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金融(銀行・保険・証券), 医療・介護・年金

2012年03月14日 第180回 通常国会 財務金融委員会≪参考人質疑≫ 【664】 - 質問

AIJ事件 投資顧問業協会長に「当事者の自己責任」と批判

 2012年3月14日、財務金融委員会は、投資顧問会社AIJ投資顧問の年金資産消失事件について参考人質疑を行い、佐々木憲昭議員が質問しました。
 AIJの浅川和彦社長は「証券取引等監視委員会への報告書の作成などで多忙」との理由で欠席しました。

 AIJに運用委託していた全国卸商業団地厚生年金基金の神戸厚常務理事は「信託銀行から届いた時価報告が虚偽かどうかは全くわからない。信じていた」と述べました。
 企業年金連合会の村瀬清司理事長は「企業年金の運用利回りも目標収益率を下回り、積み立て不足を抱えたことが問題のベースにある」と指摘しました。
 社団法人日本証券投資顧問業協会の岩間陽一郎会長は事件について業界の取り組みなどを報告しました。
 佐々木議員は「運用状況の詳細な報告を受けていたか」と質問しました。神戸氏は「一任契約しており、細かいところまで聞いた記憶はない」と答えました。
 AIJが約2000億円の年金資産の大半を消失させたことへの業界としての対応について、岩間氏は「当事者の自己責任になる」と答弁したため、佐々木議員は「業界として対処する考えもないのか」と批判しました。
 公的年金の一部を預かり運用している代行部分も毀損(きそん)した恐れもあると指摘し、「損失を負担し切れない場合、どうするのか」と質問したのに対して、村瀬氏は「今までは当該基金内で自己完結型で解決してきたが、今回できるかわからない」と答えました。

議事録

○海江田委員長 これより会議を開きます。
 金融に関する件について調査を進めます。
 本日は、参考人として、社団法人日本証券投資顧問業協会会長岩間陽一郎君、企業年金連合会理事長村瀬清司君、全国卸商業団地厚生年金基金常務理事神戸厚君、以上三名の方々に御出席をいただいております。
 なお、参考人として本日出席を求めておりましたAIJ投資顧問株式会社代表取締役浅川和彦君から、委員長宛てに、書面をもって、証券取引等監視委員会の検査に関連して、報告書の提出を求められ、連日その準備、作成に忙殺されているため出席できないとの申し出がありましたので、御報告いたします。
 この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多用のところ本委員会に御出席を賜り、ありがとうございます。
 今般のAIJ問題に関し、参考人各位から御意見をお述べいただき、調査の参考にしたいと存じております。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 まず、参考人各位からそれぞれ五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。
 なお、時間も限られておりますので、参考人、質疑者とも、時間をお守りいただくようお願い申し上げます。
 それでは、まず岩間参考人にお願いいたします。
○岩間参考人(社団法人日本証券投資顧問業協会会長) 日本証券投資顧問業協会の会長をしております岩間でございます。
 今回のAIJ投資顧問株式会社の事件は、私ども投資顧問業界が長年努力して培ってきた皆様からの御信頼を揺るがす問題といたしまして、厳しく、重く受けとめております。当協会の会員である同社が、そのお客様を初めとする多くの方々に対し御迷惑と御心配をおかけしていることに対しまして、極めて遺憾に存じておることを冒頭申し上げたいと存じます。
 投資顧問業界の概要からお話しさせていただきます。
 投資顧問業は、顧客資産の有価証券等への運用について、専門家の立場から助言を行い、また、顧客からの委任を受けてその運用を行うことを業としております。その事業遂行上のキーワードは受託者責任にあり、委託者である顧客のために、その専門性を生かして最善の努力を尽くして行動することを旨としております。各社は、この前提の上に立って、公正な競争を展開し、顧客である投資家の御期待に応えるべく努力している次第でございます。
 これらの活動は、結果といたしまして、国民金融資産の効率的な配分、運用につながり、資本市場を経由して、産業の活性化、企業の発展に寄与しているものでございます。血液ともいうべき資金が効率的に配分され、広く行き渡ることにつながっていることと認識しております。
 当業界は、その業務に対する社会のニーズの高まりを背景に発展し、1990年、平成2年の厚生年金基金への運用参入が認められて以降、さらなる発展を遂げ、現在に至っております。
 投資顧問業協会の業務について御説明申し上げます。
 当協会は、1987年、昭和62年10月に旧投資顧問業法に基づき設立された、会員会社の拠出による自主規制団体であります。入会は任意でありますが、金融商品取引法の施行や金融ADRの施行もあって、登録業者の大宗が会員となっております。投資者の保護を図り、投資運用業、投資助言・代理業の健全な発展に資することを目的としております。
 現在、投資運用業会員が251社、投資助言・代理業会員が552社の合計803社の会員数となっております。
 業務の内容は、自主規制ルール等の制定とその遵守指導、会員向け教育、セミナーの実施、投資家、顧客からの苦情、相談への対応、統計資料等のディスクロージャー、大学における寄附講座の開設、実施、広報活動、各種出版物の発行等の業務を行っております。
 特に、各種の自主規制ルールの制定、個別会員に対する指導、相談対応、研修の実施を通じまして、会員のコンプライアンス意識並びに知識の向上、さらには専門性の強化向上への支援に努めているところでございます。
 このような中で今回の事件が発生しましたことは、まことに遺憾に存じております。今後、御当局検査の進捗により事実が明らかにされるものと考えておりますが、協会といたしましても、これを踏まえまして、何ができるかを考え、工夫せねばならぬと存じております。
 事件の詳細はまだ不明でございますが、今回の件は、悪質で巧妙、複雑な事件である印象も受けておりますので、その点も考慮に入れて対策も考える必要があるのではないかと存じます。
 私ども運用会社としては、顧客である年金基金の皆様からの御要望を受け、御満足いただける結果を出すよう努力しておりますが、中にはハイリターンを嗜好されるお客様もございます。運用会社として、より一層健全な業務運営に努め、厳しい運用環境ではございますが、努力を続けてまいりたいと考えております。一方、年金加入者及び年金受給者に対して受託者責任を負っていらっしゃる年金基金におかれましても、厳しい目で私ども運用会社をチェックしていただければと考える次第でございます。
 なお、今回の事件には、運用を受託する運用会社、委託を決定される年金基金以外にもさまざまな関係者がいらっしゃるとの御報道も見受けられます。改善に当たりましては、総合的に捉えて有効な策を効率的に組み立てる必要があるように思うところでございます。
 今回の事件の再発防止に当たりましては、年金運用にかかわる全ての関係者が、そのおのおのにおいてどのような工夫を講じれば再発防止につながるかを考え、有効な策を見出していく努力を要請されていると存じます。
 まずは、事件を惹起いたしました運用会社が会員の一社であった事実を厳しく受けとめ、協会として、御当局と連絡、連携を図りながら、再発防止に向けて何ができるかを考え、工夫せねばならぬと肝に銘じておる次第でございます。
 ありがとうございました。(拍手)
○海江田委員長 ありがとうございました。
 次に、村瀬参考人にお願いいたします。
○村瀬参考人(企業年金連合会理事長) 企業年金連合会の村瀬でございます。
 先生方に、企業年金連合会について、十分御存じのことと思いますが、資料に基づきまして、企業年金連合会の概要並びに現在調査の段階にありますAIJ問題において今連合会としてどう取り組んでいるか、また取り組もうとしているかにつきまして御説明をさせていただきたいと思います。
 お手元の資料をお開きいただきたいんですが、企業年金連合会は、昭和42年に、厚生年金保険法に基づきまして、厚生年金基金連合会として設立をされております。そして、16年の法律改正によりまして、平成17年の10月から企業年金連合会に改組をしております。厚生年金基金に確定給付企業年金、確定拠出年金を加えた年金通算事業を行うため、企業年金の通算センターとして新たにスタートしたわけでございます。
 その他、客観的、中立的な立場から、会員に対する各種情報の提供、相談、助言、役職員の研修など、会員の健全な発展を図るために必要な事業、会員支援事業を行ってございます。
 現在の会員数は、厚生年金基金が582、確定給付企業年金が811、確定拠出年金は127で構成をされております。
 次の二ページをお開きいただきたいのですが、企業年金連合会の役割を再度確認いたしますと、二つございまして、企業年金の通算センター、それから企業年金の情報提供センターとしての役割でございます。
 企業年金の通算センターでございますけれども、雇用の流動化、雇用形態の多様化によりまして、勤労者の転職、離職が多くなる中、企業を短期間で退職した勤労者の企業年金資産を一つにまとめる、これが年金の通算サービスでございます。現在、22年度末でございますけれども、連合会が受換した件数は2600万人、連合会の通算企業年金の受給者は490万人でございます。
 一方、右下に書いてございます企業年金の情報提供センターでございますけれども、連合会会員である厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金から提供される会員のさまざまな声を蓄積しまして、会員ニーズに応じたサービスの提供、会員が必要とする情報の提供をしてございます。
 具体的に言いますと、企業年金制度の発展拡充のための政策提言活動や会員及びその加入者のための調査研究、相談、情報の提供、研修、教育活動のほか、企業年金制度の発展拡充を図るための広報活動などを行ってございます。
 したがいまして、管理監督をしているところでもございませんし、現在は国の補助金も一切受けておりません。
 次のページをお開きいただきたいと思います。
 企業年金通算事業ですが、先ほど申し上げましたように、企業年金を短期間で退職または転職した勤労者、特に中途脱退者等を対象にしておりまして、先ほど年金受給者が490万人というふうにお話し申し上げましたが、その方々に対する年金の給付総額は5800億円という形になってございます。
 一方、お預かりした資産を運用するということで、次のページに書いてございますように、年金の資産の運用管理をしてございます。
 23年3月末の資産残高でございますけれども、10兆584億円となってございます。
 資産運用の基本的な考え方でございますけれども、積み立て割合によりまして資産配分を決めておりまして、現在は、債券と株式が60対40の比率として資産配分をしております。また、リスク分散を図るという観点を含めまして、一定の限度額の上限を決めまして、未公開株式であるとかヘッジファンドであるとか不動産等にも投資をしてございます。
 現在、その運用体制ですが、内部スタッフ30名と外部の運用機関約40社にお願いをしておりまして、総資産10兆円のうち約4割をインハウス運用、残り6割を外部委託しております。また、それに携わるスタッフでございますけれども、7割が主に外部からの経験者、専門家を中途採用して、運用専門職との扱いのもとで運用していただいている次第でございます。
 一方、そのチェック体制につきましては、投資顧問会社、インハウス運用といった投資判断者と、信託銀行、つまり資産管理者を分離いたしまして、相互牽制が働くような体制をしてございます。
 また、内部、外部の監査という観点からいきますと、毎月コンプライアンス・業務監査を、内部監査ですけれども実施しておりますし、また、監事監査は四半期単位に、外部の監査法人による監査を年一回受ける仕組みになってございます。
 次のページをお開きいただきたいんですが、会員支援事業でございますけれども、会員支援には二通りございまして、先ほど申し上げましたが、約1500の会員に対するサービスと、実際の年金の加入者、受給者に対するサービスの二点でございます。
 具体的な企業年金の運営に対して必要な情報提供、相談、助言、研修等のほかに、先ほども申し上げました制度に対する政策提言等も行ってございます。
 以上、簡単に概要を申し上げましたが、今回のAIJ問題における、会員に対して連合会としてどういう対応をしているかということについて、次のページで御説明申し上げたいと思います。
 本件に関しましては、なかなか情報が得られない、大多数の情報が新聞情報等でしか得られない中で、実は、会員の皆様方はどうなっているのか非常に不安で困られている、また相談する相手もない。ただ、法律的な問題からいきますと、やはり、各企業であれば顧問弁護士という方がお見えになるわけですけれども、残念ながら、総合型の基金ではそういう方もお見えにならないということで、法律的な面で何らかの形で情報提供する必要があるのではなかろうかということで、2月の29日と3月の5日、二回にわたりまして、受託者責任等を含めた説明会を開催してございます。お手元に書いてございますように、両方合わせまして、233基金、295名の皆様方が参加をされております。
 また、3月9日には、AIJ問題連絡会開催ということで、61基金、72名の方に御参加いただきまして、同社と直接かかわりのあると思われる会員の皆さん方の希望者にお集まりいただきまして、今後の対応について御相談に乗ったということでございます。
 そして、3月12日以降、会員のさまざまな法律的な疑問にお答えするために、法律事務所と契約をいたしまして、現在、法律相談窓口を開設し始めたところでございます。
 一方、七ページに、中長期的な視点からの行政への協力という形で書かせていただきましたが、厚生労働省は、今現在、厚生年金基金の資産運用関係者の役割及び責任に関するガイドラインの見直しを始めるということを、たしか大臣が表明されていると伺っておりますけれども、我々は、実際の運用者という立場、それから会員支援という立場を含めまして、企業年金連合会としてできるだけの協力をしていきたいというふうに考えております。
 また一方、運用担当理事、実務担当者に対して、今までも運用に関する教育、研修をやっておりましたけれども、さらにその中身を充実させるとともに、リスク管理的な面も含めまして支援活動が行われるような形で拡充強化を図りたいと考えております。
 以上、資料の説明でございますけれども、連合会としては、当事者ではございませんけれども、渦中にあります当事者が行動しやすいように情報を提供するなど、会員の取り組みを側面から今後も支援をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
○海江田委員長 ありがとうございました。
 次に、神戸参考人にお願いいたします。
○神戸参考人(全国卸商業団地厚生年金基金常務理事) 私の方からは、まず、お手元の方にお配りしてある資料を参考にしながら、意見を述べさせていただきます。
 当基金は、全国卸商業団地協同組合連合会を母体とする、全国に所在する卸団地組合の組合員企業の役員、従業員の老後生活の安定と福祉の向上を図るため、平成4年に全国五つの地域ブロック、すなわち、北日本、関東、中日本、中四国、九州の各ブロックごとに設立された卸商業団地厚生年金基金として発足しました。その後、平成11年にこの五ブロック基金が合併を行い、全国版の厚生年金基金として現在の名称と規模になりました。お手元の資料で見ていただきたいと思います。
 平成23年度末をもって第20事業年度を終了します。
 設立形態は、中小企業が集まって設立する形態であるいわゆる総合型に分類され、異業種にまたがる地域型の厚生年金基金となっており、全国に所在する卸商業団地、127団地の組合員である事業所並びにその関係団体、事業所が設立事業所となっております。
 基金の運営は、代議員40名、理事18名、監事二名の構成をもって行われております。また、理事長の諮問機関として、運営委員会、委員十名を設置しております。基金事務局は、現在、役職員14名の構成になっております。
 平成23年3月末現在、設立事業所数は1151社、加入員は2万6706人、年金受給者数は1万8109名です。純資産額は663億円です。
 今般のAIJ投資顧問に係る年金消失問題については、当基金もAIJ投資顧問に投資を行っていた当事者であり、何より加入されている事業主、加入員、受給者、卸団地組合等関係各位には多大な御迷惑をおかけすることとなり、まことに申しわけなく思っております。
 我々としては、安全な運用を心がけてきたつもりでありましたが、このような事態に見舞われたことはまことに遺憾であり、1日も早く事件の真相が明らかになるよう徹底した調査が行われることを求めるとともに、当基金としましても、中小企業で働く従業員の福利厚生の一環として設立したものですので、将来にわたって永続的に発展できる制度構築がなされることを切に希望するところです。
 本日は、御意見を申し上げる場をいただけるとのことで、まことにありがたいことと存じております。関係の方々の御配慮に感謝いたします。
 お手元の資料につきましては、また御質問等がおありになるということでございましたので、ここで省略させていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
○海江田委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
【佐々木議員質問部分】
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 きょうは、大変お忙しい中、財務金融委員会の参考人として御出席をいただきまして、大変ありがとうございます。
 まず、日本証券投資顧問業協会会長の岩間さんにお聞きをしたいと思います。
 このAIJは、事業報告書を見ますと、役員四名、うち非常勤1名、そして使用人8名、計12名、こういう規模の会社であります。投資顧問会社としては、この規模というのは一般的なものなのか、それともこれは小さいというふうに見られるのか、どの程度の水準といいますか、ものというふうに認識されているでしょうか。
○岩間参考人(社団法人日本証券投資顧問業協会会長) お答え申し上げます。
 運用会社、投資顧問会社といいますのは、それぞれの事業の得意分野を持っておると思います。得意分野をたくさん持っておるところは、それに対応するにふさわしい陣容を整えなきゃいけない。したがって、規模は大きくなると思います。
 しかし、一つのチームで、例えば2千億ということを例えて言いますと、それを十数人で運用するということは一般的に可能だと思われます。もちろん、タイプによると思いますが。
○佐々木(憲)委員 次に、全国卸商業団地厚生年金基金の神戸さんにお伺いします。
 この非常に少数のメンバーでやっている投資顧問会社が、売り込みに社長は来なかったと。どなたが来たかという記憶はありますか。
○神戸参考人(全国卸商業団地厚生年金基金常務理事) ちょっと私、記憶がすぐ出てこなかったんですが。一生懸命、今すぐ思い出せなかったぐらいです。
○佐々木(憲)委員 その説明ですね、こういうふうにやっていますから大変利回りはいいんですよと。どういう説明をされたのか。それから、なぜあなたのところが対象として選ばれたか。何かそんな話はありましたか。
○神戸参考人 最初に来たときには私はお会いしていませんので、後から報告を聞いて、それは検討してみろということで指示をしただけでございました。
○佐々木(憲)委員 それでは、運用の結果の報告を信託銀行から受けて、それを信用していた、こういう話をされました。この報告の内容をどの程度詳しく受けておられたのかということなんですが、いつ、どの銘柄を、どのように売って、どのように買ってという、そういう運用の細かな説明というのはあったんでしょうか。
○神戸参考人 一任契約ということでやっていましたので、こちらの関心のあるものについては質問もして、回答はもらいました。ですから、全部をというのは、これとこれというのは、先ほどから思い出すに至っては、何か細かいところまでは聞いたという記憶がないのは、今反省しているところです。
○佐々木(憲)委員 一任契約で任せきり、事実上そういうことになっていたと思うんですね。やはり、基金を預けて運用してもらうわけですから、どのような運用の内容になっているのかというのは、細かな部分までやはり報告を受け、チェックをするという体制が十分じゃなかったというふうに、今のお話を聞いて思います。
 次に、岩間参考人にもう一度お伺いしますけれども、業界としての自主規制ルールを制定して、これを遵守させる、研修なども行う、こういう御説明でございましたが、今回のこの事件は、自主規制ルールとの関連でどういう問題点を持っていたというふうに認識しているか、その点をお聞きしたいと思います。
○岩間参考人 お答え申し上げます。
 これは、繰り返しになって恐縮でございますけれども、現在、御当局が検査中でいらっしゃいます。それで実態が明らかになって、その内容を広く、しっかりと見た上で、何が今御指摘の点に必要なのかということについて考えてまいりたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 巨額の損失が出ても長期にわたって隠し続けることができる、こういうことは極めて異常な事態だと思うんですけれども、それがなぜ発覚しなかったのか。投資顧問会社というのは、やろうと思えばこういうことはできるものなのか。その点、どのようにお考えでしょうか。
○岩間参考人 お答え申し上げます。
 先ほど例に出されましたマドフの事件がございました。これは、御承知のように、ナスダックの会長を務めて、業界に非常に信頼があると一般に見られていた人が、20年間にわたってあれだけの巨額のポンジ・スキームによる詐欺的なことをやったと。あれは詐欺ということになっておりますが。
 そういうことでいいますと、悪意を持って企てをするということがもしあるといたしますと、それをどういう形で未然に防止するかということが非常に難しくなるというぐあいに思います。
 基本的には、運用を委託される投資家が、実際に投資を依頼する運用業者を選定するときに、かなり厳しいデューデリジェンスというのをおやりになります。私どもの会員もそういうものを受けるということになるわけです。したがって、そういう中で、どういう点にポイントを当てて調査、審査をされればこういうことが防げるかということをやはりお考えいただく必要も出てくるだろうと思いますし、我々協会としてどういうことをしたらいいかということも、そういうことを考慮に入れて考えてまいりたいと思います。
○佐々木(憲)委員 今のお話との関連で神戸参考人にお聞きしますけれども、このAIJを選ぶに至った理由、これは、大変利回りがいいですよということで選んだのか。何かを信用して選んだと思うんですが、その理由について説明していただきたいと思います。
○神戸参考人 手前どもの基金では、安心、安全ということと、それから、こういう状態になったときに、分散ということで、12ほど投資顧問会社に分散しております。
 その中で、どういう実績、そして他基金からの話、多分、手前どもは先行していたとは思っていませんが、そこからの情報がやはり魅力的という意味で選んだということでございます。投資顧問会社から見れば、ほかにもいいところはあるんですが、分散ということをしておかなければということが主体でございましたので。
○佐々木(憲)委員 もう一度、岩間参考人にお聞きします。
 投資顧問会社に対する公的なチェック、自主規制、自主的なコンプライアンスの問題というのはあると思いますが、金融庁ですとか証券取引等監視委員会のいわゆる検査、これはどのようになっていたのか。銀行に対しては、実地検査も含めて今までもかなり行われてまいりましたけれども、投資顧問会社というのは、一体どのような位置づけで、当局はどういう検査をされてこられたのか。受ける側としては、どういうふうにそれを認識されていますか。
○岩間参考人 御質問の趣旨は理解させていただいておりますが、私がお答えする立場の御質問ではないと思います。
 先生御指摘のように、受ける側としてどういうぐあいに見ていたかということでございますが、基本的に、検査がございます。これは、どの程度のサイクルで、どの程度なさるかということについては、私つまびらかでございませんけれども、私も以前に投資顧問会社の社長をしておりました。そのときに、やはり、検査に備えて社内体制をどういうぐあいに整備するか、コンプライアンスにおいてもとるところはないかということを、非常に緊張感を持って体制整備するなり改善するなりということを日常的にしております。
 ですから、御当局の検査ということについての威力といいますか効果というのは十分働いていると思います、経営者にとってみますと。非常に大事なことだと思っております。
○佐々木(憲)委員 実際には、こういう事件が起きましたので、検査が十分だったかどうかというのは私は疑問に思っておりますけれども、今の回答はわかりました。
 それで、こういう2千億円の規模というのは、一般庶民から見ると非常に気の遠くなるような金額でございまして、これがどこかへ行っちゃった、消失しちゃった。そうなりますと、その被害、一体誰がその負担を負うのかということになるわけです。
 業界としては、この問題について、例えば、共同でどのように対処するのか、あるいは公的な支援が必要なのか、こういう問題についてどうお考えでしょうか。
○岩間参考人 お答え申し上げます。
 運用に関して委託をされるということ、それをお受けするという投資家と運用会社の関係といいますのは、基本的に契約でございまして、そのベースは自己責任ということで貫かれております。したがいまして、お答えできるとすれば、その原則に従って事に対処するということが基本であると認識しております。
○佐々木(憲)委員 業界として、特に、この損失問題について何かやろうというシステムもないし、その考えもないということですか。
 次に、村瀬参考人にお伺いします。
 今回のこういう事件で代行部分も毀損するというようなことになりますと、これは公的な部分も、いわば私的な関係にとどまらず、大変大きな問題になってくるわけであります。これをどう負担するのか。企業年金連合会として、この負担の問題は何か今検討されていることはあるでしょうか。全て自己責任ということなんでしょうか。
○村瀬参考人(企業年金連合会理事長) 各基金単位で毀損割合が相当違うと思います。
 したがいまして、今現在、我々としては、一番お願いしたいことは、先ほど申し上げましたように、証券取引等監視委員会が必死になって中身を調べております。その中で、毀損する金額をいかに減らすか、どれだけ回収できるかというのがやはり一番大きな問題だろうと思います。
 1割だとか、金額的には少ないとか、いろいろ言われていますけれども、間違いなく2千億近いお金を預けたわけでございますから、それに対するお金がどこまで残っているか。特に海外だと思います。そうしますと、公権力のお力をおかりして、それでもってやはり回収していただく、それが明確にならないと次のステップは踏めないんだろうと思います。
 それから、個々の基金の問題からいきますと、先ほど卸のお話をされましたように、ある程度毀損率が低いところというのは、自己責任の中で多分完結をするんだろうと思います。ただし、負担自体は、各企業が負担をされる場合も起こるかと思います。ただ、割合が極めて高いところ、新聞発表等では2割、3割、5割というのがありますけれども、こういうところは、では、本体企業から本当に回収できるのかどうかということになりますと、極めて難しい問題だろうと。
 この部分については、どういう形で御判断いただくかというのは、まさに今、行政としては必死になって考えているところではないかと思いますけれども、我々としては、やはりその部分を早く出していただいて、対応策を講じていく必要があるだろうと。
 そのときに、各基金以外のところからお金を持ってくるということについては、非常に政治的な決断の問題にもなろうかと思いますので、軽々に私の方から、こういう案がいいんですよというのは申し上げられないということを御了解いただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 当然、回収が大前提で、しかし、現在の状況ですと、幾ら最大限努力しても十分の一とかそれ以下というような、そういう報道がなされていますね。そうしますと、相当部分が損失になる。
 こうなりますと、それを一体どこがかぶるのか。もちろん、直接取引をした当事者の自己責任というのは一番最初に当然問われると思いますけれども、しかし、それを超えて、負担し切れないとか、そういう事態になるところも当然あるかもしれない、これはわかりませんけれども。そういう場合に備えた対応といいますか、それを基金全体としてかぶるのか、あるいは公的な部分として何らかの対応を求めるのか、簡単に言えば、国に対して何か要望があり得るのか、その辺なんです。
 今、何も考えていないわけじゃなくて、いろいろ検討されていると思いますけれども、いかがでしょうか。
○村瀬参考人 連合会としては検討していませんけれども、今までの例としまして、特例解散という一つの制度がございます。これは、当該基金内で全て自己完結をするということで、積み立て不足のある場合につきましては、たしか今、15年間で返済をするという仕組みでおやりになっているんじゃなかろうかと思います。
 したがいまして、今までは、当該基金内で自己完結型で解決をする、こういう道をとられてきた。今回、先ほど言いました、基金で毀損率が極めて高いところについて、それができるのかどうか。これは、申しわけないんですが、今の私の、現段階ではちょっと発言を控えさせていただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 今回のこの事件をめぐっては、我々はさまざまな角度から検討しなきゃならぬというふうに思います。
 単に自己責任で済むのか、それとも、このシステム全体にいろいろ問題があると私は思っておりまして、やはりこういう事件を生み出す構造というものがあると思うんです。それを本当に究明して、二度とこういうことが起こらないように対応するというのが私たちの務めだというふうに思っております。
 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

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