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金融(銀行・保険・証券), 医療・介護・年金

2012年04月13日 第180回 通常国会 財務金融委員会≪証人喚問≫ 【673】 - 質問

AIJ事件証人喚問 浅川和彦・AIJ投資顧問代表取締役

 2012年4月13日、財務金融委員会は、AIJ投資顧問の年金資産消失問題で関係者の、浅川和彦・AIJ投資顧問代表取締役、西村秀昭・アイティーエム証券代表取締役石山勲・東京年金経済研究所代表取締役の3人の証人喚問を行い、佐々木憲昭議員がそれぞれの証人喚問で質問しました。

 浅川氏は、佐々木議員の尋問に対して、年金資産の運用実績について「水増しした数字とは認識していた」と述べ、ねつ造していたことを証言するとともに、それをごまかすために公文書である監査報告書まで偽造していたことを認めました。
 佐々木議員が、監査報告書の開示を求めた年金基金に対して偽造した報告書を示したのではないかとの追及に、浅川氏は「水増しの監査報告書だ。偽造といえば偽造です。私が主導してやった」と述べ、社長みずから偽造に関与していたことを認めました。
 佐々木議員は、「真実が書かれている大変重要な文書を偽造した。重大だ」と強調しました。

 さらに佐々木議員は、AIJ投資顧問会社が新規顧客から集めた資金を運用せずに、解約した顧客への払い戻しにまわしていた“自転車操業”の仕組みを追及しました。
 商品の解約顧客から新規顧客に直接付け替える、投資事業組合からいったんお金を引き出し、新規顧客分で穴埋めする。――この二つの手口があったと指摘しました。
 浅川氏は「その通り」と認め、「結果的に転売スキーム(枠組み)になった」と述べました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 まず、ケイマンの監査事務所、グラント・ソントン、毎年作成していた監査報告書についてお聞きしたいと思います。
 あなた自身は、この監査報告書を見ていましたか。
○浅川証人(AIJ投資顧問株式会社代表取締役) 年に一回送られているというのは見ていました。
○佐々木(憲)委員 アイティーエム証券の西村社長に、封を切らずに直接私のところに持ってくるように、こういう指示を出したのは、書かれていた損失を隠して、水増しした数字を作成し、顧客である基金の関係者に示す、そのためだったのではありませんか。
○浅川証人 西村社長の件については、私は、今言っていることは、水増ししたNAVを出すということですから、その水増しのNAVについては私は認めていますので、何と答えていいかちょっとわかりませんが、申しわけございません、ちょっと、私、頭の回転がきかないもので。済みません。申しわけありません。
○佐々木(憲)委員 顧客の年金基金から監査報告書を含むファンドの運用報告書を見せてくれと要求をされる、そのときに社長はそれを拒否した。これは事実ですか。
○浅川証人 お客様から監査報告書を見せてくれと言ったケースというのは、晩年、何件かあったと思いますが、1、2件だったと思います。
 基本的に、監査報告書を見せてくれと言っても、ファンド14本全部なっているので、個別に見せられないというのが、ほかのも見えちゃうからというのが実態でございます。見せてくれと言って、拒否したというんじゃなくて、見せられない。
 ですから、監査報告書じゃなくて運用報告書だと思いますので、ここがちょっと違うかなと思っております。
○佐々木(憲)委員 運用報告書だけではなくて監査報告書を含んだものを出してくれ、こう言った基金がありましたよね。それはどこの基金ですか。
○浅川証人 これはアドバンテストさんだと思います。はい。
○佐々木(憲)委員 そのアドバンテストに対して、監査報告書を含む運用報告書を渡した。そこに添付した監査報告書は本物だったんですか、それとも偽造したものだったんですか。
○浅川証人 監査報告書というか、紙っぺら一枚ですから、運用報告書の中に一枚入れている、一枚か二枚入れているというだけでございますから、これは偽造というんじゃなくて、水増しNAVでつくった運用報告書でございます。その分が偽造したかどうか、ちょっと、私にはちょっと。私が、私が、このとおり他の投資顧問のやつを参考にしてつくってくれと言ったことはあります。
○佐々木(憲)委員 監査報告書を添付したわけですよね。その添付した監査報告書は本当のものではなかったと。つまり、水増し部分を含めた形で監査報告書をつくっていた。これ、事実ですね。
○浅川証人 監査報告書については、適正意見か、要するに、適正ともう一個は、不適正とありますけれども不適正じゃなくて、適正ではないやつですね、ちょっとど忘れしちゃったな、だから、適正意見にした報告書は、監査報告書って、一枚ぺら出しています。
○海江田委員長 いや、ちょっと待ってください。
 もう極めて単純な質問ですから。それは虚偽のものなのか、それがイエスかノーかということはお答えできると思いますので、答えてください。そうしませんと進みませんから。
○浅川証人 ですから、水増しのNAVでつくった運用報告書だと申し上げております。
○佐々木(憲)委員 監査報告書自身は本物の監査報告書を添付したんですか。
○海江田委員長 浅川証人、改めて、明確に。
○浅川証人 監査報告書を添付した、監査報告書なのかちょっとわかりません。運用報告書に監査報告書がつけてあるだけなんですよ、あれは。はい。
○佐々木(憲)委員 だから、つけてある監査報告書は本物かどうかと聞いているんですよ。
○浅川証人 これは、先ほどから言いますように、水増しのNAVの監査報告書だと申し上げています。
○佐々木(憲)委員 ということは、偽造したということですよね。
○浅川証人 偽造という言葉は、私、好きじゃありませんが、偽造といえば偽造です。はい。
○佐々木(憲)委員 つまり、にせものをつくったということですね。あなたは、グラント・ソントンの作成した監査報告書を自分が直接かかわって偽造したんじゃありませんか。
○浅川証人 もちろん、私がかかわって、私が主導してやりました。
○佐々木(憲)委員 これは重大ですよ。監査報告書というのは、本当に真実のものがそこに書かれているわけですよ。しかも、これは大変重要な文書ですよ。
 しかも、それを、封を切らずに私のところに持ってきなさいと。あなたはそれを見た。その上で、その監査報告書を添付した運用報告書を年金基金のお客さんに示したわけですよ。
 そのとき添付した監査報告書は本物ではなかった、みずからそれに関与して偽造した、こういうことを今はっきりおっしゃったということですよね。それでよろしいですね。
○浅川証人 監査報告書じゃなくて運用報告書の、監査報告書の英文の一部ですから。(佐々木(憲)委員「英文でも何でも同じじゃないか」と呼ぶ)だから、違う。これは、運用報告書。監査報告書じゃないんですよ。運用報告書の中の一部……(発言する者あり)はい。
○佐々木(憲)委員 監査報告書の、まあ一部でも何でもいいけれども、添付したわけですね。その添付した監査報告書は本物のものではない、そのことを事実上認めているわけですから。
○海江田委員長 いいですか、認めたということで。ちょっと答弁を求めます。証言を求めます。
○浅川証人 私は、監査報告書は渡していませんから。運用報告書の中の一部の中に、それは入れなきゃいけないものでもないという認識でいたんですよ、運用報告書の中。運用報告書も、昨年の10月、11月で初めて出しているんですよ。ですから、だから、基本的に、運用報告書の部分を、監査報告書を入れる必要があるのかどうかも今までわからなくて、出してない。そういう、だから、監査報告書をどうのこうのと言われても、私にもちょっと、何とも答えようがないんですよ。
○佐々木(憲)委員 あなたは、監査報告書を運用報告書の水増しとあわせた形でつくり直して、それを添付した。自分自身がそれにかかわっていた。当然、これは極めて重大な事実だというふうに思います。
 では次に、証券監視委員会が作成した資料の中に、AIMグローバルファンドの資金の収支概要というのがあります。これは御存じだと思うんですけれども。
 この資料の中に、顧客から受け入れた金額が1458億円というふうに書かれております。この数字は、いわゆる転売した部分は含まれていませんね。
○浅川証人 1458億は、私の記憶ですが、基本的には転売部分というのはまた別、転売というか相対売買した部分とは別だと思いますが、新規募集の分かなと。ちょっとその辺、ちょっと申しわけありませんが、記憶にない。
○佐々木(憲)委員 つまり別枠なわけですね。なぜかというと、解約したいというお客さんが来る、それに対して水増しした金額を支払う、その商品を新規の顧客に転売する。つまり、支払いと受け取る金額が一致する転売が行われるわけですね。その場合には、運用資産の規模には反映しません。したがって、転売はこの収支概要には出てこず、その枠外にある。
 転売スキームが二つあって、解約したお客さんから商品を引き取って、新しいお客さんに直接つけかえるという方法、もう一つは、解約したお客さんに投資事業組合から一旦お金を出して、後で新規のお客さんの資金で穴埋めをする、この二つのルートがあったというふうに理解してよろしいですね。
○浅川証人 そのとおりです。
○佐々木(憲)委員 そうしますと、1458億円の枠外にある転売の件数と総額、おおよそ幾らですか。
○浅川証人 申しわけありませんが、手元に資料がないので、全体をちょっと把握しておりませんので、申しわけありません。
○佐々木(憲)委員 約500億円ぐらいだと思うんですが、どうですか。
○浅川証人 申しわけありません。ここで本当に、500億円ぐらいだったかどうかって私が言うと、違うとなると困るので、これについては、もし先生がそのとおりだと言うなら、そのとおりかもしれません。
○佐々木(憲)委員 解約を希望したお客さんに対して、転売をしますよ、こういう事実はお伝えしましたか。
○浅川証人 転売しますよということじゃなくて、私どものファンドは口数が決まっていますから、その口数でこのファンドは締め切っておりますと。ですから、売ってきたお客さんがあれば買えますという形で言ってありますから、それはお客様が転売として認識したかどうかはわかりませんが、一応、口数があったら買えますと言ってある。ファンドとしては締め切っているということ。こういうことでございます。
○佐々木(憲)委員 事実として、解約したいというお客さんに対して、新しいお客さんが払った資金、その資金を転売という形式をとりながらそのまま渡す、こういう関係にあったということは事実ですね。
○浅川証人 相対売買については、アイティーエム証券を通じて、入りと出で出ますから買える、こういうことだと思います。はい。
○佐々木(憲)委員 AIJの損益計算書を見ますと、営業収益が8千万程度しかない、営業外収益が3億円以上あるんですね。この中身は何ですか。
○浅川証人 これは、国内のやつが、今言っているように投資顧問料ですね、あとは、アイティーエムからの、当時の販売手数料のバック。海外のやつ、AIAからの、全額、100%子会社ですから、全額配当でございます、海外、AIAの。だから、管理報酬は全部AIAに入りますから、その配当という形になります。はい。
○佐々木(憲)委員 その配当の資金で従業員の報酬の大部分が賄われていた、こういうことになるわけですね。
○浅川証人 そのとおりでございます。
○佐々木(憲)委員 参考人質疑のときに、2009年のアイティーエム証券の監視委員会の検査の際に、浅川社長は、事情聴取はされていないけれども、ヒアリングを受けたという形になっているというふうに答えましたが、どんな中身のヒアリングだったのか。
 それから、その場合、監視委員会によると、AIJに関する四件の情報が受付窓口に来ていた。その情報について、真偽を確かめられたということではなかったんでしょうか。
○浅川証人 その真偽を確かめたか確かめないということについては、当時、監視委員会で言われたことは、ヒアリングは受けました。ヒアリングは受けたけれども、運用をやっているのかどうかというヒアリングがまず最初にありました。本当に運用実態はあるの、ないんじゃないのかと。それで、運用報告書を後で出してねと言われたんですけれども、当時、運用報告書をつくっていませんでしたし、基本、ないと答えています。それで、後、言われなかったので、ずっと出していなかったということと、今、最後の質問については、何だっけな、すぐ忘れちゃうんですね。申しわけございません、最後の質問をちょっと忘れてしまいました。
○海江田委員長 最後の質問が何ですか。質問が何だったかがわからないということですか。
○浅川証人 もう一度、済みません。
○海江田委員長 では、もう一度。
○佐々木(憲)委員 何と言ったっけ。
 もう時間がないので、私、今回のこの事件は非常に悪質だと思っておりますのは、年金の基金を受け取り始めたときから虚偽の報告を年金の関係者に行ってきた、つまり、そこから始まっている、水増しは。その結果、真実の数字を伝えるとお客さんが逃げるから、結果的には、お客さんを引きとめておくために、そういううその報告をしてきた、こういう経過だったと思うんです。
 そのことについては、私は、大変大きな被害を与えたものであって、謝罪すべきだと思います。いかがですか。
○海江田委員長 浅川証人、もう時間も来ておりますので。
○浅川証人 お客様に誤解を与えたということについては、本当に深くおわび申し上げます。
 ただ、その当時やっていたのは、本当に、ファンドで、ずっとお客さんのニーズにも応えてふやしていったので、お客様自身は全部、真のNAVで買っていたと思います。
○佐々木(憲)委員 終わります。

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