税制(庶民増税・徴税), 財政(予算・公共事業), 医療・介護・年金 (消費税, 法人税, 大企業減税, 年金制度, 社会保障・税一体改革)
2012年05月22日 第180回 通常国会 社会保障・税特別委員会≪総理出席≫ 【679】 - 質問
消費税増税「全額社会保障へ」は“まやかし” 暮らしを直撃し、経済を破壊する
2012年5月22日、佐々木憲昭議員は、社会保障と税の一体改革特別委員会で、総括質疑に立ちました。
この質問で、消費税増税のごまかしを突き崩し、大企業に負担を求めるべきだと主張しました。
野田内閣の消費税増税押し付けのまやかしと害悪が浮き彫りになりました。
佐々木議員は、増税分13.5兆円のうち7兆円は社会保障に使われず、財政赤字の穴埋めや大企業減税に回され、「『消費税増税分の全額を社会保障財源化する』という言い分はまやかしだ」と告発。
岡田克也副総理は、赤字国債分などに「置き換わる」と認めました。
佐々木議員社会保障に回すとしている6.5兆円にも消費税増税に伴う支出増や保育制度の大改悪が含まれており、さらに別枠で年金削減や保険料アップなどの社会保障改悪があって、20兆円にのぼる「過去最大の負担増だ」と批判しました。
また、佐々木議員は、増税が及ぼす影響について、高齢者夫婦とサラリーマン世帯の実態を示し、「どうやって生活しろというのか」と追及。
岡田副総理は「高齢者には確かに厳しい」と否定できませんでした。
さらに、消費税増税で「風邪から治りかけた日本経済を肺炎にした」との野田佳彦総理大臣の過去の発言も引き、「負担増が消費を引き下げ、景気の足を引っ張る」と迫ると、野田総理は「風邪のときは(増税)しちゃいけない」と答弁しました。
佐々木議員は「国民は風邪で寝込んでいる。そんなとき、冷水をあびせるようなことはやるべきでない」と批判しました。
また、野田内閣が、消費税増税の一方で大企業向けに法人税を減税する問題を追及しました。
佐々木議員が、大企業の税負担率が中小企業より低いと迫ると、安住淳財務大臣は否定できず、「納税額が違う」などとごまかすだけでした。
佐々木議員は、266兆円にのぼる大企業の内部留保を国民に還元すべきだと述べると、安住氏は「内部留保を雇用拡大や設備投資に回すべきだとの主張には賛同できる」と答えざるをえませんでした。
佐々木議員は「大企業の力を国民のために発揮させ、消費を喚起する経済政策に転換すべきだ」と主張し、消費税増税に頼らずとも、社会保障を拡充し財政危機を打開できると強調しました。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
野田総理は、消費税率を再来年の2014年4月から8%、2015年10月から10%と二段階で引き上げる法案を提出して、これに政治生命をかけるというふうに言われております。私は、余りにもこれは異様だと思うんですけれども。
その増税額は合わせて13兆円を超えるわけです。これは、単純計算すると、赤ちゃんからお年寄りまで、国民一人当たり年に約10万円も負担がふえる、こういうことであります。四人家族で40万円、そういう計算になります。
これに対して、どの世論調査を見ましても、消費税の大増税に反対するという声が多く、5割から6割が消費税増税に反対だ、こういうふうに答えております。野田総理は、この国民の声をどのように受けとめておられますか。
○野田内閣総理大臣 各種世論調査、いろいろありますが、全般的にはまだ反対の方が多いという傾向が続いていることはまことに残念でございます。
今委員御指摘のとおり、約13兆円国民に御負担をお願いするわけでございますから、まず、御理解をいただくためには、その意義というものをしっかりお伝えしていかなければならないと思っております。その意義というのは、社会保障の安定化そして充実に充てていく、全て社会保障に使途を限っているという意味で、まず、国民の皆様に還元をされるんだ、官の肥大化にはつながらないということを明確に意義として申し上げていかなければいけないと考えています。
加えて、この一体改革については、国民の多くの声が、まずは身を切る努力を、削る努力を行政がしろ、政治がしろという声だと思います。そういうこともしっかり受けとめながら、国民の皆様の御理解が進むように努力をしていきたいと考えております。
○佐々木(憲)委員 今、社会保障に全額使う、官の肥大化には使わない、こう説明をされました。本当にそうなのかということを確認したいと思います。
まず、前提としまして、消費税の増税がない場合、国、地方合わせて、2015年の社会保障四経費、つまり年金、医療、介護、子育ての公的負担、これは幾らになると想定していますか。
○小宮山厚生労働大臣 仮に消費税率の引き上げが行えない場合、財源を確保できないため、社会保障の充実ですとか、それから基礎年金国庫負担二分の一の恒久化の財源が実現できません。消費税引き上げに伴う社会保障支出の増も発生しないということから、機械的に計算をすれば、2015年度の国、地方を合わせた社会保障四経費の規模は34・8兆円程度となると見込んでいます。
○佐々木(憲)委員 34・8兆円。
我々は消費税増税に反対ですけれども、仮に5%増税される、そうしますと、政府の計算では2015年に新たに13・5兆円の税収が入ります。全額社会保障のために使う、こういうわけですから、増税前の社会保障四経費34・8兆円、これに消費税増税分13・5兆円が全額上乗せされる。そうすると、足し算をすると、社会保障四経費の総額は合計48・3兆円、こういうことになると思いますが、そういう理解でよろしいですか。
○小宮山厚生労働大臣 消費税率の引き上げを行う場合について、機械的に試算をすれば、消費税率を5%引き上げたときの国、地方を合わせた社会保障四経費は41・3兆円程度と見込まれます。
消費税率の引き上げを行う場合、消費税率の引き上げを行えない場合の社会保障四経費34・8兆円程度と比べまして、一つは、年金国庫負担二分の一の引き上げ分2・9兆円程度、また、社会保障の充実分として挙げています2・7兆円程度、さらに、消費税の引き上げに伴う社会保障支出の増0・8兆円程度、合計6・5兆円程度規模が大きくなると見込まれます。
○佐々木(憲)委員 これはおかしいと思うんです。つまり、消費税増税をしない場合は34・8兆円になる、増税したら、それに13・5兆円プラスになるわけですから48・3兆円になるかと思っていましたら、どうも今の答弁ですと41・3兆円だと。この差額7兆円というのは、一体どこに消えるんですか。
○岡田社会保障・税一体改革担当大臣 委員の前提は、今まさしく赤字国債で社会保障を賄っている、それを前提にして変えずにということで言われていると思います。そういった、いつまでも赤字国債で社会保障費を賄うということは続けられませんので、その部分の置きかわりというものもある。それから、自然増でふえていく、自然増といいますか、毎年毎年、社会保障費がふえていく部分もある。そういうことで計算されるわけでございます。
○佐々木(憲)委員 要するに、置きかわると今言いましたね。
これは、民間研究機関、例えばみずほ総合研究所、みずほ政策インサイト、こういうレポートがありますけれども、これを見ますと、こう書いているんですよ。お金には色がないため、消費税収が社会保障財源に充てられることでこれまで社会保障費に充てられてきた他の税収を社会保障以外の使途に振り向けることができる、消費税の目的税化は消費税率引き上げを容易にするレトリックにすぎない、こういうふうに書いているわけです。
要するに、社会保障に全額使うと言えば国民が受け入れやすくなる、そういうことでそういう言葉を使っているということなんですね。
○岡田社会保障・税一体改革担当大臣 もう既に今でもというか、増税をした後でも、社会保障四経費というのは消費税収を上回っておりますので、そういう中で、委員の御主張は、ですから、現在の赤字国債をずっと出し続けろということであれば、それは論理的につじつまが合いますが、そういうことではないと思います。
○佐々木(憲)委員 私は、赤字国債を出し続けろなんて言っているんじゃないんです。ほかの財源があると言っているんですよ。
そこで、ちょっとパネルを出してみますが、今あなた方が説明したのはこういうことなんですよ。
2015年の国、地方を合わせた社会保障四経費は、増税前が、左側にありますね、34・8兆円。消費税収は、増税分13・5兆円ですね。これを全部上乗せすると48・3兆円になるわけです。ところが、今、答弁で明らかなように、41・3兆円にしかならない。7兆円は、結局、ここから抜けていって、置きかわって、他の予算に回されるということになるわけです。
お金に色がついていませんから、この7兆円は、結局、今、岡田さんが言われた財政赤字の穴埋めとか大企業への法人税減税の一部になる、さらに、八ツ場ダムなど無駄な公共事業の復活の財源になる、米軍への思いやり予算の一部になる、こういうことになるんじゃありませんか。
○岡田社会保障・税一体改革担当大臣 委員今言われた、米軍思いやり予算とか無駄な公共事業の財源になるんじゃないか。公共事業予算をどう組むか、あるいは思いやり予算をどう組むかというのは、それはそれでそのときの政府の判断ですが、ここで7兆円あるからその部分をふやす、そういう発想に立つわけではございません。
○佐々木(憲)委員 結局、13・5兆円を国民からいわば増税で受け取って、しかし、そのうち、全部使うんじゃありませんよと、今の答弁は。結局、7兆円はほかの財源に回るんですと。その財源は、結局予算の中で使われるわけだから、赤字国債の穴埋め、法人税減税、米軍思いやり予算、無駄な公共事業、こういうところに回っていくということを今、事実上お答えになったわけであります。
社会保障に6・5兆円回ると先ほど言いましたね。さて、その6・5兆円は、これもまた眉唾で、内訳を見ますと、消費税引き上げに伴う社会保障支出の増、これは、消費税増税をすると公費負担がそれだけふえるから、0・8兆円。それから、年金の国庫負担二分の一、これは2・9兆円。これはまさに置きかえなんです、ここに入れること自体、私はおかしいと思いますけれども。拡充の2・7兆円。この内容もいろいろな問題点があるわけですけれども、詳しくは言いませんが、私はこれが今のからくりだと。
しかも、これで済まないんですよ。これとは別枠で社会保障の改悪がある、こう言わざるを得ない。
これから2015年までに国民はどれだけ負担しなけりゃならぬのか。このパネルを見ていただきたいんですけれども、二度の消費税増税で13・5兆円、さらに、既に決められた年金の削減、年金、医療、介護などの保険料引き上げによる負担増、復興増税、子ども手当の削減、こういうものがあります。家計から見ますと、負担増も給付減もマイナスに作用するわけであります。合わせると20兆円、こういうことになります。こうなりますね。
○岡田社会保障・税一体改革担当大臣 議論の根本的な立て方が多分違うと思うんですが、例えば年金の減額、これは、物価が下がった分下がっていない、それを下げるということです。
もしこれをやらなければ何が起こるかといえば、将来世代の年金のやりくりがつかなくなるということです。
ですから、今はそれでいいかもしれませんが、やはり次の世代の分をある意味では先食いしているという状況を正さなければいけないということで、これは、今がよければ全てよしというなら別ですが、やはり将来世代のことも考えてやるということであれば、私は委員のような御指摘にはならないと思います。
○佐々木(憲)委員 今の答弁は、この数字は否定できないわけですよ。要するに、今はその説明をしただけなんだ。
物価が下がった分下げられていないと言うけれども、生活必需品の物価というのは下がっていないんですよ、実際。だからこそ、高齢者の生活を支えようということで年金を下げないと決定したにもかかわらず、それをどんどんこうやって下げていくというこのやり方自体が間違っているというふうに私は思います。
これは過去最大の負担増であります。こういうふうになっていきますと、家計負担はどうなるか。既に、高齢者の家計も現役のサラリーマンの家計も大変な火の車の状態です。これ以上負担がふえるのはとても耐えられないという声が寄せられております。
介護保険料について言いますと、3年ごとに改定されますけれども、ことしも各地で大幅に引き上げられて、問題になっております。
例えば名古屋市の場合、年金だけで暮らしている年収280万円の高齢者夫婦世帯の場合、前の年に比べて年額3万5千円近く、31%もこの負担が上がるわけです。3年前と比べると4万3千円余りの値上がりなんですね。これは本当に大変な負担でありまして、私、ここに通知書をお借りしてきたんですが、これは本当に、見ただけでも大変な負担だなというのがよくわかります。
受け取った市民から、これではもう払えない、何かの間違いではないかと苦情、問い合わせが殺到しております。その数は10日間で4千件を超えております。それだけじゃありません。市の窓口にも相談する人たちが殺到しておりまして、その6割が、もう私はこれは納付できません、こういう訴えなんです。
厚労大臣に聞きますけれども、介護保険料は何で今こんなに値上がりするんですか。
○小宮山厚生労働大臣 介護保険につきましては、サービスを充実させていくことと、それから、高齢者の割合がどんどんふえていく中で、どうしても上がらざるを得ない部分がございます。それについては、国が負担をする、現役世代が負担をする、あるいは高齢当事者に負担をしていただくしかないわけなので。
介護保険は、保険者である市町村が3年を一期として計画を策定して、保険料を設定して運営をしています。
平成24年度からは第五期の介護保険事業計画がスタートをしていまして、高齢化の進行に伴いまして介護サービスの利用者が増加をしています。また、地域包括ケアを実現するため、居宅、居住系のサービスの充実によって増加する費用、これを賄うために保険料の引き上げが必要となりました。これは、申し上げているように、在宅医療、在宅介護をこれから充実していこうとしています。
第四期の基準額が4160円だったのに対しまして、第五期の基準額が4972円と、これが高くなっていることは事実でございまして、昨年の介護保険法改正によりまして、財政安定化基金、これを取り崩して保険料引き上げ幅を圧縮する、そういう見直しも行ってきているところです。
○佐々木(憲)委員 サービスの充実とか言っていますけれども、実際にはサービスのカットが多いんですよ。実際に進んでいるんです。
しかも、この背景にあるのは、国も負担していると言いますけれども、国の負担は減らされているんですよ。介護保険制度が開始される前は、国は50%を負担しておりました。それが今は国は25%なんだけれども、そのうちの5%は調整資金という形で、これが地域によって随分違ってくるということであります。
だから、国の負担をもう少しもとに戻すとかしないと、ずっと減らし続けているからこんなことになるわけで、その反面で、もちろん対象者はふえる。したがって、もう自治体はパンク状態で、それを全部とは言わないけれども、一部自治体が負担しても、さらに値上げという形で高齢者にこういう形で押しつける。だから、もとをただせば国に責任があるということなんですよ。これは私は直していただきたい。
こういうときに消費税増税が直撃したら生活は成り立たない。
これもパネルを見ていただきたい。これは総務省の家計調査報告をもとに作成したものであります。夫婦高齢者世帯の場合、平均で見ますと、世帯主75歳前後で年収270万円程度であります。大きな特徴は、この11年で公的年金給付が大幅に減少しているということです。実収入は月額約2万1千円減少しております。また、定率減税の廃止、老齢者控除の廃止、公的年金等控除の縮小、介護保険料の引き上げ、こういうことで新たな負担、月額約9千円増加しております。生活はもうぎりぎりの状態であります。2000年当時は収支とんとん、大体見てわかりますけれども、今は月3万5千円の赤字になっているんです。この分はもう貯蓄を取り崩して、不安な生活を送りながら何とか耐え忍んでいる、こういう状況です。
こんな状態なのに、消費税が引き上げられたら、月に8千円、年に10万円以上も支出がふえるわけです。さらに、年金が減らされる、医療の窓口負担がふえる、介護利用料もふえる。これは平均してもこういう状況ですから、もっと深刻な世帯が出てくるわけです。
総理、一体これは、どうやってこういう高齢者世帯は生活をしろということなんでしょうか。総理にお聞きしております。
○岡田社会保障・税一体改革担当大臣 確かに、高齢者世帯の状況は非常に厳しいというのは、委員の御指摘もよくわかります。
ただ、一方で、少子高齢化が進んでいく中で、我々は今まで国債に頼って、借金に頼っていろいろなことをやってきた。そういったことはいつまでも続かない中で、やはり少子高齢化の負担というものはみんなで分かち合っていかなければいけないということだと思います。
それから、委員御指摘の中でもう一点、消費税を上げたときに物価が上がれば、その分は年金はスライドして上げられるということは申し上げておきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 年金の上げられる部分なんというのは極めて微々たるもので、カットされる方が多いんです。
これは高齢者を今出しましたけれども、サラリーマンも大変なんですよ。
パネルを見ていただきたいんですけれども、四人家族で子供二人、40代の夫が働いている平均世帯の場合です。この11年で勤め先収入が何と4万円も減少している、これは平均でですよ。他方で、公的な負担は、定率減税の廃止、配偶者特別控除の廃止、年金、健保、介護、この保険料の引き上げなどで月に約1万4千円、こういう公的負担が増加しております。そのために、可処分所得は月に約4万3千円減少、消費が月に5万円減っております。こうなると、預金したり、保険に出すお金も減らさざるを得ない。これは大変な事態であります。
今後、消費税率引き上げ、子ども手当の減少、年少扶養控除の廃止、厚生年金の保険料の増加、復興増税、こういうものが加わりますから、さらに可処分所得は落ち込んでいく。大体、実収入に占める消費税と所得税、社会保険料、この公的負担率は、2000年当時は18・5%だったんです。それが2011年に21・5%にふえ、さらに消費税の増税で負担率は23・5%に上昇する。つまり、収入の四分の一が税と社会保険料の負担で消えてしまうんです。これでは貯蓄に回るゆとりがない。本当に大変だと思うんです。
総理、このサラリーマンの家計をどう思いますか。
○野田内閣総理大臣 数字を拝見しますと、確かに、税、保険料の負担割合が2000年と比較して上昇をしています。実収入がずっと落ち込んでいるというのは、これは多分、ずっとデフレの傾向が続いているということが要因だと思います。ということで、実収入が上がるための努力というのはやはりデフレ克服と経済の活性化だというふうに思いますので、そういう取り組みもしていかなければいけないとこの数字を見てまず思ったこと。
それからもう一つ、この間、社会保障給付費も増加をしております。これは、政権交代によって、控除から手当へという観点から家計に対する支援も行いつつありますし、今、消費税と絡んでの御指摘ございましたけれども、消費税はまさにこれは社会保障として還元をされて、特に逆進性対策等々を講ずることによって、いろいろな弊害が生じないようなきめ細かな対策をぜひしていきたいと考えております。
○佐々木(憲)委員 口でそんなことをいろいろ言っても、現実はなかなかそうはいかないんですよ。
これからどうなるかといいますと、大和総研のレポートがここにありますけれども、こういうものを見ましても、復興増税、消費税増税というものを柱とする一体改革によって家計の負担は今後どうなるかというのを試算しております。それを見ますと、全ての世帯で負担がふえて、これは五類型を想定した試算ですけれども、全ての世帯で2011年と比べて2015年の実質可処分所得は、マイナス4・78%、それから多いものでマイナス9・23%という結果になっております。
何か改善するかのようなことを口で言うけれども、実際に、先ほど20兆負担がありましたね、家計にとってはマイナスなんです。結果的には消費が減っていく、消費全体を引き下げる、そういう方向に作用するという認識は総理にないんでしょうか。
○岡田社会保障・税一体改革担当大臣 これは、ですから、借金でやっている、それが、先ほど来の議論で消費税というものに置きかわるということになれば、いつまでも借金を続けられないということが将来の不安になって現在の消費に影響を及ぼしているということがございますので、将来的な見通しがつくということは、私は、消費支出につながってくる、そういった一つの原因になるというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 将来的な見通しなんかつきませんよ、こんな状態で。負担だけがどんどんふえていくんですから。不安が増してますます財布のひもがかたくなり、将来に備えてこつこつと貯蓄するという方向に行かざるを得ないんですよ。でも、その資金がないんです。そういう認識がほとんどないというのは、本当に私はおかしいと思うんですね。
家計消費が落ち込むと、景気の足を引っ張るだけではありません。今度、消費税増税で景気がどうなるか。これはどのように判断されていますか、総理。
○野田内閣総理大臣 消費税の引き上げは、負担面だけ見れば、それは委員の御指摘のような部分もなくはないと思います。ただ、一方で、消費税は、今回、全て社会保障に特定して使途を決めているわけでございまして、将来の不安をなくしていくことによって、先ほど副総理もお話ございましたけれども、不安をなくすことによって財布のひもが緩んでいく、消費が喚起をされる、経済が活性化されるという側面もあると思います。
加えて、今、欧米等で起こっていることは、財政が経済の足を引っ張るということもありますので、この改革をやらなかったときの経済の影響なども考えると、総合的に考えて、私は、国民の御理解を得るべく努力をすることが、これは基本的には正しい道だというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 これだけ負担をふやしておいて、何か将来が安心になるかのようなことを言いますけれども、それはもう全く逆であります。
社会保障に回すと言いますが、先ほど見たでしょう、回らないんですよ、全部が。将来不安をなくすと言うけれども、将来不安はますます募るばかりでありまして、これは総理、余りにも楽観的過ぎると思うんです。
まず、実質所得が恒常的に奪われる、こういう問題が考慮されておりません。民間の調査機関、また紹介いたしますけれども、消費税増税で所得が恒常的に奪われるという点を指摘している機関が多いんです。
例えば、日興証券の増税影響試算、消費税増税の経済産業へのインパクト、ことし2月に発表されましたレポートですけれども、二回の消費税引き上げで、2014年から経済成長はマイナスに落ち込んだまま戻らない、こういう指摘があります。2013年度は駆け込み需要が発生するが、2014年、2015年と反動減が発生し、その後は消費税引き上げなどで恒常所得が減り、それがその後も続く、こうしているわけです。これは現実味がありませんか。
○安住財務大臣 一つだけ反論させていただきますと、先生の御指摘は、確かにこれは、もしかしたら、生活をしている方々から見て、一定の基準だとこうなる可能性がある、だから、大負担になるからけしからぬという御指摘ですが、一方で、マクロで見ますと、我が国の国民負担率はどうなのかということをOECD等の統計で見れば、例えば、先生、スウェーデンは62%ですよね、国民負担率。フランスで60・1、ドイツで53・2、イギリスで45・8。我が国の国民負担率は、これは38・3なんですね。
ですから、考え方が違うかもしれませんけれども、受益と負担の関係でいうと、私は、日本の国での今までの社会保障の給付のサービスの維持をするためには、国民の皆さんに広く薄く御負担をいただいても、国民負担率というマクロの点から見れば、決して御指摘のような、個々にはそういう御指摘があるかもしれませんけれども、全体としては、やはりそれは御負担を少しいただかないと、では借金でこのままずっとやっていくのかということにはならないわけですから。
あと、もう一方で、政策的にどうしたって、では防衛費を削ればいいじゃないかとか、いろいろな御指摘がありますけれども、そこはやはり見解の相違ではないかなと思っております。
○佐々木(憲)委員 それは反論になっておりません。なぜかというと、ヨーロッパの負担率、一定水準ありますけれども、還元される部分を見ますと、相当大きいわけです。それからもう一つは、この負担率をいきなり上げるという国はどこにありますか。日本ほど上げる国はありませんよ。
しかし、現実に日本の家計というのは、先ほど、政府の統計ですよ、これだけ大変な事態になっているんだから。その上にいきなり20兆円も増税する、20兆円も負担を増す、こんなことをしたら日本経済が大変なことになるというのはもうおわかりだと思うんですけれども、わかっていて何か無理やりそんなわけのわからぬ答弁をしても、これはだめです。
総理、ちょっと聞きますけれども、こういう言葉は知っていますか。うそで顔を塗り固めている方が総理大臣だったころ、消費税を上げ、医療費を引き上げ、定率減税を引き下げて、風邪から治りかけていた日本経済を肺炎にしてしまいました、同じことをまた繰り返そうとしているんでしょうか。これは誰の発言ですか。
○野田内閣総理大臣 多分、私なんでしょう。
○佐々木(憲)委員 そのとおり。総理が、これは7年前に、平成17年1月25日、衆議院本会議で演説をされた言葉です。風邪から治りかけていた日本経済を肺炎にしてしまう、そういう批判を当時されていたんです。
冷え込んだ家計から20兆円も購買力を奪えば、あの当時は、1997年の消費税増税で、医療の改悪も合わせて9兆円負担増だったんです。9兆円負担増でも大変な事態だったんです。いろいろな要因、ほかにあるといいますけれども、この9兆円負担増が引き金を引いたことも明らかです。
今は20兆円というわけですから、これは当時の倍以上の大きな衝撃を与えるわけであります。これは、野田総理が当時批判していたことと全く同じことを繰り返そうとしている、そういうことになるんじゃありませんか。
○野田内閣総理大臣 その教訓は、風邪を引いているときにはやっちゃいけないということだと思います。
平成7年の当時というのは、もちろん消費税の影響もあったと思いますけれども、一連の国内における金融システムに対する不安の問題とかアジア通貨危機とか等々、総合的にいろいろかぶさって、景気は落ち込んでいきました。肺炎になりました。
肺炎になりそうなとき、すなわち今回は、だから法案の中でも経済の好転という文章を入れながら、そして実質2%、名目3%、向こう10年で、平均ですけれども、これを実現することにも努力をするということなどを勘案しながら実現をするということでございますので、当時の認識は、私は、肺炎になりそうなとき、風邪を引いているときにやっちゃいけないということが教訓だというふうには思っております。
○佐々木(憲)委員 今、国民は風邪を引いて寝込んでいるんですよ。そういうときに冷水を浴びせるようなこういう負担をしたら、どんな結果になるか。あの当時よりもっとひどい結果になるということを私は言っているわけです。
一方で、こういうふうに赤字の家計を直撃する大負担を負わせておきながら、私、非常に不思議だと思うのは、大企業に対しては法人税率を下げます、こういうことですね。
昨年秋、法人税を国税分で30%から25・5%に下げました。当面3年間は、減税額と同じ額の復興特別法人税、これが課税されますね。しかし、2015年には法人税は、それがなくなりますので、実質減税です。2015年に消費税は大増税、一方で大企業向けの法人税は減税、これは余りにも不公平なんじゃありませんか。
○安住財務大臣 国際的にどう考えるかというのは、先生、やはりもう一つの視点としてないと。経済主体の中の企業というのは、やはり非常に大きなウエートを占めております。
何となく、先生のお話をいつも聞かせていただくと、何か大資本はけしからぬみたいなお話ですけれども、日本の株式会社は、ある種、社長から一般社員までみんなサラリーマンの集まりなんですね。そういう中で、やはり企業が国際競争で今大変苦しんでおります。そういう中で雇用を維持しながら、ある意味で終身雇用制度もほとんどの企業は守っていながら、社会保障制度の負担なんかをしてくれていますから、私は、ある意味、企業が元気でなきゃだめだと思います。
これを比較しないで言ってもだめなんだと思うんですね。韓国とか、日本の企業がさらされている世界の競争の中でいえば、今、法人税については、その前段階ではやはり高い状況にあるということは現実ですから、日本の企業が国際競争力を維持するためにも、これは私はやむを得ない措置だったと思っております。
○佐々木(憲)委員 それは全く違うと思いますね。
大体、後でも言いますが、日本の大企業の税負担は軽いんです。今、国際競争力と言いますけれども、日本の企業が税金が高いからといって外国に出ていっているんだと盛んに経団連なんかは言いますけれども、内閣府の企業行動に関するアンケート調査、これによりますと、海外に出ていく理由として税金が高いという理由は、大きな企業はゼロですよ。しかも、外国から日本に進出する阻害要因として挙げているのは、税金というのは17・5%、順位からいうと十番目、それから税制上の特恵がないというのは12番目、主な要因ではありません。
何か税金を下げないと競争力がつかないとか、国際的な対応ができないかのように言いますけれども、それは全然違います。
日本の大企業、これは大事ですよ。なぜかというと、雇用をちゃんと守っていく上でも。その大企業が何で投資をしないか。理由はわかりますか。国内で市場が活性化していないからですよ。国内で物が売れないんですよ。何で売れないか。政府が国民の消費を冷やすことをやっているからだ。国民の消費が冷えているのに、商品がどんどん売れるはずがありません。したがって、企業は当然設備投資を縮小する。そっちの方を、つまり景気対策を国民本位でやるということが優先されなきゃならぬ。そっちをほっておいて、企業に減税したら何かうまくいくかのような、そんなことはありません。
そもそも、この税金という問題で少し言っておきたいのは、税金は一体何のためにあるのか、税金とは何か、こういう問題を考える必要があると思うんです。
日本の場合、法人税、所得税、消費税、この三つが大きな比率を占めておりますが、法人税と所得税、この場合は、企業、個人の所得に課税される税金です。法人税の場合は事業の利益に課税されますから、赤字なら払わなくてもいい。所得税は個人の所得に対して課税されます。ただ、課税最低限以下の低所得者は払わなくてもよろしい。
しかし、消費税はどうかといいますと、これは根本的に性格が違うんです。消費税は買い物をするたびに課税される。したがって、所得が全くなくても、消費する限り、生きている限り負担しなけりゃならぬ、そういう税金でしょう。
○安住財務大臣 まず最初の点ですけれども、やはり先生、今、日本の生産拠点は、企業から見ると、残念ながら人件費なんかは世界の生産拠点よりも高いんですよね。ですから、それは税金が直接的な原因ではないかもしれませんが、人件費等を含めて大変なコスト高になるので、その点を法人税等でディスカウントすれば国内で踏みとどまる企業がかなりいることは事実だと私は思います。
ですから、決してそれは無駄ではないというふうに私は思っております。違いますか。
○佐々木(憲)委員 違います。
あなたの言うことを聞いていると、財界の言っていることと全く同じなんです。日本経団連が主張しているのを読んでいるようなものだ。一体誰のために政治をやっているんですか。
税金というのは、所得の少ない人、税金を納めることのできない人から取っちゃいけません。ちゃんとお金のあるところから納めてもらうのが税金ですよ。担税力、つまり税を負担する力が認められている場合に課税をする、これが基本的なあり方です。
所得のない人が税金を納めようとすると、生活を犠牲にせざるを得ないんですよ。収入に占める消費税の負担率は、低所得者ほどぐっと重くなる逆進性の問題があります。もともと、この消費税そのものも暮らしを壊す不公平な税制だ、そういう認識はないんですか。
○安住財務大臣 ですから、お金を持っている人から多く取って、お金のない方からは取らないようにするというのは、累進性があるということからいえば、日本の所得税はそうなっています。
ですから、それは垂直的な税で、今はちょっとフラット化していますから……(発言する者あり)ちょっと、外のやじがうるさい。
○中野委員長 傍聴席からの発言はお控え願います。
○安住財務大臣 だから、私が申し上げたいのは、消費税は、先生が御指摘のようなことはあるんです。なぜかというと、水平的税だからです。ある意味で、広く薄く全世代から同じ率で、消費をした分について負担をお願いするというのが消費税です。つまり、全世代型にこれをお願いして、税のバランスを、そういう意味では、所得税や法人税といわば水平的な消費税というもののバランスの中で国の税収というものを考えていくということではないかと思います。
ちなみに、先生、スウェーデンやフランスやドイツのことで申し上げれば、日本の倍以上の消費税をそうやっていただいているわけですから、そういうことがまた、お預かりしたものは年金、医療、介護、少子化に回るというふうに私どもは目的税化もしているわけですからね。これが例えば、何か財界のために使うとか、官の肥大化のために使うとか、そういうことを私どもは申し上げているんじゃないんです。
そういう点からいえば、この水平的な税の御負担は、ですから、逆進性の対策というのもそれはしっかりやらせていただきますから、少しこの税を負担していただかないと、やはり若い人、所得を払っている人の、若い人にしわ寄せがこれ以上行ったのでは、世の中なかなか持ちこたえられなくなるのではないかということでこういう税を提案しているわけです。
○佐々木(憲)委員 バランスと言うけれども、こんなバランスを欠いたやり方はありませんよ。だって、低所得者、所得のない人にずっしり重くかかるような税金をぼんと上げて、何で、もうかっている大企業に減税をするんですか。これは一番バランスを欠いているやり方でしょう。
法人税の話でお聞きします。法人税は本当に高いんでしょうか。表面的な税率を見ますと、日本の法人税率は、地方税を含めて実質税率は約40%というふうに言われています。高いかのように見えますけれども、しかし、問題は実際の負担率がどうなっているかということです。
日本の大企業の税負担にはさまざまな優遇がありまして、実際の税負担率は軽くなっております。
例えば一つは、税額控除という仕組みがある。例えば所得税額控除というのがありますけれども、これは、企業が受け取った配当などの収入について、所得税が課税されていた場合にその額を法人税額から控除できる、こういう仕組みです。それから、外国税額控除というのがありますね。企業や海外子会社が外国で法人税に相当する税金を納めた場合、その税額を法人税額から控除できる、こういう仕組み。これは多国籍企業になればなるほど利用できる。それから、試験研究費の税額控除というのがありまして、研究費総額の8%から10%の税額控除が認められる、こういう仕組みです。
安住大臣、これらの税額控除というのは中小企業も利用できるというふうにされてはいますけれども、しかし、実際には多くが大企業によって利用されております。そのため、税負担率を引き下げる、そういう要因になっていると思いますが、間違いありませんね。
○安住国務大臣 所得税額控除は、利子等に課された源泉所得税を法人税額から控除するもの、それから、外国税額控除も今先生おっしゃっているようなことでございますが、これは二重課税対策で、そういう意味での調整措置でございますから、ある意味で大企業優遇ではないと私は思いますし、研究開発というのはやはり日本の将来の発展の種を企業につくってもらうということが趣旨でありますので、そういう点では私はいずれも必要な措置だと思っています。
なお、所得の低い人から税金を取るべきではないのではないかと。それは先生、所得税はそういうふうになっているじゃないですか。住民税だって非課税になっているわけですから。(佐々木(憲)委員「消費税のことを言っているんだ」と呼ぶ)いや、ですから、逆に言えば、消費をすることにはある程度の負担をお願いすることで広く薄く、社会のセーフティーネットを維持するということはあるんですから、所得税なんかではきちっとそこは対応しているということだけは、私、申し添えさせていただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 所得税は今まで最高税率をどんどん下げてきたんですよ、今度はちょっと上げたけれども。だけれども、それは極めて部分的なものであって、所得の再分配機能を低下させてきたというのは事実であります。できているんですよ、やっているんですよなんて、そんなことはありません、言っておきますけれども。
それからもう一つは、企業の申告所得を小さくする仕組みがある。
例えば受取配当益金不算入という仕組みがありまして、これは、ほかの企業から受け取った株式配当は収益に計上されるけれども法人税の計算では収益に入れない、こういうものであります。それから、外国子会社配当益金不算入、これは、一定の要件を満たす外国子会社から受け取った配当の95%までは益金に算入しなくてもよい、こういう仕組みです。また、特別償却の仕組みは、大きく償却された分、所得が圧縮される仕組みになっております。連結納税というのもあって、これは、グループの企業の中に赤字企業があるとほかの企業の黒字を減らすことができて税が軽くなる。こういう仕組みは巨大な企業グループしか利用できません。
これらの仕組みは所得を小さくする作用を持っている、これは事実ですよね。
○安住財務大臣 いずれも、税負担を軽くするためにやっているのではございません……(佐々木(憲)委員「軽くなっている」と呼ぶ)結果的には軽くなるかもしれませんが、実は、二重課税を防ぐという点から今まで損金の不算入制度も行っているし、それから、特別償却の方なんかもそうなんですね。それはまあ、小さくする効果はあるかもしれません。
それから、連結納税も、これは中立的税制ということでやらせていただいていますから、私は、それをもって大企業優先だという言葉は当たらないと思います。
○佐々木(憲)委員 私は全然見解が違います。
こういうものを利用できるのは大企業だけでありまして、中小企業は利用できないから、したがって、大企業になればなるほど税が軽くなる。
ちょっとパネルを出しますからね。これを見て明らかなんですけれども、企業規模別に示しますと、2010年はこういうことになるんです。パネルを見ていただきたいんですが、中小企業の税負担は25%前後でございます。ところが、資本金100億円以上の大企業になりますと20%程度の負担、連結法人に至っては10%以下であります。資本金1億円から5億円で負担率がピークになって、それを過ぎて、企業規模が大きくなればなるほど負担率が低くなっているんですよ。これは国税庁の会社標本調査から作成したものです。
総理、大企業になればなるほど税金の負担が軽くなる、この実態についてはどう思いますか。総理。
○安住財務大臣 これは、比率は低くなっているかもしれませんけれども、納税の額が違いますから、そこだけはちょっとぜひ付言しておきますから。
○佐々木(憲)委員 そんな答弁は答弁になっておりません。大体、率をお話ししているのに何で額の話にすりかえるんですか。これは全然問題にならないですよ。
この事実は財務省の資料からつくったんですよ。私が操作したわけじゃないんです。
もう一つのパネルを出しますと、これは1996年以降の15年間の推移を示したものでございます。法人税の基本税率は37・5%でしたが、34・5%になり、さらに30%に現在下がっております。これをまた下げようというわけですけれども。この黒い線が中小企業の実質負担率です。赤い線が大企業の負担率です。
これを見て大変驚きますのは、大企業の実質税負担率は、実に、この基本税率よりも非常に低いだけではなくて、一部軽減税率が適用されている中小企業よりもさらに低いということであります。しかも、この10年間、法定税率が横ばいなのに、次々と優遇措置がとられてきたために、大企業の実質税負担率は下がり続けている、こういうことです。
安住大臣、これは事実ですね。
○安住財務大臣 いや、ですから、この数字自体はそうですが、ただ、利益を生んでいる企業の課税であるということと……(佐々木(憲)委員「みんなそうだよ」と呼ぶ)ええ。ですから、そういう点では、さまざまなインセンティブをつけているのは、世界的にやはり同じような傾向を示しているんですよ。ですから、日本の企業が、決して税金が軽いというふうなことは当たらないと私は思います。
○佐々木(憲)委員 利益を生んでいる企業が負担している税の負担率が、大企業ほど軽いと言っているんですよ。全然答弁が、何かあさっての方に向いて答弁しているような感じですよ。
こういう状況で、これは事実ですから。負担能力のある大企業の税金が軽いというのは大体おかしいんです。こんなに大企業の税負担率が低いのに、法人税をさらに引き下げる、そんな必要があるんでしょうか。
私は、もう一枚パネルを出しておきたいんですが、どうも、日本の大企業の内部留保、これが非常にこの間ふえております。この内部留保は、80年来、大体80年は36兆円、これは企業の内部にため込まれた利益でございます。この利益は、こういうふうになっているんです。資本金10億円以上なんですけれども、企業の内部でため込まれた利益剰余金という形、それから資本剰余金、引当金の合計です。右肩上がりで、景気が後退しようが、大震災があろうが、ふえ続けております。30年前は36兆円だった。20年前が113兆円あって、10年前が172兆円、そして今は266兆円と、大変な規模に積み上がっております。
日銀の白川総裁は、2010年9月8日、財務金融委員会で私の質問にこう答えています。「特に大企業については、手元資金は今は非常に潤沢でございます。これは各種の統計でももちろん確認できますし、私どもが企業の経営者と会いますと、手元に資金は潤沢にあります、問題はこの資金を使う場所がなかなかないんですということを、金融機関の経営者からも企業経営者からも、これはしょっちゅうお聞きします。」このように答えました。
野田総理大臣、このグラフを見て、何でこんなに内部留保がたまるか、どう思いますか。
○安住財務大臣 内部留保は、御指摘のとおり、増加傾向にあるんです。ただ、これは不良債権の処理をした後、日本の企業というのは、そういう意味では、バランスシートの調整に大変努めてきた結果だというふうに私は思っています。
ただ、私、先生に賛同できるのは、やはり、さらに雇用を拡大したり設備投資をしたりという方にこれを回すべきだというふうに先生も思っていらっしゃるんだろうなということはわかります。
統計を見ますと、資本金10億以上の企業は今大体9・9%、1億から10億の企業は1・3%ぐらいが設備投資を行っているんですね。そういう点では、もっと国内の雇用の確保に努めて、さらに投資を活発にしていただくことが、いわゆるデフレからの脱却等にも役立つし、きちっとした雇用の拡大にもつながりますので、だから、内部留保が悪いわけではないと私は思うので、そういう意味では、国内へのそうした投資に回していただくということが必要だと思っています。
○佐々木(憲)委員 少し私の意見と近いところまで答弁が参りました。
これだけ内部留保がたまってくるのは理由があるんですよ。つまり、賃金を引き下げて、非正規雇用をふやして、そして、その雇用関係でコストダウンをして、その結果、たまっている。それから、下請中小企業に対しては単価を買いたたいて、そして利益をふやしてきた。それから、先ほど述べたような大企業に対するさまざまな優遇措置がとられてきた。その結果、たまっているんですよ。
だから、当然、こういうものは労働者に還元する、それから市場の拡大に対応して国内への投資をふやす、そういう方向に切りかえるというのが本来の経済政策の基本でなきゃならぬ。ところが、今やっているのは、全く逆の方向に向いていると言わざるを得ないんです。
例えば、減税をしますね。今この状態で減税するとどうなると思いますか。帝国データバンクのアンケート調査によりますと、法人税率の引き下げでどのようにこれを使いますか、このアンケート調査で一番多かったのは、内部留保の積み増しに充てるという回答なんですよ。二番目は、借入金の返済に充てます、こういう回答が多いんです。ですから、やはり今この法人税をこういうときに下げるという、これは選択としては違うと思います。
総理、これはやはり、国内の雇用の拡大、それから下請単価の引き上げ、そして内需を拡大していくという方向にこういう内部留保は使うべきじゃないか。どう思いますか。
○野田内閣総理大臣 今回というか平成23年度税制改正のときの法人税の実効税率の引き下げというのは、思いは投資と雇用に回してほしいということでございます。そのことは経済団体等にもこの引き下げを実行する際には強く要請をさせていただいておりますし、基本的にはその方向で経済団体も回答としては了としていたというふうに理解をしております。
○佐々木(憲)委員 雇用と投資に回してほしいというのは、2年ほど前に政府が経団連に要望した。経団連は、それもいいことだというようなことを言ったと思います。ところが、現実にやっているのは、何も具体化されていないじゃないですか。非正規雇用はふえっ放しですし、設備投資も低迷しっ放しですね。
大体、雇用と投資に回してほしいということに全く応えないで、最近どういう要望を出していますか、経団連は。経団連が最近出した要望、「成長戦略の実行と財政再建の断行を求める」というこの文書を見て、私、びっくりしました。これは5月15日、つい最近です。この中には、消費税率を今後1%ずつ、2017年からですよ、2017年から2025年の間、税率を毎年1%ずつ引き上げて、19%に消費税率を上げなさいと言っているんですよ。とんでもない話だ。しかも、法人税率を、今度は2016年から2025年にかけて毎年1%ずつ下げて、最終的に25%にしてほしいと。これはちょっとおかしいんじゃないでしょうか。
今やるべきことは、国民の消費をどれだけ拡大していくか、そういう方向に向けた経済政策の根本転換でなければならぬ。経団連がやっているのは全く逆であって、政府がやっているのは、その経団連の意向を忠実に実行しているとしか思えないですよ、私は。今までの答弁を聞いていると、財界の代表の答弁と全く同じ。だから、これは国民の立場からいいますと、一体誰のための政治なのかと言わざるを得ない。
私どもは、こういう財政状況のもとで、社会保障の充実や財政危機を打開するためにということで、これは2月の初めに、消費税大増税に反対をし、社会保障、財政の政策を出しました。これは総理にもお渡ししていると思いますけれども、この提言、私たちが主張しておりますのは、大企業に対してこれ以上の減税は必要ないということなんです。この大企業の持っている力をどういうふうに国民のために発揮させるか。そのためには、やはり雇用の拡大、雇用の安定。そのために、非正規雇用が今どんどんふえている、それに歯どめをかけて、やはり正規社員を基本にする雇用政策に切りかえる。こういう方向に大きく転換をするということであります。
財源政策についても具体的な政策提言を私たちは幾つか行っておりますので、きょうはもう時間がありませんから詳しく触れるゆとりはありませんけれども、ぜひ我が党の財源についても検討していただいて、今の消費税増税はやめる、法人税減税は中止する、こういうことで大きな転換を図っていただくように、我々は国民全体の運動の先頭に立つという決意を申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
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