税制(庶民増税・徴税) (消費税, 法人税, 大企業減税, 災害支援, 社会保障・税一体改革)
2012年03月08日 第180回 通常国会 財務金融委員会 【663】 - 討論
大企業優遇を盛り込んだ租特法案に反対
2012年3月8日、衆院本会議で、一部の大企業への優遇措置が盛り込まれた租税特別措置法案と東日本大震災復興特別会計の改定法案が賛成多数で可決。日本共産党は反対しました。
本会議に先立つ財務金融委員会で、佐々木憲昭議員は、政府への質疑、総理ヘの質疑、討論に立ちました。
反対討論の中で、佐々木議員は、研究開発減税の上乗せ特例措置の延長は「ごく一部の大企業に対する優遇措置だ」と指摘し、2012年度の減税額のうち98%が一部大企業向けだとして「中小企業の技術開発にも支援が届く改正が必要だ」と強調しました。
そのうえで、民主党政権が特定の企業や団体への租税特別措置について、廃止も含め検討するとしていた方針にも反すると批判しました。
また、多額の国債発行まで行い消費税増税法案の提出も計画しておきながら、大企業優遇措置を続けることは認められないと主張しました。
震災復興特別会計については、民主党マニフェストの破たんを際立たせようとする自民党の要望で設置されたものです。
しかも、特会収入が制約となり復興事業予算が制限される可能性があると指摘しました。
さらに、自衛隊輸送機8機の購入費が計上されたことも「復旧・復興と関係ないものまで紛れ込ませるのは言語道断だ」と批判しました。
また、民主党が巨額のムダ遣いの温床であると指摘してきた特別会計を見直すどころか「悪弊が引き継がれている」とのべました。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党を代表して、租税特別措置法等一部を改正する法律案及び特別会計に関する法律の一部改正案について、反対討論を行います。
租税特別措置法等一部を改正する法律案に反対する理由は、本法案に、研究開発減税の上乗せ特別措置の延長や海外投資等損失準備金の延長など、ごく一部の大企業に対する優遇措置の単純延長が盛り込まれていることであります。
研究開発減税の特別措置は、2012年度の減税額のうち98%が大企業へのもので、しかも、たった467社への恩恵となっているのであります。支援すべき中小企業の利用はたった3億円にすぎません。研究開発への援助をするなら、7割が赤字法人である中小企業の技術開発にも支援が届く制度への改正が必要であります。また、海外投資等損失準備金にしても、約50件程度の申請見込みであり、まさに一部の大企業への優遇措置であります。
民主党政権は、特定の企業や団体への租税特別措置は実質的な補助金であり、適用状況を明らかにした上で恒久化もしくは廃止すると主張していたはずであります。今回の研究開発減税の特別措置の単純延長は、その方針にも反するものであります。多額の国債発行でしか成り立たない予算を提出し、さらに消費税増税法案の提出を計画しておきながら、このような大企業優遇措置の単純延長、温存は認められません。
なお、本法案には、給与所得控除の上限設定や福島復興再生特別措置など、評価できる内容も盛り込まれていますが、総合的に判断して、本法案に反対の態度をとるものであります。
次に、特別会計に関する法律の一部改正案、つまり東日本大震災復興特別会計の設置についてです。
この特別会計は、自民党の要望で入ったということであります。
反対する理由は、子ども手当の削減などを特会の収入に明記することで民主党マニフェストの破綻を際立たせようとする意図が見え見えであり、三党の密室協議によって合意されたことであります。さらに、復興財源確保法に基づく特会収入が制約となり、被災地が求める復興事業の予算が制限される可能性もあります。
当委員会でも明らかにいたしましたが、本特会が管理する復興財源予算には、老朽化した自衛隊輸送機五機の更新で八機購入するなど、被災地の復旧復興と関係ない予算まで紛れ込ませているのは、言語道断であります。
民主党は、インデックス2009で、各省庁の隠れた財布となって、巨額の無駄遣いの温床となっており、特別会計をゼロベースで見直すと言っていたのであります。ところが、本特会では、その悪弊が引き継がれております。
民主党に猛省を求め、反対討論を終わります。