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税制(庶民増税・徴税), 財政(予算・公共事業) (消費税, 社会保障・税一体改革)

2012年11月08日 第181回 臨時国会 本会議 【701】 - 質問

公債特例法案「暮らしも経済も財政も破壊」と本会議で批判

 2012年11月8日、佐々木憲昭議員は本会議で、赤字国債発行に必要な公債特例法案について「国民の暮らしも経済も財政も破壊する道に踏み出す」今年度予算の財源を確保するものだと批判しました。

 佐々木議員は、自民、公明両党が公債特例法案を衆院解散を迫る材料に使う一方、野田内閣が国民生活を支える地方交付税を出し渋るなど、政局の駆け引きの道具として利用していることを批判。密室談合で消費税増税を強行した「増税仲間」の解散時期をめぐる不毛な内輪もめをしているにすぎないと指摘しました。
 佐々木議員は、今年度予算が消費税増税を前提とし、年金支給額の削減、子ども手当の削減など社会保障の連続改悪を進めるものだと指摘。大型公共事業の復活など税金の無駄遣いや富裕層や大企業には減税の大盤振る舞いをする一方で、国民へ約20兆円もの負担を押し付けるものだと批判しました。
 社会保障の財源は富裕層や大企業への応分の負担、大型開発や軍事費などの無駄にメスを入れて確保すべきだと求めました。
 復興予算の「流用問題」について、庶民増税で財源を賄いながら、大企業に減税し、復興財源をばらまくことは許されないと批判し、被災者の生活と生業の再建にこそ使うべきだと求めました。
 野田佳彦総理は公債特例法案について「今国会で速やかに法案を成立させることが政治の責任」と述べ、法人税の実効税率の引き下げについては、「企業の国際競争力の向上のため必要な措置」と開き直りました。

議事録

○佐々木憲昭君 私は、日本共産党を代表し、平成24年度における公債発行の特例に関する法律案に対し、質問します。(拍手)
 今回提出された法案は、さきの通常国会で廃案となったものでありまして、全く同じ内容であり、そのまま出し直したものであります。
 なぜこうなったのか。通常国会の最終段階で、与野党合意のないまま与党民主党が衆議院で一方的に法案採決を強行したため、参議院で審議未了、廃案となったからであります。
 政府・民主党の強引な議会運営は重大な禍根を残しました。野田総理はこの点をどのように反省しているのでしょうか。答弁を求めます。
 臨時国会が開かれると、自民、公明両党は、公債特例法案の審議を衆議院の解散日程を明示することと絡ませる挙に出ました。これに対して野田内閣は、本来地方の自主財源である地方交付税を出し渋るなど、国民生活を支える財源を人質にとる作戦に出たのであります。
 公債特例法案をこのように政局の駆け引きの道具として使うということは、あってはならないことであります。
 民自公を除く野党八党は、11月1日、公債特例法案は政局の駆け引きの道具にすることなく、手順を踏んで十分な審議を行うことを与党民主党に強く求めてきたところであります。
 もとをただすと、8月に行われた三党合意で、野田総理が自民、公明両党首に近いうちに信を問うと約束し、それと引きかえに消費税増税法案への賛成を引き出したことが発端でありました。
 民自公三党は、密室協議で消費税大増税法案を強行した、いわば増税仲間であります。その仲間同士で、解散の時期を言え、言わないと不毛な内輪もめをしているのであります。野田総理は、この事態を招いた責任をどのように認識しているのでしょうか。
 公債特例法案の内容について質問します。
 この法案は、今年度予算の財源を確保するためのものであり、予算と一体のものであります。
 野田内閣による今年度予算は、消費税増税を前提としており、さらに、年金支給額の削減、子ども手当の削減など、社会保障の連続改悪を進めるものとなっております。
 国民の多くが、生活を切り詰め、将来不安を抱えているとき、野田内閣は、2015年までに約20兆円もの新たな負担を庶民に押しつけようとしているのであります。
 国民の暮らしも、経済も、財政も破壊する道に踏み出す予算となっており、賛成できないのは当然であります。
 さらに、中止を公約した八ツ場ダムの復活を初め、東京外郭環状道路などの無駄な大型開発を次々と復活させ、重大な欠陥が指摘され完成もしていないF35を次期戦闘機として買い入れるために総額1・6兆円も費やすなど、税金の無駄遣いを広げるものとなっています。
 また、富裕層や大企業には減税の大盤振る舞いが行われております。年間1・7兆円もの新たな減税を実施した上、さらに法人税の減税を目指しているのであります。
 もともと税制法案の原案にあったささやかな富裕層への増税も、三党合意で削除されました。これが来年度税制改正で復活する方向は、今のところ見えておりません。低所得者対策も、検討するというかけ声だけで、具体的な内容が全く見えません。一体どうするつもりでしょうか。
 これらの課題を棚上げして無慈悲に消費税の大増税だけを国民に押しつけることは、絶対に許されません。
 総理は、国民に対しては負担増、大企業に対しては減税、こういうやり方を不公平だと感じないのでしょうか。
 このような予算を支えるために多額の赤字国債を発行することは、到底許されるものではありません。
 社会保障の財源は、消費税増税に頼るのでなく、証券優遇税制の廃止などによる所得税の累進性強化、大企業を優遇する不公平税制の是正、大型開発や軍事費などの歳出の無駄にメスを入れることなどによって確保すべきであります。こうしてこそ、大企業が内部にため込んだ約260兆円もの内部留保を国民に還元する道が開けるのであります。
 この際、旧態依然とした大企業中心の成長戦略、TPP参加、こういう危険な道を転換し、GDPの半分以上を占める家計消費の拡大を中心とする国民本位の経済発展に軌道を切りかえるべきではありませんか。
 この際、復興予算の流用問題についてもただしておきたい。
 復興予算に被災地の復興と関係のないものが含まれるなど、言語道断であります。
 そもそも復興予算の財源はどこから出るのか。
 来年1月から25年間にわたって所得税の付加税率が2・1%引き上げられ、住民税も増税となります。
 その一方、法人税は、ことしから4・5%という大幅な引き下げを行いました。大企業には3年間の時限的付加税を課すだけで、その後は減税が続くのであります。
 みんなで負担すると言いながら、大企業には減税、庶民には増税を押しつける仕組みとなっているのです。
 その上、大企業には、減税だけでなく、復興の名で財源をばらまいております。例えば、立地補助金の8割が大企業に渡っているのであります。しかも、これらの大企業は、大規模なリストラを進め、被災地からも雇用を奪っているではありませんか。
 また、国民の過半数が原発ゼロを求めているもとで、事もあろうに原発輸出に向けた調査等委託費を盛り込んでいることは重大です。原発被災者の賠償もまともにやらず、外国に原発を輸出するためにお金を使う、こんなことは絶対に許されることではありません。
 被災地では、地盤のかさ上げや防災集団移転を初め事業所や住宅の再建など、被災者が切実に望む対策はほとんど進んでいないのです。
 復興予算は、東日本大震災、原子力災害による被災者の生活となりわいの再建、被災地の復興以外には絶対に使ってはなりません。
 最後に、公債特例法案の内閣修正についてただしておきたい。
 民主、自民、公明の三党合意に基づき法案の内閣修正が行われましたが、これは、本年度分の基礎年金国庫負担を二分の一に引き上げるための財源を、当初案の交付国債から、つなぎ国債、すなわち年金特例国債に変えるというものであります。
 そのような修正をしても、償還財源に消費税増税分を充てることに何ら変わりはないではありませんか。答弁を求めます。
 そもそも、基礎年金の国庫負担を二分の一に引き上げるためと称して、所得税、住民税の定率減税廃止と老年者控除、公的年金等控除の見直し、廃止が行われたのではなかったでしょうか。当時の与党である自民党・公明党税制改正大綱等には、このことが明記されていたのであります。
 それを実施しておきながら、さらに消費税増税を財源に充てるというのは、基礎年金の国庫負担引き上げを口実に、国民の懐から二回も取り上げることになるではありませんか。総理は、この二重取りが当然だというのでしょうか。明確な答弁を求めます。
 今、野田内閣がなすべきことは、予算委員会を速やかに開き、国政の基本問題について争点を明らかにし、速やかに解散・総選挙を行うことであります。
 このことを強く求めて、質問を終わります。(拍手)
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 共産党佐々木議員の御質問にお答えをしてまいります。
 まず、特例公債法案の取り扱いについてのお尋ねがございました。
 さきの通常国会においては、特例公債法案の会期内の成立を期すとの国会運営上の判断により、8月下旬に衆議院において採決が行われたものと承知しておりますが、結果的に法案が廃案となったことは大変残念であったと受けとめております。
 今国会で速やかに法案を成立させることが政治の責任であると考えており、政府としても全力で取り組んでまいります。
 続いて、国会の状況に関するお尋ねがございました。
 今臨時国会の意義については、さきの共産党志位委員長との党首会談でも明確に申し上げております。そして、喫緊の課題解決の重要性に鑑みても、与野党で成案を得ることができるものと確信をしています。
 民意を問うことについての私の発言は一貫しており、いささかのぶれもありません。
 そして、さきの通常国会における民主、自民、公明による三党合意は、現在と将来の社会保障に関する国民への約束であり、大変重いものであると受けとめており、政府としても誠実に対応してまいりたいと存じます。
 また、御指摘の特例公債法案については、政局の駆け引きに使うなどということがあってはならないことは言うまでもありません。
 党首会談において、志位委員長からは、共産党は審議拒否をすることなく積極的に議論に参加する旨のお話もいただいております。
 今臨時国会のテーマに基づき、建設的な御議論をお願いしたいと考えます。
 次に、富裕層への増税と低所得者対策についてのお尋ねがございました。
 さきの通常国会においては、三党協議の結果、所得税、資産税について、具体案についてさらに議論を尽くす必要があることから、税制抜本改革法案の規定を修正したものの、見直しの方向性については三党で合意に至り、格差の是正などの観点から、所得税の最高税率の引き上げや相続税の税率構造の見直しなどについて規定しております。
 政府としては、これらに基づき、来年度税制改正においてしっかり検討してまいります。
 また、証券優遇税制についても、税制抜本改革法の規定を踏まえ、平成26年1月から確実に20%の本則税率とする方針です。
 他方、法人税については、平成23年度税制改正において実効税率を引き下げましたが、これは、我が国企業の国際競争力の向上や雇用と国内投資の拡大を図るため必要な措置と考えております。
 今回の一体改革は、社会保障の安定財源確保のため、待ったなしの課題です。所得の低い方々への配慮について、三党での議論も踏まえて検討しつつ、一体改革をしっかりと前に進めてまいります。
 次に、経済政策についてのお尋ねがございました。
 日本経済の再生に道筋をつけ、雇用と暮らしに安心感をもたらすことは、私の内閣が取り組むべき現下の最大の課題です。
 その際、企業活力は経済成長のエンジンであります。とりわけ、中小企業の活性化は特に重要であり、本年7月に閣議決定した日本再生戦略においても、中小企業の活用を大きな柱として位置づけているところです。
 また、経済の成長のためには、世界の需要を取り込むことが重要であります。FTAAPを実現するため、国益の確保を大前提として、守るべきものは守りながら、TPPと日中韓FTA、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を同時並行的に推進します。
 同時に、消費の活性化も重要であり、日本再生戦略においても、若者雇用戦略の推進や女性の活躍促進を通じた分厚い中間層の復活を目指すとともに、観光需要の喚起や消費者の安心確保といった取り組みを推し進めているところであります。
 次に、被災地の復旧復興のための施策とその財源のための税制措置についてのお尋ねがございました。
 被災地の復旧復興は内閣の最重要課題であり、被災された中小企業を支援するグループ補助金等に5千億円程度措置するなど、中小企業向けの支援策も積極的に講じております。
 こうした施策に加え、サプライチェーンの維持強化を通じて被災地の復興を進めていくため、国内立地補助金を措置してきたところであり、あわせて、各種の雇用創出事業も進めています。
 また、復旧復興のための税制措置については、個人のみならず企業にも、復興特別法人税として3年間で約2・4兆円の御負担をいただくこととしています。
 次に、復興予算における原発輸出の調査に関する御質問をいただきました。
 復興の基本方針において、政府は、被災地域の企業に経済効果が及ぶインフラシステムの輸出促進を推進することとしており、原発輸出は、関連機器等の被災地域からの調達割合が高いことから、被災地域の企業に高い経済効果が及ぶものと認識をし、平成23年度第三次補正予算に計上しています。
 また、昨年の原発事故の経験と教訓を世界と共有することにより世界の原子力安全の向上に貢献していくことは、我が国が果たすべき責務であると考えています。
 なお、原発事故の被害者に対する賠償に万全を期すことは当然のことであり、今後とも、迅速、公正、適正な賠償がなされるよう、政府として必要な取り組みを進めてまいります。
 次に、年金特例公債についてのお尋ねがございました。
 今回の法案では、さきの通常国会における野党の御提案も踏まえ、年金交付国債にかえて年金特例公債を発行することとしておりますが、消費税率引き上げ分を償還財源とする点に変わりがないことは、御指摘のとおりであります。
 年金財政の安定のためには、基礎年金の国庫負担割合を二分の一に引き上げる必要がありますが、その財源を赤字国債に依存し、将来世代に負担を先送りすることは適当ではなく、消費税率引き上げにより確保される財源を活用して対応することが必要だと考えております。
 最後に、基礎年金国庫負担と消費増税についてのお尋ねがございました。
 御指摘の定率減税廃止や年金課税見直しによる増収分は、各年度の予算編成過程において、当時の与党における議論も経て、しかるべく基礎年金国庫負担割合の引き上げに充てられ、結果として、基礎年金国庫負担割合は、従前の三分の一から、平成19年度までに36・5%まで引き上げられたものと承知をしています。
 今回の一体改革においては、消費税率の引き上げによる増収分を財源として、国庫負担割合を36・5%から二分の一に引き上げるものであり、二重取りとの御批判は当たらないものと考えております。(拍手)

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