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財政(予算・公共事業), 金融(銀行・保険・証券) (中小企業融資)

2009年11月18日 第173回 臨時国会 財務金融委員会 【540】 - 質問

「事業仕分け」、「中小企業金融円滑化法案」について財務金融委員会で質問

 2009年11月18日、財務金融委員会では、前日の本会議質問に続いて、「中小企業金融円滑化法案」の審議が行われ、佐々木憲昭議員が質問に立ちました。

 まず最初に、佐々木議員は、政府が行っている「事業仕分け」について、「国民目線で、大企業奉仕あるいは軍事予算にメスを入れ、暮らしや福祉・教育を拡充する角度が必要だ」と強調しました。
 佐々木議員は「小泉・竹中構造改革」路線について、亀井静香金融担当大臣の認識をただしたのに対し、「日本人の生活のあり方を無視した『市場原理』至上主義であり、国民の首を絞めてきた」と述べました。
 そのうえで佐々木議員は、「事業仕分け」の源流が小泉内閣時代の2006年につくられた行政改革推進法にあると指摘しました。
 民間の「仕分け人」にも元政府税調会長の石弘光氏や、経済財政諮問会議の審議に携わった川本祐子氏など「構造改革」路線を推進してきた人物が含まれることなどを示し、「これで『構造改革』路線から決別できるのか」と批判しました。
 これにたいして、古川元久行政刷新担当副大臣は、指摘を認めつつ「民主党も選挙前から掲げてきた。税金のムダづかいをなくすために有効なツール(道具)だ」と述べ、人選については「たくさんの人がいろいろな視点から議論している。『構造改革』論者も入っているが、そうではない人もいる」と答えました。
 佐々木議員は、「自公政権からの“転換”をいうなら、「仕分け」の基準を抜本的に変える必要があり、その立場から人選も改めるべきだ」と強調しました。



 「中小企業金融円滑化法案」は、返済猶予など貸付条件の変更に「できるだけ応じる」と努力規程にとどまっています。
 佐々木議員は、これでは実効性が担保されないと批判し、亀井金融担当大臣が金融検査マニュアルや監督指針の全面改正に言及していることに触れ、「内容がどう変えられるかが重要だ」と述べました。
 亀井大臣は、法案採決の前に「金融検査マニュアル、監督指針が法案の実効性を左右するので、少なくとも改定された概要を法案採決前に委員会に提出したい」と述べました。

 また佐々木議員は、法案に盛り込まれている金融機関の中小企業への貸し付け状況などの情報開示について、個別行の実態が正確につかめるように公表することを求めました。
 亀井大臣は「この委員会でもいい指摘をたくさん受けている。できるだけ検査マニュアルや監督指針に取り入れていきたい」と答えました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。きょう最後の質問でございますので、どうかよろしくお願いいたします。
 きょうは法案審議の一番最初の日でございますので、基礎的な問題から議論をしていきたいと思います。
 亀井大臣は昨日、本会議で私の質問にお答えになりまして、小泉・竹中路線からの決別こそ大事であると非常に明快にお答えになったわけであります。これまで小泉内閣が進めてきた構造改革路線というのは、私どもから見ますと、財界、大企業など強いものは応援するけれども、競争力のない中小零細企業、あるいは高齢者とか障害者、こういう社会的な弱者の方々を切り捨てる、そういうものではないか、格差を拡大するものではないかと我々は見ておりましたが、大臣は小泉・竹中路線というものをどのようにお感じになってこられたのか、まずこの点から確認をしたいと思います。
○亀井金融担当大臣 私は、残念ながら、小泉・竹中路線といいますか、その進めました政治、そのもとで行われました行政というのは、我々日本人の長い間大事にしてきた生活のあり方、ある意味では文化と言ってもいいかと思いますけれども、そういうものを、全部無視されたわけじゃありませんけれども、無視をされて、当時アメリカではやっておったと言っていいのか、新しい疫病のような形で発生しました新自由主義、いわば市場原理が働くのは自由主義経済では当然だと思います、しかしながら、それが過激な形で市場原理至上主義、これが社会を活性化し、経済を活性化していくんだ、そういう考え方を直輸入して、言葉は悪いですが猿まねをして、改革と称してやってしまった。
 残念ながら、国民が改革という名に幻惑をされて、それを拍手喝采しているうちに、気がついてみると自分の首が絞められておった、そういう悲しい現象がこの10年間ぐらいに起きた、このように思っています。
○佐々木(憲)委員 私も基本的に同じような認識を持っております。
 その点に関連をしてといいますか、その点から見てということでありますが、事業仕分け、今盛んにやっているところでありますけれども、少し具体的にただしてみたいと思うんです。
 今行われている事業仕分けというのは、確かに今まで国民の目に見えないところで予算の査定が行われていた、これを見える形で各省庁の予算要求と財務省の査定とが、やりとりといいますか、その攻防の一端が国民の前に見える、これはなかなか興味深いものがございます。
 事業の仕分けのやり方についてでありますが、まず最初に古川副大臣お見えになっていますので確認したいんですが、対象となる事業を所管する省庁の官僚が出てきて説明をする、それに対して財務省の側が事業の問題点を提起する、仕分け人がそれを踏まえて質問をする、そして結論を出す、こういう構図になっていると思うんですが、なぜ財務省だけが別格の扱いでそういう位置にいるのでしょうか。これをお答えいただきたい。
○古川内閣府副大臣 お答えいたします。
 今まさに委員も御指摘になりましたが、事業仕分けというのは、これまで官僚と一部の政治家、その中で国民から目に見えないところで予算編成の作業が実質的に行われてきた、その過程をできるだけ国民の皆さんにオープンにしていく、そういう視点から取り組んでおるものでございます。
 そういう意味では、予算編成過程の一部分、これを公開の場で、外部の視点も入れて、もう一度これまでの予算の行ってきた事業の中身、それを見ていこうということでございますので、当然、予算査定、予算編成というのは、これは財務省が担当してきているものでございますから、その視点から財務省の担当者には事業仕分けの場に出てきていただいて、査定側としての意見を述べていただいているということでございます。
○佐々木(憲)委員 財務省の視点からやっているというお話でございました。
 きのう時事通信が「事業仕分けで極秘マニュアル 財務省の視点を指南 政治主導に逆行 行政刷新会議」、こういう見出しのニュースを流しておりました。
 確認をしたいんですけれども、政府の行政刷新会議が2010年度予算概算要求の無駄を洗い直す仕分けで、事務局が極秘の査定マニュアルを作成し、民間有識者など仕分け人に配付していたことが17日、明らかになった。財務省の視点に基づき、仕分け対象事業の問題点を列挙、各担当省庁の主張に対する反論方法まで具体的に指南する内容。政治主導を掲げた事業仕分けが、財務省主導で進んでいる実態が明らかになった格好だ。このマニュアルは、事業仕分け前に参考メモとして仕分け人に配付され、事業ごとに論点を提示し、問題点などが箇条書きにされている。マニュアルに従えば、対象事業に詳しくない仕分け人でも、厳しく問題点を指摘できる仕組みだ。
 こういうふうに報道されておりますが、こういうものが配られているのかどうかというのを確認します。
○古川副大臣 まず最初にお断りをさせていただきますが、今佐々木委員が財務省の視点でやっているというお話を私の答弁を踏まえて申されましたが、そういうことではございません。もちろん財務省の視点も当然予算の編成過程の一つでありますから私どもは聞いております。しかし、そういう視点だけでやってきたことが今までの予算の使い方、それは御党も今までの予算のあり方、配分の仕方がおかしいというふうに指摘してこられた、そういうまさに同じような視点に私どもも立ちまして、財務省だけの視点での査定でいいのか、やはりそこはほかの人の視点も入れて、いろいろな人の意見も聞いた上でもう一度見直していくことが必要だろうということでやっているわけでありまして、この事業仕分けを財務省の視点でやっておるわけではないということは御理解をいただきたいと思っております。
 その上で今の御質問にお答えをしたいと思いますけれども、御指摘の報道がどの資料を指しているのかはちょっとわかりませんけれども、事業仕分けにおきまして公開されております、その場に行きますと来ていただいている皆さんに資料をお渡ししておりますが、それ以外に財務省作成資料が配付されているということはございません。ですから、報道でしているような財務省作成のマニュアルのようなものは存在はいたしておりません。
 評価者の皆さんというのは、これは当日の事業仕分けに向けて事前からいろいろな関係省庁からヒアリングをしたり、あるいは現地調査をしたり、皆さん集まったりして議論を行ってまいりまして、そうした事前勉強の結果をまとめた、そしていろいろな事前勉強の結果を項目ごとに論点でまとめた、そうしたメモというものは作成をいたしております。評価者の皆さんでまとめた事前の勉強した結果を情報共有するようなメモは、行政刷新会議の事務局で、仕分け人になっていただいた皆さんの議論などを踏まえて作成をされているというふうには認識をいたしておりますが、財務省が作成をしたようなそういうものは存在はいたしておらないというふうに認識をいたしております。
○佐々木(憲)委員 そうしますと、財務省が論点整理をして配付する資料、ここにその一部があります。こういうものがネットにも紹介をされて、ホームページに出ていますけれども、それ以外にあるのは、事務局が作成した、いわば事前にいろいろ議論したものを整理して、論点を整理したメモがあるということですね。そのメモというのは、当然財務省の論点も含まれた形で仕分け人としての論点を整理するもの、財務省だけではないけれども、その上に立った議論を踏まえてつくられているんだろう。
 それで、この財務省の論点整理というものは、例えば一つだけ事例を挙げますけれども、若者自立塾というのがありますね。この若者自立塾というのはどういうふうに財務省は論点整理をしているかというと、必要性があるか疑問がある、こういうふうに言っていまして、20年度の入塾者は年全体で490人、見込みが1200人に対して低調である、64万人とされるニート等の若者の中で、0・1%未満を対象とした事業にどの程度の意味があるのか疑問であり、事業として不要ではないか。不要論を論点整理で提示をしているわけですね。これで、実際には仕分け人がほぼこれと同じ論点を担当の官僚の方に聞いているわけですね。
 結論としては廃止ということになったわけですが、山井厚労政務官はこれについて、非常に憤慨をしている、どうしてこれをカットするのかと。16日にも、生活保護を対象など、費用対効果で議論する点に違和感を感じる、こういう不満を語ったというふうに言われております。
 それから、この点に関連しまして、きょうの毎日新聞では、この廃止とされた件について「発信箱」というところで、コラムがありまして、こういうふうに言っているんですね。「人とかかわれなくなった若者が3カ月間の合宿で仲間や自分と向き合い、生活・就労訓練を受けながら社会へ踏み出していく。廃止の主な理由は「コストに対し成果が小さすぎる」だった。」でも、それは自己負担が大きいためそういう比率になったのではないか。自立塾は約30万円払うということで、あきらめている親もいるというんですね。「修了者の8割以上はニート状態を脱し、就労率は62%。決して低くない。」ということで、この若者自立塾を廃止したことに対しては非常に厳しい批判が出ているわけであります。
 私は、公開で議論するという手法は悪くはないと思うんです。こういう問題も、公開したからこそみんなの目に触れていろいろな意見が出るわけですね。問題は、どのような考え方で、どういう基準で判断するか、こういう問題であります。
 今挙がっている447事業、大体その447事業というものを対象とするのはなぜなのか、つまり、447事業を選び出すこと自体も公開でやるべきではないか、私はそういうふうに思うんですが、古川副大臣はどのようにお考えでしょうか。
○古川内閣府副大臣 今回行われております事業仕分けで選ばせていただいております、いわゆる仕分け対象の事業ということでございますが、これにつきましては、まさに政権交代から非常に短い時間の中で限られた中で、しかも限られた期間の中でこういう新しい試みをやってみようということで、当然、最初からすべての事業を対象にできるわけではない。多分、佐々木委員などはすべての事業をこういう形でやるべきではないか、そういうふうに考えておられるのかもしれません。それは国民の皆さんの、まさに選ぶというところの議論からすれば、そこを公開でやるべきでないかということであれば、それはすべての、予算の編成作業の全部を公開の場で、本当にそれができれば、一番理想はそういうところかもしれません。
 まさに予算というのは国民の皆さんと一緒につくっていくものでありますから、その点は多分意識を共有しておるものというふうに私も認識をしておりますが、しかし、それは時間的な制約や物理的な制約等もあって、それはやはり限られたものにならざるを得ない。
 ですから、今回の事業仕分けに選ぶ、そういう視点といたしまして、関係省庁などからのヒアリングなども行った上で、事業目的が妥当であるか、そして財政資金投入の必要性があるか、当該事業が手段として有効であるか、当該事業が手段として効率的か、また限られた財源の中で、当然いろいろな事業は、やれるものならやりたいわけでありますけれども、やはり限られた予算というのがあるわけでありますから、それぞれの事業の中で、ほかの事業に比べて緊要性があるか、そういうようないろいろな視点、そういったものを踏まえて、今回の中ではこの447項目というものを選ばせていただいたわけでございます。
 そういった意味では、今回、選ばれなかったものは何も問題がないとかというわけではございませんし、また一方で、何かここに選ばれただけですべて問題があるというような認識も持たれておるわけでありますが、そういうわけでもない。
 私どもは、今まで、前政権までで行ってきた事業、基本的にはそうした事業について、それはゼロベースで見直していこうという視点の中で、まずこの端緒として行っております今の事業仕分けにおいては、この447項目をそうした視点から今回については選ばせていただいたということでございます。
○佐々木(憲)委員 民間の仕分け人ですけれども、だれがどのような基準で選定をしたのかという問題もあると思いますね。この民間人の仕分け人の選定は、行政刷新会議の事務局長が中心になって行われたというふうに言われておりますが、そういうこともあってか、元政府税調会長の石弘光氏、経済財政諮問会議の審議に携わった川本氏など、小泉改革を推進した人物が含まれている。外国人のモルガン・スタンレー証券経済調査部長も仕分け作業に加わっている。
 亀井大臣はこの辺を問題にされていまして、小泉・竹中路線からの決別ということでありましたが、このような人選だと決別がなかなかすぱっとはいかないのではないかと私は思うんです。どのようにお考えでしょうか。
○亀井金融担当大臣 私は、鳩山政権のもとでの予算編成というのは、本来、鳩山総理が友愛の自分の政治の理念、これを具体的に予算として実現をしていく、そうした中で、各省を所管する大臣がそれを体して、自分の所管の中でそれを実現するためにはどういう仕事をやるのか、どういう事業をやるのか、それを自分の配下の局に対して指示をして、それに基づいてその下の局、課、係が予算の原案を編成していく、要求を出していくということであろうと私は思います。政治主導でやるというのであれば、そういうことであろうと思います。
 従来は、私も自民党時代、大臣もやり、政調会長もやりましたけれども、各省の役人が自分たちで、従来の、いわば惰性に流れたような形の中で自分たちが予算原案をそれぞれ各局でつくっていき、それを各省がまとめて、そしてそれに大臣が乗っかっちゃった形で各省の名前で財務省にそれを出していって、財務省が最終案を決定していく。その過程の中で、一つは、自民党時代というのは、国民から選ばれて与党の立場に立っておる国会議員が、政調会という立場の中で自分たちの考え方を各省に対して反映させていく、また各省が出してくる原案についてそれを直していく、そういう一つのプロセスをとりながら、最終的には、財務大臣のところでまとめて内閣が決定をしていくという仕組みをとっておったわけです。
 今度、政治主導でやるということであれば、私は、閣僚懇の中でも、総理がおられたときも申し上げたんですが、査定大臣という考え方は間違っておるんじゃありませんかと私は申し上げた。査定大臣という言葉がこの閣僚懇でも使われておるけれども、大臣は、これは鳩山政治を実現するために部下に対して命令をする立場であって、査定大臣ではない、予算編成に対して自分が、こういう予算をつくれということを命令していく立場だ。そうして、それででき上がったものを各省として、今度は全体としてこれをどうするかということを政府全体で決めていくということであって、大臣が査定大臣ということはあり得ない、財務大臣は査定大臣かもしれないけれどもということを私は申し上げたこともあります。
 今行われていることは、腕のいい人切り以蔵だと言って私は冷やかしておるんですが、仙谷大臣が、各省庁の目ではなくて、いわば客観的に、もっと言えば総理の目で、各省庁の持ってきておる原案、これを、不要か不要でないか、鳩山政治を実現するために必要なのかという目で彼が切ったりあれしたりしておる、そういう状況だと思います、形としては。私は、それはそれなりにいいと思うんです。
 ただ、その場合に、その過程に一般の人たちのいわば知恵をかりる、よく審議会だ何だということで政府が民間の方の知恵をかりますけれども、同じようにそういう知恵をかりるということであれば、その知恵を出す人は何も偏る必要はない。しかしながら、小泉政治と決別をするということを所信表明でも高らかに宣言されておる以上は、小泉政治を、市場原理至上主義を支えてこられた方々を、国民の、一般の意見を代表するというような形でお使いになるのはどうか、特に外国人をそういう形でお使いになるのはどうだろうかということを私は発言いたしました。
 マスコミはいいかげんですからね。その人たちを、これはいわば参考意見を言う立場であって、仕分け人という権力を行使することは間違いであります。私は、実態がどうなっているか現場を見ていませんけれども、これはあくまでやめた方がいいんじゃないかという意見を述べるにすぎない人たちであろうと思っておるわけであります。私は、それにしても人選がおかしいと思ったわけでありますけれども、それは仙谷大臣の判断ですから、それは御本人がお決めになればいい、そのように思っておるわけでありまして、あくまでこれは仙谷大臣が一応仕分けの責任者としてお決めになることだ、このように思っています。
○佐々木(憲)委員 亀井大臣のお気持ちはよくわかりました。
 この事業仕分けという手法ですが、これは、鳩山内閣になって初めて突然出てきたわけではなくて、これは古川副大臣に確認しますけれども、行政刷新会議の事務局長が代表を務める構想日本、ここが推進してきたもので、小泉内閣時代、2006年の行政改革推進法、この中に事業仕分けが規定されて、その後、07年、08年、経済財政諮問会議で議論が開始される、そして、昨年08年には自民党の中のプロジェクトチームで事業仕分けに着手をした、こういう経過があって、ここに構想日本、これも参加をしているわけですね。そういう経過で、それを半分受け継ぐような形で、今そういう事業仕分けというものを行っている。
 流れからいうと、2006年に法律ができてから具体化されてきた、こういうことでよろしいですね。
○古川内閣府副大臣 そこはちょっと御認識が違うのではないかというふうに思っております。
 私どもは、これは民主党は民主党といたしまして、従来、とにかく税金の無駄遣いを徹底的になくしていかなければいけない、そのための一つのツールとして、予算のこれまで密室でやられていたものを公開の場で、第三者の目とか地域の人の目とかいろいろな人の目を入れて、いろいろな意見でもう一回見直す、それがやはり税金の無駄遣いをなくす、そういうためのツールとして有効なツールではないかというふうに私どもも党として考えてまいりました。
 民主党は、ことしの3月から6月にかけまして、全党を挙げまして、この事業仕分け、今回のにいわばつながるような形のものをそれぞれの部門のところで行ってまいりました。これはマニフェストの中でも、事業仕分けをした、本当にごく一部分の項目を選び出して私どもなりにやってきたわけでありますけれども、そういうものの成果、結果を見てみても、政権がかわったときに、私たちが政権に入った場合に、この事業仕分けという手法を使って本格的にあらゆる事業というものを見直す、そういう作業を行っていけば、かなりのいろいろな無駄遣いというものを、あるいは、実はこれはそれぞれの税金が無駄に使われているというよりも、私どもは、その無駄遣いを生むような構造というものを明るみにしてくる大きなツールになるのではないかと。
 例えば、今回の事業仕分けの問題でも、先ほど佐々木委員からも御指摘がありました。実は、一番末端のところでは、本当に国民生活にとって必要なところにお金が流れたりするところがあるんです。ただ、例えば、10億円の予算のうち、末端に流れているのは半分の5億円だけで、残りの五億円は役所の天下りの人たちの人件費に消えている、こんな形で税金の使い方をしていいのか。もしその間に入っている天下り法人とかを抜けば、10億円が使えるじゃないかと。
 ですから、ぜひ佐々木委員も、結果のところだけではなくて、また一部分、マスコミ等で報道されている部分だけではなくて、一時間みっちり議論されていますから、ぜひその議論の中身を、御党の先生方、優秀な先生方がいらっしゃいますから、ずっと精査をしていただくとわかると思うんですけれども、一見、目的としては非常にすばらしい、そして確かにそこだけを見たら大変にこれは必要なことなんですけれども、実はそういう裏のところに、官僚の天下りの人たちが甘い汁を吸っているような構造とか、そういうものが存在をしているということがもう明らかになってきているわけですね。
 ですから、私どもは、無駄遣いをなくすためには目先のそういう本当に不要な事業はなくしていくということは大事なんですけれども、それだけではなくて、そういう無駄を生むような、そして、本来であれば国民にちゃんと還元されなければいけない税金が、途中でかすめ取られているような構造をなくすための次への改革のステップという意味でも、こういう事業仕分けのような形でみっちりと、1時間という時間は短いというふうに言われておりますけれども、しかし、予算委員会などでも一事業について1時間議論するなんということはやられていないというのが事実でありまして、この点などはぜひ国会の中の議論も変えていかなければいけない問題ではないかと思っておりますけれども、そのような形で精査をすることによってさまざまな問題が明らかになってきた。
 ですから、こういう手法というのは、実はいろいろな今までの行政の、これまでの前政権までの長期政権のもとで積もりに積もってきたうみを洗い出す、行政を刷新する、そういう意味では大きなツールになるだろうということで、私ども党として、これは選挙の前から、政権を私どもが担わせていただければ実行しようということで考えてきたものでございまして、もちろん御指摘があったように、確かに前政権のもとでもそういう検討が行われたりとか議論が行われたということは承知をしておりますが、それを受けて今やっているものではない。私ども民主党としての税金の無駄遣いをなくすという視点から、これは使えるツールではないか、そういうことで、この行政刷新会議において取り組んでおるということを御理解いただきたいというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 確かに仕分けの内容を見ますと、天下り先にそういう人たちのためのお金が流れていっている。そういう天下りの仕掛けを取り除くというのは非常に大事な点でありまして、我々も、一つの方法としてこういう方式を使ってやるというのは有効な手段の一つだとも思っております。ただ、問題は、天下りがあるからということで、全体の予算をその事業の目的の精査なしにばさっとやるというようなことはあってはならないだろうというふうに思うわけです。
 民主党は、自民党時代とは違うんだというふうにおっしゃいました。確かに2005年9月のマニフェストで、民主党は、事業見直し小委員会をつくって厳格に評価する、こういうことを挙げていたわけです。そういう意味では、民主党としても前から主張していたということはあると思います。ただ、問題は、だれがやるかという人選の問題、それからそれを実行していく判断基準の問題、この二つの問題が前の政権を引き継いでいる面がある。人の場合では、例えば事務局長がそうですし、これは、発想も抜本的にといっても、なかなかそうなりにくいと私は思うんです。
 例えば仕分けの基準として、財界、大企業、今までそちらばかりにお金を使うという仕掛けがあった。そういうものに対してしっかりメスを入れる。そして、国民の福祉や暮らし、教育もそうですけれども、そちらに拡充をしていく、そういう方向に基準そのものも抜本的に変える。国民の目線で、大企業あるいは軍事予算にメスを入れながら福祉を拡充する、そういう角度が私は必要だと思うんです。
 その点では、まだそういう方向に踏み切れていない。私は、そこに一定の限界があって、したがって、先ほど言ったような、必要なものもカットしてしまうというようなところにその一端があらわれているのではないかというふうに思って、指摘をさせていただいたわけでございます。以上で質問は終わりますが、最後に何かあれば。
○古川内閣府副大臣 先ほど来から、仕分けの評価者になった皆さんの人選でいろいろ御意見をいただいております。
 確かに、前政権でいろいろな役割を果たした方もいらっしゃることは事実でありますが、それだけではございません。そういう方に非常にフォーカスが当たっていることがありますけれども、全体ではこれは60名を超えるさまざまな方々にお願いをしております。
 そこの中で逆に、やはりある意味、客観性、中立性ということで考えますと、それは違う意見の方々、いろいろな意見の方々もあって、しかもそれぞれの評価は大体15人から20人ぐらいでやっております、各ワーキンググループ。ですから、その中にいろいろな考え方の方がいらっしゃって、そのまとまりとしての結果という形で評価をさせていただいておりますので、これが一人や二人、そういう方々だけの意見で決めておるというわけではないということは、まずちょっと御認識をいただきたいと思っております。
 あと、佐々木委員から御指摘のありました予算の大きな配分の変更とか何かは、まさに亀井大臣も言われたように政治主導でやはりやっていくところだと思っています。
 行政刷新会議というのは、今までの行政のいろいろな構造的な問題とかそういうものを明らかにして、その明らかになった問題点に従って、まさに各省に入った政務三役が中心となって、それぞれの役所においてこれまでの行政のやり方を見直して、見直す中で、不要な事業や不要な予算はやめて、それをコンクリートから人へ、私たちが鳩山政権で目指す新たな、人を中心に予算配分をしていく、限られた財源の中でありますから、大きな予算の配分をしていく、そのためのいわば行政全体の横ぐしを刺していく。そのための、いろいろな問題点、そして、こういうところに着眼していかなければいけないんじゃないか、そういうことを明らかにしていくというのが基本的には行政刷新会議の役割だというふうに思っております。
 ですから、行政刷新会議で出てきた結果を踏まえ、それぞれの省庁で政務三役が中心となって、まさにこれは内閣が一体となって、政治主導で、これまでの自民党政権ではできなかった大きな予算配分の組み替え、コンクリートから人へ、そうした大きな予算配分の変更を行ってまいりたいというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 きょうの毎日新聞の社説に、課題がいろいろ浮かんできたというふうに書いておりまして、科学技術に関する予算、これは教育も入ると思いますが、「費用対効果の側面だけから論じられない部分がある。社会保障、福祉も実際に現場の声を聞かないと、判断は難しい。」こういうふうに指摘をしておりまして、ぜひこういう点も踏まえてやっていただきたいというふうに思います。
 我々としては、抜本的な方向の転換というものは、亀井大臣もおっしゃったような、従来の自民党中心の財界奉仕の発想を根本的に変えないと、なかなか予算編成の中身が変わっていかないというふうに思っておりまして、そのことだけここで指摘をしておきたいと思います。
 古川副大臣、退席していただいて結構でございます。どうもありがとうございました。
 さて次に、法案の中身ですけれども、この法案は中小企業と住宅ローンというのがぼんと出ていますね。農家とか漁業、こういう人たちは対象になるのかという声があるんですが、いかがでしょう。
○亀井金融担当大臣 これは、もちろん対象になります。
○佐々木(憲)委員 わかりました。
 亀井大臣は、9月17日の記者会見でこういうふうに言われました。記者の方から質問がありました。モラトリアムについてお伺いさせてください、端的に言うと、借りた金を返さなくてもいいという政策だと思うのですけれども、こう問いかけられて亀井大臣は、そんなことないです、3年間だけ猶予してもらうと言っているんだ、こういう話をされました。
 その上で大臣は、銀行と中小企業は「力関係において難しいということ。個々の企業が自分の努力で「もうちょっと待ってくれ」といっても、なかなかそれは難しい。だから、それを国として3年間は金融機関は待ってやりなさいと。そうすることによって、借りている方が3年間なら3年間返さなくて、全力を挙げて経営努力をするという、そういう環境ができるということですよ。」こう述べておられます。
 これは確認できますね。
○亀井金融担当大臣 私が記者会見で話した内容がそのとおりであったかどうか、私、ちょっと正確には記憶をよみがえらせることはできませんが、私は当初、3年程度という考え方をいつも言っておったわけですから、3年という言い方をすることはないと私は思います。その期間待ってあげればというのは、頑張って事業を継続してやろうと思っている人たちに対して返済を猶予する措置をとれば、そこで倒産をしなくて頑張っていける、そういうことを国が助けていこうと。
 私は何度も言っておるわけでありますが、本来なら貸し手と借り手の間でこれはお互いによく話をしながらやっていけばいいことで、従来の日本はそういうことをやっておったんだ、現にそうですね。だから、今までもそういうことでやっているんです。何も改めてのことじゃない。
 ところが、御承知のように、弱肉強食、市場原理至上主義という、そうしたもとでの金融が横行を始めてしまった。また、残念ながら金融庁自体が、そういう立場での金融機関の健全化、そういう視点にだけ立ったような検査監督をやったために、結局、あるべきそうした融資が現場でなされなくなっているという現実に立って、ある意味ではやむを得ずこうした法律を出そうということを私は決意したわけで、当初、何か一枚の紙で貸借関係が全部パアになってしまうんだみたいな、誤解というよりかは全くあさってなとり方をマスコミがして、それが金融界その他に対して喧伝をされて猛反発が出たわけでありますが、現在は金融界においても私の考えておることをきっちりと御理解はいただいてきておるのではないかな、このように今考えております。
○佐々木(憲)委員 私が先ほど引用させていただいたのは、金融庁のホームページで記者会見の記録があるんですね。9月17日の記者会見、金融庁会見室で行われたもの、これはもう一番正確なものだろうと思うので、そのまま読ませていただいたわけであります。
 だから、3年間ぐらいは猶予して頑張らせるというのが効果があるというお話をされていますので、確かに3年という言葉は使っております、ぐらいはと言っていますけれどもね。
 それで、この発言は、中小企業、零細企業、業者にとりましては、もろ手を挙げて歓迎をされたわけでございます。例えば全中連とか、全国中小企業連合会でしたか、政府交渉のための集会というのがあった。私も出席しておりましたが、亀井大臣が、大臣がああいう集会に出てくるというのは極めて珍しい、それでとうとうと自説を説かれたわけであります。
 そういう点でいいますと、非常に強い期待があったわけです。3年というのが頭に残っておりますから、ああ、3年間は猶予してくれるのかな、こういうふうにみんな思ったわけですね。しかし、法案を見ますと3年なんて書いていませんので、これは大分トーンダウンのような感じにも受け取っている方がいます。
 銀行側も最初はびっくりしたようですね。これは大変な、自由主義経済のもとでモラトリアムが発動された例はないとか、すべての要素を考慮して総合的な法案を出していただきたい、非常に強い反発があった。しかし、法案が出ると、例えば全銀協の会長などは、当初の想定よりかなり変わってきた、金融機関の主張はある程度理解してもらえたのではないかと述べているわけです。そういう意味では、最初にぼんと打ち上げたそのイメージが少し冷やされてきて、銀行も、まあいいか、こういう感じになってきた。反面で、中小企業の方は、いや、これで本当に大丈夫なのかな、助けてくれるのかな、逆に言うとそんな感じが出てきているわけであります。
 今回、借り手の側が貸し付け条件の変更を申請する、少し猶予してくださいとか、利子を少し下げてくださいとか、そういう申請をした場合に、できるだけ要請に応じるように努力するというわけでありますから、これは義務づけではないわけですね。この間、金融機関に返済猶予、条件変更を求めてもなかなか話し合いに応じてくれない、そういう事例がたくさんありました。そういう意味では、法律上、努力義務であっても、これが書かれたというのは一歩前進というふうに私は思います。
 しかし、これで本当に実効性が担保されるかどうかというのはまた別問題だと思います。亀井大臣は答弁の中でも、金融庁の検査監督の金融マニュアルを全面的に改正していく、そういう業務自体のやり方を変えていくんだ、こういう答弁をされていますね。そして、昨日も本会議で、コペルニクス的に変えます、今準備してあります、こういうふうにお答えになっている。つまり、検査マニュアルそれから監督指針、これがどうなるかというのが一番肝心な点だと思うんです。そういうことですね、大事なことは。
○亀井金融担当大臣 委員御指摘のとおりでありまして、この法律の精神といいますか気持ちにのっとって金融機関が現実にその対応をするかどうか。また、借り手の方が、そういう意味では、従来とは違って、安心をして金融機関に相談を持ちかけていって、そうして事業継続の意欲を持ってもらえるかどうか。
 私は、これはいいことじゃありませんけれども、やはり日本の場合は、政府が、役人がどうきっちりとしていくかによって現場が相当変わっていくという、これは余りいいことじゃありませんけれども、そういう現実があると思います。
 私もこの何年間か、融資について相談を受け、あれしたこともありますけれども、結局、ほとんどの場合に返ってくるのは、理事長にしても頭取にしても、金融庁が怖いからできません、検査官が怖いから、もうほとんどそういうこと。これは口実に使っている面がたくさんあると私は思うんですが、そういう意味では、私は登庁して最初から言っていることで、これは政治が悪いんだけれども、しかしそのもとで、やはり金融庁が本来やらなければならないことをやらないで、やってはならないそうした監督検査をやったんだという反省に立って、今度私のもとで仕事をやってくれということを私は皆さん方に申し上げた。それが嫌だというなら辞表を出してくれと私は申し上げたわけでありますけれどもね。
 そういう意味では、検査官にとりましては、やはり金融マニュアル、監督指針がバイブルみたいなものになりますから、これを今副大臣のもとで具体的な、全面的な改定作業をやっておりまして、もう間もなくでき上がると思いますが、私は今副大臣とも言ったんですが、これを、そう言えば政令事項みたいなものでありますけれども、何もそんなことを中身を隠す必要はないので、これは逆に言うと借り手も、ああ、金融庁は、検査官はこういうマニュアルで金融機関を監督したり検査しているんだなということがある意味ではわかった方がいいと私は思うんですよ、オープンにして。
 そういう意味では、これは相当分厚いものでありますけれども、何らかの形でエキスだけでもそれを公表するような形で、この委員会に対してもエキスだけでもきっちりと、ここはこう変えたんだということをお出しした方がいいのではないかな、私はこのように考えております。
○佐々木(憲)委員 中身を出していただくというのが非常に大事だと思います。今回のこの法案に魂を吹き込むのかどうか、そのかぎは検査マニュアルとガイドライン、この二つにあると思うんですね。ですから、その内容がどうなるかというのが、我々、法案を判断する場合の大事な基準になるわけでございます。
 本来なら法案にちゃんと書いた方がいいんですけれども、細かくは書けないだろうから、つまり、今概要ぐらいは出した方がいいような話がありましたが、やはり法案を審査する上での前提として、これを法案採決の前に提示していただきたいんです。ぜひそれをお願いします。
○亀井金融担当大臣 これは、今その作業をやっておる最中でございます。採決を早くやっていただければありがたいと思っておるわけでありますけれども、やはり、法案が成立しましても、金融マニュアルがきっちりとでき上がってまいりませんとこれは実効性がないと私は思っておりますので、できるだけ早く作業を進めさせまして、この委員会に対して、こういう金融マニュアル、またこういう監督指針でやっていくんだということをこの委員会に私は提出してもいいと思っております。
○佐々木(憲)委員 これは委員長にお願いですけれども、この検査マニュアルとガイドラインについては、法案の採決の前に提示をしていただくよう理事会で協議をしていただきたいと思います。
○玄葉委員長 理事会で協議をいたしますけれども、今の答弁を聞きますと、時間がかかりそうだということでございますが、改めて理事会で協議したいと思います。
○佐々木(憲)委員 つまり、判断の一番のかぎになる部分ですので、それが出ないと、何か入れ物だけ通せと言われても、中に入っているものが何かがわからないわけですから、なかなか判断のしようがありませんので、ぜひお願いをしたい。
○大塚内閣府副大臣 実務を担当させていただいている立場で、若干補足をさせていただきます。
 今大臣おっしゃいましたとおり、作業中でございますので、できる限り大臣の指示に従って対応させていただきたいと思いますが、きょうの先生方からの御指摘、御意見を拝聴しておりましても、この法の方向性については異論はないという御意見が大半の中で、この法律はこの年末に間に合うかどうかというのが非常に大きなポイントになっております。
 したがって、法の方向性について御異論ないということであれば、しかるべく金融検査マニュアル、監督指針の概要をお示しした段階でこの法案に対する御判断もいただき、そして政省令等については、その後詳細に決定をされた内容にもし不備があれば、これは先生方からの、あるいは国会の所管の委員会の御意見をいただいてチューニングをするということも可能なわけでございますので、そういったプロセスもぜひ弾力的にお考えいただきまして、御判断をいただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○亀井金融担当大臣 今副大臣が答弁いたしましたように、今は作業中でございますので、これはいいかげんなものをつくるわけにはまいりません。できるだけこの法案の採決に間に合うようにやりたいとは思っておりますが、粗雑なものを出して、それじゃ採決、賛成やめたと言われては困りますので、今副大臣が言っておりましたように、私も誠意を持って対応いたしますから、これは隠すべきことではございません、むしろオープンにした方が、借り手にとっても貸し手にとっても世間から見てもこれはいいことでありますから、そのようにいたしたいと思っています。
○佐々木(憲)委員 法案を早く通すためにも早く出していただきたいと思います。
 もう時間がありませんが、もう一点だけ。
 体制整備というのが今回もう一つ法案の中で重要な柱になっております。実施状況と体制整備、その開示、それから、それに実効性を持たせるために虚偽の報告があった場合には処罰がある、こういうことだと思うんですね。
 その際の、借り手の側あるいは国民が銀行を判断する場合に、中小企業向けの残高というものが減ってきているのかふえているのか、これは非常に大きなメルクマール、判断基準であります。したがいまして、条件変更に応じてやりましたというその数字だけではなく、全体の中小企業向け貸し出しというものがどういう変遷をたどっているのか、その点についての開示。
 それから、その場合に銀行ごとにやっていただかないと、業態別に丸めて全体はこうですなんて言われても雲をつかむような話ですので、やはり個別の金融機関ごとにこうなりましたということがないと、自分が取引している銀行はこうだというのがわかりませんので、その辺をどこまで細かく開示できるのか。私は、一番わかりやすいのは、個別の銀行ごとにやるのが正しいと思いますが、その点、お願いしておきたい。
○亀井金融担当大臣 どこまでディスクロージャーした方がいいのか、またできるかという問題がございますけれども、個々の金融機関の財務内容までわたっていくことでもございますし、そういう状況を公表することがいいのか。金融庁としては当然掌握をいたしますけれども、そうした判断がやはりなかなか難しい点も、私は個々についてはあると思います。
 しかし、この委員会においても、全体的な状況を把握したい、国民の方々も知りたい、そういうことに対しては応じていけるような内容をつくりたいと思います。ただ、個々についてと言われますと、これは非常に難しい問題があろうかと思います。
○佐々木(憲)委員 個々の銀行がどうかというぐらいは、これは別に、何かペナルティーを科すようなものではないわけですから、きちっとやっていればその銀行の評価が上がるわけですから、そのぐらいはやっていただけないと、開示と言われても余り意味がないな、そういうふうに思います。
 それからもう一つは、先ほども少し議論がありましたが、申請をする場合、受け付けを最初からシャットアウトして、申請があっても数字にカウントしないというようなことのないようにするには、申し込みがあったものはすべて数字として扱う、こういう原則をはっきりさせていただきたい。その上で、それに対して何件対応ができたのかということをしないと、よくあるんですけれども、生活保護なんかも窓口でもうシャットアウトで、受け付けたのは本当にわずかである、こういうことで、申請がほとんどなかったかのような数字が出てくる。そういうことでは実態が正確にわかりません。そういう意味で、その辺の具体的な対応の仕方についても御答弁いただきたいと思います。
○亀井金融担当大臣 先ほど他の委員の御質問にも副大臣が答弁をいたしておったと思いますけれども、そのあたりのことを、非常にいい御指摘をこの委員会でいろいろいただいておりますので、今作成中のマニュアル、監督指針等の中に、そういう問題を実効性を上げるという観点から取り入れていきたい、このように考えています。
○佐々木(憲)委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

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