2009年11月19日 第173回 臨時国会 財務金融委員会 【543】 - 討論
与党が、財務金融委員会で中小企業金融円滑化法案を強行採決
2009年11月19日、民主党など与党は、中小企業金融円滑化法案の採決を、財務金融委員会で強行し、未明の本会議で民主、社民、国民新の賛成多数で可決しました。日本共産党は、民主党の強引な運営に厳しく抗議した上で、法案自体には賛成しました。
中小企業金融円滑化法案の委員会審議は18日に始まったばかりで、18日朝の理事会で「19日は審議の定例日ではないが、専門家を招いた参考人質疑だけを行う」と合意していました。
それが18日夕方に民主党理事から「参考人質疑直後に法案を採決し、本会議に緊急上程を行う」との提案があり、日本共産党は強く反対し、結論を持ち越しました。しかし、民主党理事は、19日朝の理事会で参考人質疑の直後に採決する日程を決め、委員会で強引に採決しました。これに、自民、公明、共産が抗議。自民、公明は19日の委員会に欠席しました。
佐々木憲昭議員は、委員会に出席し、18日の質疑に引き続き、参考人に対する質疑、大臣に対する質疑、討論を行いました。
佐々木議員は、討論で「法案についての質疑は始まったばかりだ。にもかかわらず、本日、財務金融委員会で参考人の意見を聴取した直後に、強行採決を行い、そのうえ『本会議に緊急上程』するという与党の強引な議会運営に厳しく抗議する」「いま、与党・民主党が行っている行為は、これまで自民党・公明党が行ってきた横暴きわまりない国会運営とどこが違うのか。自民党と民主党が入れ替わっただけではないか」と厳しく抗議しました。
法案については、実効性の担保が、改正される金融検査マニュアル、監督指針にゆだねられており、委員会に提出された「改定のイメージ」などの文書では具体的にわからないと指摘。「法案は『内容のない入れ物』のようなものであり、『ないよりはまし』という程度のものだ」と述べて「あえて反対はしない」と表明しました。
20日未明の本会議では、中小企業金融円滑化法案の採決などが行われ、佐々木議員は、採決に先立って討論を行いました。
議事録
○佐々木(憲)委員 私は、日本共産党を代表しまして、中小企業金融円滑化法案に対して討論を行います。
その前に一言申し上げたい。
法案についての質疑はまだ始まったばかりでございます。それにもかかわらず、本日、参考人の御意見を聴取した直後にこのような形で採決を強行するという与党の一方的で強引な委員会運営に強く抗議するものであります。
昨日、私の質問に対して、亀井大臣は、採決前に検査マニュアルの委員会への提示を約束されました。できるだけ全文を出したいが、少なくとも概要だけでも出すと約束していたのであります。
この検査マニュアルは法案に魂を入れるものであり、各党各会派がそれを見て法案への態度を決めようとしていたのでございます。本日の理事会に提出された文書は、概要ではなくイメージという極めて抽象的なものでございました。これでは、採決前の提示が果たされたとはとても言えません。
また、参考人質疑が終わったばかりで採決するというのも、余りにも乱暴であります。審議を深めるために参考人の御意見を伺うのでありますから、意見を聞きっ放しでいきなり採決というのは、参考人に対して余りにも失礼な行為と言わなければなりません。
昨日は、例外的に、趣旨説明の直後に委員会質疑を行いました。これも異例であります。しかも、きょうは木曜日であり、本委員会の定例日ではありません。参考人質疑だという理由で、私たちは、定例外の日程もしようがないかということで容認したわけでございます。いわば、それを逆手にとって採決するということまで持っていくのは、これは言葉は悪いですけれども、だまし討ちとしか言いようがありません。
今の与党民主党の強行採決は、これまで自民党が行っていた横暴な委員会運営とどこが違うんでしょうか。自民党と民主党が入れかわっただけではありませんか。まことに残念であります。
法案については、中小企業への融資が改善される方向は示されておりますが、それが実効性あるものになるかどうかは、検査マニュアル、監督指針、これがどうなるかによって左右されます。法案は、いわば内容のない入れ物のようなものであります。ないよりはよいという程度のものであり、私どもとしては、法案についてはあえて反対はいたしません。
以上で討論とします。