税制(庶民増税・徴税), 金権・腐敗政治, 雇用・労働, 医療・介護・年金 (消費税, 法人税, 大企業減税, 証券優遇税制, 定率減税の廃止, 高齢者への年金課税強化, 規制緩和, 日本経団連の「政策買収」, 非正規雇用)
2007年10月10日 第168回 臨時国会 予算委員会≪基本的総括質疑≫ 【412】 - 質問
福田総理に逆立ち税制・非正規雇用・企業献金で質問
2007年10月10日、佐々木憲昭議員はTV中継された予算委員会総括質疑で、福田康夫総理大臣に、逆立ち税制・非正規雇用・企業献金などで質問しました。
佐々木議員は、「(参院選の結果は)年寄りをばかにしてきた政権与党の仕返しだ。年寄りはもう要らないから死ね、といわんばかりではないか」、参院選直後に一般紙に掲載された投書も紹介しつつ、高齢者にたいする過酷な負担増の是正を求めました。
自民・公明内閣による庶民増税・社会保障抑制路線の下、年金課税強化や低所得高齢者の住民税非課税限度額の廃止、定率減税全廃による過酷な増税が高齢者を襲いました。さらに、これらの増税に連動して国民健康保険料や介護保険料も跳ね上がってきました。
例えば、収入が304.2万円(夫225万円、妻79.2万円)の世帯の2001年度から2007年までの高齢者の税・保険料の負担は、政府資料でも15万円から24万円に増えています。
高齢者の「公的年金控除が縮小」され、「老年者控除が廃止」され、そのうえ「定率減税の廃止」がおこなわれ、高齢者に対して、負担が増やされました。
そのため、これまでこれまで税金のかからなかった高齢者にも税金がかかるようになり、それに連動して、国保料や介護保険料などが雪だるま式に増えました。
佐々木議員の追及にたいし、福田総理は「社会保障費は節減しなければならないが限界がある」と述べる一方で、「財源には限りがある。我慢ができるところで、共生の理念でやっていかなければいけない」と言い訳。
参院選時に安倍総理(当時)が「上げない可能性もある」とした消費税についても、今年6月の「骨太の方針2007」に「消費税を含む税体系の抜本的改革」を明記していることを挙げ、「(参院選後に増税を言い出しても)ウソではない」と述べました。
佐々木議員は「政府は財源といえばすぐ消費税というが、税金は所得や利益のある者が負担能力に応じて納めるのが筋だ」として、大企業の税負担を取り上げました。
大企業はバブル期を超える空前の利益を上げています。その一方、自民党政治による大企業減税の恩恵をうけ、大企業の税負担(2006年度)は、90年度と比べると減少しています。
「ぎりぎりの生活をしている高齢者に何倍もの負担を押し付けておいて、空前の利益をあげる大企業が、なぜまともに税金を払わないのか」と迫る佐々木銀。総理と額賀福志郎財務大臣は「国際競争力」をいいわけに、大企業減税を合理化しました。
佐々木議員は、法人税率を10年前の水準に戻すだけで約4兆円、この上さらに、研究開発減税などの政策減税をただせば、合計約5兆円もの財源を確保できると提起。「国民にだけ負担を負わせるのでなく、大企業は適正な応分の負担をする、そういう方向に踏み出すべきだ」と求めました。さらに、企業の空前の利益が株式配当に回っている実態を示し、大資産家のための証券優遇税制も「すぐにでもやめよ」と迫りました。
これにたいし、福田総理は今秋の税制「改革」議論に言及。「税制改革の中において企業、民間、いろいろなバランスを見ながら決めていく」とのべ、明確な態度を示しませんでした。
大企業がばく大な利益をあげる一方で、従業員の賃金は、この5年間で1.4兆円も減っています。佐々木議員は、その背景として、大企業が正規雇用を減らしながら、派遣・契約など低賃金の非正規雇用に次々と置き換えていった労務政策があると追及しました。
2007年の非正規雇用者数は1731万人で、全労働者に占める比率は33.2%にまで増加。なかでも年収200万円に満たない「ワーキングプア」は派遣社員の49.6%を占め、圧倒的多数が低賃金の不安定雇用を強いられています。
佐々木議員は、その原因に、政府がおこなった労働法制の規制緩和があると指摘。「一連の規制緩和がなければ、これほど多くの非正規労働者は発生しなかったはずだ」と政府の責任を追及しました。
福田総理は「(非正規雇用の拡大は)価値観や働き方の多様化ということもある」などと若者の自発的選択であるかのようにいいつつ、「(非正規が)発生していることについては、いろいろな角度で施策を進める必要がある」などと述べました。
佐々木議員は、「希望してワーキングプアになりたい若者がどこにいるか」と批判し、派遣会社に登録し、派遣された期間だけ「労働契約」を締結する「登録型派遣」や、一日単位で派遣される「日雇い派遣」の現状を取り上げました。
佐々木議員は、“賃金が安くアパートを借りるお金がない。通勤の交通費も大変なので、仕事場近くのネットカフェに泊まっている”という労働者からの悲痛な声もぶつけ、「こんな状況を放っておいていいのか」「非人間的な『日雇い派遣』はただちに禁止し、『登録型派遣』についても原則禁止すべきだ」と迫りました。
舛添要一厚生労働大臣は「9月から労働政策審議会で、(派遣労働法制の)見直しの検討を開始させたところ」と答弁。「登録型派遣は禁止という方向で議論しているのか」という佐々木議員の質問に対しては「あらゆる角度から検討している」(舛添厚労大臣)と述べ、明確な答弁は避けました。
佐々木議員は、厚生労働大臣の審議会で「登録型派遣」の禁止に真っ向から反対しているのは経営者側の委員であることを指摘。その背景に、雇用・労働分野での規制緩和推進を掲げる日本経団連の方針があることを明らかにして、違法な偽装請負まで指摘されているキヤノンの御手洗冨士夫会長(日本経団連会長)の参考人招致を強く要求しました。
次に、佐々木議員は、「総理は、経団連に頭があがらない状況があるのではないか」と、福田総理にずばり質問。
佐々木議員は、非正規雇用で問題になっている「日雇い派遣」や「登録型派遣」の禁止を政府が明言しない背景に、日本経団連など財界の圧力があると指摘。そのうえで自民党が日本経団連の要望に沿った政策を出すと、自民党への献金額が増えている実態を示し、「(企業献金が)政治をゆがめている。この方式をやめる考えはないか」と迫りました。
福田総理は「政治献金を受け取ったから、その業界・団体に有利にしようと考えるほど、私たちは貧しくない」「(献金を)お願いしているわけではない」などと答弁。国民には耐えがたい負担増の痛みを押し付けておきながら、自らの献金には目をつむる態度を見せました。
佐々木議員は、日本経団連が2004年から「政策評価」という名の「通信簿」をつけて、その点数を目安に会員企業が献金額を決めていることを明らかにしました。
「通信簿」はABCDEの5段階になっており、日本経団連が毎年発表する「優先政策事項」にそった政策を出せば「A」がとれるという仕組みです。
04年には、「A」が3個で献金額は22億2000万円だったものが、「A」を9個とった06年には25億3000万円に増えています。
「政策買収」そのもののシステムです。「企業団体献金は政治全体をゆがめる。きっぱり禁止すべきだ」という佐々木氏。首相の口からは、国民の立場に立った政治に切り替える道に踏み出す決意は、最後まで聞かれませんでした。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
まず、福田総理にお尋ねをしたいと思います。
参議院選挙の直後、8月5日付の朝日新聞にこういう投稿が載りました。「自民の大敗は年寄りの反乱」、こういう見出しがついておりまして、「自民党の歴史的大敗に終わった参院選を、私は「じじ・ばばの反乱」と受け止めている。年寄りをばかにしてきた政権与党への仕返しだ。」「小泉、安倍と二代の政権が年寄りに何と冷たかったことか。老年者控除や定率減税が廃止され、医療費の負担増は著しい。乏しい預貯金の利息は入らない。引退後の生活にと積み立ててきた年金記録のいい加減さが発覚した。年寄りはもう要らないから死ね、と言わんばかりではないか。」「自民党の大敗が一人区に象徴されるのは、地方に暮らす年寄りたちに鬱積した不満の爆発だ。」こういう投書であります。
74歳の方からのものですけれども、まず、福田総理、この高齢者の声、どのように受けとめますか。
○福田内閣総理大臣 これは、今、財政が非常に逼迫している、そういう中で、例えば公共事業もそう、防衛費もそう、ODAもそう、あらゆる分野、切り込みをしているわけですね。そういう中で、社会保障は、これは高齢者増というようなこともありまして、どうしても膨張し続ける、これからも続けるわけですよ。しかし、そういう社会保障費も、どうやって合理化できないのかということについては、関係省庁、非常に頭を悩ませているわけですね。
そういう中で、社会保障関係も、やはり何とかしなきゃいけないということで、もしくは頭打ちのような状況の中で、いろいろな対策をしていく。そうしますと、どうしても、本当に必要なところが削られるとか、ある一部のところが削られてしまうとかいったようなことで、そういうところに不満が生ずるということはあると思います。
社会保障は、まあ、節減はしなきゃいかぬけれども、やはり限界があるんだろうというふうに思います。そこのところをよく見きわめていかなければいけない、丁寧にそういう施策をしていかなければいけないということでございますので、その辺は、今後、一つ一つの対策について、施策について丁寧に、きめ細かく実施していこうということを考えているところでございます。
○佐々木(憲)委員 限界があるとおっしゃいましたが、もう本当に今、限界を超えているんですよ。
ここに、小泉内閣と安倍内閣が高齢者に対してどれだけ負担を強いたかというのをパネルにしてみました。2001年度からことしまでの高齢者の税、社会保険の負担です。
ここに示したのは、収入が304万円の世帯でありますが、所得税、住民税は、これまで税金はゼロでありましたが、2万7100円の増税です。国民健康保険料も、9万7200円から12万3600円にふえております。介護保険料は、5万2800円から9万3600円と倍近くにふえております。これを合わせますと、15万円から24万円、こういうふうに負担がふえているんですね。
この数字、間違いないかどうか確認をしたいと思います。財務大臣、どうですか。
○額賀財務大臣 今の数字は、2001年から2007年までの間に、個々人の選択に中立的な税制を構築していくという観点から、2003年度改正において、まず、配偶者特別控除の上乗せ部分を廃止いたしました。そして、現役世代と高齢者世代の税負担の公平を図る観点から、2004年度において年金課税の見直しをいたしました。そして、近年の経済状況の大幅な改善等を踏まえまして、景気対策として平成11年に導入いたしました定率減税を17年度、18年度で縮減、廃止を行ってきたところであります。
御指摘のとおり、夫の年金収入225万円、妻の年金収入79.2万円の夫婦のみの高齢者世帯の場合、2001年には所得税及び個人住民税の負担は生じておりませんけれども、2007年には所得税9000円、個人住民税1万8000円、合計2万7000円の税負担というふうになっております。
ただ、標準的な年金、夫婦世帯で280万以下の年金だけで暮らしている高齢者世帯は、基本的には引き続いて税負担が生じておりません。そういうことは丁寧に我々も考えさせていただいているところであります。
○佐々木(憲)委員 280万以下に税金がかからないのは、これは当たり前なんですよ。今までかかっていなかった階層が、いろいろな控除がなくなって、かかるようになって、増税になった、それが大変な事態になっているわけです。
これは自治体によっていろいろ違いますけれども、例えば名古屋市の場合、年収340万円の高齢者夫婦世帯の場合、11万円だったのが34万円ですよ、3倍に引き上げられている。年収180万円の単身世帯の場合は、4万円だったのが16万円ですよ、四倍に引き上げられている。その上、名古屋市の場合は、市独自の敬老パスなど公共サービスもあるから負担がふえる。こういう状況なんですね。
何でこうなったかということですけれども、今、財務大臣が一部お話しになりましたが、2004年に高齢者の公的年金控除が縮小される、老年者控除が廃止される、その上、定率減税の廃止が行われる、このため大変な負担になったわけです。今まで税金のかからなかった高齢者に税金がかかるようになり、それに連動して国保料や介護保険料などがふえる。ですから、それまで何とか自立した生活をしていた高齢者も、自立が困難になって追い詰められるという状況があるんです。高齢者の反乱というのはそういう中で起こってきた。
総理にお伺いしますけれども、この高齢者の負担増というのは、これはいろいろな理屈はあると思うんですが、今の状況は余りにも急激であり、余りにも過酷だと思うんですけれども、どういう印象をお持ちですか。
○額賀財務大臣 これは、2004年度に年金改革を行ったときに、やはり急激な人口減少、それから幸せなことに高齢者がふえていく、これを、持続的な年金制度を維持していくためには、世代内、世代間の不公平感を排除して、是正して、そして安定的な年金の仕組みをつくることによって、若い人にも励みを、お年寄りにも安心を与えよう、そういう考え方のもとで、福田総理流に言えば、共生の考え方で、お互いに負担を分かち合おう、お互いにこれは連帯してこの困難な時代を乗り切っていこう、そういう考え方のもとで行われたことであります。
○佐々木(憲)委員 先ほどお認めになったように、これだけ大負担をかぶせておいて、何かいいことをやったかのようなことを言うなんというのはとんでもない話ですよ。世代間の不公平とかなんとか言いますけれども、それなら高齢者の負担を軽減するというのが当たり前じゃないんですか。
高齢者の負担を軽減してきた今までの措置の理由として挙げられておりましたのは、高齢者になりますと稼得能力が低下する、つまり収入が減りますから、だから税制の面で負担を軽くして生活を支えましょう、そういう趣旨で今までやってきたわけです。ところが、高齢者の収入は何もふえていないのに、小泉・安倍政権は負担だけをふやした。高齢者は、この上に消費税の増税があるんじゃないか、これが大変な不安になっているわけです。
消費税の問題について言いますと、私たちはもともとこの引き上げに反対ですけれども、参議院選挙のときに安倍総理は、私は消費税を上げないとは一言も言っていない、こういうふうに言って、大変な国民の批判が起こったわけです。ついに安倍さんは、歳出削減に努め、上げない可能性もある、こういうふうに述べました。我が党の志位委員長が、そうなると、逆に言えば、上げる可能性もあるんじゃないかということで詰めたわけですけれども、明確な回答はなかったんです。
福田総理にお伺いしますけれども、いずれにしましても、参議院選挙のときに黙っていながら、選挙が終わったら増税だ、こういうことは通用しないと思うんですけれども、いかがですか。
○福田内閣総理大臣 社会保障はやはり給付と負担のバランスということがございますし、また、制度一つ一つでいろいろな事情がありますから、そういうことをよく踏まえた上で実施していくということで、だれもがよかったよかったというわけにはいかないんですよ。高齢者がよかったと言えば、そうしたら若い人が負担が多いんじゃないかというようなことも心配しなければいけないし。
財源には限りがありますので、その中で皆さんが、満足というわけにいかないかもしれなくても、まあ我慢はできるというようなところで、まさに共生の理念でもってやっていただかなければいけない、こう思います。
それから、消費税のことでございますけれども、安倍内閣で、6月でしたか、基本的な経済財政の運営のことにつきまして十項目ぐらい決めましたけれども、その中で、秋になったらば消費税を含む税体系全般について議論をしよう、こういうふうなことを言っているわけでありまして、別にうそをついたとか、そういうふうな話ではないんですね。そういうことはもう既に言っておるわけでございますから、その点は御理解いただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 選挙の争点にしないものを、いわば逃げていたものを、選挙が終わってから、消費税は増税だ、もう支持されたんだから、こういうような話は通用しないということなんです。
財源ということですけれども、財源というと、何でも政府は消費税だ、消費税だと。消費税以外はないのかということなんです。消費税というのは、もともと所得の低い人に負担が重いという逆進性を持っているわけです。いわば弱い者いじめの税制ですね。これは上げてはならないと私は思います。税金は、利益あるいは所得のあるところ、そういうところの負担能力に応じてきちっと納める、これが筋だと思うんですね。
そこでお聞きしますけれども、バブル期を超える空前の利益を上げている大手企業、これ、まともに税金を払っているのかどうかということでございます。
財務大臣に確認をしたいんですが、資本金10億円以上の大企業の経常利益ですね、バブル時代のピークが1990年の18兆8000億円でありました。それが2006年には32兆8000億円、約2倍近くにふえております。その大企業が負担している税金、つまり法人税、法人住民税、法人事業税、租税公課、この負担、どうなっているか。1990年と2006年、この数字を示していただきたいと思います。
○額賀財務大臣 今、佐々木委員がおっしゃるように、年次別法人企業統計によりますと、資本金10億円以上の企業の経常利益については、平成2年度は18.78兆円、平成18年度は32.83兆円であります。プラス14.05兆円となります。おっしゃるように、御質問の法人税、住民税及び事業税と租税公課を合わせた額は、平成2年度は13.85兆円、平成18年度は13.74兆円で、0.11兆円のマイナスとなっております。
○佐々木(憲)委員 ここにパネルを示しましたが、利益は約2倍になっております。しかし、税金は、今のお話にありましたように、13.9兆円から13.7兆円、逆に、わずかですけれども、減っているわけですね。ぎりぎりの生活をしている高齢者に対して何倍もの負担を押しつけながら、空前の利益を上げている大企業がまともに税金を払っていない。これは、大企業に対して行き過ぎた減税が行われてきたからではないんでしょうか。
法人税の表面税率を取り出してここに示しましたが、43.3%だったのが、どんどん下げられまして、今は30%であります。このほかにもさまざまな名目で、例えば研究開発減税ですとか、そういう特権的な減税が設けられてまいりました。あるいは、六大銀行グループの場合、3兆円の利益が上がったけれども、法人税は一円も払っていない、こういう状況が生まれているわけです。
福田総理にお伺いしますけれども、利益が上がっても、このように税金が逆に減っている、これはどう考えても不公平だと思うんですけれども、いかがでしょうか。総理に。
○額賀財務大臣 これはもう御存じのように、これだけ国際化されている中、情報化されている中で、我が国の企業がどういうふうに伸びていくかということは、すさまじい競争を演じているわけでございます。したがって、今、ほかの先進国は法人税を下げる競争に入っている。そういう中で、我が国の企業も何とかバブル経済崩壊後の困難な時期から立ち直りかけようとしているときに、確かに法人税を下げさせていただきました。
企業が国を選ぶ時代でありますから、我々がこの国内に雇用の機会を存続させるためにも、これは国際的にフラット化していかなければならない、イコールフッティング化していかなければならないというのは、もう世界の共通の常識であるというふうに思っております。
企業がしっかりしているから、そこの従業員の皆さん方も雇用が生まれるし、雇用があるから、景気がよくなれば給料が上がってくるし、生産者というのは同時に消費者でもあるわけでございますから、そこのバランスをどういうふうに考えていくかということが大事であります。
もちろん、我々は、中小企業の皆さん方にも、これから皆さん方に光が当たるようにきちっとしていかなければならない。中小企業に対しても、これはもうそれぞれの優遇措置、あるいはまた税制においても基盤的な優遇税制を行ったりしてきているわけでございます。
○佐々木(憲)委員 総理の見解をお伺いしたんですが、お答えがなく、今は財務大臣だったんですが。
どうもお話を聞いていると、国民の税負担はどんどんふえるのが当たり前だ、大企業の税負担はどんどん減らすのが当たり前だと。何が常識ですか、それが。国民はみんな怒っているんですよ、そのことについて。
例えば法人税の負担を見ますと、政府税調の資料でも、日本の企業負担は、例えば自動車製造業はフランスの73%ですよ。ドイツの82%。エレクトロニクス製造業では、フランスの68%、ドイツの87%。日本の方が負担が軽いんですよ。それなのに、まだ減税をするんだと。これは、全く、国民からいって非常識なやり方だ。ドイツが下がった、下がったと言う。そういう引き下げ競争をやることについて、例えば、今までもOECDで、そういう引き下げ競争というのはよろしくない、こういう見解も出ていたわけですね。
ですから、私は、今、国民の立場からいって、そういう大企業の減税はどこまでもやるような発想は根本的に間違っているというふうに思います。
何も私は極端なことを言っているんじゃないんですよ。今まで税金を払ってきたぐらいの水準は、当然そのぐらいは払って当たり前じゃないか。下げ過ぎているところをもとに戻す。例えば10年前に戻すだけでも法人税は4兆円、あるいは、さまざまな優遇税制を正すと、合わせて5兆円ぐらいの財源は出てくるわけです。
総理にお伺いします。こういう国民の負担が非常にふえているという状況の中で大企業だけどんどん減税して、そういう状況というのは、私は、それこそ国民の目線で考えればおかしな状況ではないか。やはりある程度大企業も負担する、こういう方向に踏み出すのは当然だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○福田内閣総理大臣 法人税が下がったとおっしゃる点でございますけれども、これは当時、日本の経済というのは非常に悪い時期で、どん底のようなときだったですね。株価が7000円台といったような時期でございまして、そこから立ち直るためにはどうしたらいいかということをみんなで考えていた時期です。そういうときに、国際社会では法人税が下がるという傾向もあるし、日本も、まずは国際社会のそういう状況を見ながら法人税を下げるべきだといったような議論があったというふうに思っております。
日本の企業もこういうふうに回復してきました。してきましたけれども、法人税について申し上げると、アジアなんかはまだ下がっているという傾向がございます。そういったことも踏まえ、また海外投資の動向も踏まえて、これから税制を議論するというのでありますから、国民生活、そして企業の動向というものを踏まえた議論をそこでしていただくということが必要なんではなかろうかというふうに私は思っております。
○佐々木(憲)委員 景気が悪かった、だから減税をしたと。それなら、今、景気は利益が2倍になっているぐらい回復しているんですから、当然、そういう減税はもとに戻して普通に払ってもらうというのが、私は当たり前だと思うんですね。
アジアとの競争と言いますけれども、アジアは、例えば特区のようなところをつくって、それで外国から企業を呼び込むという特殊なことをやっているわけです。そういうところと比べて無限に下げるような話は、やはりこれはおかしい。
やはり、税金はきちっともうけに応じて応分の負担をしてもらう、そういうことに踏み出すというのは当然だと思うんですけれども、これは一切そういう見直しはしないという姿勢なんですか。これは見直すというのは当たり前だと思うんですけれども、今後の議論の中で当然それを含めて考えるべきだと思います。いかがでしょう。
○額賀国務大臣 先ほど来お話がありますように、法人税については、世界の中で日本の企業の税体系がどうなっているのか、法人税がどれくらいになっているのか、実効税率がどうなっているのか、そういうことをバランスを見ながら考えていくことにしたいというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 これは下げ過ぎたものはある程度もとに戻す、総理、そういう立場に立つのは当然だと思うんですけれども、いかがでしょう。
○福田内閣総理大臣 私は、先ほど申しましたように、国際競争をしていく企業の立場も考え、かつ国民生活とのバランスを考えるということは税制議論の中では当然なされるべきものだと思っております。
○佐々木(憲)委員 国民生活とのバランスを考えるなら、国民にだけ負担を負わせるのではなく、大企業は適正な応分の負担をする、そういう方向に踏み出すということをやるべきだということを申し上げたい。
今、この大企業の膨大な利益は一体どこに回っているのかという問題なんですよ。その多くは役員と大株主の懐に入っている。これを見ていただければわかるんですが、2001年度から2006年度にかけて異常にふえているのは大手企業の役員の給与、賞与であります。約2倍になっているんですね。株主配当金というのは四倍、大変なふえ方です。しかし労働者は、この点線のところにありますように、上がっておりません。5年間でマイナスです。大企業の株主になっているのは企業が多いわけですけれども、個人もあります。その配当金は12兆円に上っております。
財務大臣、この株の配当金に対する所得課税、どのようになっていますでしょうか。証券優遇税制、配当金の税金は年間幾らぐらいの減税になっていますか。
○額賀財務大臣 配当の軽減税率についてでございますけれども、国、地方合わせて20%、国税分15%、地方税分5%の税率を10%とする特例を設けていることは御承知のとおりであります。
これによりまして、19年度の税収見込み額をもとに機械的に試算をすれば、国、地方合わせて3000億円程度であるというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 配当分の減税で年間3000億円。このほか、株の売買で上げた譲渡益に対する減税があります。我々の試算では約7000億あると見ていますが、合わせて、株に関連をして1兆円の減税なんですね。特に、株でぼろもうけしている高額所得者に何で巨額の減税をするのか、これについても結構大きな怒りがあるんですよ。
昨年末の政府税調の答申はこう書いているんです。「期限切れとなる上場株式等の配当や譲渡益の優遇措置については、金融所得課税の一体化の方向に沿って、期限到来とともに廃止し、簡素でわかりやすい制度とすべきである。」
期限というのは去年なんです。それをわざわざ1年延ばしちゃったんです。これは、この税調答申からいうと、逆の方向に行っているんですね。当然、これはやめるというのは当たり前だと思うんですが、今度は総理、どうですか。
○額賀財務大臣 確かにおっしゃるとおり、景気が一番悪かったとき、株価が7000円台でした。そのときに、この譲渡益課税について10%に軽減をいたしたわけであります。5年限りとしたわけでございますけれども、市場の動向を見ながら、1年間延期をするということになりました。
それで、与党においては、1年延期をして廃止をするということになっておりますので、我々は、今日の経済状況とか市場の動きとかそういうことを見ながら、今後、きちっと整理をしていきたいというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 与党税調は1年延期して廃止と言っているんですね。政府税調は去年やめなさいと言ったんですよ、去年でやめなさいと。当然、来年廃止というのは当たり前でしょう。どうぞ。
○額賀財務大臣 これはやはり、一つは、2003年のような7000円台の株の状況ではないということ、景気がよくなりかけているということ、さまざまな条件、要件は変わってきていると思いますけれども、日本の経済が本格的な回復軌道に乗っているわけではありません。したがって、内外の経済の状況とか市場の動向とかをよく見る必要があると思います。
と同時に、やはりバブル経済崩壊後、国民全体としては数百兆円の預貯金がある中で、国民の大多数は低金利で日本の経済を支えてきた、そういう実態もあるわけでありますから、国民生活のことも考えながら総合的に判断をしなければならない。これから私どもは、いろいろと意見を交換しながら結論を出していきたいというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 何か煮え切らないですね。
総理、どうですか、はっきりと廃止と。これは今までの、去年の答申ではっきりしているんですから。
○福田内閣総理大臣 先ほど来申し上げています、この秋の、議論を開始します税制改革の中において、企業、民間、いろいろなバランスを見ながら決めていくべきものだと思っております。
○佐々木(憲)委員 ともかく、こういうことさえはっきりしないようでは全然だめですね。財源財源と言って消費税を上げるとか住民税を上げる、所得税を上げる、国民負担をふやすことに一生懸命やっていながら、減税して、もうやめると言っていたものまでやめると言わないんですからね。私は、こういうあり方そのものを根本的に変えるべきだというふうに思っております。
そこで次に、先ほどのパネルでも、従業員の方の賃金がずっと下がってきているんですね。その背後には、正社員を減らしながら、パート、アルバイト、派遣、契約など、低賃金の非正規雇用にどんどん置きかえていった、そういう大企業の労務政策があったと思うんです。
ある派遣労働者はこういうふうに訴えております。正社員と同じ内容で働いているのに、交通費が出ず、保険にも入れない、国民年金や健康保険は今のところ貯金をおろして払っています、全くぜいたくしておらず、最低限の生活を送っていますが、同じ仕事内容なのになぜ認められないのか、むなしくなります。
厚労大臣に確認したいんですが、現在、非正規労働者、それはどのくらいの数いるのか、全労働者に占めるその比率、何%でしょうか。
○舛添厚生労働大臣 お答えいたします。
労働力調査によりましたら、パート、アルバイト、派遣社員、契約社員等のいわゆる非正規労働者の人数は、最新の平成19年4月から6月の四半期の数字で1731万人でございます。それで、この4月―6月の四半期の一番最新の数字ですと33.2%。先生の御用意なさったのには33.7となっていますが、これは1月―3月で。ただ、いずれにしても3人に1人、これが非正規労働者という比率でございます。
○佐々木(憲)委員 今御紹介いただきましたように、ことしは、1―3月期で33.7、4―6月期で33.2、こういうことですね、今の答弁。大変高いわけです。つまり、3人に2人が非正規雇用である。若者の場合は2人に1人なんです。一生懸命働いても年収200万に満たない、そういう人々が、ワーキングプアですとか働く貧困層、こう言われているわけです。
全労働者の3分の1が非正規で働いている中で、特に派遣、契約社員、この所得の統計があると思うんですが、総務大臣にお聞きしますが、労働力調査で、派遣社員、契約社員、嘱託の場合、年収200万未満の人の割合はどうなっていますか、そのうち女性の場合はどうでしょうか。
○増田総務大臣 平成18年の労働力調査の結果を申し上げますと、派遣社員に占める200万円未満の者の割合、男女計で49.6%、それから、契約社員、嘱託に占める割合でございますが、これは男女計で44.8%、こういう数字に相なります。
また、お尋ねの、女性についての割合でございますが、これは派遣社員に占める割合が56.6%、そして、契約社員、嘱託に占める割合でございますが、こちらが58.9%、こういう数字でございます。
○佐々木(憲)委員 つまり、ワーキングプアとも言われるような方々の比率が、派遣社員や契約社員に非常に高い。もう半分。あるいは、女性の場合は6割、こういう状況であります。
先ほど見たように、大企業が大変な利益を上げる、その背景に、こういう低賃金の非正規雇用をふやしたり、正社員をリストラで減らしたり、そういうことをやってきた、そこに原因があるんじゃないか。
総理にお聞きしますけれども、この非正規雇用の比率がどんどん高まってくるということは、平均の賃金水準を全体として押し下げていく、そういう作用を果たすと思うんですが、そういう認識はおありでしょうか。
○福田内閣総理大臣 一般的にはそういうことが言えると思います。しかし、正規雇用もふえているんですね、今。ふえているんです、わずかかも。ことしあたり随分ふえているんじゃないかと思いますけれども。ですから、そういうところで平均すると、まあ、そんなに下がっていないんじゃないかという感じはいたします。
○佐々木(憲)委員 若干正規雇用もふえていますが、非正規雇用のふえ方の方が多いんですよ。4―6月期でも、昨年比で29万人正規雇用がふえましたが、非正規雇用が84万人ふえているんですよ。ですから、当然、全体の水準が低下していくわけです。
そこで、問題は、なぜそういうことが可能になったかということなんですね。企業側のニーズだとか労働者の働き方、いろいろ多様な働き方を求めたというようなことが言われますけれども、私はそれでは説明できないと思います、それだけでは。
このパネルを見ていただきたいんですが、政府が労働法制の規制緩和をこの間次々に行ってきた、それが大変大きな要因になっていると思うんです。戦後は、仕事を紹介して賃金をピンはねするというような口入れ屋というのは中間搾取だということで禁止されました。職安法44条、直接雇用でなければならない、こう明記されたんですね。
ところが、1985年、16の専門業種に限定するという前提で、直接雇用ではなく労働者派遣というものを認めたわけです。それが最初なんです。96年になりますと、その対象を16から26専門業種に広げました。99年になりますと、これは日本共産党だけが反対したんですけれども、それまでの26業種という限定を取り払って、派遣労働を原則自由というものにしてしまったわけであります。2003年になりますと、今度は製造業への派遣を解禁して、そして2004年から実施すると。
総理、これらの一連の労働法制の規制緩和というものがなければ、現在のこれほど多くの低賃金の非正規労働者というのは発生しなかったと思うんですけれども、これはそのように思いませんか。総理の認識を聞いております。
○舛添厚生労働大臣 簡単に背景について御説明申し上げたいと思います。
おっしゃるように、この先生のグラフのような御指摘もございますけれども、いろいろな、今先生みずからおっしゃいましたように、企業のニーズとか労働者側のニーズとかもあります。それからバブル崩壊後これがふえている。それで、必ずしも、労働法制が変わったときに有意義に変わったかどうか、これはもっと検証する必要があると思います。
ただ、やはりこういう形で、3人に1人がフリーター、非正規というのを固定してはいけないと思いますので、派遣法制も厳しく見直して、偽装派遣がないように、例えばこれを今厳しく監督をいたしておりますし、それから25万人フリーターを常用雇用する、このプランを精力的に政府としても推し進めていっております。
○佐々木(憲)委員 今までできなかった分野、あるいは今までできなかった派遣が可能になったのは、法律が変わったからなんですよ。法改正がなければ、これだけの非正規雇用は生まれないんですよ。そこはもう明確なんです。
今、一番派遣労働者の中で問題になっているのは、あらかじめ派遣会社に登録しておいて、派遣された期間だけ労働契約を締結するという登録型派遣、これがあらゆる業種に今広がっているわけです。
登録型派遣というのは、現在何人いますか。
○舛添厚生労働大臣 細かい説明は避けますが、約193万人でございます。
○佐々木(憲)委員 その登録型派遣の中でも、1日単位で派遣される日雇い派遣というのが大変大きな社会問題になっております。
登録した派遣会社から、朝早くメールで仕事内容と集合場所が送られてくる。1日働いても数千円、1カ月間必死に働いても10万円台という低賃金であります。こういう方々は、その日仕事がなかったり、あるいは体調を崩して休む、その場合は収入はもちろんゼロになるわけですね。アパートの家賃も払えなくなる。そうなると、ホームレスになったり、あるいはネットカフェなどで寝泊まりせざるを得ない。一度そうなると、なかなかこれは抜け出せないという状況であります。
元気な愛知と言われている愛知県でも、ネットカフェや漫画喫茶というものがふえております。トヨタ自動車などの関連企業の多い三河地方、製造、流通関係の事業所が多い小牧市など尾張中部地方にもふえておりまして、どんな状況かといいますと、朝早く、トヨタ系の下請会社が、バンでネットカフェを回って若者を迎えに来るというんですね。それで、日雇い派遣、スポット派遣の短期派遣労働者の宿舎がわりにこれが使われている。
私は労働者の話を聞きました。青森から来たが、賃金が安く、アパートを借りるお金がない、通勤の交通費も大変なので仕事場近くのネットカフェに寝泊まりしている、こう言っているんです。こういう状況をほうっておいていいのかというのが問われているわけです。
総理、住居のないこういう人たちですね、直ちに、私は、家賃補助ですとかあるいは生活資金を貸し付けるとか、せめて何らかのこういう手を打たなければならぬと思うんですが、どうでしょう。
○福田内閣総理大臣 そもそもそういう雇用が発生するということは、やはり、社会の価値観の多様化というか、また働き方の多様化とかいったようなこともあるわけですね。何もそういうことを推奨しているわけではないんだし。しかし、そういうものが結果として発生しているということについてはどういうような対応をしていくか、これはいろいろな角度で施策を進めていく必要もあろうかと思っております。
生活資金だとかそういったような貸し付け、そんなことをしたらどうかというふうな話もございますけれども、これは、既に自治体でもって実施しているところもあるというふうに聞いております。資金を貸し付けるということになりますと、保証人の確保が難しいとかいったようなことがありますので、困難なこともあるというようにも聞いております。
ですから、例えば、ハローワークにおいて寮つきの求人を確保して、これを対象者に職業紹介するというようなことなど、住居と安定的な就労機会の双方が確保できるような、きめ細かな情報提供と相談支援を進めていきたい、こう考えております。
○佐々木(憲)委員 それは、実際に効果があるのは極めてまだ部分的でありまして、ほとんど、先ほどの193万人は登録型なんですね。これ全部がネットカフェだとは言いませんけれども。
しかし、そういう状況の中で、総理は働く人を大切にするということを所信表明で言われましたね。それから、正規雇用に転換するとも言われました。それなら、私は雇用の原則というものをもう一度考える必要があると思うんです。
期間の定めのない直接雇用を基本にする、そういう原則に今立ち戻るべきだと思うんです。そういう意味で、例えば、非人間的な日雇い派遣は禁止する、登録型派遣についても原則禁止、こういう道に踏み出すべきだと思うんですけれども、総理、どうですか。
○舛添厚生労働大臣 非正規の労働者にちょっとアンケートをやってみますと、正社員になりたいというのは3割、ところが、今のままでおれはいいよというのが5割、それから、今後も派遣労働者のままの方がいいというのも3割いて、なかなかこれはニーズが一概に言えません。
ただ、今おっしゃるように、日雇い派遣とか登録派遣というのが今のままでいいのかなというのは、先生のおっしゃるような御指摘もございますので、この9月から労働政策審議会でこの見直しの検討を開始させたところであります。今後、日雇い派遣それから登録型派遣のあり方を踏まえて、この審議会の審議を中心にして、その結果に基づいて適切に対応していきたいと考えております。
○佐々木(憲)委員 働いている人がそういうことを要求しているかのようなことを言いますけれども、とんでもない話でありまして、だれもワーキングプアになりたい人はいませんよ。
内閣府の多様な働き方に関する意識調査というのによりますと、現在、そういう形で働いている20代の男性のうち85%が10年後に正社員として働きたいという調査もあるんじゃありませんか。このままずっとこれでいいなんて、だれもいません。
9月から検討していると言いますけれども、例えば一般業務については登録型派遣は明確に禁止する、そういう方向で検討しているのかどうか、それを確認したい。
○舛添厚生労働大臣 まず、さまざまなアンケートがございます。それで、若者の中でも非常に、いわゆる自由にやりたいという方がおられたり、派遣型でいいという方がおられることは確かであります。
そこで今、審議会においては、先生のような御意見も含めてあらゆる角度から検討して、これは適切に、見直しも含めて検討する、そういう踏み込んだところで検討作業を行っているところで、その結果を踏まえて政府としてもきちんと対応していきたいと思っています。
○佐々木(憲)委員 一番焦点になって緊急に対策が必要な問題について、やはり方向を明確にするということが必要だと思うんですね。
労働政策審議会の中で、登録型派遣を禁止する方向というのに抵抗している人はだれですか。
○舛添厚生労働大臣 多様な意見がございますので、どの委員がどういう意見をおっしゃっているかは、私はつまびらかにいたしません。
○佐々木(憲)委員 私が聞いておりますのは、これは経営者側の委員であります。その言い分を見ますと、登録型派遣は現状維持でいいとか、あるいは対象業務は原則自由化なんだ、こういう勝手なことを言っているわけで、私はここに日本経団連が発表した2007年の優先政策事項というのを持っておりますけれども、この中では、雇用労働分野における規制改革を一層推進すると書かれております。経営者側の委員は、この立場に立って登録型派遣の原則禁止に真っ向から抵抗している。
日本経団連の御手洗会長は、政府の政策を事実上決定する経済財政諮問会議の中で、財界、大企業の代表としていろいろな発言をしております。違法な偽装請負を指摘されると、法律に無理があるから変えろと。法律の方を変えろと言っているんです。とんでもない話です。国会のチェックは全く入らないんですか、そういうところに。
委員長、日本経団連の御手洗会長を参考人として呼んで、雇用政策についての考えをただしたいと思いますが、検討していただけますか。
○逢沢委員長 理事会で協議いたします。
○佐々木(憲)委員 日本経団連になかなか頭が上がらない状況がどうもあるのではないか。総理も何か奥歯に物が挟まったような言い方しかしないので、どうもその裏に、自民党が大企業から政治献金を受け取っているんじゃないかと思いますが、いかがですか。
○福田内閣総理大臣 政治献金を受け取ったからその業界、団体に有利にしようということを考えるほど、我々は貧しくはありません、まず。
そして、企業経営者、財界も、やはり日本経済、社会が健全に発展していくことが自分たちの企業のためにもなるんだ、こういう意識を持っていただかなきゃいかぬわけですね。そういう意識は十分に持っているんじゃないかというふうに思っております。そういう意識を持っていないというふうに言われるかもしれませんけれども、私たちはそういうふうな考え方をしております。
○佐々木(憲)委員 影響を受けないと言われますけれども、今から5年前の2002年、旧経団連と日経連が合併して日本経団連がつくられる、その次の年から新しい方式で献金が行われるようになったんです。それまで10年間は、経団連が集めて自民党に献金するということはやめておりました。しかし、2004年になって、経団連が自民党と民主党に政策評価という通信簿をつけて、その点数を目安に大企業が献金を行う。
例えばこういう形になっておりまして、この通信簿はA、B、C、D、Eの5段階になっております。それは模範解答があって、日本経団連が発表する優先政策事項というものがあるんです。それに沿って政策を出せばよい点がとれる。こういうことで、私もこれは余りにもひどいんじゃないかと思って分析をしました。「変貌する財界」、こういう本に私も分析をして書きましたけれども、ともかく、こういう政策……
○逢沢委員長 佐々木君、予定の時間が来ておりますので、簡潔に結論を導いていただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 はい、わかりました。
こういうやり方が私は非常に政治をゆがめていると思いますが、このやり方をもうそろそろやめるという決意は総理におありかどうか、最後にお聞きしたいと思います。
○福田内閣総理大臣 私は、この経団連で評価していることについてどういう経緯でそういうふうにされているかはわかりませんけれども、私どもからお願いしてやっていただいているということではないと思っております。
○佐々木(憲)委員 企業・団体献金というものが政治全体をゆがめるということですから、きっぱりと禁止をする、このことを最後に主張して、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
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