国会での活動
国会での活動 − 政治経済キーワード、税制(庶民増税・徴税)
【政治経済キーワード】税の空洞化(その1)
2002年3月1日
最近、塩川正十郎財務大臣をはじめ財務省や政府税制調査会(政府税調)の幹部などが「税の空洞化」あるいは「税収の空洞化」ということを強調しはじめています。今日の日本の税収減を問題にしたものです。
塩川正十郎財務大臣は、財政演説で「我が国の租税負担率はG7諸国で最低の水準となっております。また、働いている人のうち4分の1が所得税を負担しておらず、250万法人のうち3分の2が法人税を負担していません。・・・全体としての租税負担のあり方、また、いわゆる税負担の空洞化ともいうべき状況について議論することが必要であります。」と述べています。(2002年2月4日衆議院本会議)
石弘光政府税調会長(一橋大学長)は、「控除が多く税収が得られない『税の空洞化』解消が重要だ。まず総論から入り、各論として所得税の課税最低限引き下げや外形標準課税の導入、消費税の免税点下げなどを通じた課税ベース拡大を検討したい。」(2月3日付け「中国新聞」)といいます。
本間正明経済財政諮問会議議員(大阪大教授)は、「法人の70%弱が赤字で納税しておらず、法人税を『広く薄く』課税する改革の方向は避けられない。」(2月3日付け「中国新聞」)と語っています。
では、まず税収全体の問題から見てみましょう。
最近の「租税及び印紙収入」の金額の推移と一般会計に占める割合は下記のようになっています。
歳入と税収の推移
(単位:億円、%)
(注1)1994年度〜2000年度までは決算ベースで、歳入は収納済歳入額である。ただし、2001年度は第2次補正後予算額である。単位未満は四捨五入している。 94年度 95年度 96年度 97年度 98年度 99年度 00年度 01年度 歳入 763,390 805,572 818,090 801,705 897,827 943,763 933,610 863,526 租税及び
印紙収入510,300 519,308 520,601 539,415 494,319 472,345 507,125 496,250 構成比 66.8 64.5 63.6 67.3 55.1 50.0 54.3 57.5
(注2)租税及び印紙収入額は一般会計分である。
(注3)構成比は、租税及び印紙収入の歳入に占める割合である。
ここ数年、税収も減っていますし、税収の歳入に占める割合も6割を割り込んでいます。しかし、歳入に占める税収の割合をみる場合、歳入が借金によってふくらんでいる点もよく見ておく必要があります。
下記の表のように日本の公債依存度は主要国の中でも突出して高いのです。そのため、税収の割合が相対的に低く表れます。日本の「税の空洞化」を語る場合、この点を見逃すと一面的になります。
主要国の最近5年間の公債依存度、GDP比
(注)平成14年2月に財務省が衆議院予算委員会に提出した資料から作成。 公債依存度 GDP比 日本 1998年(実績) 40.3 6.6 1999年(実績) 42.1 7.3 2000年(実績) 36.9 6.4 2001年(2次補正後) 34.7 6.0 2002年(予算) 36.9 6.0 アメリカ 1998年(実績) -- -- 1999年(実績) -- -- 2000年(実績) -- -- 2001年(予算) -- -- 2002年(実績見込み) 5.2 1.0 イギリス 1998年(実績) 11.8 3.8 1999年(実績) 1.0 0.3 2000年(実績) -- -- 2001年(実績) -- -- 2002年(実績) -- -- ドイツ 1998年(実績) 12.4 1.5 1999年(実績) 10.6 1.3 2000年(実績) 9.7 1.2 2001年(実績) 9.2 1.1 2002年(実績) 8.5 1.0 フランス 1998年(実績) 15.1 2.9 1999年(実績) 12.5 2.4 2000年(実績) 11.2 2.1 2001年(予算) 11.4 2.0 2002年(予算案) 12.2 2.1