国会での活動
国会での活動 − 政治経済キーワード、税制(庶民増税・徴税)
【政治経済キーワード】税の空洞化(その2)
2002年3月8日
前回(その1)、塩川正十郎財務大臣が、財政演説で「我が国の租税負担率はG7諸国で最低の水準となっております。」と述べていることを紹介しました。(2002年2月4日衆議院本会議)
政府税調も「中期答申」で「税収の国民所得に対する割合(租税負担率)は22.5%(見込み)で、わが国の租税負担率は主要先進国の中で最も低くなっています。」(平成12年7月)と述べています。
主要先進国の租税負担率について、財務省は次のような国際比較を示しています。
租税負担率の国際比較
(単位:%)
日本 アメリカ イギリス ドイツ フランス イタリア 租税負担率 22.9 26.1 40.0 31.0 40.6 42.8 うち消費課税 7.1 5.7 15.8 14.5 17.2 16.6
(注1)財務省が政府税調に提出した資料から作成。
(注2)租税負担率は、国税及び地方税合計の数値である。また、所得課税には資産性所得を含む。
(注3)日本は平成14年度当初予算案ベース。日本以外は、アメリカが1997年度、他国は1999年度の各国資料から作成されている。
租税負担率とは、租税負担/国民所得の数値ですが、この国際比較の数値にはいろいろ問題があります。
第1に、分母の国民所得には間接税(消費課税)が含まれていません。分子の租税負担には間接税が含まれているにもかかわらず、分母に加味されていないのは、間接税比率が高くなっている現在不適切と言わざるを得ません。分母に間接税を含めると、日本の租税負担率もさらに低くなりますが、アメリカ以外の各国の租税負担率は、間接税比率が高いだけにいっそう低くなり、日本との格差は縮小すると考えられます。
第2に、日本の租税負担率は90年代以降下がってきていますが、一方で財政赤字が増大していることを見逃してはなりません。特に問題なのは、国民負担率にも含まれていないストックの数値です。
国及び地方の長期債務残高は、2002年度末には693兆円にも達しようとしていますが、これは国民1人当たり約545万円にもなるものです。この処理は先送りされていますが、将来世代に重くのしかかっているものです。
国及び地方の長期債務残高については、主要先進国が下降もしくは横ばい状態の中で、日本だけが突出して右肩高く上がり続けているのです。これは、経済対策の名で国債を増発、浪費的な公共事業を拡大してきた歴代自民党を中心とする政府の責任です。
「税の空洞化」で租税負担率を持ち出すなら、このような点を無視してはなりません。