憲昭からの発信
憲昭からの発信 − 論文・対談
日本共産党の前進で国民の苦しみの根源にメスを
『女性のひろば』2008年11月号
日本共産党衆議院議員 佐々木憲昭さんに聞く
――安倍さんに続いて福田さんも臨時国会を前に突然辞任しましたね。
佐々木 昨年も今年も、9月になって無責任な政権投げ出しが続きました。これは、安倍、福田氏らの個人的な問題もあるでしょうが、基本的には「自民・公明政治のゆきづまり」のあらわれだと思います。
弱い者を踏みつけ、強い者だけが勝ち残ればいいという自公政権の「構造改革」路線で、貧困と格差がひろがり多くの国民の暮らしが極端に悪くなっています。「なぜこんなひどい状態になったのか」と、誰もが、今の政治に疑問をもたざるを得なくなっています。この国民の怒りが自公政権を追い詰めてきました。
そのため、小泉内閣以来の「構造改革」路線をそのままのかたちでは進められなくなっている。だからといって、路線を根本的に切りかえるわけでもない。──そのため、次第に舵取りが難しくなって、福田さんの辞任につながったのだと思います。
家計を直撃した46項目の負担増
小泉内閣以降、どれほど国民の負担が増えたでしょうか。今年2月20日の財務金融委員会で、私は一覧表を提出してその実態を明らかにしました。
たとえば、2002年度の医療保険制度の改悪、03年度の高齢者の介護保険料の引き上げ、所得税・住民税の配偶者特別控除の廃止、物価スライドによる年金給付額削減(04・06年度も)、04年度の年金保険料の引き上げ、所得税・住民税の公的年金控除の縮小と老年者控除の廃止、生活保護の老齢加算の廃止、05と06年度にかけての所得税・住民税の定率減税の縮小・廃止、介護保険のホテルコスト導入、「現役並み所得」高齢者の医療費負担の3割化、70〜74四歳の医療費負担2割化、75歳以上の後期高齢者医療制度の創設、07年度の生活保護の母子加算(15歳以下)の廃止など(年度は決定された時期)……。
数えるとなんと46項目もあり、金額にして約12兆7000億円も国民負担が増えているのです。これは、赤ちゃんからお年寄りまで1人当たりにすると、じつに10万円にもなるのです。4人家族で約40万円、5人家族ですと50万円も負担が増えているのです。
その資料は、私のホームページのデータベースの中にあります。
【憲昭国会質問データベース】「庶民負担増の反省なし労働の規制緩和の見直しせず」政府の経済政策ただす(2008年02月20日)
こんなに負担が増えているのに、賃金が上がらない。そのうえ、燃油や食料品が高騰して家計を直撃しているのです。漁港や農村からも「営業が続けられない。なんとかしてほしい」という声があがっています。
いま必要なことは、首相のすげ替えで目先だけを変えるのではなく、国民を苦しめる原因となってきたこれまでの「構造改革」路線――大企業と財界いいなり、アメリカいいなりの政治を根本的に変えることです。政治の中身を変えることなしに、この困難からの脱出はできません。昨年の参議院選挙で自公が惨敗したのは、国民が“ノー”の審判を下した結果です。こんどは衆議院選挙で自公政権が進めてきた政治=「構造改革」路線にはっきりと“ノー”の審判をつきつけましょう。
―――今、本当に国民の暮らしは深刻で極限のところまできています。「構造改革」路線が国民生活を痛めつけたという話をされましたが、具体的にはどういうことなのでしょうか。また、日本共産党はどうやって国民生活を守ろうとしているのでしょうか。
佐々木 自公政権は、「強いものをより強くすれば日本経済も強くなる」といって、輸出大企業には、労働法制などの規制緩和をすすめ法人税を引き下げるなど、国をあげて応援してきました(グラフ� 法�その一方で、国民にたいしては社会保障切り捨て、増税・負担増、非正規雇用拡大などの犠牲を際限なく押しつけてきました。これを「構造改革」の名のもとで推進してきたのです。
(グラフは、2007年10月10日予算委員会 佐々木憲昭議員 配付資料より)
経済の軸足を外需から内需へ
サラリーマンのばあい正社員の賃金が上がらないということもありますが、リストラで正規雇用が減らされ非正規雇用にどんどん置き換えられてきました。その結果、派遣や契約社員など低賃金の非正規が増大し、全労働者の約35%も占めるようになっていることも大きく影響しています。
自公政権は「大企業が栄えれば、いずれ家計におよぶ」などといい続けてきたのですが、家計は良くなるどころか、いっそう深刻さを増しています。
家計消費中心の内需が低迷したままですから、輸出(外需)にますます依存する。余ったお金は、国内の生産活動に投資せず、海外でのカネ転がし=投機活動に回してきました。こうして日本経済をゆがめてしまったのです。
だから、アメリカ経済が失速して外需が落ち込むと、とたんにその影響を受け、日本経済が打撃を受けるという非常に脆弱な経済をつくってしまったわけです。しかも、投機マネーの暴走によって原油や穀物が高騰し、国民生活、農漁業、中小企業に重くのしかかっている…。サブプライムローンにのめり込んできたリーマンブラザーズというアメリカの証券会社が倒産すると、投機に走ってきた日本の金融機関が衝撃を受けるという構造になっているのです。
このように、労働者や下請企業にしわ寄せし、過度な輸出依存と投機にうつつを抜かしてきた財界・大企業の行動に大きな問題があったことは明らかです。また、財界いいなりで家計から搾り取ったお金を、大企業への減税などにまわしてきた自公政治が、日本経済をだめにしたことは明らかです。 そのため、いちばん弱いところにしわ寄せが広がりました。
障害者の方からは、障害者自立支援法で“今まで通っていた施設にも通えなくなった”“施設の運営するために、一生けんめいコストをカットしてがんばったけれど難しくなった”という声が聞かれます。母子家庭の方からは“自分の命を削って必死になって働いてもなかなか十分な収入は得られない”という悲痛な声が寄せられています…。ここまで追い込んだ自公政治は、本当に許せませんね。
いまこそ雇用や社会保障、農漁業、中小企業、税制などのあらゆる分野で、政策の方向を切りかえなければなりません。経済政策の軸足を、外需から内需へ、大企業から家計へと移す改革が必要です。それが、何よりも景気対策にもなるのです。
グラフ�,鮓�てもわかるように、大企業が経常利益を増やしたときでも、法人税が減税され、税率はどんどん下がっています。せめて法人税率を37.5%に戻すだけで4兆円も税収が増えるのです。
投機マネーの問題についても、規制に難色を示しているアメリカのいいなりになるのではなく、国際的な規制に踏み切るよう行動すべきだと思います。
公明党の定額減税は選挙目当て
―――国民生活があまりに苦しくなっているなかで、与党から「定額減税」などの声も聞こえてきますが。
佐々木 根本にある「構造改革」路線をそのままにして何をいっているのか、という感じがしますね。
公明党は、所得税・住民税大増税の原因になった「定率減税廃止」を提案して、自民党とともに国民から3兆5000億円も奪った兆本人です。だから、マスコミからも“増税戦犯”と批判されたわけです。
この定率減税の廃止による大増税は、毎年続いているのです。しかし公明党が主張している定額減税は1回限りで金額も微々たるものになりそうです。しかも来年度の予算を編成する時に、他の税制といっしょに考えましょうというもので、すぐに実行するのではありません。
定額減税はたった1回きりの減税です。たとえていうなら、毎年3万5000円をポケットから取り上げておいて、“ほら返すよ”と1回だけ1000円返す。その次の年から、毎年、また3万5000円取り上げる…。こんなやり方なのです。国民をだますものでしかありません。選挙目当ての「見せガネ」政策は、国民に通用しません。
“ノー”といえない企業献金のわな
では、財政が大変だといいながら、どうして大企業に“もう少し法人税を払ってくれ”といえないのでしょうか。実は、その背景に、大企業からの政治献金でがんじがらめになっている政治の実態があるのです。
04年から、大企業の団体である日本経団連は、“通信簿方式”で政治献金を出し政治に露骨に介入するようになっているのです。その対象は自民党と民主党です。まず日本経団連が、自分たちの政治への要望を“模範解答”として示したうえで、自民党と民主党を「口頭試問」などしています。そのうえで、ABCDEの5段階で政策を評価して、会員企業に献金を呼びかけているのです。この間、日本経団連から自民党、民主党への献金額は増加しています。財界の要望にぴったりの政策をかかげるほど献金をたっぷりもらえる、こんな仕組みにどっぷりつかっている。これでは、国民に顔をむけた政治ができるわけありません。
320億円もの政党助成金が
政党のお金のことでいえば、政党助成金の問題もありますね。日本共産党は、この制度は廃止すべきだと主張して受け取っていません。
年間、約320億円もの税金が、日本共産党以外の各党――自民、民主、公明、社民、国民新党、新党日本に配られています。しかも、使い残した分は貯め込んでいるのです。私は、「この制度はなくすべきだ。少なくとも余った分はすぐ返金せよ」と質問したことがあります。国民生活がこんなに苦しくなっているときに、こういうお金を受け取って平然としている党に、国民の痛みがわかるでしょうか。国民の側にたった政治ができるでしょうか。
南米のボリビアでは、最近、政党助成金を法律で廃止し、そのお金を障害者のために使うと決めたそうです。日本も見習うべきではないでしょうか。
“アメリカべったり”転換を
もう一つの問題はアメリカべったりの政治です。今や軍事費は5兆円です。米軍への給油、米軍基地への思いやり予算…。こういう話を聞けば、どうしてそんなにブッシュ大統領のいいなりにならなければならないのか、アメリカに従わなければならないのか、多くの人が疑問に感じているのは不思議ではありません。アメリカいいなりの軍事優先路線ではなく、自主自立の平和外交へと大転換が必要です。日本の政治は、そういう大きな転換を求める歴史的な時期に来ていると思いますね。
―――各地で、保守の方々も含めた草の根の人々と日本共産党の響き合い、共同がひろがっていますね。
佐々木 三重県・鳥羽市の漁港にいったときには、開口一番、「私は共産党嫌いだったんだが、市会議員の活動を見ていたら考えが変わった」といわれました。
燃油の高騰で漁が続けられないと、いっせいに漁を休むストライキを決行しました。どの漁港でも、いままでほとんどなかったことです。トラック業者も次々に立ち上がっています。
せこ由起子さん(日本共産党衆議院東海ブロック比例候補)が、ある県のトラック業者の集会に参加したときのことです。他党の現職議員が紹介され挨拶をしたのに、せこさんは紹介もされなかったそうです。しかし、それにへこたれず会場を回って挨拶しデモ行進を激励したら、参加者から“共産党がんばれ”と声がかったそうです。
自民党を支持していた方たちとも
岐阜県の飛騨地域で農業再生シンポジウムには、パネリストとして参加したのですが、ここでは、飛騨牛の肥育一貫経営やトマト・菌床シイタケで日本農業大賞を受賞されたような方も参加してくださり、大いに盛り上がって成功しました。“農業を真剣に考えるならこれしかない”と、日本共産党の「農業再生プラン」に共感を寄せてくださいました。これまで自民党を支持されていたような方々とも共同をひろげる条件ができていることを感じます。
―――“自民党か民主党か”といった議論がメディアをにぎわしています。民主党は、政権交代すればなんでも解決するかのようにいいますが、日本共産党は、総選挙で問われる焦点は、政権の担い手の選択ではなく、政治の中身を変えることだ、と訴えていますね。総選挙に向けた思いをー。
佐々木 国民の生活を苦しめているのは、大企業・財界いいなり、アメリカべったりの政治です。ここにメスを入れる、政治の流れを根本的に変える、そういう姿勢に立たない限り、従来の枠のなかで小手先の手直しをしても、暮らしと平和を守ることはできません。
根本的な改革ができるのは、企業・団体献金を1円も受け取らず、アメリカにハッキリもが言える自主独立の日本共産党だと、ひろく訴えていきたいと思っています。
民主党が「対決」出来ないのは
民主党の最大の問題点は、いくら自公政権との「対決」を口にしても、自公政治に代わる政治の中身を示すことができません。お金で政治が買収される枠組みのなかに浸っていては、大企業に応分負担を求めることさえできません。
また、平和の問題でも、海外派兵の恒久法制定など政府案以上に危険な「対案」を提出しました。アフガニスタンへの陸上自衛隊派兵という構想も、民主党が最初に打ち出すという状況です。
「平和」を口にしても、それが本物かどうかの試金石になるのは、日米安保・日米同盟への態度です。その点でも、民主党は自民党と違いがないんですね。
先日、日本青年会議所が主催する「憲法シンポジウム」に出て、自民党の幹部と論戦しましたが、その方はこういってました。「自民党と民主党は政策に基本的な違いはない。だからおかしなことになる」と。民主党は、自公と「対決」している姿を見せるため、国会審議をボイコットしたり、プラカードをもって国会内の廊下を占拠したりといったパフォーマンスをしました。それしか「対決」を示す方法がないのでしょう。根本的な路線において対抗軸をもっていないからだと思います。
国民の苦しみに心を寄せて
日本共産党は、創立以来、圧倒的多数の国民の利益を守ることを党活動の基礎においてきました。だからこそ、時々の社会構造のどこに問題があるのかを分析し、国民のみなさんとともにたたかうことができたのだと思います。
今、多喜二の「蟹工船」がブームになっていますね。多喜二はあの暗黒の時代に、当時の資本家・大地主の支配のもとで、いかに働く者が搾取、収奪されてきたのか、その支配構造を小説に描きました。私も多喜二と同じ小樽商科大学の学生でした。私が学生だったころは、多喜二が学んだ校舎がまだあって、歩くとギシギシ音がしていました。演劇部に所属し、「蟹工船」で奴隷のように働かされる一労働者を演じたこともあるんです(笑い)。
若い人たちがおかれている状況はあの時代と非常によく似ている、世紀をこえて再び同じ状況がつくられていると感じている。そして、その支配とたたかう労働者に共感している。お年寄りも同じですね。戦中、戦後と苦労してきたお年寄りが、今になって“もう必要ない”といわんばかりの政治に怒っているのです。──そこには、若い人と共通する思いがあります。
私たちの前には、今まで体験したことのないような新しい情勢がひろがっています。国民のみなさんの期待の声に、何としてもこたえなければ、と思います。ぜひ、日本共産党を伸ばしていただいて、政治の根本的な改革にとりくんでいきたいと思います。