憲昭からの発信
憲昭からの発信 − 論文・対談
「財界……変貌する実態」日本共産党衆議院議員佐々木憲昭さんに聞く≪第2回≫
『民主青年新聞』4回連載
連載2回目(2007年10月29日号)
巨大化、多国籍企業と急増する外資の株式保有
政府・自民党がすすめる「構造改革」を背後でささえているの財界。財界とは何か、何をねらっているのか。第2回は、急激な変貌をとげる財界の実態について紹介します。(4回連載)
日本経団連は、この三十数年で大きく変化しています。その特徴を日本経団連の会長、副会長など指導部を構成している企業の変化から見てみましょう。
一つは、企業がたいへん巨大化していることです。総資産でみると、1970年3月期の6565億円(単独決算)から、2006年3月期の6兆1458億円(連結決算)へほぼ10倍。売上高も、同期5862億円から5兆4607億円と、これも10倍になっています。
一方、従業員数は、同じ時期に4万1274人(単独)から8万2920人(連結)へ、2倍にしかなっていません。単独だけでみると、1万4879人と3分の1にへっています。これは、全体として非正規雇用をふやしていることを意味しています。非正規雇用の比率は、80年代半ばで約15%から06年で33.2%となり、労働者の3人に1人、若者では2人に1人は非正規雇用となっています。そのなかで、派遣・契約社員の約半数が年収200万円以下の「働く貧困層」です。
日本経団連を構成する企業の規模が巨大化する一方、非正規雇用が激増し労働者の賃金が押さえ込まれている実態がわかります。
◆日本企業のアジア進出
二つめの特徴は、外国に子会社をつくり、そこでの生産をふやす傾向が強まっていることです。日本企業の海外生産比率は、95年度の19.7%から05年度には31.4%と3割を超えています。わずか10年で、海外に生産拠点を移し海外生産を急速にふやしていることがわかります。子会社はアジアで約6割占め、とくに中国の比率が25.3%(04年)となっています。つまり、日本の多国籍企業化はアジアへの進出、とくに中国への進出が特徴です。その一方で、アメリカの比率が下がっています。
同時に、日本からの輸出のなかで大企業の占める比率は、依然として高いのが特徴です。05年の統計では、トヨタ、日産、ホンダ、ソニーなど上位10社の輸出額は、全体の33.7%と高い比率を占めています。輸出先は、海外に展開する自社の子会社向けがかなりあります。これを企業内取引といいますが、その比率は輸出で、95年度の17.1%から04年度の35%へ。輸入では95年度11.6%から04年度19.1%へと増えています。
日本の多国籍企業の特徴は、貿易比率が高いと同時に企業内取引の比率が増加しているのです。
◆アメリカ株主の意向が反映する
三つめの特徴は、日本の大企業の株主に占める外資系会社の比率が高くなっていることです。表の通り、70年3月期決算では、外国法人・個人保有株式の比率が2.85%だったものが、06年3月期決算では29.93%と急増しています。大株主のなかでアメリカ系外国法人の占める比率が激増していることを示しています。
日本の巨大企業は、アメリカから自立して対等に競争する企業として成長しているのではなく、アメリカ資本によって日本の巨大企業の株が握られ、その意思決定がアメリカの株主の意向を反映するようになっているのです。
巨大企業の経済団体である日本経団連は、アメリカの意向をつよく受けて意思決定をし行動する団体になっているのです。(つづく)