怒りに乗って政権交代を果たした民主党は、その増税分を元に戻したのかとただしました。
城島光力財務大臣は、「(当時、自分も増税法案に)たぶん反対した」と述べながら、与党になっても「税制は元に戻っていない」と答えました。
佐々木議員は、「年金国庫負担のための増税はすでに行っている」と強調。今回も国庫負担引き上げの財源という口実で消費税増税を充てることになれば、「同じ理由で2回増税することになる」と批判しました。
また、消費税増税の景気への影響について「ならしてみると影響はない」とする城島大臣に対して、佐々木議員は「恒常的に家計の所得を奪う形になる」と指摘しました。
城島大臣は「負担増の面からみるとおっしゃる通り」といいながら「負担と給付で見る必要がある」と釈明したのにたいし、佐々木議員は「各家庭ごとに負担を見ることが重要だ」と指摘し、「消費が冷え込むことは明らかだ」と批判しました。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
きょうから法案の質疑に入りましたので、最初に、法案に関連して初歩的な質問をしておきたいと思います。
公債特例法案は、当初、政府案がありましたが、民自公三党の合意に基づいて内閣修正されました。しかし、衆議院で与野党合意のないまま採決が強行され、参議院で審議未了、廃案という結果になったわけです。
全く同じ内容のものを今回提出をされたわけですが、まず、その修正内容についてです。
本年度分の基礎年金国庫負担を二分の一に引き上げる。その財源を、当初、交付国債だったんですが、これをつなぎ国債、すなわち年金特例公債に変えるというものになっております。
いずれにしても、償還財源に消費税増税分を充てるということでありまして、これは将来にツケを回さないためという説明でしたが、しかし、消費税に頼るわけですから、ツケは国民に将来にわたって回るということに変わりないのじゃありませんか。
○城島財務大臣 いわゆる赤字国債ということと今回の消費税を償還とするということを明確に決めるということで、それは概念的にも、先ほどから御説明しているように、将来世代への負担というものにするのか。今回の社会保障・税一体改革の基本も、やはり基本的には、将来世代への負担というものをできるだけなくしていこう、そういう中での社会保障の充実と、その財源として、上げる消費税は全て社会保障に使っていくということからして、本質的には我々が説明しているとおりだというふうに私は思っております。
○佐々木(憲)委員 その説明は何度もされているわけですけれども、実は、社会保障に全額回るというのは違うということは、岡田副総理が私の質問に対してお認めになっているわけです。しかも、年金、医療、介護、子ども手当、この部分での給付減、負担増というものが今後とも続いていく、こういうことになりますので、何か社会保障のためだと言うけれども、実態は違うんですよ。
もう一度もとに戻りますが、基礎年金国庫負担二分の一の財源ですけれども、これは自公政権時代から課題でありました。2003年12月17日の税制改正大綱、この中で、所得税、住民税の定率減税の廃止、それから老年者控除、公的年金等控除の見直しと廃止、こういうことによりまして基礎年金国庫負担の財源とするということが当時の大綱に明記されて、そのとおり実施されたと思いますが、これは事実ですね。
○城島財務大臣 そのとおりであります。
○佐々木(憲)委員 つまり、年金国庫負担二分の一の財源として、所得税、住民税の、我々から見るとあれは大増税ですよ、これを当時自公政権がやりました。全体として3兆円近い大増税になって、家計に大変大きな負担をかけたわけです。そのために、これが実施されるときには、各自治体に大変な抗議の電話、あるいは直接抗議に駆け込む人たちがふえたわけですね。列島騒然というような事態になった。
こういう状況だったために、その前からも負担がじわじわふえてきたということもあって、もう政権交代だという話になって、それで民主党がこの怒りに乗って政権交代を果たしたわけです。
城島大臣は、当時、実施された所得税、住民税の大増税に賛成でしたか、反対でしたか。
○城島財務大臣 2003年ですよね。多分反対したのではないかと思いますが。
○佐々木(憲)委員 多分、民主党の方々は反対したと思います。
それで、政権につきましたが、所得税、住民税の増税部分はもとに戻りましたか。
○城島財務大臣 それはもとに戻っておりません。
○佐々木(憲)委員 これは戻っていないわけですね。
つまり、国民に年金国庫負担分を増税でお願いしますと言って増税をしたわけですが、それがけしからぬという話になって政権交代をした。政権交代したけれども、しかし、それはもとに戻さなかったんです。
ということは、年金国庫負担の増税は既にやっているわけです。今度も同じ国庫負担二分の一の財源のためだという口実で、消費税増税を当てにした年金特例公債が出されるわけですね。これは、同じ理由で二回増税するということになるんじゃありませんか。
○武正財務副大臣 委員御承知だと思って御質問だと思うんですが、先行減税ということが前回の消費税増税後あるいはそのタイミングでなされて、あのときは恒久か恒久的かというお話もありましたが、その後、増税ということでされたと承知しております。
また、あわせて、抜本的な税制改正、これがやはり宿題として自公政権時代からあったというふうにも承知しておりまして、そういった中で、今回、消費税を含む社会保障・税一体改革、これが行われたと承知しております。
○佐々木(憲)委員 説明になっていないわけですけれども、これはどこから見ても、一つの目的、一つの証文で二回取り立てるということになっているわけですよ。結局そういう形で二度も増税を押しつけるというのは、私はもう絶対許せないというふうに思っております。
そこで、消費税増税でどうなるのか。城島大臣は、前回の私の質問に対しまして、景気への影響は、ならしてみると影響はないんだ、つまり、駆け込み需要があって、同じ分、反動減が起こる、そういうことだというふうに見ているんだと思いますが、しかし、国民の立場から見ますと、消費税増税を初めとする国庫負担というのは、それは当然、各所得を奪うわけであります。所得の移転が起こるわけですね。
つまり、消費がその分抑制されるというのは、これはもう誰が見たってそうなるわけでありまして、これは恒常的に消費税増税その他の負担分が家計の所得を奪う形になる、これははっきりしているんじゃありませんか。
○城島財務大臣 前回も申し上げたと思いますが、負担増の面から見ると先生おっしゃるとおりでありますが、今回は、いずれにしても、この5%増税した分は、先ほど委員は全部じゃないとおっしゃいましたが、基本的には社会保障の充実、安定というところに向かうわけであります。
そうしますと、充実するもの、あるいは維持するものということで、お一人お一人にとってはそれぞれいろいろありますけれども、社会保障の安定というところ、あるいは、場合によっては給付を受ける、給付がふえるというところもあるわけでありますから、負担増だけではなくて、社会保障というものが安定をしていくということによって、安定感が出てくる、将来生活設計においてもより安心ができる。
まして、今回の社会保障の中でいうと、子ども・子育てについては重点的に7千億投入する予定になっておりまして、そうした世代からすると、今までよりははるかに子育てということが楽になるというか、それを援助する部分もありますから、それは、そういう面でいって、負担と給付というバランスの中でやはり見ていく必要があるんじゃないかと思います。
○佐々木(憲)委員 各家庭から見てどうなるのかということを私は言っているわけです。
つまり、世帯ごとに、一体、給付がどうなるのか、負担がどうなるのか、そして増税分がどうなるのか。これを見ますと、これは相当な負担になりますよ。消費税増税分で13・5兆円、それ以外で我々計算したところによると6・5兆円ですから、合わせて約20兆ですよ。それが各家庭に大きな負担になっていくわけです。
前回私質問いたしましたように、今、政府にこの試算を、各世帯類型ごとに要請をしておりますから、その結果が出た時点でまた質問したいと思いますけれども、結果的には、国民負担が非常にふえて、所得がその分失われ、そして消費が冷える、これはもう明確であります。そういう点を無視して、何かいいことをやったかのように言うのは、これはとんでもない話であります。
次に、復興予算の流用問題についてですが、復興予算は被災者の支援あるいは被災地の復興のために使うというのが基本だと思いますけれども、城島大臣、どのようにお考えでしょう。
○城島財務大臣 復興予算についてでございますが、御指摘のその点については、まず、復興基本法は、国会において議員立法で、かつ多くの政党に御尽力いただいて成立した法律であるということを承知しております。したがって、まずは、この復興基本法にのっとって対応しているわけであります。
いずれにしても、復興関連予算というのは、この基本法の趣旨に沿って措置してきたものでありますが、個別の事業については、いろいろ御指摘やあるいは御批判を受けていることも事実でありますので、こうした御指摘や御批判、あるいは国会や行政刷新会議等での議論を踏まえて、今のところ、我々としては、被災地が真に必要とする予算はしっかりと手当てをしていき、それ以外のものについては厳しく絞り込むとの方針のもとで、今後予算編成をしてまいりたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 実際に使われる内容を見ますと、これはもう大変な、復興と本当に関係あるかなと思うようなことが次々と出ております。
被災地の復興とは直接関係のない大企業に補助金が出される、あるいは違法な国民監視を続けている自衛隊の情報保全隊の器材購入費とか、あるいは諫早湾干拓事業の調査費だとか、それから内閣府のキャリア・アップ戦略に関する事業費とか、刑務所の職業訓練経費とか、あるいは反捕鯨団体シーシェパードの妨害活動に対する安全対策、核融合エネルギーの実用化を目指す国際熱核融合実験炉研究支援事業、それから原発輸出に向けた調査等委託費。
こういうものを見ますと、何でこれが被災者のためになるのか、被災者支援になるのかどうか、現地と関係ないじゃないか、こういうことが盛り込まれているわけです。それが当たり前だというようなことで各省庁が要望して、それを認めてしまう。
復興基本法の話を今されましたけれども、この復興基本法に重大な問題がありまして、この中には、「活力ある日本の再生を図ることを目的とする。」と書いてあるんですよ。「活力ある日本の再生」というなら、何でも使えるということじゃないですか、その名前がつけば。
そのために、基本方針を見ましても、庁舎等が被災した場合の公的機関の業務継続体制の強化、まあ、被災した場合ということは、それは被災地であればあり得ると思いますが。それから、今度はそれから広げまして、今後、国の庁舎等について耐震化を初め防災機能の強化を図る、つまり、いわば官庁の建物の防災機能強化だということで、被災地と関係ない地域の、例えば、今までも、税務署の耐震を全国あちこちでやるとか、そういうことに使われるのは、これは全くの流用であります。
私は、こういうやり方については、根本が、先ほど言われた復興基本法の法律の中にそういうことを許す条項が入っているからこういう事態になったんじゃないかと思う。どうですか。
○五十嵐委員長 時間が来ていますので、手短にお願いします。
○城島財務大臣 これは、先ほど申し上げましたように、議員立法で成立した基本法でありますので、そこはやはりその趣旨にのっとって対応していくということになると思います。そういうことにのっとってやったんだと思います。
御指摘のようなことはこの前から受けておりますので、そこは真摯に受けとめるということになると思います。
○五十嵐委員長 佐々木君、まとめてください。
○佐々木(憲)委員 大体、議員立法でそういうことを決めたこと自体が問題であって、我々はこういうやり方には反対をしておりました。何でこんなことをやるんだということで、さらに質問は次回に続けていきたいというふうに思います。
以上です。