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国会での活動

国会での活動 − 政治経済キーワード税制(庶民増税・徴税)

【政治経済キーワード】税の空洞化(その3)

2002年3月15日


 「税の空洞化」が起こった原因は、長年続く不況の影響と政府の減税策の結果ですが、重要なのは、政府が大企業・高額所得者本位に税率引き下げなどを行なってきたことです。

 それは、下記の「法人税率の引下げと減収額」及び「所得税の税率構造の緩和等と減収額」をみても明らかです。

法人税率の引下げと減収額

改正
年度
基本税率の改正内容施行年月日減収見込み
額(億円)
1988
年度
●資本金1億円超の法人
……42%→37.5%
●資本金1億円以下の法人
……*年所得800万円超の部分42%→32%
*年所得800万円以下の部分30%→28%
(注、経過措置あり)
89年4月1日
以後に開始
される事業
年度から
14,520
1998
年度
●資本金1億円超の法人
……37.5%→34.5%
●資本金1億円以下の法人
……*年所得800万円超の部分37.5%→34.5%
*年所得800万円以下の部分28%→25%
98年4月1日
以後に開始
される事業
年度から
13,800〜
14,420
1999
年度
●資本金1億円超の法人
……34.5%→30%
●資本金1億円以下の法人
……*年所得800万円超の部分34.5%→30%
*年所得800万円以下の部分25%→22%
99年4月1日
以後に開始
される事業
年度から
16,940
(注)旧大蔵省、現財務省発表資料から作成。「減収見込み額」は1年間の減収見込み金額。

所得税の税率構造の緩和等と減収額

改正
年度
税率構造の改正内容施行年月日減収見込み
額(億円)
1988
年度
税率の刻みが所得階級に応じて10.5%〜60%まで12段階に区分→10%〜50%まで5段階に 89年分
以後の
所得税
から適用
13,190
1995
年度
税率の刻みが所得階級に応じて10%〜50%まで5段階に区分、50%適用は2000万円超→同5段階で累進性を緩和、50%適用を3000万円超に 95年分
以後の
所得税
から適用
16,300
1999
年度
【最高税率適用の緩和】
3000万円超の金額50%→1800万円超の金額37%
99年以後
の所得税
から適用
2,640
1999
年度
【定率減税】
20%相当額の税額控除(最高25万円)
99年以後
の所得税
から適用
26,460
(注)旧大蔵省、現財務省発表資料から作成。「減収見込み額」は1年間の減収見込み金額。

 この結果、税収のピーク時の90年度と比較すると、2000年度は10兆円以上も落ち込んでいます。法人税収は6兆6000億円、所得税収は7兆2000億円も落ち込みました。

 これは、「担税力に応じた課税」よりも大企業や高額所得者を優遇する税制「改悪」をすすめた結果です。

 (その1)で述べたように、塩川財務大臣は「働いている人のうち4分の1が所得税を負担しておらず」といいます。しかし、所得税の非納税者は、財務省の推計でも2000年度は26.0%で、80年代の27.1〜34.0%と比較すると少ないのです。また、所得税の納税者数は、90年の約4677万人から2000年は約4773万人と約96万人も増えています。80年と比較すると、約1120万人も増えているのです。

 要するに、政府の意図は、低所得者や赤字の中小法人からも納税させ、大企業や高額所得者をさらに優遇したいということではないでしょうか。政府の「税の空洞化」宣伝の意図を見抜くことが大事です。


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