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税制(庶民増税・徴税), 医療・介護・年金 (消費税, 大企業減税, 年金制度, 社会保障・税一体改革)

2012年02月22日 第180回 通常国会 予算委員会 【654】 - 質問

消費税増税は高齢者の生活、中小企業の営業、地域住民の交通も、破壊する

 2012年2月22日、予算委員会で、佐々木憲昭議員は、消費税増税は高齢者の生活を破壊し、中小企業の営業をダメにし、地域住民の足である路線バスも奪うもので、「地域経済をズタズタにする」と追及しました。

 佐々木議員は、年金の削減や社会保険料・税負担の増加などで、平均夫婦高齢者世帯の家計が年間42万3千円もの赤字に陥っている実態を指摘。今でも貯蓄を取り崩して暮らしており、「増税されたら、もう生活ができない」という声をつきつけました。
 また、中小企業が消費税を商品価格に転嫁できない実態を、経済産業省が商工会議所など中小企業4団体に依頼した調査を基に追及しました。野田佳彦総理が「転嫁されるよう対応する」などと弁明したのに対し、中小商店は「価格に上乗せしたら売れなくなる」、下請中小業者は「転嫁すると加工単価の値下げを求められる」という実情を示し、「消費税は営業破壊税だ」と告発しました。
 さらに、路線バスにも悪影響を及ぼすと指摘。「運賃値上げによる消費税の転嫁は事実上困難」と明言した国土交通省の資料を示し、「地域住民の足である路線バスもやっていけなくなる」と批判しました。
 前田武志国土交通大臣は「運賃への転嫁は困難」と認めながら、公共交通の再編など対策を講じると答えるにとどまりました。
 佐々木議員は、「消費税の増税は国民生活のあらゆる面に悪影響を及ばす」と強調し、消費税に頼るのではなく、ムダの一掃や大企業・富裕層への応分の負担などで財源を確保する方向へ転換してこそ、国民の生活も営業も守れると述べました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 今、年金の負担と給付の問題が議論されておりますけれども、国民が支払った年金保険料、これが積み立てられているのが年金積立金でございます。私は、きょう、この問題についてただしたいと思います。
 初めに、野田総理の認識をお聞きしたいんです。
 厚生年金、国民年金の被保険者は現在6800万人、積立金は約120兆円、大変な規模ですけれども、これは国民から預かった大切なお金であります。将来の年金給付の財源になるものですね。これを目減りさせないように大切に扱うということは当然だと思いますけれども、総理はどういう認識をお持ちですか。
○野田内閣総理大臣 佐々木委員御指摘のとおり、年金積立金というのは国民からお預かりをした将来の年金給付に使うお金でございますので、きちっと安定した運用をしていかなければいけないというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 では、本当に大切に扱っているのかどうか。
 国民年金と厚生年金の年金積立金の金額、これを確認したいんですが、平成18年度、2006年度ですね、これは幾らだったか。そして、それは現在幾らになっているか。確認したいと思います。
○小宮山厚生労働大臣 平成17年度末の年金積立金全体の残額はおよそ150兆円、平成22年度末の年金積立金全体の残額はおよそ122兆円です。これは、保険料収入が年金給付に必要な額を下回っておりますので、年金積立金を現金化して給付などに充てたこと、運用収入の増減によるものでございます。
 ただ、今までの運用では、それは上がり下がりございますので、現時点で年金財政が大幅に悪化しているわけではないというふうに考えています。
○佐々木(憲)委員 28兆円の目減りをしているわけですけれども、もちろん、支給に充てたというところがありますね。しかし、運用で目減りした分というのは幾らでしょうか。厚生労働大臣が年金運用を委託している機関、それもあわせてお答えいただきたいと思います。
○小宮山厚生労働大臣 委託しているのはGPIFに委託をしておりますけれども、平成18年度から平成22年度までの5年間、これはリーマン・ショックによる世界的な株価下落ですとか、円高の影響などを受けまして、およそマイナス2・5兆円でございます。
○佐々木(憲)委員 委託先は、年金積立金管理運用独立法人、今GPIFと言われましたが、そこに委託しているわけですね、厚生労働大臣はそこに委託していると。それで運用しているわけですけれども、今説明ありましたように、5年間というのは結構長い期間なんですよ。このGPIFは設立されて約5年、この間2兆5千億円マイナスになった、運用で穴があいた。
 しかも、昨年はどうですか。昨年第1・4半期、第2・4半期、合わせて半年でどのぐらいマイナスになっていますか。
○小宮山厚生労働大臣 昨年のを合わせますと、5兆円余りのマイナスということになります。
○佐々木(憲)委員 昨年は3兆5千億円減っておりますから、大体6兆円減っているということになるんじゃないですか。
○小宮山厚生労働大臣 平成23年度第4・4半期までの収益額はマイナス3兆4926億円でございますので、これまでのと合わせますと、マイナス5兆9569億円となります。
○佐々木(憲)委員 5兆円じゃないでしょう、6兆円じゃないですか。大変な金額なんですよ、これだけ減るというのは。
 誰かこの問題で責任をとった人はいますか。
○小宮山厚生労働大臣 責任ということでございますが、積立金の運用というのは長期的な観点から行われるということが重要だと考えています。年金積立金の自主運用を開始した平成13年度から平成23年度第2・4半期までの累積収益額は、全体でおよそ19兆円のプラスとなっています。
 さらに、年金の給付額は基本的に名目の賃金上昇率に連動して増減をするため、名目運用利回りの実績がこの賃金上昇率をどの程度上回るかが年金財政にとっては重要で、この名目運用利回りと賃金上昇率の差は、平成13年度から平成22年度までの平均で見ると2・16%となっています。これは、同じ10年間について財政検証等で設定している差の0・60%を1・56%上回るもので、財政上の必要な運用利回りは確保をされていると思っています。独立行政法人評価委員会でも、これは年金財政にプラスの影響を与えているとの評価をいただいているところでございます。
○佐々木(憲)委員 聞いたことに端的に答えていただきたい。その官僚がつくった回答か何か知らぬけれども、長々長々、聞いていないじゃないですか、そんなこと。私が聞いているのは、6年間で6兆円の穴をあけた責任は誰がとったのかと聞いているんですよ。誰もとっていないじゃないですか。それを、何か長々、委員長、おかしいですよ、この答弁。
○中井委員長 でも、10年間でもうけているからいいと答えた。(佐々木(憲)委員「10年間でもうけるって、この5年」と呼ぶ)だから、そういう答弁だったと言っているの、僕は。
○佐々木(憲)委員 前半で幾らもうけたかという話、それはあるでしょう。しかし、この5年間、6年間で6兆円減らしているんだから、その話をしているんですよ。しかも、その6兆円減らしたのは、新しくつくられたGPIFが穴をあけたんじゃないですか。責任は誰もとらないというのは、余りにも無責任だ。
 どんなやり方をしているんでしょうか。パネルを見ていただきたい。
 厚労省は、年金の運用をこのGPIF、年金基金管理運用独立法人に事実上丸投げしているんですよ。GPIFは、債券や株式に投資する比率、いわゆるポートフォリオという、それを決めまして、実際の運用はどこがやっているんですか。この管理運用独立行政法人じゃないでしょう。その先の、実際の運用は受託機関に丸投げしているんです。実際に資金を運用しているのはこの受託機関である。ここには、日本やアメリカの信託銀行、投資顧問会社、投資ファンドなどが入っているわけです。
 私、ここに一覧表を持っていますけれども、全体で81ファンドです、28社、この受託運用機関。ともかく、こんなにたくさんの、これは日本だけじゃない、アメリカの資本がどんどん入ってきているんですよ。それで運用して、こんなに穴をあけた。
 現実に年金基金を運用しているのは、この受託機関、ここじゃないんですか。
○小宮山厚生労働大臣 GPIFは、寄託された積立金のうち7割強を、今御紹介のあった信託銀行や投資顧問会社といった外部の運用受託機関、これは私の手元の数字では28社、77ファンドとなっておりますが、ここに委託をし、残りの3割弱をみずから運用しています。
 それで、厚生労働省が当然所管をしている独法でございますので、厚労省としては、中期目標を設定いたしまして監督をしているという形になっています。
○佐々木(憲)委員 要するに、受託機関が実際に運用しているわけです。
 だから、厚労大臣は、年金を集める、そしてそれをGPIFに委託する。GPIFは、それを運用機関に丸投げする。それで運用機関が、どの銘柄を、いつ、どのくらい買うか、どのくらい売るか、これを全部この運用受託機関が勝手にやっているわけですよ。それで穴があいて、ああ、穴があきました、6兆円です、そんないいかげんな話がありますか。
 しかも、この受託機関は手数料を、毎年毎年損を出しても手数料だけは取っている。手数料は例えば10年間で幾らになりますか。
○小宮山厚生労働大臣 平成22年度末までの10年間に払いました手数料の総額は、およそ2600億円でございます。
 一点だけ、先ほどの御指摘ですが、これはGPIFだけに限らず、リーマン・ショックの後、全体の運用がこういう形になっているということは御理解いただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 大体、リーマン・ショックの前からもそういうことになっているんですよ。減っているんですよ。しかも、手数料、毎年250億円から350億円程度を払っている。10年間合わせて、今言われたように2583億円、莫大な手数料を払っている。しかも、この独立行政法人が運用している機関、GPIF、ここの運用のための費用もあるわけですよ。それも結局、いわば年金基金、これをもとにしたお金で負担しているわけですね。膨大なコストをかけて、6年間で6兆円も損失を出して、誰も責任をとらない。こんなやり方は根本的に見直す必要があると私は思う。
 アメリカはどうなっているんでしょうか。公的年金基金、OASDIというのがありますけれども、これは日本よりも規模がもっと大きいんです。その運用で赤字は出したことがありますか。直近の5年間の運用実績はどうなっていますか。
○小宮山厚生労働大臣 アメリカでは、米国の公的年金、社会保障年金は、全額、非市場性の国債によって積立金を管理していると承知をしております。
 ただ、一言申し上げますと、GPIFの運用資産額に対する運用手数料の割合は0・02%ですが、アメリカの場合は0・46%とか0・5%ということで、さらに高くなっているという事実はございます。
○佐々木(憲)委員 赤字が出ているのかどうか、アメリカ、どうですか。
○小宮山厚生労働大臣 これは赤字は出ていません。
○佐々木(憲)委員 大体、市場で運用をすること自体が非常に大きな問題を持っているわけですよ。アメリカは財務省証券で全部運用しております。赤字を出したことはありません。5年間で5%運用実績ですよ。その間、日本はマイナス0・32%です。ですから、これは幾ら何でも日本のやり方というのはずさん過ぎる。
 この基金を株式運用に、非常にこういうところに偏っているわけですね。信託銀行、投資顧問会社、外国投資ファンド、そういうものの食い物にさせているようなものでありまして、総理、最初に総理がおっしゃったように、これは元本割れを起こさないようにすべきだと私は思いますよ。運用のあり方についても慎重に、国民の財産を預かったわけですから、もう一度これを見直して再検討する、これは必要だと思いますが、どうですか。
○野田内閣総理大臣 国民からお預かりしたお金でありまして、先ほど申し上げたとおり、将来への、まさに年金給付に充てるお金でございますから、やはり長期的に安定して、そして効率的に運用するということが基本だと思います。
 このポートフォリオの御議論、いろいろな御議論があるんです。むしろ、リスクのあるものもとりながら運用実績を上げろという議論もありました。ただ、むしろ私は、お預かりしたお金ですから、きちっとしたポートフォリオでやった方がいいと思います。その構成のあり方についてはいろいろな議論があると思いますが、比較的リスクの低いものを扱ってきたはずなんですよね。にもかかわらず、その結果として、10年では収益を上げておりましたけれども、ここ数年の間では赤が出ているということはやはりよく反省しなければいけないと思いますので、ポートフォリオのあり方は不断の見直しが必要だと思います。
○佐々木(憲)委員 私は、ポートフォリオのあり方そのものをやれば済むという話ではないと。やはりこれは全体の仕掛けが問題なんです。
 何でこんなに莫大な手数料を払わなきゃならぬのか。それから、独立行政法人に莫大な運用の費用がかかるわけです、管理運営費。そういうものも本当に必要なのかどうか。アメリカはこんなものはありませんよ。
 ですから、国民の財産を本当に大事に扱おうというなら、こんなバケツに穴のあいたようなところにどんどん放り込んで減らすなんていうのはやるべきじゃない。私は、この点を抜本的に見直すように求めておきたいと思うんです。
 次に、年金で生活をされている高齢者の方というのは今本当に大変な状況でありまして、このパネルを見ていただきたいんですけれども、政府の家計調査によりますと、この間、平均夫婦高齢者世帯の年金給付は大幅に減っております。2000年には、年金収入が年に277万円ありました。今では253万円です。24万円減少しております。その反面、年金の負担、保険料ですね、それから医療、介護、所得税、住民税、こういう負担は、この間、非常に大きく膨らんだ。
 ですから、この図を見ていただいてわかりますように、2000年の時点では、収入と支出は大体バランスがとれている、若干支出の方が多い。ところが、2011年になりますと、収入の方が大幅に減りまして、そして支出の方がどんとふえているわけです。ですから、その差は42万3千円、こういう状況であります。これは赤字なんです、家計が丸々。
 総理、この赤字はどうやって穴埋めしていると思いますか。
○野田内閣総理大臣 日本の場合は、比較的、高齢世代はストックを持っている、貯蓄があると言われていますので、そういうものを取り崩していっているということではないかと思います。
○佐々木(憲)委員 本当にそうなんですよ。貯蓄を取り崩して、ようやく何とか生活を支えているというのが実態なんです。年金が減った上に、その上に消費税が増税されたら、もう生活ができない、こういう声が満ちあふれているわけです。
 先日、朝日新聞にこういう投書が寄せられました。80歳以上の高齢者は、戦争中は命の危険にさらされ、戦後は祖国復興のため献身的に働いてきた世代だ。今まで年金で支払って施設に入居をしていた方は出ていかなければならなくなるかもしれません。80歳になったんだからお金は減らしていいというような考えは弱者を切り捨てることにつながるんじゃないでしょうか。
 総理、この声にどうお答えになりますか。
○小宮山厚生労働大臣 先ほど総理からもお答えがありましたように、お示しいただいたのはフローの所得で、ストックからいきますと、今の純資産の82%は高齢者の方が持っていらっしゃるので、そういうこともお考えいただきたいと思います。
 それで、弱者対策といたしましては、今回、3・8兆円の充実、1・2兆円の重点化、効率化を行いまして、2・7兆円、社会保障制度を充実したいと考えていますが、この中で、低所得者の保険料の軽減ですとか総合合算制度など、貧困・格差対策をとっておりますし、また、受給資格の短縮など年金制度の改善、それから、在宅医療、在宅介護の充実など、高齢者の方の生活に配慮したことも行わせていただいています。
 さらに、2015年度以降の番号制度の本格稼働定着後には、総合合算制度ですとか給付つき税額控除なども考えておりますので、弱い立場の方への配慮はした改革にしていると考えています。
○佐々木(憲)委員 質問をしていることにまともに答えてくださいよ。そんな答弁を私は求めているんじゃないんです。
 貯蓄が多いと言いますけれども、当たり前ですよ、それは。働いてきたんだから。だから、老後は、何とかその貯蓄を取り崩しながら、こんなに赤字が出ているんだから、取り崩すのは当たり前なんですよ。貯蓄がなくなるんじゃないか。貯蓄がなくなる世帯もあるんです。貯蓄ゼロ世帯というのがふえているんですよ。
 そういう状況なのに、あれもやりました、これもやりましたって、まだ何にもしていないじゃないですか。これからでしょう。そういうことをあげつらって、何か全部解決するような、そんなことはありませんよ。口先だけですよ、それは。こういうふうに、高齢者の世帯というのは本当に今不安が広がっております。
 それから、暮らしも大変だけれども、中小企業の経営も大変なんですよ。消費税を転嫁できない。
 経産省中小企業庁が商工会議所など四団体に依頼して、今までに三回調査をやってまいりました。1997年、2002年、2011年の三回です。消費税の転嫁状況調査というのをやったんですね。その中で出てきた数字を整理して示したのがこれであります。
 売上高が3千万円以下、下の方ですね、それから3千万から2億円、真ん中のところ、上の方は2億円を超える、こういう三ランクで区分をしておりますけれども、見てわかりますように、中小企業が転嫁できない実態というのが非常にはっきりしております。消費税が導入されて以来、年を追うごとに転嫁できない企業がふえているわけですね。
 最近の調査で非常に特徴的なのは、売上高2億円以上の企業も、97年には、転嫁できない、1割にも満たなかった。それが今や、転嫁できないと回答しているのが半分近い。これだけ深刻な事態になっているわけですが、総理は、こういう図を見てどういう感想をお持ちですか。
○安住財務大臣 一言だけ。
 前もこの御指摘をいただいております。ですから、適正な転嫁をどういうふうに図っていくかというのは課題だということは十分認識しております。特に、優越的地位の濫用に当たるケースとかそういうことに関しては、今回しっかりガイドラインをつくって、不公正な取引の防止を図らなければならないというふうに思っております。
 ですから、独禁法や下請法に基づいてその転嫁をしっかりして、つまり自分で背負わなくていいようなものにしていかないと、それは、この税体系の中では、やはり中小企業の皆さんにとって先生が御指摘のようなこともあると思いますので、そのことについては政府一丸となって対応していきたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 総理、どうですか、感想は。
○野田内閣総理大臣 このお示しいただいている資料によりますと、売上規模が小さいほど転嫁できないという状況でございますから、想像するに、やはり弱い立場の場合の方が何となくしわ寄せを食っているという傾向があるのではないかという資料だと思います。
 だからこそ、財務大臣が答弁したとおり、独禁法とか下請法等を厳正に適用して、円滑に適正に転嫁されるようにしていかなければいけないし、また、相談の窓口等々、きめ細やかな対応も必要だというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 今までもそういうことは言ってきたんです。今までも厳格にやると言ってきたんです。言ってきたんだけれども、実際にできないんですよ、これ。だから転嫁できない企業がふえているわけです。環境を整えるという言葉しかないですけれども、今いろいろなことを言われたけれども、そういうことは何度も言われてきて、こういう実態なんです。
 これが今、中小業者に非常に深刻な不安を与えておりまして、消費税が増税したらどうなるだろうか。例えば、私は、これははがきですけれども、こういうものが寄せられました。「助けてください」と書いてあるんですよ。「消費税増税で店が潰れてしまいます。本当に苦しんでいます。デフレで客足もどんどん減っています。商店街では、ほとんどが同じ状況です。助けてください。」悲鳴にも似た、こういう声が寄せられております。
 先ほど紹介した四団体に依頼した調査の中でも、こういう声が出ています。この数年、売り上げは下がる一方である。特に消費税が5%になったころから著しく下がっている。今度消費税が上がったら本当に廃業を考えます。
 転嫁できないというのは、一体どういう理由だと思いますか、総理。転嫁できない理由ですね。
○安住財務大臣 類推するしかありませんけれども、先ほど私が申し上げましたように、上というか、取引先の強い側が、そういう点では、濫用ということを厳格に言うわけではありませんけれども、やはりそういう点でのプレッシャーというのがあって、それを転嫁するとなかなか営業に差し支えるというようなことが類推としてはあると思います。
 ですから、確かに、先生御指摘のようなことがあるので、相談窓口をふやしたり、ある意味で独禁法等を使って、中に入って、また、いわば小売業の皆さんとかに対して、そうしたことで、泣き寝入りと言ったら言葉が適切かどうかわかりませんが、そういうことは絶対させないように、私たちとしても一生懸命取り組んでまいりたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 消費税が転嫁できないのは、消費税が上がった分を価格に上乗せして、品物の値段を上げたら売れなくなるからですよ。そうでしょう。今、こういうデフレの状態の中で値上げをして売るというのは、中小業者は不可能なんですよ。相談窓口を開いたら転嫁できるようになるんですか。客観状況は変わらないでしょう、経済状況。それを直さないで増税するから、転嫁できない、経営は破綻する、これが実態ですよ。
 中小業者の場合、特に下請の場合も、こういう声がありますよ。消費税の税率がアップすれば、その分、加工単価の値下げを求められる。最終的には同業者の価格比較を行われ、やむなく値引きをしている。全額転嫁できない。これは政府が依頼した調査の中で出てきた声です。これが実態なんですよ。だから、消費税というのはまさに営業を破壊する営業破壊税だ、こう言わざるを得ないんです。
 国交大臣に聞きます。公共交通機関、とりわけ乗り合いバスですね、路線バス、消費税が10%になったらどうするのか。そのまま運賃値上げするということになるんですか。
○前田国土交通大臣 昨年の12月の政府税制調査会において、運賃改定による税率引き上げ分の転嫁は困難である旨の懸念を表明しております。
 国土交通省としても、転嫁に際してどのような問題があるのか、事業者の実態を十分に把握し、また関係行政機関と緊密な連携をとりつつ、徹底した対策を講じてまいります。
○佐々木(憲)委員 そんな抽象的な答弁では全然改善しませんね。事態は大変なのであります。
 人口が減って、高齢化、過疎化が進んでいるんですよ。路線バス、地域の乗り合いバスなどは、本当に最後の地域の足ですね。住民の足さえ維持するのが今非常に困難になっております。どこも経営が苦しい。そのために、国交省も、地域交通を何とか支えようということで、補助金を出しているんじゃないですか。
 地域公共交通のうち、路線バスなど事業者の経営赤字を補填するなど、補助金を交付している件数、これはどうなっていますか。それから、地域公共交通を確保するための維持改善事業、この補助金の今年度予算は幾ら組まれていますか。
○前田国土交通大臣 お答えいたします。
 23年度から、地域公共交通確保維持改善事業として約305億円の予算を確保いたしまして、既にバリアフリー等を中心に137億円を交付しております。
 バス運行等に係る支援については、現在、328件の交付申請を受けておりまして、年度内にこの交付決定を行うべく、鋭意今やっているところでございます。
○佐々木(憲)委員 消費税が増税されると、ますます経営が困難になり、それを支えるためにますます補助金を出すということになるんじゃないでしょうか。
 昨年12月に国交省が、先ほど紹介していただいた税調に出した資料、これにはこういうふうに書いているんです。このパネルを見ていただきたい。「利用者の大幅な逸走が懸念される」、逸走というのは利用者が減ってしまうということです。それが懸念されるため、運賃値上げによる消費税の転嫁は事実上困難である。運賃改定を行っても利用者の逸走により相殺され、十分な増収につながらない。運賃値上げによるマイカーや自転車、徒歩への移行やバスによる出控えなどが主な理由である。運賃値上げによる転嫁が期待できない中、消費税の納税額は確実に増加する。そのため、乗り合いバスの収支の悪化、路線の廃止、減便、バリアフリー化のおくれが懸念される。こういうふうに書かれているんです。
 国交大臣、消費税を増税したら、ますます補助金をふやさなきゃいかぬ。増税によって得たお金を補助金でまた回す。これはタコ足のような話ですよね。こういうやり方、一体どう思いますか。
○前田国土交通大臣 冒頭お答えしたとおりなんですが、議員も御指摘のように、高齢化そして人口減少という中で、バス事業そのもの、公共交通事業そのものが非常に今厳しい状況になっております。
 そういった意味で、持続可能な地域づくりをやらなければいけないということで、もっともっとコンパクトな町のあり方ということを今志向しておりまして、要するに、バスを中心として、公共交通の効率化というものをまず進めるようなまちづくり。
 そういう中で、先ほども申し上げましたように、もし消費税の導入ということがあった場合に、転嫁に際してどのような問題があるかなど、事業者の実態を十分に把握して、徹底した対策を講じていくつもりでございます。
○中井委員長 前田大臣、全く余分だけれども、こんなところに「逸走」と、こんな使わぬ言葉は使わぬ方がええよ。だれもわからぬし、読まない。「逸走」と書いてある。
○前田国土交通大臣 これは去年の、何か税制調査会に示された資料のあるところを、委員において編集されたものだと思います。
○中井委員長 これ、国交省で使っているんでしょう。佐々木先生に言われなかったらわからない。これは変えた方がいいな。(前田国務大臣「承知しました」と呼ぶ)
 佐々木君、余分なことを言って済みません、たびたび。
○佐々木(憲)委員 いえいえ。こんな難しいことを言われたって、国民はわかりませんよ、これは大体。要するに、客が逃げるということなんだよ。
 その結果、客が、つまり、消費税が増税されると、それを運賃に上乗せせざるを得ない。上乗せすると、お客さんが逃げて、その分減収になるんです。しかし、納税しなきゃいかぬ。だけれども、減収になるから、赤字が拡大してやっていけなくなる。全国で赤字の乗り合いバスはたくさんありますよ。赤字の方がほとんどじゃないですか、大臣。そういう状況の中で転嫁するとそういう事態になる。
 では、転嫁しない場合はどうなるかというと、全部利益から出さざるを得ないんです。そうなると自己負担になって、それ自体が結果的には経営を破綻させてしまう。そういうのが現状じゃないんですか。消費税を転嫁しても転嫁しなくても経営が悪くなる、こういうことになるんじゃないですか。
○前田国土交通大臣 もちろん、委員御指摘のように、非常に厳しい状況に今バス経営というのはあります。これは、消費税増税ということになればますます厳しくなるわけですが、現状においても本当に厳しい状況にある。これを根本的に何とか、公共交通の確保ということで、持続可能なコンパクトシティーというような方向を目指して、まちづくり、公共交通の再編ということも考えておりまして、そういう意味で交通基本法等も今御議論をいただこう、このように考えているところであります。
○佐々木(憲)委員 これは本当に大変な事態で、コンパクトシティーをつくったら負担がなくなるんですか。そんなことないでしょう。消費税の増税が厳然として実行された場合には払わなきゃいけないんですよ、納税者は業者ですから。その分は転嫁するか、自分が負担するかしかない。自分が負担したら経営がだめになる、転嫁したらお客さんが減って、収入が減ってだめになるんだ。総理、これはもうどっちに転んだって、消費税増税したら破綻するということになるんじゃないですか。ほかのやりようがないでしょう。
 しかも、これはバスだけじゃありません。国交省の資料によるとタクシーもそうだ。タクシーも消費税の転嫁は事実上困難、これを税調に出したんですよ。船もそうです。船も消費税の転嫁は事実上困難、国交省がそれを出して、税調はそれを無視して消費税増税を強行する。
 おかしいんじゃないですか。こういうやり方を、今あなた方の政権は国民に押しつけようとしているわけであります。その結果、住民の足である路線バスもやっていけない、タクシーも船もだめ、こういう状況になって、高齢者の生活もさらに破壊される、事業者の営業もだめになる、地域経済がますますずたずたにされるということになるわけです。消費税増税というのは、生活のあらゆる面に悪影響を及ぼすことになるわけです。
 私は、この際、こういう消費税大増税に頼るやり方はもうやめるべきだと。先日、私ども日本共産党が発表しました提言は、無駄の一掃、大企業、富裕層の応分の負担等々、具体的な提案をしております。この場で志位委員長が総理にも手渡しをいたしました。そういうことによって、12兆から15兆の財源確保ができるということを私どもは提案をしているわけであります。
 消費税増税をこの際やめて、新しい方向に転換をする、そうしてこそ危機打開ができるということをここで強調して、もう特に答弁を求めてもしようがないので……
○中井委員長 まだちょっと時間がありますから、しゃべらせてやってくれますか。(佐々木(憲)委員「しっかりと」と呼ぶ)
○野田内閣総理大臣 せめて答弁ぐらい聞いてもと思いますが。
 消費税が全て悪という前提に立っていらっしゃいますけれども、世界の国々で百数十カ国が付加価値税、消費税を導入しています。5%というのは、まさに世界の中で三つぐらいしかありません。
 転嫁の問題はあると思います。だけれども、それはあらゆる国が克服しているテーマであります。企業の力関係だとか、いろいろあるでしょう。そこは改善をしていかなければなりませんが、では社会保障をどうやっていくのか。これは、やはり現役世代の所得税や保険料に、過重に負担をしてやっていくわけにはいかないんです。そうすると、全ての世代が担い合うという消費税が一番正しいと私は思っております。見解の相違かもしれませんが。
○佐々木(憲)委員 最後に言っておきたいんですけれども、今、何か、日本の消費税だけが低くてほかが高いんだと言っていますけれども、国税分でいうと、日本が4%ですね、イギリスが17、イタリア20、デンマーク25、確かにそういうふうに見える。しかし、実態は、税収に占める比率は、日本24・4、イギリス22・4、イタリア23・4、デンマーク29・3、ほとんど変わらない。ですから、今の総理の答弁は、何回もそういう答弁をしていますけれども、それはごまかしがあるということを最後に言っておいて、質問を終わらせていただきます。

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