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税制(庶民増税・徴税), 財政(予算・公共事業) (災害支援)

2012年03月06日 第180回 通常国会 財務金融委員会 【659】 - 質問

復興予算で自衛隊機を購入「悪乗りだ」と政府を批判

 2012年3月6日、佐々木憲昭議員は、財務金融委員会で、庶民に増税を押し付けて確保した復興財源を、自衛隊の輸送機購入に充てている問題をただしました。

 佐々木議員は、仮設住宅で暮らす被災者が「暖かいお風呂に入りたい」と昨夏から追い炊き機能の付いた風呂を設置するよう要望していたいたのに、政府が設置しなかったことは「きわめて無神経だ」と批判しました。
 その一方で、復興財源を使って自衛隊の輸送機を予定より前倒しでこっそり買い替える(8機440億円)予算をもぐりこませていることを取り上げ、「復興特別会計に入れること自体おかしい」と指摘しました。
 安住淳財務大臣は「防衛相が予算要求してきた」と述べるだけで理由を一切説明しませんでした。
 佐々木議員は「復興のためのお金を利用するなど、とんでもない、悪乗りだ」と厳しく批判しました。
 約5万戸の仮設住宅に追い炊き機能を取り付ける改修費用が150億円から200億円程度であることが答弁で明らかになりました。
 佐々木議員は、「C2を1機やめれば財源は出てくる」と指摘しました。
 ところが、五十嵐文彦財務副大臣は「いろいろ検討されたようだが難しい」と答弁しましたので、佐々木議員は、「被災者の声に応えず復興財源で自衛隊の輸送機を大量に買うなど許すことはできない」と強調しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。復興特会についてお聞きをしたいと思います。
 新しくつくられるこの復興特会は、自民党の強い要請でつくられたと聞いております。
 民主党は、当初、特別会計は必要ないという主張をされたそうですけれども、なぜ必要がないと考えたのか、その理由について、当時の考え方をお聞かせください。
○安住財務大臣 私どもが最初に考えたのは、やはり、特会の整理をしていこうという流れが先生御存じのようにあります。今回も特会改革で大幅に特会を減らすわけですね。
 特会にはさまざまなメリット、デメリットがあるわけですけれども、そういう点では、一般会計であれば、こうした透明性を確保して質疑をしていくという中で、やはり毎年の予算というのは非常に見えやすい部分もあります。一方、特別会計のよさというのは、やはり予算をそれに特化して区分経理をすることによって使っていくということだと思うんですね。
 そういうことからいうと、私どもとしては、毎年の予算計上の中で、いわば予算書の中でしっかりと区分をして管理をしていくというやり方も一つではないかと思っておりましたが、今先生からありましたように、三党合意で、復興に関しては、これは復興庁ができますので、そういう中で、復興庁がどういう予算を使って執行しているのかをやはりしっかりチェックしていくというようなことが重要ではないかという話し合いの結果、この会計をつくるに至ったということでございます。
○佐々木(憲)委員 自民党の側は、必要だという考えを述べられたようでありますが、必要だという理由については、今説明されたようなことを自民党も主張された、こういうことなんでしょうか。
○安住財務大臣 やはり自民党の御主張も公明党の御主張も、私どもから見れば、一つの考え方であるということだと思うんです。
 だから、先ほど私が申し上げましたように、基本的に、冒頭の私の考え方というのは、特会というものを整理していく中で、一つこれをふやすというときは、やはり議会の多数のコンセンサスが必要であろうということは、一つ重要な要素だったと思うんですね。
 それから、政調会長の三党による会議の中では、復興事業の経理をしっかりやっていこう、それから、復興債の償還、これも適切な管理をやっていきましょうと。もう一つは、23年度の三次補正において発行した復興債の承継をすること、さらに、復興財源確保の特別措置法案の修正なんかをやりましょうということで11月に合意をした。
 こうしたことに基づいて、附則第17条を追加する議員修正が行われましたから、私は、それはそれで一つの政治の結論としてできましたので、それで、先生がさっき言ったように、復興庁ができて、ある意味で復興庁の中での予算執行をしっかりこれでやってもらえばいいと思います。
○佐々木(憲)委員 それで、復興特会の歳入面は、復興債発行収入、復興特別税収、歳出削減分、税外収入、こういうものが入ってくるわけですね。それから歳出面は、復興事業はもちろん中心でありますが、復興債の償還もこの中に入る、こういう枠組みになっているわけです。
 この復興特別税には、法人税、所得税の増税というのが入っている。
 しかし、私もここで以前指摘をいたしましたが、大手企業の場合は、法人税の恒久減税を行って、その上で3年間臨時増税ということですので、最初の3年間の負担はプラス・マイナス・ゼロ、その後、3年たったら、後は減税がずっと続く。そういう意味で、大企業減税の仕掛けであるというふうに思うわけです。
 その一方、庶民の場合は、所得税の増税、これが押しつけられて、しかも子ども手当の削減がこの中に入っている、公務員は給与が大幅に削減される、こういうことで、庶民から見ると、庶民には負担が押しつけられるわけであります。
 資金の流れが透明化されるというわけだけれども、結果として見ますと、子ども手当の削減、高速道路無料化の見直しなど、民主党のマニフェストの破綻ぶりを印象づけるような仕掛けになっていると思うんですが、大臣、そう思いませんか。
○安住財務大臣 いつも先生にはお叱りを受けるわけですけれども、ただ、法人税も、悩ましいのは、世界の中で競争をしている、それで勝ち抜いた企業がやはり裾野の広い雇用をしているということは事実だと思うんですよ。そういう中にあって、地方分も含めると日本の法人税の40%というのは非常に高いという御指摘がありましたから、その点でいうと、引き下げをして、3年間はそのかわり特別法人税として復興に貢献をしていただくということになりました。
 所得税について、確かにこれは増税になります。ただ、この額と期間については、さまざまあって結論を得たわけでございますので、議会の中で私はコンセンサスを得たかなと。それから、国民の皆さんの世論調査を見ても、復興にしっかり使うのであればこれを可とするという意見も、私の記憶では過半数を超えていたと思いますので、そういう点では、私自身も被災地の議員でなかなか心苦しい部分はありましたけれども、何とか国民の皆様の御理解を得て、このお金を被災に遭った地域のために使わせていただくということは、私は御理解いただけるのじゃないかと思っております。
○佐々木(憲)委員 私が聞いたのは、マニフェストの破綻ぶりがこれで一層鮮明に印象づけられるのではないか、こう聞いたわけですけれども、全くそれに答えないで、別の答えをされたんですが。
 先ほど、法人税は高いというふうに言いましたけれども、これは、社会保障の負担などを考えますと、ヨーロッパと比べて、決して日本は高くはありません。それから、実際の財務省のさまざまな資料を見ますと、逆に、日本の場合、大手企業になればなるほど負担が低い、こういう傾向があります。
 それから、所得税については、これはもう増税ははっきりしているわけです。何とか復興のために貢献したいという気持ちは、もちろんそういうアンケートには出ていますけれども、私が言っているのは、事実を言っているわけであります。
 では、もう一度確認しておきますが、復興特会の歳出の面は、当然、被災者の要望に応えるものでなきゃならぬ、切実な要望に応えなきゃならぬ、こういうものだと思いますが、どうですか。
○安住財務大臣 いろいろな意味で被災地のニーズに応えていかなければならない。それから、全国防災等を含めて、こうした同様の大災害が起こり得る可能性の高い地域においての公共事業、特に防波堤等、充実しないといけない部分について充当していくということになると思います。
○佐々木(憲)委員 本当にそうなっているのか、切実な声に本当に応えているかという点で、例えば、今大変な寒い冬を過ごしてこられているわけです。5万を超える世帯の方々が仮設住宅で過ごしておられます。
 いろいろな要求が出ていますけれども、例えば、温かいお風呂に入りたい、これは当たり前の要求ですけれども、しかし、今、仮設住宅のお風呂は追いだき機能がないというので、お湯が時間がたつと冷めてしまう。
 被災者から、追いだき機能のあるお風呂にしてほしいと以前から求められていたはずですけれども、この問題は参議院で我が党の山下議員が取り上げたわけですが、これは予算に盛り込まれていますか。
○五十嵐財務副大臣 かねてより、議員の主張は理解をしておりますが、実は、厚生労働省において被災地からの要望を受けて検討が行われましたけれども、給湯器の交換などに大がかりな改修工事が必要となるということから、対応が難しいという判断に現在至っていると伺っております。
○佐々木(憲)委員 これは昨年の夏から要望が出されていたんだけれども、最初からこういう機能がついていない形でお風呂を取りつける、私はこれは非常に無神経だと思うんですよね、やり方が。仮に、全てのお風呂を取りかえて追いだき機能のついたお風呂にすると、予算は一体どのぐらいかかるんでしょうか。
○五十嵐財務副大臣 約5万戸の全ての仮設住宅のお風呂に追いだき機能をつけた場合の費用は、150億円から200億円程度になると厚生労働省からは聞いております。
○佐々木(憲)委員 防衛省にお聞きします。
 この歳出の中に輸送機C130、それからC2が盛り込まれておりますが、これは復興とどのような関係があるのか、予算は幾らか、お答えいただきたいと思います。
○神風防衛大臣政務官 自衛隊の輸送機の取得と復興との関係及びその経費についての御質問であります。
 防衛省といたしましては、東日本大震災からの復旧復興を速やかに実施するために必要な経費を東日本大震災復興特別会計に計上しているところでございます。
 まず、自衛隊の輸送機であるYS11及びC1につきましては、今般の東日本大震災に際しまして、ともに、被災者の救助等に当たる自衛隊の人員、物資の輸送のほか、被災者への全国からの支援物資の輸送などに全力で当たってきたところでございます。
 こうした活動に伴う飛行時間の急激な増加によりまして、これら輸送機の運用停止時期が前倒しをして到来することとなりました。
 このため、減耗分を回復するための経費として、平成23年度第三次補正予算に、契約ベースで、C130輸送機六機分を約150億円、C2輸送機二機分、約290億円を計上したところでございます。
○佐々木(憲)委員 どうも私は、これをここに入れているのは問題があると思っているんですよ。
 災害派遣活動で消耗したというふうに言われましたけれども、輸送機YS11は今まで一体何年使ってきたのか、C1というのは何年使ったのか、お答えいただきたい。
○神風防衛大臣政務官 YS11につきましては、昭和42年の初号機の取得以来、およそ44年使用しているところであります。一方、C1につきましては、昭和46年の初号機の取得以来、およそ41年間使用しているところであります。
○佐々木(憲)委員 41年それから44年こういうことで使ってきたものを、震災復興に一時的に使った、だから消耗したんだということで復興事業の中にこっそり入れてしまうというのは、これは非常に問題があると私は思っております。
 YS11は、3年先の平成27年まで使う予定だったんじゃありませんか。それから、C1も、平成27年までに順次C2に入れかえる、こういう予定だったのではないかと思いますが、いかがですか。
○神風防衛大臣政務官 YS11につきましては、従来、平成26年度末ごろと見込まれていた運用停止期間が、五カ月程度前倒しをして到来することになったところでありまして、そういう意味で、今回、そういう形で予算を計上させていただきました。
○佐々木(憲)委員 大体、復興特会に入れること自体が私はおかしいと思っているんですよ。これを入れなくたって、一般会計の中で今までやってきていたわけでありまして、その必要性については別途の議論はあるとしても、今回、こういう形で特会に入れるというのは、ほかの予算との関係で非常におかしい。
 しかも、前倒しで切りかえる、こういうのは悪乗りでありまして、安住大臣、こんなやり方はおかしいと思いませんか。
○安住財務大臣 防衛省としては、やはり老朽化をしてかなり消耗したということで予算要求をしてきたということでございますが、先生の側から見れば、そうしたお金があるんだったら風呂の方に回すべきだということでしょう。(佐々木(憲)委員「そういうことです」と呼ぶ)そういう御意見もありますけれども、YS11も重要だということでございます。
○佐々木(憲)委員 大体、このC1は、一般会計でも2機買うというふうになっているんですよ。そうでしょう。何でわざわざ前倒しして復興特別会計の中に2機入れるんですか。それは必要だというのはあなた方の理屈だけれども、復興のために、被災者のために使おう、そういう事業の中に、前倒しをして、今まで40年間使ってきたものが古くなったから全部ここの会計でやるんだ、それ自体がおかしいんだよ。
 先ほど確認したように、お風呂の追いだき機能について、150億から200億、こう言いましたよね。この新しい輸送機は一体幾らかかりますか。
 先ほど御紹介ありましたように、追いだき機能をはるかに超える大規模な金額になっているじゃないですか。C1一機を、例えば、前倒しせず、ここから外せば、5万戸の被災者のお風呂を、温かいお風呂に入れるようにできるわけですよ。何でそれができないんだ。優先順位が全く間違っているんじゃないですか。
○五十嵐財務副大臣 そういうお考えもあるかと思いますが、単にお金だけの問題ではなくて、先ほども言いましたけれども、工期が長くて人手の確保がかなり難しい、そして、他の復旧工事にも影響が出るおそれが大きい、それから、給湯器の廃棄が必要になりますので、その廃棄対策もあるというようなことであります。
 それから、それにかわって、湯舟に沈めるタイプの電気ヒーターを使ったらどうかという検討もされたようでございますけれども、これは中小企業が生産していて、機器の確保、十分な数が確保できない、それから、使用を誤ると感電や漏電のおそれがあるということで、これもなかなか難しいということで、いろいろ検討されたようですけれども、今の時点ではなかなか難しいということでございます。
○佐々木(憲)委員 大体、いろいろ検討して、一切予算をつけなかったのが問題なんだよ。ああでもないこうでもないと理屈をつけて。去年の夏から、仮設住宅の方々は冬になったら大変だからというので要望していたのにもかかわらず、こういう事態になっているんだ。
 大体、大企業や富裕層は一円も負担せずに、国民に負担を押しつけて集めたお金を、そういう声に応えないで、自衛隊の輸送機を八機も大量に買う、こんなやり方を許すことはできない。
 私は、こんな特別会計のあり方には反対だということを明確に述べて、質問を終わりたいと思います。

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