税制(庶民増税・徴税), 金融(銀行・保険・証券), 医療・介護・年金 (消費税)
2012年02月24日 第180回 通常国会 財務金融委員会≪大臣所信に対する質疑≫ 【656】 - 質問
AIJ事件金融庁検査はごく一部/中小企業は消費税転嫁できず
2012年2月24日、佐々木憲昭議員は、財務金融委員会で、AIJ投資顧問による企業年金の巨額消失事件と中小企業が消費税を転嫁できない問題をとりあげました。
まず、佐々木議員は、AIJ投資顧問による企業年金の巨額消失事件金融庁の検査体制を追及しました。
企業年金は、厚生年金などの公的年金とは別に、企業が社員を対象に任意に設ける年金。1社単独か地域・業種ごとに集まってつくる年金基金などが管理しますが、資金運用の多くは金融業者に委託しているのが実態です。
質疑のなかで、金融庁はごく一部の投資顧問会社しか検査しておらず、ずさんな実態が明らかになりました。
AIJ社は国内124の企業から約2100億円の年金資金の運用を受託していました。
証券取引等監視委員会の検査で、その大半が消失していたことが判明。金融庁は同日、同社に業務停止命令を出しています。
佐々木議員は、運用失敗であれ流用であれ、許されない大問題であり、一社だけの問題ではないと指摘しました。
そのうえで、金融庁・証券取引監視委員会は、投資顧問会社に対してどんな検査を行っていたのかと追及しました。
中塚一宏内閣府副大臣は、運用を委託している企業年金の数は把握していないと述べつつ、投資顧問会社は263社あり、いっせい調査を行うことを明らかにしました。
投資顧問会社に対する検査体制について細溝清史金融庁監督局長は「いろんな情報をもとに選択して、デスクベースで検査している」と説明しました。
佐々木議員は、顧問会社に対する検査が、実地検査を含め、まともに行われていなかったことは重大だと指摘しました。
公的年金の年金積立金についても投資顧問会社などの受託機関に丸投げされ6年間で6兆円もの損失を出していることを予算委員会で明らかにしたことに言及。「由々しき事態だ。検査体制を抜本的に見直すべきだ」と求めました。
自見庄三郎金融担当大臣は、「ご批判を真摯(しんし)に受け止め、関係省庁とも連携して対策を速やかに実行したい」と答えました。
次に、佐々木議員は、中小企業が消費税を転嫁できない問題をとりあげ、増税をやめるべきだと、安住財務大臣に迫りました。
下請け企業では、“円高で単価引き下げを求められ、応じないなら韓国の企業に発注すると脅された”などの事例をあげ、消費税が増税されれば親会社から単価を下げるよう迫られます。
五十嵐文彦財務副大臣が「ガイドラインを定めて罰則を強化する」と答えましたが、佐々木議員は「罰則強化は当然だが、下請け企業は親会社の仕返しを恐れて告発もできず、単価は『合意して契約した』と言われて泣き寝入りするケースが多い。そのため不当なやり方は改善していない」と指摘しました。
また、全国に16万以上ある下請け企業の実態を調べて対応する検査体制もないと批判しました。
佐々木議員は、中小商店が転嫁できない理由は商品を値上げしたら客が離れてしまうからだと指摘し、「『ガイドライン』をつくったら売れるようになるのか」と追及しました。
これにたいして五十嵐財務副大臣は「消費者の理解が進むよう周知徹底する」としか答えられませんでした。
佐々木議員は「増税した分、収入が増えるのか。消費者の負担が増えるのだから、商品が売れるようになるはずがない」と強調。消費税の増税自体をやめなければ問題は解決しないと主張しました。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
初めに、AIJ投資顧問会社の年金消失事件についてお聞きします。
きょうのニュースで、企業年金の運用を受託していたAIJ投資顧問会社が、2千億円、大半を消失していた。とんでもない事件であります。
自見大臣に、一体どういうことなのか、把握しているところを説明していただきたいと思います。
○自見金融担当大臣 佐々木憲昭議員にお答えをいたします。
2月17日に、証券取引等監視委員会より、本年1月から実施をしておりますAIJ投資顧問への検査の過程で、当社において投資一任契約に基づいて行う顧客資産の運用状況について疑義が生じている旨の連絡を受けました。
この連絡を受けて、急遽、同日中、17日中でございますけれども、当社、AIJに対しまして報告徴求命令を発出したところ、当社、AIJからでございますが、投資一任契約に基づいて行う顧客資産の運用状況について、現時点で毀損額、毀損原因は精査中であるものの、投資家に説明できない状況にある旨の報告を昨日夕刻に受けたわけでございます。
こうした事実は、金融商品取引法第52条第一項第八号に基づく、投資運用業の運営に関し、投資者の利益を害する事実があるとの処分事由に該当すると認められるため、投資者保護の観点から、当社、AIJに対しまして一カ月の業務停止命令及び業務改善命令を、本日朝の8時15分ごろだったと思いますけれども、発出をしたところでございます。
○佐々木(憲)委員 これは本当に大変ショッキングな出来事でありまして、企業年金124というふうに報道されていますよね。預かった2千億円ぐらいのほとんどがなくなっちゃったと。
何でこんなことになったのかですね。運用に失敗して穴があいたのか、それとも、目的外に流用してそれがなくなってしまったのか。金融庁はなぜこれをチェックできなかったのか、今までなぜ気がつかなかったのか、その点の説明を求めたいと思います。
○細溝政府参考人(金融庁監督局長) 現在、証券取引等監視委員会が検査をやっておりまして、そうした中でこの事実の確認をしているところでございまして、現時点では確たる内容を申し上げることは困難でございます。
当社よりのきのう出てまいりました報告によりましても、現時点で毀損額、毀損原因は精査中であるというふうに当社自身も申しております。
以上でございます。
○佐々木(憲)委員 何かよくわからぬ答えなんですけれども、これは、一つの投資顧問会社の事件というよりも、日本の企業年金は非常に数が多いと思いますが、共通に抱えている危険な面をあらわしているんじゃないかという気もするわけです。
それで、把握している、今答弁できる範囲でいいですよ、全国に企業年金というのは一体幾らあって、それが、運用の仕方というのは大体こんな一任する形で委託をするのか、その辺の実態をお聞かせいただきたいと思います。
○中塚内閣府副大臣 企業年金数というのはちょっと私ども金融庁の方では把握はしておらないわけなんでありますけれども、そういった投資一任業者の数でありますが、これについては263社であるというふうに聞いております。
今般、1月から行いました検査の結果、こういう実態が明らかになったということでありますけれども、今般のこの事件については、まだまだ検査は継続中でございます。
ただ一方、監督当局といたしましても、まずは早急に投資一任業者というものに対する一斉調査を実施したい、そういうふうに考えております。
いずれにいたしましても、いろいろな選択肢を排除することなく、金融庁、証券取引等監視委員会、総力を挙げまして再発防止に努めていきたいと考えております。
○佐々木(憲)委員 この投資一任業者は金融庁の検査の対象として位置づけられているのかどうか。銀行や保険の場合とまた違う扱いだと思うんですけれども、これは一体チェック体制はどういうふうになっているんでしょうか。
○細溝政府参考人 投資一任業者につきましては、これは金融商品取引法に基づきまして、金融庁ないし財務局に登録をしていただいております。その上で、検査の対象でございます。
○佐々木(憲)委員 これは定期的な検査が行われているんですか。
○細溝政府参考人 定期的に検査をしております。
○佐々木(憲)委員 どのぐらいの期間で。
○細溝政府参考人 一般論としてこれは申し上げたいと思いますが、証券取引等監視委員会で、できるだけいろいろな情報を積極的に活用して、リスクベースで検査対象先を選定しておるというふうに聞いております。そういった意味で、AIJ投資顧問についてもこうした検査で入ったということでございます。
○佐々木(憲)委員 いろいろな情報を集めてデスクベースで、机の上でやっていると。どういう意味ですか、それは。
○細溝政府参考人 263社ございます。それに対しまして、証券取引等監視委員会の能力として入れる社数というのは限られております。そういった意味では、できるだけオンサイトでチェックしておいた方がいいと思えるようなリスクがあるところを中心に検査をやっておる、そういう意味でございます。
○佐々木(憲)委員 263社全部を一律に定期的に検査しているというわけではない、こういうことなんですね。
そうしますと、今回こういう事件が発生をしまして、これは長期にわたってこういう事態が隠されていたということでありますから、検査が厳密に厳格に定期的に行われて、しかも、直接、立入検査、こういうことがあってしかるべきだと私は思いますけれども、そういうことが実際にはなかった。したがって、虚偽の報告を聞いて大変優秀な会社であると。そういう評判だったらしいんですね、どんどん利益が上がるから。つまり、その利益は虚偽であったと。しかし実際には、ほとんど預かったお金がなくなっていた。
こういう話は、これはこれから高齢化社会に入る際、こういう企業年金だけではなくて、厚生年金も国民年金も同じように一任委託をして運用しているわけです。私も予算委員会で取り上げましたが、この6年間で6兆円穴があいた。誰も責任をとらない。こういう状況は非常にゆゆしき事態でありまして、この検査のあり方というのは抜本的に見直す必要があるというふうに思います。
自見大臣、この点についていかがですか。
○自見金融担当大臣 佐々木議員にお答えをいたします。
まず、今回の証券等監視委員会の検査で問題として見つけたというふうに聞いておりますし、現段階では、今副大臣が申しましたように、早急に投資一任業者に対する一斉調査を実施することとしたい、そういうふうに思っております。
また、一斉調査の内容、時期については至急検討してまいりたいが、いずれにせよ、監督官庁としても、さまざまな批判を真摯に受けとめ、また、厚労省がまことに、佐々木先生御存じのように、企業年金の関係が大変に多い官庁でございますから、関係省庁とも密接に連携しつつ、まず、法令上対応可能な対策を可及的速やかに実行してまいりたいというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 引き続き、この点については議論をしていきたいと思います。
次に、自見大臣、また後で時間があれば質問しますが、安住大臣にお聞きをしたいと思います。
これは消費税の増税に関連してですけれども、大臣は盛んに、消費税を転嫁できる仕組みをつくる、あるいはガイドラインをつくる、予算委員会で質問しますと、何回も何回もそういう答弁があるわけです。その内容は何なんでしょうか。
○安住財務大臣 この間も佐々木先生に質問をいただいたので、もう少し具体的に説明せよということなので、ちょっとお話しします。
独禁法や下請法では、取引上優越的な地位にある業者による不当な行為を禁止しているわけですけれども、それ自身は、多分、それだけでいえば抽象的なことですから、では、例えばどのようにその違反となり得るのか、そういうことを具体的に定めたガイドラインを公正取引委員会に作成していただきます。そして、幅広く周知徹底を業者にすることによって、まず不公正な取引の未然防止を図るということが第一だと思います。
また、前回の、つまり平成9年4月の消費税引き上げ時と比べまして、例えば独禁法では、排除勧告にかわり排除措置命令を行えるようになっておるほか、優越的地位の濫用に該当する行為に対して新たに課徴金が導入されておりますので、そこはやはり進んだと思います。注意でなくて、命令をすぐにやれるよということですから。
それから、下請法なんですけれども、従来の「製造委託等」に加えて、対象業種をふやして運送等というのを入れていますので、そういう点では、違反業者の公表基準も厳しくしたり、そういう手続が迅速化され、担保措置を強化する改正も行われておりますので、かなり具体的に私はやれるのではないかと思っております。違反行為等が行われたら、もう厳正に公正取引委員会や中小企業庁において対処できる体制というのは、以前よりも数段高まったのではないかと思います。
また、立場の弱い中小企業の場合、不公正な取引に直面しても、今後の取引に影響が出ることを懸念する。つまりこれは、そういうことはありますね、予想できるなという話でございますよね。だから、そういうときに、窓口をちゃんと設けますので、ぜひそれは、来ていただければ責任を持って対応させていただきますし、転嫁状況に対して、今度は大規模な調査も行って、問題のある事例については指導していきたいというふうにも考えておりますので、一応私どもとしてはきめ細かくやろうと思っております。
さらに、小売店と消費者の間の取引についても、事業者が心配なく、円滑かつ適正に消費者に転嫁するために、どういうふうなものが取り組みが可能なのか判断できるように、あらかじめガイドラインで、独禁法上違反にならない行為と問題となる行為、これをわかりやすく目安を示すというようなことも有効なのではないかなと思っております。
先生から再三御指摘をいただいて、特に立場の弱い方々がいわば泣き寝入りをして、結局自分たちがこの増税分をしょわされる、そういうことが散見される可能性があるので、やはりそういうことはないようにしないと、この消費税の公平性というものが担保できないんではないかという御指摘を再三いただいておりますので、私どもも、関係機関と緊密に連絡をとりながら、そうした事例を少しでもなくしていくように努力をさせていただきたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 大臣の答弁を聞いておりますと、余り実態がよくわかっていないんじゃないかという感じがするんです。
問題は、どのようにして例えば優越的地位の濫用を特定するのか。これは非常に難しい問題なんですよ。
最初に下請の話をされました、それから一般の中小商店の話、そういう話をされました。まず下請の面から確認をしたいと思います。
例えば、ある部品一個の単価が百円だとしますね。今、消費税5%を上乗せして、105円で親会社に納入する。仮に消費税が10%に上がったら110円、これを請求して支払いを受ける、こういうことになるわけです。
例えば、消費税が上がったときに、親会社から、百円だった単価を、単価の方を95円にしてくれ、こういうふうに言われるわけですね。下請は、これはなかなか断れない。これは値決めの交渉になるわけです。下請企業は十円分上乗せしたいんだけれども、形の上ではもちろん上乗せはしたんだけれども、しかし、単価の方が下がって、手元に納入すべき資金が残らない、これが実態なわけですね。
親会社の請求書には消費税10%が上乗せされましたと書かれているんです。しかし、単価がその分、逆に減らされているんです。こういうのが現実じゃないですか。
○安住財務大臣 今のような事例を証明するのは大変なことだぞという御指摘だと思うんです。確かに、下請の企業の皆さんがそういうことを我々のようなところに、例えば相談窓口に来てやったらば、取引がまたできなくなるのではないのか、だから、いわば、先生は泣き寝入りをするような事態が多いんだよということをおっしゃっていると思うんです。
しかし、私は、これは別に役所から相談を受けたわけじゃないですが、今聞いただけの感想で申し上げますと、そうはいっても、いわば強制をされたこと、圧力を加えられたことがわかれば、それは濫用の行為ということになりますから、強制されたことを証明するなり、圧力をかけられたことをやはり言っていただければ、十分にこれは、我々としては濫用に当たるというふうに推定できるのではないかと思うんです。
○佐々木(憲)委員 これは値決めの交渉の結果なんですよ。事実上圧力がかかっているんですけれども、それを証明するのが非常に難しいんですよ、現実には。
つまり、簡単に言いますと、消費税分はおまえのところで見ろよというのは、これはもう非常に明確に、いわば優越的地位の濫用で、消費税分を押しつけた感じになりますよね。しかし、消費税は消費税でもちろん払いますが、単価の方をその分、同じ金額だけ下げなさいといって単価交渉をするわけです、値決めの。それで、契約をして製造するわけですね。したがって、親会社に調査に行っても、いやいや、交渉で決まったんですよ、それを了解してやっているんですから、そして消費税分だって払っていますよと。こういう話をされますと、これはなかなか証明が難しいんですよ。
私、実際に聞いてみると、そういう事例がたくさんあるんですよ。たくさんあるんです。それで、そんな不当なことであればちゃんと告発すればいいじゃないか、話したらやってくれますよ、極秘にちゃんと調べてくれるそうだから、そう言っても、これは非常に、いや、これで仕事がなくなったら大変だと。これが今の実態なんです。もちろん、そういう状況を我々は改善しなきゃならぬと思いますよ。改善しなきゃならぬ。ところが、実際にはなかなかそれができない。そこに消費税の増税が押しつけられると、利益がその分減ってしまって、もう経営ができない。
だから、これは、経産省、中小企業庁が、商工会議所等、経済の四団体に依頼をして調査をした、約1万事業の結果ですね。この前、私どもも予算委員会で、下請ほど、小さな企業ほど転嫁ができないと。これがそのまま、声として紹介されているわけです。一番最後のページを見ていただきますと、例えば上から五段目のところに、左側ですけれども、「消費税の税率がアップすれば、その分、加工単価の値下げを求められ、経営が苦しくなる。」これは今私が紹介した事例であります。
こういう状況ですから、単価が前より下げられる。具体的な事例で言うと、例えば、円高になる、円高になると、その分単価を下げてくれと。例えば、トヨタが下請に対して、部品の価格を円高分として別に1・5%の値下げを求めた、こういう事例があります。それから、これを受け入れなければ、韓国の方が安いから、部品は最近、韓国の方が性能がいいんだ、そういうようなことで、あなたのところよりは韓国に発注しますよ、韓国並みの単価で出すならわかるけれども、こういう話になってきた。全然成り立たないんですよ、実際に。
だから、この消費税の増税というものがどんなに下請に対して過酷なことになるのか、そういうことを、こういう事例をちゃんと念頭に入れて、幾らガイドラインをつくったって、そんなの直らないんですよ。消費税の増税をやめない限りは直らないですよ。
もう一つは、今、商店の話をしましたね。商店は売らなきゃならぬ。しかし、値上げをして消費税増税分を上乗せしたらお客さんがいなくなるから、なかなか値上げできないんです。これは、今のこういう不況のもとで、デフレのもとで、実際に値上げをして売ることはできないという悲鳴のような声がたくさん出ているんですよ。一体、ガイドラインで、値上げできてうまく売れるんですか。どういう方法でやるんですか。
○五十嵐財務副大臣 二つお話があると思いますが、まずBツーB、業者間の、下請法の問題ですけれども、先生のおっしゃり方はちょっと誤解を生むと思うんですね。今の先生がおっしゃった例は、買いたたき行為に当たる可能性が極めて高いということで、これは処罰の対象になると私は思います。
ですから、それは周知徹底して、このようなケース、今おっしゃられたようなケース、一律に一定比率で本体価格を引き下げて合わせるとか、あるいは数量を減らすとか、そういうのも全て買いたたき行為に該当する可能性が極めて高いものですから、それはガイドラインではっきり定めて周知徹底して、罰則も前回のときより強化されていますから、具体例をあらかじめ公表し周知徹底することによって一定の効果はあると思いますし、政府としても書面調査等を積極的に実施してこれを取り締まっていくという方針でございます。
それから、小売店の方は、これはやはり消費者の理解が進むということが一つだと思います。いろいろなやり方があると思いますけれども、ポスターを共同で商店街でつくっていただいて、こうなります、御理解をいただきたいというようなこともあるでしょうし、それから、やはり周知徹底、消費税が上がるんだ、それが価格に反映されるんだ、これは正当だということをいかに消費者にわかっていただくかということだと思います。
それは逆に、そういう行為がひょっとすると何か法律にひっかかるんじゃないかという御心配のある商店主もいらっしゃるでしょうから、それはそうではないですよということも含めて、商店側それから小売店側、消費者側双方に、政府としても努力をして周知徹底を図るということが必要だと思います。
○佐々木(憲)委員 消費者の理解は得られません。こんな張り紙一枚やっても、あるいは宣伝をしても、実際に消費者の収入が消費税分上がるわけないじゃないですか。負担がふえるわけだから。だから、お客さんが逃げると実際に言っているんですよ、この調査の結果は。
それから、下請関係でいいますと、こういう問題は、我々、下請の、不当な親会社のやり方について何度も取り上げてきましたけれども、罰則を強化しても実態はほとんど改善していませんね。告発して明確に証明できれば、それは改善されると思います。罰則を強化してやるのは当然だと思います。ところが、現実は、中小企業の下請、一体どのぐらいあると思いますか。16万以上の下請関係の会社があるわけですよ。一体、政府は、声を上げられないそういう下請会社全部、実態はどうですかと聞いて歩けますか。下請調査官というのは何人いるんですか。
○安住財務大臣 先生、それは、例えば税務署の職員だって、5万6千人で今日本国内の徴税をやっていますから、全部チェックをするということもあるし、一罰百戒のやり方もあるし、さまざまだと思います。
できるだけ、政府を挙げて、地方自治体の協力も得ながら、そうしたいわば泣かされる人のないような制度設計をぜひしていきたいというふうに私は思っておりますので。あと先生、消費税を上げたら大変なことが多いということもあると思います。しかし一方で、社会保障のお金をどうするんだというのもあるわけですよ。
ですから、国全体で考えるとやはり、私は共産党の皆さんにもぜひ、消費税、賛成していただくとうれしいなと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
○佐々木(憲)委員 賛成はできません。大体、消費税で庶民から取り上げようなんという魂胆自体がけしからぬのですよ。
大金持ちに一定の負担をさせるとか、あるいは大企業が、今166兆円という内部留保があるんだよ、その内部留保に対して、どのようにしてそれを生かしていくようなそういう政治を行うかというのが大事であって、何でもともかく、がさっと、投網のように、十把一からげで庶民から取り上げて、それで社会保障がよくなりますか。
あなた方の計画で、年金はどんどん下がるんじゃないですか。子ども手当だって下がるんじゃないですか。名前がどうのという話もあるけれども、自民、公明の要求に押されて、我々はそれは不当だと思っていますけれども、そういうやり方をして何もよくならないじゃないんですか。介護だって利用料を上げる。
そんなことを、実際に、両方悪いことをやって、庶民に負担ばかりかけるというのが民主党の政権のやり方じゃないでしょう、本来。本当は、今までの政権のそういう負担増を何とかしてもらいたいという国民の声があって政権交代が起こったんじゃないんですか。それをもう、自民党よりもっと悪いことをやろうなんというのはとんでもない話だ。(発言する者あり)
自民党からは批判の声も今ありますが、それにしても、政権交代は何のためにやったんですかという根本が問われるわけですよ。だから私は、この消費税の増税については絶対に反対。
自見大臣についても聞きたかったんだけれども、きょうは時間がもうありませんので、次回やります。
終わります。