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税制(庶民増税・徴税), 金融(銀行・保険・証券) (消費税, 大企業減税, 関税・EPA(経済連携協定)・TPP, 社会保障・税一体改革)

2012年03月02日 第180回 通常国会 財務金融委員会 【657】 - 質問

研究開発減税の恩恵は0.06%の大企業に集中/かんぽ生命をTPP対象にするな

 2012年3月2日、佐々木憲昭議員は、財務金融委員会で、大企業優遇の研究開発減税とかんぽ生命がTPPの対象になりかねない問題について取り上げました。

 まず、佐々木議員は、大企業を優遇する研究開発減税の中止を求めました。
 安住淳財務大臣は、「幅広く活用されている」(2月21日、本会議)と答弁しています。
 しかし、佐々木議院は「減税を受けるのは黒字の企業だけで、赤字企業は対象外。中小企業の73%は赤字企業だ」と指摘しました。
 国内企業約262万社のうち、減税されるのは0.06%の企業だけで、「特定の大企業向け減税はやめるべきだ」と主張しました。
 安住大臣は「成長の礎となり、合理性はある」と答弁しましたが、佐々木議員は「大企業は260兆円もの内部留保があり、研究開発の財源はたくさんある。同じ金額を使うなら中小企業の技術開発に回す方が経済の底上げになる」と強調しました。
 安住大臣が、消費税率を2015年10月までに10%へ引き上げるとした「一体改革」大綱の中身を「そのまま法案に書き込む」と述べたのに対し、佐々木議員は「公約違反」を指摘しました。
 また、消費税を引き上げないと公約していた国民新党の自見庄三郎金融担当大臣が「大綱」の閣議決定に署名したことを批判しました。
 そのうえで「法案に『大綱』がそのまま盛り込まれる。反対できるのか」と追及しました。
 自見大臣は「仮定の話だ」とごまかしたのに対し、佐々木議員は「反対できないなら、変節であり国民への裏切りだ」と指摘しました。



 佐々木議員は、かんぽ生命の規制緩和を議題にしようとする米側の動きに対してきっぱり拒否するべきだと主張しました。
 佐々木議員は、外務省が米側の対日要求などをまとめた「TPP協定において慎重な検討を要する可能性がある主な点」に言及。同文書には、かんぽ生命に関して米側から「追加的な約束を求められる場合には、慎重な検討が必要」と書かれていることをあげて、「追加的な約束」とは何かとただしました。外務省担当者は「かんぽ生命と民間事業者との対等な競争条件の確立だ」と答弁しました。
 佐々木議員は、米政府が今年2月に集約したTPP協定の対日要望に関する米日生命保険協会の意見書を示し、かんぽ生命の規制緩和要求の背景には、保険市場への参入をねらう米生命保険業界の要望があると強調。「かんぽ生命はTPPの対象になる可能性がある。きっぱり拒否するべきだ」と求めました。
 自見庄三郎郵政担当大臣は「現段階で紹介された米業界団体の意見は米政府の立場ではない。かんぽ生命の完全売却は求められていない」とごまかすのみ。佐々木議員は、まだ決まっていないだけにすぎないと指摘し、「国内政策は国民、政府が決めるものであり、米側の要求は内政干渉だ」とのべました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 きょうから法案の質疑が始まったわけでありますので、最初に法案についてお聞きしたいと思います。
 提案されております租税特別措置法案、この中に、研究開発減税の上乗せ部分の2年間延長というのがあります。この点を私は、先日、本会議で財務大臣にお聞きしましたが、その際、財務大臣は、平成21年度、大企業で512件、中小企業で1019件の適用があり、幅広く活用されている、こういうふうにお答えになったわけです。
 確認したいんですが、日本の法人数は幾らありますか。
○安住財務大臣 261万7064社、平成21年度分。会社標本調査によると、そうなっております。
○佐々木(憲)委員 日本の企業数は約262万社ですね。
 適用されたのは、大企業、中小企業合わせて1531社であります。全体のわずか0・058%でありまして、しかも、減税が受けられるのは黒字企業だけではないんですか。
○安住財務大臣 御指摘のとおり、税額控除の制度があることから、法人税額の発生する黒字法人が適用を受けるということです。
○佐々木(憲)委員 中小企業は約73%が赤字でありますからね。赤字でありながら研究開発を行っている企業、これは対象外になるわけです。金額で見ると、大企業と中小企業、それぞれ幾らでしょうか。その比率は幾らでしょうか。
○安住財務大臣 平成21年度分の統計調査によりますと、研究開発税制における増加型等に係る措置については、まず、中小法人は1019件で5億6千万、大法人は512件で117億6400万の適用があったというところでございます。
○佐々木(憲)委員 その比率を言いますと、全体の中でのパーセントは、中小企業が4・2%なんですよ。大企業が88・6%、約9割なんですね。ですから、全体の適用企業というのは0・058%、非常にごく微々たる数字でありますし、それも、そのうちの9割を大企業が独占しているわけです。
 どう見ても、これは一握りのもので利用されているだけであって、幅広く活用されているというふうにはとても思えない。ですから、こんな幅広くなんという評価は、これはやめた方がいいんじゃないですか。
○安住財務大臣 増加型、高水準型の研究開発税制は、研究開発投資の増加等を目的とするものであることから、現に研究開発を行っている法人が対象であり、また、黒字法人のみが適用されている。大体それは想定されているところです。
 そうした政策税制措置には合理性が求められますが、厳しい事業環境の中で経済の下支えを図る観点から、将来の成長の礎となり、経済波及効果も期待し得る研究開発投資を税制上の措置で、これは先生、支援をするというのがこの趣旨なので、私は、十分な合理性はあると思います。
 また、適用額は大企業に偏っていて大企業優遇ではないかというふうに先生からいつもお叱りを受けるんですが、これはやはり、大企業と中小企業では、当然、それは投資の規模というのは違ってきて、適用額だけをもって大企業優先だ、優遇だということではないと思っておりますので、適用件数は、中小企業も研究開発水準に応じた税負担の軽減を十分に裨益していると言えるものだと思いますので、何とか御理解いただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 これは何度聞いても理解できないんですけれども、やるなら同じ金額で、中小企業が幅広くこれを受けられるような仕掛けをつくるということを考えないと。大企業は今、内部留保だって260兆あるんですよ。研究開発の財源はたくさんありますよ。しかし、中小企業が困っているわけです。赤字の中で、しかも製品開発をやらなきゃいけない、技術開発をやらなきゃいけない。なかなかその財源が出てこないんですね。そういうところに、かゆいところに手が届くような対策を打つ。同じ金額を使うなら、それをやった方がよっぽど日本経済の底上げになるわけですね。そういう発想が必要だということを私は言っているわけです。
 次に、社会保障・税一体改革について聞きたいと思うんですが、この法案化というのは、いつ、どのようなテンポでやるつもりでしょうか。
○安住財務大臣 先月の17日に閣議決定した大綱の法案化ということですよね。今月中に、今、私どもで法制局等との調整をして、政府として法案の作成準備をしておりまして、3月中に法案を提出できるよう準備をしております。それが整った段階で、法案の提出に関し、総理や党の御判断をいただくことになるんじゃないかと思っております。
○佐々木(憲)委員 これは、総理の答弁をお聞きしていますと、最初に消費税の増税法案をつくり、それから、社会保障については順次できたところから法案化していくという話がありましたが、そういうことなんですか。
○安住財務大臣 つまり、同じ日にそれらの関連法案を全部出さなければ一体改革ではないというふうな御主張に対して、総理からは、順次出していくので、これは問題がない、たしかそういうQTだったと思うんです。
 事実、例えば、先生のところはなかなか賛成していただけないんですけれども、交付国債の、まず最初の法案はもう既に閣議決定して出しました。それから、子ども・子育て新システムに関連する法案も、年度内には出そうということで今やっております。
 ただ、時差があるというか、時間を置いてさらに随時出していくので、そうした点からいえば、私は、一体改革の関連法案はほぼこの国会の中で、時間の差はあるものの、提出できるのではないかと思っております。
○佐々木(憲)委員 では、全部3月中に出すということ……(安住財務大臣「いやいや、そうじゃない」と呼ぶ)そうじゃないんですか。
 消費税がついに法案になる、それは3月の中旬ごろにという話を聞いていますけれども、そうしますと、何となく増税だけが先行するんじゃないか、こういう印象を与えるわけであります。
 では、大綱と法案の関係についてお聞きしたいと思うんですが、大綱には、「消費税について2014年4月に8%、2015年10月に10%へと、段階的に地方分を合わせた税率の引上げを行う。」というふうに書かれておりますね。
 この部分を法案にするときに、この増税プラン、増税のテンポといいますか、これは変えるんですか、変えないんですか。それをお聞きしたいと思います。同じなんですね。
○安住財務大臣 大綱で決定したとおりで、そこの数字の部分は、段階的引き上げについては、そのまま法案に書き込みます。
○佐々木(憲)委員 それで、消費税の増税ということをこれでやろうとしているわけだけれども、民主党は、マニフェストには消費税増税をやるとは書いていない、書いていないことをやるというのは公約違反じゃないか、それから、選挙中の言明、4年間は上げない、こういう公約にも違反している、我々はそのような指摘をしてまいりました。
 では、自見大臣にお聞きしますけれども、国民新党は2009年8月の総選挙のマニフェストで、消費税についてはどういう政策を掲げましたか。
○自見金融担当大臣 平成21年度の政権交代を実現した選挙において、民主党、社民党と国民新党の三党の共通公約として、今回の選挙において負託された政権担当期間中においては税率引き上げは行わない旨掲げさせていただいていましたが、そのことは、この政権担当期間の後の消費税の税率の引き上げについて議論をすることを禁じているものではないというふうに思っております。
 こうした中で、政府・与党社会保障改革本部での議論を経て、経済状況を好転させることを条件に、2014年以降の消費税率の段階的引き上げを含む大綱を閣議決定したという話でございますが、これは公約に矛盾するものではないというふうに思っています。
○佐々木(憲)委員 マニフェストにどう書いたかと私は聞いているんですよ。マニフェストに書いた政策は、消費税の増税はしない、引き上げないと。これが国民新党のマニフェストでしたね。
○自見金融担当大臣 国民新党というよりも、これは選挙の、たしか一週間ぐらい前だったと思いますが、2年半前でございますが、8月14日に三党の共通政策を出しましたが、その中にも以上のような点を書いております。
○佐々木(憲)委員 三党はもちろんだけれども、そういうふうに書いていますけれども、国民新党独自の政策は先ほど紹介したとおりであります。
 大綱を閣議決定したんですよね。この大綱には自見大臣は署名をされましたね。つまり、先ほど御紹介をしました、2014年4月から8%、2015年10月から10%にする消費税増税のこの大綱に賛成の署名をしたわけであります。消費税を引き上げるということを認めたわけですから、この三党合意あるいはマニフェストに違反する、そういう行為を行ったということになるんじゃありませんか。
○自見金融担当大臣 佐々木先生に今さっき申し上げましたように、この政権担当期間内の後の消費税の引き上げについて、論議、いろいろ議論することを禁じるものじゃないというふうに考えております。
 ですから、これは総理も国会でも何回も答弁をしておられますけれども、2014年以降、もう衆議院の任期が過ぎてからでございますけれども、消費税の段階的引き上げを含む大綱を決定したのであり、公約に矛盾するものではないというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 自見大臣は今まで、例えば昨年の成案、それからことしに入ってからの素案、これを閣議決定していない理由について、国民新党が消費税増税に反対だから閣議決定がされなかったんだ、こういうことを言われた。私たちの立場を尊重していただいたと。しかし、今回は閣議決定なんですよ。しかも、大綱の中には、消費税を上げる、こういうことを書いた大綱に署名をしたわけですね。だから、今まで言っていることと全然違うんじゃないですか。
 では、法案になったときにはこれに賛成する、当然そういうことになりますよね。
○自見金融担当大臣 先生御指摘のとおり、昨年6月30日に政府・与党社会保障改革検討本部において決定され、翌7月1日に閣議に報告されました社会保障・税一体改革成案については、その時点においては、国民新党としては本成案を閣議決定することには賛成できない旨、答弁したことは事実であります。
 しかしながら、今回の大綱については、その後非常に熱心な、政府・与党社会保障改革本部、これは国民新党から下地幹事長と亀井政調会長が正式のメンバーとして入っておりますが、これの議論を経て閣議決定を行ったものであり、国民新党としては正式に了承したものであるというふうに思っております。
 もう一点、先生の御質問の中に、大綱と、要するに法律が出てきた場合どうするのかということでございますが、その点については、やはり、国会の本会議場でも私はお答えさせていただいたように、これは仮定の問題でございますから、今答えるのは私は政党人として適当でないというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 この大綱に書かれている消費税増税については正式に了承したということでありますから、明らかに今までの態度を変えたということでありまして、国民に対してはこれはもう裏切り行為であり、まさに変節なんですよ。
 それで、そのまま大綱を法案化すると先ほど財務大臣がおっしゃいました。そのまま法案化するんだから、これは、大綱に賛成したら法案に賛成。大綱に賛成して法案に反対するということもあり得るんですか。
○自見金融担当大臣 今後、消費税増税に係る法案が閣議決定されようとするときの賛否については、今さっきも申し上げましたように、仮定の話であり、お答えすることは適当でないというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、消費税の増税は大変重要な問題でありまして、その具体化に当たっては、今後大綱に対して寄せられる稟議等も踏まえて、さらに多角的、多面的に検討して議論を尽くす必要があるというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 民意を踏まえて対応するということは、大綱に対しては賛成したけれども、法案に対しては、その民意を尊重した結果、反対することもあると。これは極めて一貫しない支離滅裂な話になるけれども、反対し得る、する余地がある、そういう答弁だということですね。
○自見金融担当大臣 賛否でございますから、賛否については、仮定の話であり、お答えするのは適当でないというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 これは国民新党の態度として非常に支離滅裂な態度で、成案には反対だ、素案も基本的には反対なんですよ。だけれども、素案をそのまま大綱にしたら、今度は賛成になっちゃった。今度それを法律化する、法案化する、そのときの賛否はまだわからぬと。全く同じ大綱を全く同じ法案にするんですよ。
 国民新党というのは何を考えているのかよくわからないですね。法案のときの態度を我々は注視していきたいと思います。
 続けて、自見大臣にTPPの関連で若干確認をしたいと思います。
 外務省の文書で、金融サービス分野でさまざまなことが書かれております。その中には、昨年11月に公表されました「TPP協定において慎重な検討を要する可能性がある主な点」という文書がありまして、その中で、金融サービス分野で「我が国との二国間の協議において提起されている関心事項(郵政、共済)について、追加的な約束を求められる場合には、慎重な検討が必要。」と書かれているわけです。
 外務省に確認したいんですが、この文書は事実ですね。
○香川政府参考人(外務省大臣官房審議官) お答え申し上げます。
 アメリカが去年の11月に、TPPの今の現状のアウトラインというのを公表しておりますけれども、その中で保険分野について書かれていることは、先生がおっしゃるとおりでございます。
○佐々木(憲)委員 もう一つ確認したいのは、去年の10月25日で外務省が作成した仮要約の中で、「2011年米国通商代表(USTR)外国貿易障壁報告書」というのがありまして、そこでかんぽ生命についても取り上げていますね。
 かんぽ生命についてアメリカ側が要求している追加的な措置というのは、どういう内容でしょうか。簡潔に、外務省に要約的に説明していただきたいと思います。
○香川政府参考人 お答え申し上げます。
 アメリカがかんぽ生命について求めているというのは、基本的には、かんぽ生命と民間事業者との対等な競争条件を確立するということだというふうに理解しております。
○佐々木(憲)委員 これは、アメリカ側の日本に対する要望として、そういうことを言ってきているわけですけれども、これは私は、簡単に言うと内政干渉じゃないかと思うんですね。国内政策はその国の国民、政府が決めるものであって、それに対して、一々ああしろ、こうしろと言ってくるのは非常に問題があるというふうに思います。この背景にアメリカの生命保険協会の要望がありまして、その要望の中身も外務省の文書の中でも出ているわけです。
 自見大臣にお聞きしますけれども、かんぽ生命に対して、TPPの交渉の対象として取り上げられるという可能性が出ているわけです。私は、こんなものはきっぱり拒否しないといけないと思うんですが、大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
○自見金融担当大臣 佐々木憲昭議員にお答えをいたします。
 我が国の郵政改革について、御指摘のとおり米国が関心を有していることは承知をしておりますが、TPP協定の参加にかかわる関係国の具体的な関心事項や要望は協議の過程とともに明らかになっていくものと考えておりまして、現段階では、7日に行われた局長級会談においても、これはもうあくまでアメリカの保険分野などの業界団体の意見の紹介があったということでございまして、これが米国政府の立場というものではなく、今後も引き続き協議を行うもの、そういう報告をいただいております。
 また、21、22日に行われました実務者協議においても、米国からTPPについての各分野の交渉の現状について説明があったが、保険についての具体的要望等はなかったというふうに仄聞をいたしております。
 いずれにいたしましても、現在政府が提出しております郵政改革関連法案は、郵政事業の自主性を尊重しつつ、同種の業務を行う事業者等の競争条件の公平性に配慮した制度となっております。
 特に、先生も御存じと思いますが、例えば、ジュネーブで22年の5月21日、これはEUとアメリカの大使から申し入れがございましたが、日本郵政の民営化の是非については、日本が決定すべき事項であり、中立的な立場を維持するとしつつも、その改革の結果、日本郵政が民間企業に比べて優越的取り扱いを受けているとの意見に対処をされていないのじゃないかという遺憾の意を表されました。
 私も、駐米大使の訪問も郵政改革担当大臣として受けましたが、はっきりそのときも、やはり中立的な立場だということでございました。日本郵政の民営化の是非については、中立的立場を維持する旨、表明しておられました。
 ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険株式会社を完全売却すべきだといったことは求められていないというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 TPPの対象になりかねない状況にあるわけです、まだ決まっていないんだから。
 アメリカ側は、再三にわたって二国間交渉の中でこれを取り上げて、ああしろこうしろと言っているわけです。取り上げられて対象にされる、そういうことに対して、自見大臣として、大臣としてそういうことにならないようにこれを拒否する姿勢があるのかどうか、この点を確認しておきたいと思います。
○自見金融担当大臣 今さっきも私は答弁したつもりでございますが、いずれにしても、現在政府が提出しております郵政改革関連法案においては、欧米が心配しております同種の業務を行う事業者との競争条件の公平性、これはWTOの精神でございますから、ここのところは非常に気を使って公平性に配慮した制度設計となっているところでございまして、そういった意味で、郵政改革については、野田総理も、内閣を挙げて、郵政改革の今国会での実現に全力を尽くしていく所存と述べておられるところでございますから、1日も早く与野党間の協議がまとまることを期待いたしております。
○佐々木(憲)委員 与野党間の協議の話を聞いているわけじゃないんですけれどもね。
 どうも、自見大臣の姿勢が当初から随分変わったなという感じがするんですよ。最初は、郵政担当大臣として、アメリカに日本の郵政民営化を迫られるというのはけしからぬとえらい何かかんかんになって怒っていましたよね。ところが何か最近は、相手はそんなこと言っていないだろう、いや、そういうことにならぬだろうというようなことで、何かえらい、拒否するとさえも言えなくなっている。何か姿勢が大分後退して、どうでもいいやという感じになってきているんじゃないか。おかしいんじゃないですか。私は、これは自見大臣とも思えない、非常に大きな変化があなたの中に起こっている、このことを指摘しておきたいと思います。
 それから最後に、もう時間がありませんので、AIJの問題については、もう既にいろいろ質疑がありました。もう時間がないので余り言いませんけれども、一つだけ、厚労省に来ていただいたんですが、時間がありませんので、申しわけないですが、きょうは質問はできませんので、金融庁に確認をしておきます。
 今、265社の一斉調査を行っておりますが、これは、共通の項目を一斉に問いただしているというふうに聞いております、何項目かにわたって。これで、例えば以前のAIJのように虚偽報告をしたような場合に、何をもってそれを発見し、何をもって摘発できるのか、これをお聞かせいただきたい。
○細溝政府参考人(金融庁監督局長) 2月29日に全ての投資一任業者265社に報告徴求命令を発出しました。
 それで、従来から報告を求めている事項につきましては直近時点に修正してもらうという項目のほか、新たに、年金基金などの顧客属性、それから顧客ごとの契約内容、運用方針、運用戦略、契約金額や運用成果の状況、外部監査等の有無、顧客トラブルの状況などの報告を求めております。
 これは、どうしてそういう報告を求めるかというと、年金基金の割合ですとか運用スキームですとか顧客トラブルですとかといったさまざまな観点から絞り込んで、より深度の深い二次調査をやりたいということで、今265社全社に調査をしておるということでございまして、その二次調査でより詳細な深度のある調査をしたいというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 これまでの制度ですけれども、年に一回、投資顧問会社が金融庁に事業報告書を出しておりますが、その記載事項を見ますと、契約件数とか運用資産総額等が書かれておりますが、例えば、肝心な具体的な運用益とか、そういう部分の記載は義務づけられていないんですよね。AIJのこの報告書を見ましても、その項目はありません。これは一体、報告項目としては非常に欠陥があるんじゃないかというふうに思います。
 それで、最後に、これは引き続き詰めていきたいと思っておりますが、時間がありませんので。
 委員長、先ほどから集中審議、参考人要求が出ております。私も、AIJ投資顧問株式会社の代表取締役浅川和彦氏、それから、AIJに委託している企業年金、幾つかありますけれども、そのどなたか代表をですね、それから日本証券投資顧問業協会の会長、企業年金連合会の会長、これを参考人としてぜひ呼んでいただきたいと思いますので、検討していただけませんでしょうか。
○海江田委員長 理事会で検討いたします。
○佐々木(憲)委員 以上で終わります。

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