憲昭からの発信
憲昭からの発信 − 寄稿文
【08.10.23】移転先なければ入居延長も名タイ
「名古屋タイムス」『政論紙上バトル 愛知の国会議員が斬る』
愛知選出の若手・中堅国会議員による連載コラム
2008年10月23日
雇用促進住宅の廃止に伴う問題
全国にある雇用促進住宅の廃止で、35万人の方々が住み処(すみか)を追い出されようとしています。
先日も、雇用促進住宅の住民の皆さんと、懇談しました。政府の決定で、現に住んでいる人々の居住権を奪い、さら地にして売却するという前代未聞の暴挙に対して、住民の皆さんは、怒りを持って抗議しています。
73歳の高齢者の方は「ここに住んで25年になる。誰にも迷惑をかけずに生きてきた。いまは職もない。年金も10万円そこそこだ。民間の住宅に行けといわれても家賃が5万も6万円。それに高熱水費を入れれば7〜8万円になる。どうやって食べて行けというのか。年寄りいじめだ。死ねと言うのといっしょだ。考えたら、夜も眠れない」と。
還暦を目前にした男性は「住んでいる人間が納得いくかどうかがポイントだ。皆が金持ちで若いならどこにでも行ける。しかし、高齢者はどこにいけばいいのか」。
私が提出した雇用促進住宅の廃止に関する質問主意書にたいして、このほど政府の答弁書が出されました。それによると、急には移転先を探せない入居者については、基本的に再契約できることが明らかになりました。
政府と機構は、来年3月末までにすべての廃止決定住宅で説明会を行うこと、「やむを得ない事情がある場合」、最長2010年(平成22年)11月末まで延期すること、などを決めました。
そのさい、2003年10月以前の入居者(普通契約者)の期限は無条件で1年延長されるのですが、その一方で、その後の入居者(定期契約者)には従来どおり今年12月末から、退去を求めるとしていました。
これでは期間満了を目前にした入居者は、説明会も待たず退去させられます。
そのため質問書では、期限が切迫した入居者とは再契約するよう求めました。
これに対して答弁書は、期限の一律延長は「必要ない」としながらも、「(機構は)個別の事情に応じ、退去することが困難であると認められる事由がある場合には、平成22年11月30日までの再契約を締結する」としました。
入手した機構の「入居者説明会資料」も、「現行のスケジュールにおいては…移転先の確保が困難な入居者が生じていること、退去に関する説明が十分に入居者に理解されていないこと等」から、「厚生労働省から手続きの変更の要請を受け」たとのべ、移転先が見つからない場合等は、平成22年11月30日まで住宅の入居期間を延長するとしています。
肝心なことは、雇用促進住宅の廃止決定(閣議決定)を白紙に戻し、住民の居住権を尊重することです。
収入が不安定な非正規雇用が増えている現在の経済情勢のもとでは、むしろ役割を増している雇用促進住宅の積極的な活用をはかることが大切です。
居住者のみなさんとごいっしょに、さらには、UR住宅や公営住宅を守るたたかいとも連携して運動を広げなければなりません。