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憲昭からの発信

憲昭からの発信 − 論文・対談

「財界……変貌する実態」日本共産党衆議院議員佐々木憲昭さんに聞く≪第3回≫

『民主青年新聞』4回連載
連載3回目(2007年11月5日号)

新自由主義政策の推進

 政府・自民党がすすめる構造改革を背後でささえているの財界。財界とは何か、何をねらっているのか。第3回は、財界がなぜ新自由主義を推進するのかを考えます。(4回連載)


◆世界で利益をあげるために
 財界が大きく変貌したもとで、日本社会に新しい変化がつくられようとしています。
 一つは、財界・大企業が国内の経済基盤をあまり重視しなくなっていることです。日本の大企業は、グローバルに展開し世界の市場で利益をあげればいいという姿勢に変わっています。国内で雇用が不安定になろうが、地域経済が衰退しようが、自分の企業が世界中でもうけをあげればいい、国内の雇用や農業、中小企業は、切り捨ててもいいという考え方になるのです。
 二つは、アジア的な低賃金、低単価を国内に押しつける傾向をつよめることです。アジア進出で、日本の労働者の10分の1程度の低賃金でアジアの労働者を雇うことができます。そのためアジアとの比較で、「国内の賃金や下請け単価が高い」、「日本のコストは高い」ということになります。そこで単価切り下げ、賃金引き下げをもとめ、非正規雇用をふやすだけでなく、労働者の権利を守る法律を改悪し、無権利状態において当たり前という考え方になるわけです。
 三つめに、国境がじゃまになるということです。アジアで企業展開しているもとでは、アジア全体で利益をあげる体制をつくりたいと考えます。そうなれば子会社に輸出するとき、相手国の関税がじゃまになる、あるいは相手国の自分の子会社から輸入するのに日本の関税がじゃまになります。そこで国境措置の撤廃の要望を強めるわけです。自由貿易協定(FTA)、経済連携協定(EPA)をむすび、関税を引き下げるなど国境措置の垣根を低くさせるのです。
 これはたしかに大企業としては関税はへります。しかし、日本が相手国から輸入するときの関税も引き下げられます。相手国からの輸入品は、アジアでは農産物が多いのです。これは国内の農業と競合しますから、日本の農業は追い込まれてしまいます。財界は、それでも構わないと考えているのです。
◆9条2項は「現状から遊離」
 もう一つは、外国に日本企業の子会社が進出するもとで、現地の権益を守るには、自衛隊が海外に出て行って当たり前という発想になることです。日本経団連の「わが国の基本問題を考える」では、9条について「戦力の不保持を謳う九条第二項は、現状から遊離している。我が国が果たすべき国際貢献、協力活動をすすめる上での大きな制約になっている」としています。また経済同友会も憲法改悪を提言するなど、日本の海外派兵は、多国籍企業化した日本の財界のストレートの要求になってきていています。
 多国籍企業化した日本の財界は、国民の利益から遊離し、戦争できる国づくりは当たり前とする非常に危険な傾向をもつようになっています。(つづく)


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