国会での活動
【03.07.18】サービス残業根絶へリストラ促進の転換を 小泉総理「経団連会長に伝える」と答弁
2003年7月18日の予算委員会経済問題等集中質疑で、佐々木憲昭議員が、サービス残業の根絶のためにリストラ支援政策を転換するように求め、小泉総理大臣の認識をただしました。
時間外労働をしても残業代が支払われないサービス残業は、労働基準法が罰則付きで禁止している違法行為です。ところが、「失業者が上昇するという『人余り』現象がある一方で、就業時間が長期化している者はむしろ増えている」「大企業では全体として雇用者数を減らしながら、同時に長時間労働の社員の割合を高めている」(国民生活審議会 雇用・人材・情報化委員会「報告」2002年7月)状況にあります。
佐々木議員は、政府統計に基づく独自試算によって、人減らしの一方でサービス残業が増加している実態を示し、「これは是正すべきだ。なぜこういう状況がなくならないのか」と小泉総理の見解を求めました。
小泉総理が「最近の経済情勢の厳しさも反映している」と答弁したため、佐々木議員は、「リストラの影響が大変大きい」と反論し、「企業がリストラで従業員を削減した結果、企業に残った従業員はその分をカバーするため過大な仕事量を抱え、残業せざるを得なくなっている」との第一生命経済研究所のレポートを示しました。
次に佐々木議員は、業種別のサービス残業の状況をグラフで示し、1番多い「卸売・小売・飲食店関係」を所管する平沼経済産業大臣と、2番目に多い「金融・保険業」所管の竹中金融担当大臣に対応方針を示すよう求めました。
平沼経済産業大臣は、「(サービス残業が)あってはならないという形で、減らしていくために努力をしていきたい」と述べました。竹中金融大臣は、「法令違反がある場合には、厳正に、業務改善命令を含めて対応していかなければならない」と答弁しました。
佐々木議員は、これまでも政府がサービス残業解消のための通達を発出するなどの対策をとってきたにもかかわらず、サービス残業が増加していることについて、“労働基準監督署が調査に入っても改善されたのは当月だけで、翌月から元に戻った”などの職場からの告発も示し、「対応が実態に合っていない」と強調しました。
佐々木議員は、繰り返し是正勧告を受けた悪質な会社の企業名を世間に公表することや、労働者に割り増し賃金以上の支払をさせるなどのペナルティーを課し、サービス残業が企業にとってマイナスになるような対策をとるよう求めました。
さらに佐々木議員は、政府の対策が効果を上げていない理由について、「小泉政権の経済政策そのものに大きな問題がある」と指摘し、政府のリストラ支援政策を転換するよう主張しました。そして、小泉首相にたいし、サービス残業をなくすよう、奥田経団連会長に申し入れるよう求めました。
これに対し小泉総理は、「「経団連会長と会う機会があるので、(サービス残業を)減らすように今後もよく配慮していただきたいと申し伝えたい」と答弁しました。
佐々木議員は、エビアンサミットのG8宣言のなかで、企業には雇用を安定させていく社会的責任があることが明記されていることを指摘するとともに、サービス残業の根絶が、雇用と消費を拡大し、所得増加につながることを示し、日本経済全体を成長の軌道に乗せるための重要なポイントとして、政府の基本政策として取り組むよう要求しました。
小泉総理は、「経営者も社会的責任を十分認識して、企業の業績を上げると同時に、労働者の待遇改善に努めていただきたい。政府としても、そういう配慮を、企業側によく今後とも求めていきたい」と答弁しました。