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税制(庶民増税・徴税), 財政(予算・公共事業), 雇用・労働, 医療・介護・年金 (消費税, 大企業減税, 予算案, 社会保障・税一体改革)

2012年02月21日 第180回 通常国会 本会議 【653】 - 質問

増税も福祉削減も押しつけ 「一体改革」を批判

 2012年2月21日、佐々木憲昭議員は、衆院本会議で2012年度予算関連の国税・地方税法案に関する質問に立ち、消費税増税や衆院議員定数80削減などを盛り込んだ「社会保障・税の一体改革大綱」についてただしました。

 佐々木議員は、消費税率を10%に引き上げても、社会保障「充実」には5分の1しか充てられず、しかも社会保障の「改悪メニュー」がめじろ押しであり、「国民に消費税増税も社会保障改悪も押し付ける、まさに『一体改悪』だ」と強調しました。
 佐々木議員は、大綱に衆院議員定数80削減を盛り込んだことについて、国会で議論しているさなかに野田内閣が決めて押し付けることは許されないと批判。主権者・国民を代表しているのが国会議員であり、「定数削減で切られるのは国民の声そのものだ。国民の声を切り捨て、国民に増税を押し付ける暴走は断じて許されない」と述べました。
 国家公務員給与削減について佐々木議員は、労働基本権制約の代償措置である人事院勧告制度を踏みにじり、大幅な賃下げを押し付けることは二重の憲法違反であり、官民労働者の賃下げの悪循環を招き、内需を冷え込ませるだけだと批判しました。
 佐々木議員は、公債依存率は昨年より増えて49%となり、赤字公債も過去最大であった昨年を上回っていることに言及し、今やるべきことは、ムダ削減と富裕層や大企業優遇の不公平税制を改めることだと強調。消費税に頼らず12兆〜15兆円の財源を確保できると示した日本共産党の「提言」の方向でこそ危機打開ができると主張しました。
 野田佳彦総理大臣は、社会保障改悪について「現時点では決定していない」などとごまかし、民意を削る議員定数削減について「国民を代表する機能は定数によって左右されない」と居直りました。

議事録

○佐々木憲昭君 私は、日本共産党を代表して、予算関連国税・地方税法案等について質問いたします。(拍手)
 初めに、社会保障・税一体改革についてお聞きします。
 野田内閣は、先週末、社会保障・税一体改革大綱を閣議決定いたしました。これは、先月閣議報告された素案とどこが違うのでしょうか。消費税の大増税も、社会保障の改悪も、そのままではありませんか。
 消費税を10%に引き上げて国民の懐から新たに13兆5千億円も取り上げながら、社会保障の充実には五分の一の2兆7千億円しか回さない、あとは安定のために使うというのが政府の説明です。
 ところが、大綱を見ると、そのわずかな充実さえ帳消しにする改悪メニューがメジロ押しであります。
 物価スライドなどを理由とする年金の削減、医療の窓口負担の増加、介護保険利用料の負担増、子ども手当の削減、これだけでも2兆7千億円になります。これによって、野田内閣の言う充実部分は完全に吹き飛んでしまうではありませんか。
 それだけではありません。年金の支給開始年齢を68歳、70歳に先延ばしされたら、さらに6兆円から10兆円の支給削減になるのであります。我が党の志位委員長の予算委員会での指摘に対して、野田総理はその事実を否定できませんでした。
 国民に消費税大増税も社会保障改悪も押しつける、まさに一体改悪であります。こうした内容がわかるにつれて、多くの国民が反対の声を上げているのであります。それでも、野田総理は、一体改悪を国民に押しつけるつもりでしょうか。
 自見大臣にお聞きします。
 前回の総選挙で、国民新党は、消費税は引き上げないとマニフェストに掲げたにもかかわらず、あなたは、なぜ、消費税増税を含む大綱を閣議決定する際、署名したのでしょうか。
 NHKの討論会で、亀井政調会長は、消費税増税は実現不可能な内容だと判断し黙認したなどと意味不明な発言をしました。閣議決定に黙認という態度がありますか。署名したということは、賛成したということではありませんか。国民に対する重大な背信行為だと言わなければなりません。
 自見大臣は、これまで、財務金融委員会で私の質問に対して、消費税増税には反対だと答弁してきました。大綱に賛成しておきながら、それを具体化した法案に反対できるはずがないではありませんか。明確にお答えをいただきたい。
 さらに重大なのは、大綱に議員定数削減を書き込み、「衆議院議員定数を80削減する法案等を早期に国会に提出し、成立を図る」としていることであります。とんでもない話であります。
 選挙制度は、議会制民主主義の根幹をなす問題であり、政治的立場を超え、真摯に議論して国会が決めるものであります。まさに今、各党が参加する協議会で議論しているさなかであります。それを、なぜ、野田内閣が勝手に決めて、国会に押しつけるのでしょうか。直ちに撤回することを強く求めます。
 しかも、大綱は、「消費税率引上げまでに、国民の納得と信頼を得るため」と、消費税増税を押しつける地ならしとして位置づけているのであります。増税と議員削減は全く別の問題であるのに、関連づけることは筋違いではありませんか。
 日本国憲法は、政府の行為によって惨禍が起こることのないようにすると決意して、主権が国民に存することを宣言しております。その主権者国民を代表しているのが国会議員なのであります。したがって、国会議員の定数削減によって切られるのは、国民の声の伝え手であり、国民の声そのものではありませんか。しかも、国民の声を切り捨てておいて国民に増税を押しつけるという政府の大暴走を断じて許すことはできません。答弁を求めます。
 次に、消費税増税のもう一つの地ならしとされている国家公務員給与削減についてです。
 労働基本権制約の代償措置である人勧制度さえ踏みにじり、来年も再来年も公務員労働者に不利益となる大幅な賃下げを押しつけることは、二重の憲法違反であり、許すわけにはまいりません。これは、官民労働者の賃下げの悪循環を招き、内需を冷え込ませるだけであります。直ちに撤回すべきではありませんか。
 大体、賃下げの理由として、一昨年は財政再建と言い、昨年は復興財源と言い、ことしは消費税増税の地ならしとしての身を切る改革と言う。理由が二転三転しているのであります。このことは、賃下げがいかに道理がないかを示しているのではありませんか。
 提案されている租税特別措置法案には、3月末に期限を迎える研究開発減税の上乗せ特別措置の延長や海外投資等損失準備金の延長が盛り込まれております。しかし、民主党は、特定の企業や団体への租税特別措置は、実質的な補助金であり、運用状況を明らかにした上で、恒久化もしくは廃止という方針を掲げていたはずであります。
 今年度の研究開発減税は、98%が大企業向けであり、わずか467社の大手企業のみが利用する見込みであります。海外投資等損失準備金に至っては、約50件程度であります。まさに、ごく一部の大企業への優遇措置であります。
 特定の大企業への実質補助金と化しているこうした措置は、直ちに廃止すべきではありませんか。
 次に、来年度の地方財政計画についてです。
 政府は、地方の歳出を国と基調を合わせて抑制するとした一昨年6月の財政運営戦略に基づいて、一般行政経費、人件費、投資的経費を削減しています。
 とりわけ、一般行政経費単独では、社会保障関係経費以外の削減枠を設けています。社会保障関係経費以外の枠で幾ら削るのでしょうか。その根拠、基準は一体何でしょうか。社会保障改悪と貧困の拡大によって増加せざるを得ない国保会計への一般会計繰り入れや就学援助などの抑制につながるのではありませんか。
 これでは、住民の福祉を守る自治体の役割を果たすことはできません。答弁を求めます。
 公債特例法案について言えば、2012年度予算案の一般会計の歳入総額90・3兆円のうち、公債金額44・2兆円に対して税収は42・3兆円にとどまっており、公債依存率は、昨年よりもふえて、49%となっています。しかも、公債金額のうち、赤字公債は38・3兆円であり、過去最大であった昨年度をさらに上回っているのであります。総理は、その責任をどう感じているのでしょうか。
 今やるべきことは、八ツ場ダムなどの無駄な大型開発や米軍への思いやり予算の削減、原発推進予算の大幅削減、政党助成金の廃止などの歳出の改革であります。歳入では、富裕層や大企業優遇の不公平な税制を改めることではありませんか。
 日本共産党が先日発表した提言は、12兆円から15兆円の財源確保ができることを具体的に示しております。この方向でこそ危機打開ができる、このことを強調して、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇〕
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 日本共産党佐々木憲昭議員の御質問にお答えいたします。
 まず、一体改革に関し、大綱と素案の違いや改革の内容、国民への押しつけについての御質問をいただきました。
 先般閣議決定した大綱は、素案から、一部、法案提出等に伴う時点修正など、形式的な修正は行っておりますが、基本的には素案と同様の内容となっております。
 具体的には、子育てや若者就労への支援を強化するなど、子供からお年寄りまで全ての国民をカバーする全世代対応型へ転換していくこと、人口構成が変化し、年1兆円規模の国費が増加する中、安定財源を確保することにより持続可能な仕組みをつくることなどの内容を盛り込んでおります。
 その中で、社会保障制度の改革に当たり、制度の持続可能性を維持しながら必要な機能の充実を行うためには、制度の重点化、効率化も行わなければなりません。このため、今回の一体改革では、全体では、公費負担ベースで3・8兆円程度の充実、1・2兆円程度の重点化、効率化を行い、ネットで2・7兆円程度の社会保障の充実を行うこととしております。
 このネット充実額2・7兆円に対して、2・7兆円の社会保障の改悪メニューとの御指摘ではありますが、金額が基本的に給付費全体をベースとしており、比較のベースが一致していないこと、現時点で全く決定していない項目、今後の検討項目なども含めた試算であることに加え、世代間の公平や保険料負担の軽減に資する点も考慮に入れる必要があることなどを踏まえれば、両者を単純に比較することは適当ではありません。この旨、先般の予算委員会における志位議員の質疑においても、年金支給開始年齢の引き上げに関する部分も含め、私及び関係閣僚から答弁をしているところであります。
 いずれにしても、若い世代を含め、国民が将来に不安を持たないようにするため、社会保障の充実、安定化と財政健全化を同時に達成するための一体改革は、どの内閣であっても先送りできない課題であり、国民のため、この国の将来のため、国民の皆様の御理解を得ながら、やり遂げなければならないと考えております。
 続いて、選挙制度改革について、さらに、消費税率引き上げと議員定数削減の関係について御質問をいただきました。
 社会保障と税の一体改革により国民負担をお願いする前に、政治、行政がまず身を切るべきというのが、多くの国民の皆様の思いだと思います。その思いを我々はしっかり受けとめなければいけないと考えております。
 したがって、社会保障と税の一体改革は、政治・行政改革とも一体で包括的に進め、国民の皆様の納得と信頼を得ながら推進していくことが重要であると考えており、さきに閣議決定した大綱では、政府・与党が一致協力して改革を実現させるために、その決意を表明いたしました。
 選挙制度に関しては、国会でお決めいただくことはもとよりのこととして、各党にそれぞれ御意見があることも承知しております。各党協議会において、与野党で胸襟を開いて議論し、早急に結論を得ることを強く期待しております。
 定数削減と国民の声に関するお尋ねがございました。
 国会議員が、国民から選ばれ、国民の声を代弁して議会活動を行うことは、御指摘のとおりと考えます。同時に、国民は、行政のみならず、議会、議員、政治家の別なく、聖域なき改革を求めていると理解をしております。したがって、政治改革の今日的な課題は、一票の格差是正はもとよりのこととして、議員定数の削減も避けては通れない課題と認識をしております。
 議員、政党が国民の声を代弁することは当然のこととして、その機能は議員定数によって左右されるものではないと考えており、各党協議会におきまして成案が得られることを強く期待しております。
 国家公務員給与削減について御質問をいただきました。
 給与臨時特例法案は、我が国の厳しい財政状況と東日本大震災という未曽有の国難に対処するため、臨時異例の措置として、平均約7・8%という厳しい給与減額支給措置を、平成25年度末までの間、講じようとするものであります。
 先日、政党間協議で基本的な合意がなされたと承知しており、ぜひとも早期に成立させていただきたいと考えております。
 公債依存度及び赤字公債発行が過去最大になったことについてのお尋ねがございました。
 平成24年度予算については、公務部門を中心に徹底した無駄の排除に取り組み、中期財政フレームに定められた公債発行額の枠組みを遵守することができましたが、復興財源への活用などに伴い、一般会計における税外収入が大幅に減少したことなどから、公債発行額が44・2兆円、そのうち特例公債発行額が38・3兆円となり、当初予算ベースでの公債依存度及び特例公債発行額については過去最高の水準となりました。
 公債金収入と税収が4年連続で逆転するなど、極めて厳しい財政状況が続いていますが、こうした構造からの転換を図る観点からも、社会保障と税の一体改革を推進することにより、社会保障の安定財源確保と財政健全化の同時達成に向けて取り組んでいくことが重要であると考えております。
 大型公共事業、思いやり予算、原発推進予算、政党助成金などの削減や、富裕層、大企業優遇税制の是正について御質問をいただきました。
 大型公共事業については、予算編成過程で事業内容を精査し、設計、工事の段階でもコスト縮減を徹底することで効率化を図っています。
 在日米軍関係経費については、在日米軍の運用を安定的に支えるために必要な経費と認識していますが、在日米軍駐留経費負担のあり方については包括的な見直しを行ったところであります。
 原子力関係予算については、既存の経費を相当程度縮減する一方で、安全・事故対策等に必要な経費を重点的に計上しています。
 このように、それぞれしっかり精査を行った上で必要な予算を措置しているところであります。
 なお、政党助成制度は、民主主義の発展に重要な意義を持つものと考えていますが、各党各会派で御議論いただくべき問題と考えております。
 富裕層、大企業優遇の不公正税制との御指摘についてでありますが、例えば、23年度税制改正における法人実効税率の5%引き下げについては、我が国企業の国際競争力強化などを通じて雇用や国内投資の拡大を図る観点から実施するものです。また、23年度税制改正において景気回復に万全を期すため2年延長した上場株式の配当、譲渡益等に係る軽減税率については、経済金融情勢が急変しない限り、26年1月から確実に20%の本則税率に戻すこととしております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
    〔国務大臣安住淳君登壇〕
○財務大臣(安住淳君) 佐々木先生にお答えいたします。
 私への質問は、研究開発税制と海外投資等損失準備金の延長についてでございました。
 研究開発税制における増加型及び高水準型に係る措置については、技術革新の促進を通じて成長力の強化を図る観点から、その適用期限を2年間延長することとしたところでございます。なお、本措置については、統計調査によりますと、平成21年度において、大企業で512件、中小企業で1019件の適用があり、幅広く活用されているものと認識をしております。
 また、海外投資等損失準備金については、海外における資源開発に係るリスクへの備えを支援するための措置でございまして、我が国企業における海外での資源開発を促進し、資源の安定確保を図る観点から、その適用期限を2年延長することとしたところでございます。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣川端達夫君登壇〕
○総務大臣(川端達夫君) 佐々木議員にお答えいたします。
 来年度の地方財政計画における歳出の削減等についてのお尋ねがありました。
 来年度の地方財政計画の一般行政経費単独における社会保障関係経費以外の経費については、財政運営戦略を踏まえ国の歳出と基調を合わせて取り組む観点から、概算要求組み替え基準を踏まえ、前年度に比し2・6%減の2131億円を減額しております。
 一方、地方財政計画全体としては、地方の社会保障関係費の増加を適切に計上すること等により、住民福祉の向上を初め、地方の安定的な財政運営に必要となる地方の一般財源総額について、平成23年度地方財政計画と実質的に同水準を確保しているところでございます。(拍手)
    〔国務大臣自見庄三郎君登壇〕
○金融担当大臣(自見庄三郎君) 佐々木憲昭議員から二つの質問をいただきました。
 前者の質問に対する回答でございますが、今回閣議決定した社会保障・税一体改革大綱は、国民新党の下地幹郎幹事長、亀井亜紀子政調会長もメンバーとして加わっている政府・与党社会保障改革本部で議論が行われ、本年1月6日に同本部で決定された社会保障・税一体改革素案とほぼ同じ内容のものであり、私が閣議で署名させていただいたものであります。
 社会保障・税一体改革に関しては党内でもさまざまな論議があったことは事実でありますが、大綱については、こうした手続を経て、党としては正式に了承しているものと理解をしております。
 後者の質問に対する答弁でございますが、今後、消費税増税に係る法案が閣議決定されようとするときの賛否については、仮定の話であり、お答えすることは適当でないと考えています。
 いずれにいたしましても、消費税の増税は大変重要な問題であり、その具体化に当たっては、今後、大綱に寄せられる民意等を踏まえ、さらに多面的、多角的に検討し、議論を尽くしていく必要があるというふうに考えております。
 以上でございます。(拍手)

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