2009年11月19日 第173回 臨時国会 財務金融委員会≪参考人質疑≫ 【541】 - 質問
中小企業金融円滑化法案について参考人質疑
2009年11月19日、民主党など与党は、中小企業金融円滑化法案の採決を、財務金融委員会で強行し、未明の本会議で民主、社民、国民新の賛成多数で可決しました。日本共産党は、民主党の強引な運営に厳しく抗議した上で、法案自体には賛成しました。
中小企業金融円滑化法案の委員会審議は18日に始まったばかりで、18日朝の理事会で「19日は審議の定例日ではないが、専門家を招いた参考人質疑だけを行う」と合意していました。
それが18日夕方に民主党理事から「参考人質疑直後に法案を採決し、本会議に緊急上程を行う」との提案があり、日本共産党は強く反対し、結論を持ち越しました。しかし、民主党理事は、19日朝の理事会で参考人質疑の直後に採決する日程を決め、委員会で強引に採決しました。これに、自民、公明、共産が抗議。自民、公明は19日の委員会に欠席しました。
佐々木憲昭議員は、委員会に出席し、18日の質疑に引き続き、参考人に対する質疑、大臣に対する質疑、討論を行いました。
この日、村本孔・成城大学社会イノベーション研究科長、鶴田欣也・全国中小企業団体中央会会長、永易克典・全国銀行協会会長が参考人として招致されました。
20日未明の本会議では、中小企業金融円滑化法案の採決などが行われ、佐々木議員は、採決に先立って討論を行いました。
議事録
○玄葉委員長 速記を起こしていただけますか。
理事をして再度御出席を要請いたさせましたが、自由民主党・改革クラブ、公明党所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。
内閣提出、中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律案を議題といたします。
本日は、本案審査のため、参考人として、成城大学社会イノベーション研究科長村本孜君、全国中小企業団体中央会会長鶴田欣也君及び全国銀行協会会長永易克典君、以上三名の方々に御出席をいただいております。
なお、山本参考人につきましては、都合により出席できないとの申し出がありましたので、御了承願います。
この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げたいと思います。
本日は、御多用中のところ本委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございました。本日、残念ながら出席がかなわない委員もいらっしゃいますけれども、参考人の皆様のそれぞれのお立場からの忌憚のない御意見、大事に大事に扱っていきたいというふうに思いますので、率直なところを、御意見をお述べいただければというふうに思います。ありがとうございます。
次に、議事の順序について申し上げます。
まず、参考人各位からそれぞれ十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。
なお、恐縮ですが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言をくださいますようお願いいたします。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、これもまたあらかじめ御了承願いたいと思います。
それでは、まず村本参考人にお願いいたします。
○村本参考人(成城大学社会イノベーション研究科長) おはようございます。村本でございます。
きょうは委員会にお呼びいただきまして、大変光栄に存じております。私は、中小企業周りとか、あるいは地域金融というテーマも専門にしておりまして、きょうのテーマについて多少知見がございますので、お話を申し上げたいと思っています。
二つのことをきょうは申し上げたいと思っているんですが、一つは、中小企業に対する金融の円滑化をするということが今非常に重要な課題である、そして今回の法案が大変有意義なものであるということを申し上げたいということと、もう一つは、それを通じて中小企業の真の金融をよくするにはどうしたらいいか、あるいは根本的な方策をどう求めたらいいのかという点を申し上げたいと思っているわけでございます。
一つ目の、現下のということなんですが、スライドといいますか、パワーポイントの印刷したものをきょう持ってまいりましたのでごらんいただきたいと思いますが、スライドの一枚目のところに私の発言の要旨がございます。
足元の問題と長期の問題を少し最初に申し上げたいと思うんですが、中小企業の分野では今どんなことが問題になっているかと申しますと、我が国は今人口減少社会ということが盛んに言われておりますが、中小企業の分野ではもう既に企業数の減少という企業減少社会というのが始まっているわけでございます。
スライドの四枚目をごらんください。
過去20年ほどの中小企業の数の推移を拾ってございますけれども、ピーク時には533万社あった中小企業数は、直近では420万社ということになっておりまして、この間に100万社以上が少なくなっている。特にこの数年、5、6年は、年に10万社程度がなくなっているという状況でございます。
どうしてそういうことが起こるのかというのがスライドの五ページ目でございますけれども、開業と廃業という割合を見ますと、当然のことですけれども廃業する方が多い。開業率も非常に高まっているんですが、それを上回る廃業率というのが実はある、こういう問題がございます。
ところが、第三者を雇用している企業というのは、右側の方の絵でございますが、有雇用企業のケースということですけれども、これは実は開業率が上回るという状況になっておりまして、廃業よりも高い水準にございますので、まだまだ経済の活力という面ではそう捨てたものではないというのが私の見ているところでございます。
スライドの六ページ目をごらんください。
企業の経営者が今どうなっているかということなのですが、資本金別で多少小さなところを見てみますと、平均的な社長さんの年齢というのは今58歳を超えております。あと5年もすれば60歳半ばになってしまう、こういう状況になるわけで、結局、どういうふうな形で後継ぎを見つけていくかという事業承継問題、これが大変重要な話になっているわけでございます。
その下の先代経営者との関係で見ますと、かつては子供が受け継ぐというのが多かったのですが、これは今非常に少なくなってきている状況です。右側の中小企業白書の分析したものでも、資産超過で十分やっていけるんだけれども後継ぎがいない、3割もございます。やはり事業承継問題はかなり大きな問題ではないかな、こういうふうに考えているところでございます。
そういう長期の問題をどうするかということがございますが、足元の問題が現下の問題でございますので申し上げますと、資料の八ページ目をごらんください。
これは景況調査と申しまして、通常、日本銀行の短観調査がよく用いられるのですが、それ以外に、少し中小企業の小さなところに特化した調査、中小企業庁がやっている調査でございますが、中小企業景況調査というのと対比されてございますけれども、いっときこの少し茶色がかった点はかなり高い水準でございました。2006、7ですね。これでいわゆる量的緩和政策等が解除されたわけですけれども、そのときにもう既にこの白い、青の白抜きのところですが、これはかなり悪くなってきておりまして、小規模企業に特化したところで見ますと、景況は相当悪くなってきたというのが姿でございます。それがずっとサブプライム問題、リーマン・ショック問題でこう来まして、直近、右側の方に少し丸をつけておりますが、少しよくなっておりますもののなかなかまだ厳しい状況である、こういうふうに見ております。
スライドの九ページをごらんください。
中小企業の資金繰りというものを見たものでございますが、これも、過去の相当悪かった水準に比べますとそれを下回るというところまで来ておりまして、かなり悪い状況である。直近は少し上向きかげんということでございます。
スライドの十枚目、11枚目も似たようなデータですが、十枚目は金融庁がやりました調査で、厳しい状況が資金繰りについてはあるよという状況でございますし、11ページ目は、融資姿勢というのが各金融機関でどうなっているかを見たものでございます。どちらかといえば、地域に密着した金融機関の方が熱心ですというふうなデータでございます。
それから、それをめくっていくと、12ページ目があるんです。ちょっとページが飛んでしまいまして申しわけありません。
企業の倒産数というのを見てみますと、これもかなり高どまりしていたものが直近少し下がりましたが、またやや年末にかけて上がりつつあるというような調査があったりしているところでございます。
大変申しわけないのですが、一ページ目に戻っていただきますと、そういうことで、中小企業の状況はかなり厳しいわけですが、昨年来、ちょうど1年前ですけれども、貸出条件緩和債権の取り扱いが変わりました。これが二ページ目に書いてあるところでございますけれども、貸出条件緩和債権というのは、基本的には不良債権扱いになるわけですけれども、一定の条件を満たせば正常債権として扱ってよろしい、こういう扱いになっているものですが、それが多少使いにくかったというのが従来のやり方でございます。これは実抜計画と俗に呼んでおりますが、その中小企業の経営改善計画がきちっと実現性が高くて抜本的であればこれはよろしいということと、期間を長くするということで、これを展開していったわけでございます。
今回の法案、私の理解をするところでは、三ページ目ですけれども、それを緩和してきたというふうに考えることができると思いますので、この方向で進めばかなりよくなるだろうということが予想されます。
と申しますのは、これはもう既に何度もごらんいただいているとは思うんですが、七ページ目を見ていただきますと、これは金融庁が発表いたしました貸出条件緩和債権がどういうふうになっているかということなんですが、トータルの数字で見てみますと、真ん中辺のところに少し幅の広いところがございますが、去年の1年間の数字をずっと見てみると、去年の7―9月期に比べて件数で3割、金額で4割ふえてきている。つまり、貸出条件緩和債権というのが使われることによって、かなり中小企業金融は潤ってきているということが言えるわけでございます。ただし、これが不十分だというので今回の法案につながったのではないかと思いますので、そういう面は評価しておきたいと思います。
ただし、一律にやるというのは排除することになりましたのでモラルハザードは随分防げるだろうと思いますけれども、申請主義とはいっても多少のモラルハザードの懸念もございますので、この辺を十分注意する必要があるだろう。
ただし、現在借りているものについてはこういう措置ができますけれども、ニューマネーを提供する、あるいはニューマネーを受けるというのは別な話でございますので、猶予を受けたからニューマネーを出さないということがないようにしたい、こんなふうに考えております。
これが第一点目のところですが、もう一つの問題は、やはり根本的な問題をどうするんだというのが実はございます。金融機関の方に聞くと、貸し渋り、貸しはがしはない、こうおっしゃいますけれども、中小企業の方に聞くとやはりあるんだという、ギャップが非常に大きいわけですね。そのギャップを埋めるためにはどうすればいいんだろうかというのが私の問題意識でございます。
少し書生論ぽくて恐縮なんですが、13ページ目のスライドをごらんください。
企業の価値というのは何だろうかという本質的な問題なんですが、一つは財務にあらわれる問題、いわゆる資産価値と呼ばれるものです。それ以外の価値というのは実は金融機関の評価などにも余り使用されないのではないかというふうに考えておりまして、企業の持っている価値のうち、その企業のポテンシャリティーであるとか、将来の価値を生み出すもの、技術力であるとか、その企業が持っているスキルであるとか、あるいはその経営者の将来に対するビジョンであるとか、そういうさまざまな要素があるわけですが、こういったものがきちっと把握されないというのが現在の問題点でございます。
これは、例えばヨーロッパなどでも、バランスシート上そういうものを評価しようではないかという動きが出ておりますが、我が国でも、そういう資産、私は知的資産と称しておるんですが、こういったものをきちっと把握することが必要である。
スライドの14ページを見ていただきますと、知的資産とは何ぞやというふうに少し整理しておきました。知的資産というものは、会社が持っている、企業が持っているいわゆる人的な資産と、それから会社が持っている組織等の構造資産と、そしてネットワークに象徴されるようなリレーションの関係、いわゆる関係資産、三つの側面があるんですが、こういったものをきちっと把握することによって企業を把握して、きちっと資金が出るような形にしたい。
なぜそのことを申すかといいますと、貸出条件緩和債権ですが、昨日も御議論があったようですけれども、実抜計画をつくるときに、そういうような要素を入れないと実はつくれないわけですね。ですから、実抜計画をきちっとしたものにする、あるいは担保あるものにするには、こういった資産に注目して一定の評価を与えるという工夫をしていかないといけないのではないかと考えております。
一番最後のスライドに金融庁の監督指針を掲げておきましたが、監督指針の中には既にこれの必要性は書かれておるわけでございまして、現場の金融機関でぜひこれを取り組んでいただいて、それを活用する。そうすれば、現在赤字であるとか返済猶予を受けているけれども、きちっとした計画がある、将来性があるんだということがわかれば資金が出ていくだろうと思いますので、そういった方向にぜひ持っていくことが必要ではないかというふうに考えております。
どうもありがとうございました。(拍手)
○玄葉委員長 ありがとうございました。
次に、鶴田参考人にお願いいたします。
○鶴田参考人(全国中小企業団体中央会会長) 私は、全国中小企業団体中央会の会長の鶴田欣也でございます。私は愛知県の豊田の出身でございます。よろしくお願いいたしたいと思います。
委員会の先生方におかれましては、日ごろより、中小企業発展には一方ならぬ御尽力を賜りまして、この席をおかりいたしまして厚く御礼を申し上げるところでございます。ありがとうございます。
また、本日は、中小企業金融円滑化法案の審議に際しまして、当委員会にお招きいただき、中小企業の立場から意見を述べる機会をいただきましたことに対しまして、厚く御礼を申し上げます。本当にありがとうございます。
私の仕事は、愛知県の名古屋市において、道路やコンクリート用砕石の生産販売会社を経営している中小企業のおやじでございます。また、その母体である愛知県砕石工業組合の理事長も兼ねておるところでございます。
私ども全国中小企業団体中央会のもとには、全国津々浦々に、さまざまな業種の中小企業者がさまざまな思いを込めて設立した多くの中小企業組合がございます。現在、中小企業団体中央会には、構成メンバーである約3万2千の中小企業組合の傘下に300万強の中小企業が参画しており、我が国中小企業の約7割を組織する中小企業の団体でございます。
本日は、中小企業組合や中小企業を代表して、借り手の立場から、中小企業の金融の円滑化について三点の意見を述べさせていただきたいと思っております。
まず第一点目は、景況感、資金繰り状況についてでございます。
中小企業の資金繰り状況については、私ども全国中小企業団体中央会におきまして、都道府県中小企業団体中央会の協力のもと、毎月、中小企業の月次景況調査というものを行っておるところでございます。先月20日に発表いたしました最新の調査におきましては、資金繰りのDIはマイナス49・1ポイントということで、ことしの2月を底といたしまして徐々に改善はしているものの、依然として絶対水準が低い状況には変わりはございません。金融危機以前の昨年の9月のマイナス44・0ポイントの水準にも戻していない状況に現在あるわけでございます。
また、中小企業を取り巻く受注環境は非常に厳しいということで、最低限の仕事がなかなか確保しがたい状況が続いております。このため、中小企業の資金繰りの状況は、特に個人事業主や零細企業者を中心に、依然として非常に厳しい状況にあると言えます。
第二点目は、法制度、運用についてでございます。
先ほど申し上げましたが、個人事業主、零細事業者を中心に、多くの中小企業は足元の資金繰りに窮しており、本法案に対しましては、資金繰りの余裕につながるとして歓迎し、期待している経営者は多数おられます。
昨年秋以来の急激な景気の後退は、多くの中小企業から仕事を奪い、資金繰りの逼迫を招きました。中小企業月次景況調査においては、売上高のDIにおいてもマイナス62・6ポイントと、中小企業の売り上げの水準はまだ回復をしておらない状況で、資金繰りの安定にはほど遠い状況と思っております。返済猶予の制度が整備されればぜひ利用したいと考えている経営者も多数いると思われます。
しかしながら、一方で、返済猶予制度を利用した中小企業者がかえって不利な取り扱いを受けるのではないかとの不安がございます。中小零細の経営者が最も気にしている点とも言えますが、例えば、本制度を利用したことにより新しい融資が受けられなくなる、また、風評等による影響から、以後の取引や営業面に支障が生じるのではないかとの不安もあるわけでございます。このようなことが生じることがないような万全の措置を講じていただきたいと思っております。
この点が不十分であると、せっかくの利用者が不利益をこうむることになるわけでございまして、潜在的な利用の希望者は二の足を踏んで申し込みに至らないケースも多数発生する、こんなふうに思われるところでございます。
また、複数の金融機関と取引している場合の調整に関してでございますが、相応の売上規模の中小企業となれば、一行だけの取引ではなく、複数の金融機関と取引を行っているのが一般的でございます。しかし、このような取引を行っている場合、返済猶予の交渉を行うことは非常に困難を伴い、借り手と貸し手という力関係もあり、中小企業は金融取引において実は極めて弱い立場でございます。通常の金融取引ではなく、返済猶予の交渉ともなればなおさらのことが言えると思います。
このため、各銀行間の調整に必要以上に時間を要したり、一行のみが応諾しなかったために適正な期間内に返済猶予の約定ができなくなるようなことのないよう、制度面での十分な御配慮をお願いしたいと考えておるわけでございます。
第三点目は、包括的な資金繰り支援についてでございます。
中小企業の多くは、昨年来の未曾有の経済危機に直面し、緊急保証制度やセーフティーネット貸し付けを利用し、資金を何とか繰り回している状態です。これらの資金繰り対策で調達した中小企業の大半は、1年の据置期間が終了し、当該借り入れの返済が開始もしくは始まろうとしているところに今来ているわけです。加えて、年末、年度末は資金需要の高まる時期でもございます。
需要の回復が見込まれず、二番底が懸念される厳しい経営環境の中で、継続的かつ安定した資金繰り対策は中小企業にとっての命綱と言っても過言ではございません。平成22年3月までとなっております緊急保証制度の取扱期間の延長や、貸し付け要件の緩和策等、中小企業向けの総括的な資金繰り対策の継続をぜひともお願いしたいとお願いをします。
以上のとおり種々申し上げてきましたが、我が国企業の99・7%は中小企業でございます。また、雇用の7割を支えているのが中小企業であると思っております。これまで述べてまいりましたとおり、非常に厳しい経営環境でありますが、おのおのの中小企業者は、経営革新を目指して、コストの削減に努め、従業員の雇用を守るため、日夜懸命な努力を続けているところでございます。
このような中小企業を守るためにも、中小企業向けの資金繰り対策につきましてはこれまで以上に万全を期していただきますよう、切にお願い申し上げまして、私の発言を終わらせていただきます。
御清聴どうもありがとうございました。(拍手)
○玄葉委員長 ありがとうございました。
次に、永易参考人にお願いいたします。
○永易参考人(全国銀行協会会長) ただいま委員長から御指名をちょうだいいたしました全国銀行協会会長の永易でございます。
本日は、中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律案の御審議に際しまして、私どもの意見を述べさせていただく機会をいただきまして、心より感謝申し上げます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、ちょうだいした時間の中で、第一に、全銀協としての中小企業金融円滑化への取り組み状況、第二に、同じく個別行として三菱東京UFJ銀行の取り組み状況、そして第三に、今般の法案に関する私どもの心構え等、三点につきまして説明させていただきます。
まず、全銀協としての中小企業金融円滑化への取り組み状況について御説明いたします。
銀行界にとりまして、中小企業のお客様への円滑な資金供給は最も重要な社会的役割の一つであり、社会的使命と位置づけ、各行とも精いっぱいの取り組みを進めてきているところでございます。
具体的には、新たな資金需要の積極的かつ丁寧な御対応に努めるとともに、既存貸し出しに対する条件変更、見直しの要請があった場合に、お申し出に至った背景など、お客様の置かれた事情及び実態の把握に努め、申し出の許諾や代替案の検討を適時適切に行うという基本姿勢で取り組んでまいりました。
ただし、中小企業の資金繰りは、先ほどから御説明ありましたが、日銀短観、企業の資金繰り判断によりますと、本年9月調査でもマイナス18と、改善傾向にあるものの依然厳しい状況にあり、これは大・中堅企業と比べても厳しいものと認識しております。
私ども全銀協では、中小企業金融を取り巻くこうした厳しい環境を踏まえ、10月20日、企業等の資金需要や返済条件変更等のお申し出に真摯に対応し、金融の円滑化に全力を挙げて取り組むことを会員各行で認識共有し、申し合わせ、公表したところでございます。銀行界といたしましては、法律の有無にかかわらず、本来の使命である円滑な資金供給に貢献すべく、取り組みを進めてまいる所存でございます。
では、ここで銀行界として、足元、具体的な取り組みを進めている金融円滑化、やや広い概念になりますが、施策を二点御紹介いたします。
まず第一点は、企業情報掲載サイトの、これは仮称でございますが、立ち上げ等でございます。
今般、全銀協では、個別銀行を超えました全銀レベルでのお取引先企業の事業活動や個人のお客様の資金調達に資するサポート活動のために、法人向けには、全銀協ホームページを活用し、お取引先企業の営業支援、経営支援情報等を提供する企業情報サイトを21年度中をめどに立ち上げることといたしました。
また、個人のお客様に対しましては、住宅ローンシミュレーション機能の拡充や返済相談対応のためのカウンセリングサービスの一層の体制充実を図ることとしたところでございます。
二点目は、全銀協としての電子債権記録機関の設立でございます。
本年9月24日、全銀協では、平成24年5月を目指し、電子債権記録機関を開業することを正式決定いたしました。電子債権は、手形債権や指名債権とは異なる新たな金銭債権として創設されたもので、手形や売り掛け債権の代替機能を広く果たすことが期待されております。
電子債権記録機関は、こうした新たな債権に係る企業の資金決済を円滑かつ効率的に行う社会インフラでございます。これまで中小企業が活用し切れていなかった手形や特に売り掛け債権を、無駄なく安全に有効活用し、新たな資金調達手段を可能とすると同時に、業務効率化にも寄与するものと考えております。
では、より具体的な取り組み状況を御理解いただくために、弊行、三菱東京UFJ銀行においての中小企業金融円滑化に係る取り組み状況を御報告いたします。
弊行におきましても、7月27日に個別行として開業した電子債権記録機関の設立等による資金調達支援を初め、ビジネスマッチング等による営業支援、事業承継等による経営支援など、お取引先企業のニーズに幅広く丁寧におこたえし、金融の円滑化に資する努力を積極的に進めているところでございます。
本日は、今回御審議いただいている法案に係る貸し出し条件変更等への取り組みを中心に御説明申し上げます。
弊行では、お客様からの貸し出し条件変更、すなわちリスケのお申し出に対し、より迅速かつよりきめ細かな対応を行うため、行内の体制を強化してきております。
具体的には、現場での中小企業のリスケや貸し出し条件緩和への対応をサポートする専任の本部部隊を現在約20名そろえているほか、本年度、融資セクションの要員を約80名増員しております。また、住宅ローンへの対応では、御返済相談チームを本年1月に設置し、さらに増員の予定でございます。なお、組織体制強化としては、この12月より、お客様の年末資金繰り対策に適切に対応すべく、新体制を発足する予定でございます。
加えて、足元では、お客様の実情を踏まえた柔軟かつ現実的なリスケ対応を、具体的なスケジュール管理も含め、行内全体で再徹底いたしました。
さらに、全行一丸となった取り組みを進めるため、9月から10月にかけては、審査所管部及び全国の法人取引拠点に対し、中小企業金融円滑化の趣旨を共有化、徹底化するための勉強会も実施してございます。
こうした取り組みを通じ、この上期には、実績として中小企業のお客様に月平均千件以上のリスケを実施しており、こういうお申し出に対して8割以上現実におこたえできる状況になっております。
今後も、円滑な資金供給の社会的使命、責任を十分に認識の上、お客様の資金需要、貸し出し条件変更のお申し出に広く積極的にこたえられるよう、対応体制を強化し、真摯かつ丁寧な対応に努めてまいる所存でございます。
それでは最後に、今回御審議いただいている法案、新たな制度設計に関する私どもの考えと心構えを御説明させていただきます。
まず、法案の位置づけにつきましては、できる限り貸し付けの条件の変更等に対応するよう努めるものとすると規定し、あくまで努力義務とされております。また、緊急避難対応で、平成23年3月までの時限措置とのことでございます。このように、強制的な返済猶予とはならない制度設計、位置づけとなったことは、私ども金融機関が、本格的な景気回復までの間、金融仲介機能発揮に向けたさらなる努力を行うことを期待されているものと受けとめております。
一方、金融機関に対し、リスケの実施方針策定や体制整備を義務づけると同時に、実施状況等とあわせ、定期的な当局報告、開示を義務づけることになっており、さらに、虚偽の報告、開示には罰則規定が設けられております。こうした措置は、法律が努力義務規定となる中、新しい制度について実効性を担保し、透明性を高める措置と理解しております。民間金融機関といたしましては、こうした新たな措置の趣旨を十分に理解し、改めて金融機関の果たすべき役割、重責を認識の上、より一層の体制整備等を進め、適時適切な開示、報告に努めてまいる所存でございます。
また、法案には、信用補完事業の充実のための措置等が盛り込まれております。これは、信用保証制度の充実と理解しておりますが、今回の法案は、民間金融機関のみでは対応が困難な事案のリスケを想定しているとも考えられますので、貸し出し条件変更等債権に保全を与えるという意味で、金融機関のリスケへの取り組みに一定のインセンティブを与えるものではないかと思います。
さらに、信用保証協会が保証を付与するということは、新たな制度に公的な機関が関与し、当該企業の信用力に対して、ある意味で公的なお墨つきあるいは認定の効果を与え、金融機関が貸し出し条件変更等をより幅広く、円滑かつスムーズに実施するための一種の有効な触媒になり得るのではないかと思います。
私ども金融機関は、こうした新たな制度、枠組みの中で、お客様からの貸し出し条件変更、見直しのお申し出に対し、より迅速かつきめ細かな対応に努めるとともに、説明、相談体制を充実し、経営改善に向けたアドバイス機能をより強化するなど、対応体制を整備し、適時適切に、真摯かつ丁寧に対応してまいる所存でございます。
最後に、改めて本法案を御審議いただいております諸先生方に御礼を申し上げまして、私の意見陳述を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
○玄葉委員長 ありがとうございました。
以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
【佐々木議員質問部分】
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
参考人の皆さん、本当に御苦労さまでございます。
まず、村本参考人にお伺いをいたします。
先ほど配付をされました資料を見せていただきました。この4ページの中小企業の企業数、これは中小企業白書の各年版からとったらしいんですが、この減り方というのは大変驚くような状況でありまして、86年は533万社だったのが現在420万社と、113万社が消えてしまった。雇用の7割を中小企業が抱えている、こういう中小企業がこんなに減っちゃったら雇用そのものも大変不安定になるのは明らかであり、大変な貧困化ということにもつながるわけでございます。
それから、次のページを見ますと、開業が非常に困難であって、廃業の方が非常に多い。したがって全体として減るわけですけれども、私は、開業を順調にふやしていくためには、開業のための資金提供というのが非常に大事だと思っておりまして、当委員会でも何度もこの点は質問をさせていただきました。
とりわけ国民生活金融公庫、現在政策金融公庫ですか、この役割というのは非常に大きいと思っております。開業資金を得てスタートをして、順調に経営が軌道に乗って初めて、民間の銀行もそこに融資が行われていく。そういう意味で、公的な金融の役割というのは非常に大きい、このように考えております。
この中小企業の企業数が減っている理由と、それから開業のための資金提供についての御意見がございましたら、まず村本参考人からお伺いしたいと思います。
○村本参考人(成城大学社会イノベーション研究科長) 大変重要なところを御指摘いただきましたが、なぜ企業数が減っているかというのは、全体の景気の動きもございますけれども、一つは、きちっとした事業が受け継がれていないというのがかなり大きな問題ではないかなと思っております。
先ほど申しましたように、例えば、代表者が高齢化していってしまってどんどんやめてしまうというような問題も大きい。それを受け継ぐ人が実はいないんですね。普通は、子供が受け継ぐとか家族が受け継ぐことをやるわけですけれども、なかなかそこが、家族はおやじのこともできないよというようなことが多い。
したがいまして、それをうまく親族以外の方が、親族外継承と言っておりますけれども、つまり、従業員の方とか、あるいは、最近は元気な高齢者も多いわけですから、団塊の世代がそれを受け継いでもいいわけですけれども、そういう仕組みが、一部はあるんですが、なかなか機能するまでいっていないんじゃないかなというのが私の印象でございます。
小さなところで、やはり本当の小規模企業がなくなっているというのが実態でございますので、御案内のようにシャッター通りができてしまうというのは、そういうことではないかなと思っております。
それから、開業のための資金、これもおっしゃるとおりでありまして、旧国民金融公庫のああいう金融、非常に重要でございます。
もう一つ私が重要だと思っておりますのは、リスクが非常に高い分野、つまり、スタートアップは非常にリスクが高いものですから、それを金融の世界だけではやはり十分カバーできない、いわゆるデット金融ではカバーできませんので、多少、ファンドのようなものを使って資金をうまく出していくというのも非常に重要な役割だろうと思っております。
○佐々木(憲)委員 中小企業が減っていく理由というのはいろいろな理由があると思いますけれども、受け継ぐ人がいないというのも、これはやはり展望がなかなか出てこないからでございます。
今の内需が、とりわけ家計が非常に冷えておりまして消費が低迷をする、こういう中で、やはり最終需要であります消費に密着する中小零細企業が経営になかなか展望を持てないような状況にある。それから、下請の場合は、輸出が非常に困難になるというふうなことで、下請の単価が下げられる、あるいは仕事がなかなか出されない、こういう困難が非常に広がっているのが現状だと思います。
これは、大きな会社の横暴というのを規制するというのは一つ大事だと私は思いますが、同時に、そういう中小企業に対して政治の側がどういうふうに支援をしていくか、これが大変大事な点だと思っております。
では、鶴田参考人にお伺いしますが、中小企業の側から見まして、銀行の対応でございます。特に、小泉・竹中構造改革以来、非常に厳しくなった。特に銀行の経営が、銀行自身の利益を優先させて、相手側、つまり中小企業、借り手の側の状況を十分掌握せず、数値だけで、赤字が一定程度続いたらもうばさっと切ってしまう、こういうやり方が多かったんじゃないか。やはりここを変えないと融資の改善というものはなかなかうまくいかない。
今回のこの法案についてでございますが、最初、亀井大臣は3年間返済猶予、それからモラトリアム、まあ亀井さんがモラトリアムと言ったかどうかというのは議論がいろいろありますけれども、いずれにしましても、最初にこういう提起をして、これは私は、中小企業にとっては大変歓迎されたと思います。
そこで、実際の法案が出てみますと、ちょっと最初とはイメージが変わっていまして、特に、3年という話は法案にはございません。申請があったらできるだけそれにこたえるように努力すると、努力規定になっているわけですね。
この法案についてどのようにお感じになっているか、評価ですね、この点をお聞かせいただきたいと思います。
○鶴田参考人(全国中小企業団体中央会会長) 今の御質問にお答えしたいと思いますが、まず、金融面での考慮ということは、やはりまず企業に力がないと、幾らその辺のところをバックアップしていただいてもなかなか立ち上がることができないというようなことで、中小企業を元気づけるという施策をまず一に、順序からいきますとそういうことが順序じゃないかな、私はこんなふうに思っております。
よく議論であるように、中小企業は原動力だと言っていただいておるということで、非常にその辺はありがたく、感謝しておりますが、さて、その辺の具体的な原動力になるカンフルというものがないと、今御指摘の問題が、どうしてもその辺のところでとまっておるというようなことになるわけでございます。
先ほど私も申し上げたように、中小企業としてはその辺の先送りというのは大変ありがたい、全国47都道府県の各会長さんからの意見は、全くそのことについては異議がございません。大変ありがたい、こんなふうに思っておりますが、さて、いずれかは返す時期が来るわけでございまして、その辺のところが、何度も言うわけですけれども、中小企業が元気づけられる施策、順序としてこれが一番というようなことでございます。
それから、先ほどもお話がございましたように、承継問題というようなことで、中小企業としては大変関心を持っているわけでございます。
文化だとか技術だとかというものは、中小企業が持っておるいい面が大変たくさんあるわけです。それが、私たちは70%の雇用を持っておると自負しておるわけですけれども、継承ができなければ、この辺のところの枠組みもだんだん崩れていくというようなことで、承継問題について何がネックかというと、今までは税制面で大きく賦課がされてきておるということなんです。継続するために、これをぜひともやはり、80%、出ておるような格好で軽減していただければ、かなり中小企業は元気づくんじゃないかなというようなことも一つあるんじゃないかということです。
いずれにいたしましても、我々、先ほどの私の初めの話にもありましたように、資金繰りの余裕につながるという感覚を持っておりますので、期待をしているということでございます。そういうものを企業の中でプールをしていかないと、次へ打つ手段というのか手法もないということで、その辺のところを非常に歓迎しているというお答えをさせていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。
○佐々木(憲)委員 ありがとうございます。
次に、永易参考人にお伺いします。
金融庁の素案骨子がこの法案について出たときに、あなたは記者会見で、当初の想定よりかなり変わってきた、金融機関の主張をある程度理解してもらえたのではないかというふうに述べておられます。
当初はどんな想定をされていたのか、これがまず一点。これが変わったというわけですから、どういうふうに変わったと受けとめたのか、まずそこをお聞かせいただきたい。
○永易参考人(全国銀行協会会長) 佐々木先生の御質問にお答えいたします。
最初はどう考えていたかというと、これは新聞報道しかなかったわけで、我々が知るのも新聞報道だけ。となりますと、言ったかどうかわからないと言われた、モラトリアムである、強制の返済猶予である、全部だ、一律だ、かつ長期だ、こういうトーンが非常に強かったわけでございます。
したがいまして、先生が言われた記者会見で私が申し上げたのは、自由主義経済下において、このように、一律、長期の強制的な返済猶予制度が適用された例がない、発動された例がないというふうに申し上げたわけでございます。
それからちょっと時間がたちまして、私も亀井先生ともお話をさせていただきましたけれども、やはり中小企業金融というのは非常に大事だという点では、私も人後に落ちないつもりでございます。したがいまして、これが実効性があるように、かつ自由主義経済に反さないように、そういう接点でいろいろなことを、副大臣が中心になって案をつくられていく過程で、我々も意見を述べさせていただき、その中ででき上がってきたのが本法案である。最後のところは、もちろん私どもの意見が全部採用されたわけではございませんよ。ただし、そういう成案になったという意味で、当初の私の受けた印象と最終的にでき上がった法案とでは、非常に我々の考え方も参考にしていただいてつくられた案であると申し上げた次第でございます。
○佐々木(憲)委員 銀行は、以前の金融危機、これを乗り切るというようなことで公的資金の投入ということが行われて、国民の税金が30兆円投入されました。返済不能もそのうちかなりありました。そういう状況のもとで、今回、社会的な役割をもっと果たしなさい、こういうことで、亀井大臣が銀行の役割について非常に強調されていたわけであります。
私は、当委員会で、銀行が内部で採用している文書なども見せていただいて紹介をしましたが、相手がつぶれようが、まずはみずからの利益を最優先でやる、貸しているものを相手からちゅうちょなく返済をさせる、こういう文書までつくったことがあったんです。これは全銀協の文書ではございません、特定の銀行でありますが。そういう銀行の対応というものが中小企業にとっては非常に不安を広げて、需要も落ち込んだということもありますが、大変な倒産が広がったわけです。
やはり、相手が苦しいときには、持ちつ持たれつという関係、つまり、相手が倒産してしまいますと、これは利益の源泉が喪失するわけであります。多少利益が減っても、お互いに助け合って両方が成長できる、そういう道を探っていくというのが本来の銀行の姿だと思います。
その点で、これまでの小泉・竹中路線と言われたそういうもとでの銀行経営と、今後の銀行の経営方針の基本的なあり方というものを、全銀協として、あるいは参考人個人としてでも結構ですけれども、どのようにこれを転換しようというふうにされているのか、あるいはされていないのか、この基本的な考え方についてお聞かせいただきたいと思います。
○永易参考人 お答えいたします。
非常に難しい問題もはらんだ御質問なので、私の考えということでお聞き願いたいと思います。
私は、銀行員生活40年になりますが、ずっと先輩方から教育をされてきた過程で一番ポイントは何かなと思いましたら、銀行というのは、お客様からお金をお預かりし、これを金融仲介機能を使ってまたお客様にお貸し出しをし、そのマージンは非常にシンである。確かに、日本の金融機関のマージン率というのは極めて低いです。グローバルベースで比較してもらえば3分の1ぐらいです。それで商売しているのである。したがって、お貸し出しのときには非常に慎重にならないといけないというのを片っ方で教わりながら、もう一つは、銀行というのはとてもいいところなんだ。何でかといったら、お客様とウイン・ウインの関係になれる商売である。それは、お客様が非常に成長していただくとお取引もふえる、そういう感じでウイン・ウインだ。一発限りのトランザクションだけで商売するのとは違う。したがって、お客様と一緒におのおのの経営を考えていくこともできる、それで自分も成長する、そういうふうに教えられてまいりました。
私自身も、営業店、全部で5カ店やりましたけれども、私、正直言って、中小企業のお客さんの担当者のときは40社ぐらい持たせてもらってお話しするんですけれども、これが私自身の感覚では一番楽しかったと思います。これは、私はまだ役にもついていないんですが、お客様の社長とは直に会えますし、一緒にその会社をよくするためにどういう手段があるのかというのを本当に考えられるんですね。それで、我々は何ができるか、それはお金をお貸しするというのは一番大きい要素だと思います。ただ、それだけではないんですね。あらゆることを一緒に考えていくということができるというので、私は非常にいい仕事だなとずっと思いながら銀行員生活をしてきたというのを、最初に申し上げておきたいと思います。
先生御指摘の大きな流れというのは、やはり、不良債権問題、失われた10年と言われたあの過程で、銀行が不良債権問題でストラッグルをし、10年ぐらい、本当に不良債権比率がぐんぐん上がってきてそれが全然落ちない、こういう状態になったわけですね。そこで、当初のころは、いわゆる株を売って益を出したりして、いろいろ取り繕いながら来た。ただ、その損がどんどん膨れていって、資本をヒットする状態になってきた。という状態になって、先ほど言われたような、ややハードランディング的な施策が打たれたわけであります。
したがいまして、あのときは一つの工程表というのがありまして、3年ぐらいかけて数値目標というのができて、不良債権比率をここまで落としましょう、そのために何ができるんですかというトーンでやったわけですね。したがって、スタンスとしてはちょっときつくなったであろうとは思います。
ただ、そういう事態はもう回避しておりますし、我々の不良債権比率も、一時は10%ぐらい行きましたけれども、ただいま現在、私どもは1%台、全国平均でも2%台ぐらいです。したがって、どうしてもそこが足かせになってお金をお出しできないという状態ではありません。
私どもは、ベースのところでは、申し上げているとおり、お客様と一緒に成長していきたいと強く思っておりますし、そういうスタンスで今後とも続けたいというふうに思っている次第でございます。
○佐々木(憲)委員 終わります。ありがとうございました。