税制(庶民増税・徴税), 雇用・労働, その他 (大企業減税, 規制緩和, 「成長戦略」, 国家戦略特区)
2013年11月20日 第185回 臨時国会 内閣委員会 【761】 - 討論
国家戦略特区法案に対する反対討論
2013年11月20日、佐々木憲昭議員は、内閣委員会で、15日に引き続いて質問に立ち、国家戦略特区法案について新藤義孝地域活性化担当大臣に対して、その後、安倍晋三総理大臣に対して質問しました。さらに質疑終局後、反対討論を行いました。
佐々木議員は、緩和しきっている日本の労働法制を、さらに緩和させようとする「国会戦略特区」の雇用問題について、国家戦略特区で労働法制の規制緩和が検討されていることは憲法違反だと批判しました。
佐々木議員は、国家戦略特区の具体策を検討したワーキンググループ(WG)で解雇の規制緩和が検討されたことに対して「労働者を解雇しやすくする規制緩和が雇用を生み出すという理屈は成り立たない」と批判。新藤大臣は「雇用ルールを明確にする」と繰り返しました。
佐々木議員は、WGが雇用ルールについて労使の協議がなくてもよいとしているが、「労働者の代表を入れず規制緩和の議論をすること自体に民主主義の手続き上の問題がある」と批判。法律で定められた労働のルールを特区を利用して緩和することは、労働者に不利益を与える「治外法権」をつくりだすと指摘し、労働者の生存権と勤労権を保護する立法を要請した憲法27条2項に違反すると強調しました。
また、法案では、内閣府設置法に基づく「戦略特区諮問会議」という強い権限を持つ組織を新設することになります。総理が任命する諮問会議メンバーを規制改革推進派で固める一方、労働者や消費者はもちろん、関係閣僚さえ意志決定過程から排除し、総理を中心とするトップダウンの仕組みをつくりあげるものとなっています。
佐々木議員は、規制緩和に関する安倍総理のトップダウン体制づくりではないかと、安倍総理に質問しました。
質疑終局後の討論で、佐々木議員は、法案に反対する第1の理由として、この法案が、規制緩和を「国家意志」として上から一方的に国民に押しつけるものとなっていること。
第2の理由は、規制緩和に対する勤労国民の懸念の声、社会的・経済的な悪影響を受ける側の声を、まともに反映する経路がないこと。
第3の理由は、対日規制改革要望など、アメリカの積年の要求に応え、外国資本を特別扱いする余地を残していることをあげました。
さらに、この法案が、大企業優遇税制とワンセットで提案されていることも重大であると指摘し、この法案は、国民生活に新たな格差と貧困をもたらすことになると、反対しました。
議事録
○佐々木(憲)委員 私は、日本共産党を代表して、国家戦略特区法案に対し、反対の討論を行います。
反対する第一の理由は、この法案が、規制緩和を国家意思として上から一方的に国民に押しつけるものとなっているからです。
法案では、内閣府設置法に基づく戦略特区諮問会議という強い権限を持つ組織を新設し、総理が任命する諮問会議メンバーを規制改革推進派で固める一方、労働者や消費者はもちろん、関係閣僚さえ意思決定過程から排除し、総理を中心とするトップダウンの仕組みをつくり上げるものとなっております。これは、日本経団連を初め財界の意のままに規制緩和を行い、巨大な多国籍企業に特別な利益を与える体制づくりであります。
第二の理由は、規制緩和に対する勤労国民の懸念の声、社会的、経済的な悪影響を受ける側の声を、まともに反映する経路がないことであります。
森ビルなどの大企業が提出した特区提案の多数が非公開とされ、竹中平蔵パソナ取締役会長が人材派遣業界の利益拡大を狙って、雇用規制の岩盤を壊すと言っていることを見ても、情報を隠し、被害者の声をまともに聞かず、国民を実験台にするような姿勢は、到底、許されるものではありません。
第三の理由は、対日規制改革要望など、アメリカの積年の要望に応え、外国資本を特別扱いする余地を残しているからであります。対日投資の倍加を掲げ、税制などで外資への特別の優遇策を検討していることも明らかとなりました。
仮に、交渉中のTPPが妥結して発効するような事態を招いたら、この国家戦略特区の規制緩和がそれと重なり、国民の暮らしと健康を守る規制項目が一気に緩和、撤廃され、米系多国籍企業が横暴を振るう殺伐とした日本になる危険性をはらんでおります。
最後に、この法案が、大企業優遇税制とワンセットで提案されていることも重大です。大企業に対して法人税の減税を行う一方、国民には消費税増税を押しつけ、十三・五兆円もの所得を奪い取るなど、とても許せるものではありません。
この法案は、国民生活に新たな格差と貧困をもたらすことになります。
なお、自民党、公明党、民主党、みんなの党の共同提案による修正案については、総理の権限を一層強化するなど、私たちの懸念を深める内容となっており、賛同できないことを申し添えておきます。
以上で、反対討論といたします。