2013年05月28日 第183回 通常国会 議院運営委員会≪聴聞会≫ 【740】 - 質問
人事官候補者に対して質問
2013年5月28日、議院運営委員会は、政府が国会に同意を求めている人事官候補者の一宮なほみ(仙台高等裁判所長官)、検査官候補者の柳麻理(早稲田大学大学院政治学研究科教授)両氏の所信聴聞会を行ないました。
政府は、3月にも人事官と検査官の候補の同意を求めていましたが、国会は同意しないことを決めました。
そのため、政府は新たな候補者を提示しました。
所信聴聞会で、佐々木憲昭議員は、政府による公務員削減や総人件費削減が行われるもと、政府から独立した立場で労働条件を定め、公務員の中立・公平性を確保すべき人事院が役割を果たせなくなっていると指摘して見解を求めました。
一宮氏は労働基本権制約の代償機能の重要性を強調し、「政府が人事院勧告と異なる判断をする場合、政府は国民へ合理的な説明をする責任がある」と語りました。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
人事院の位置づけについてでありますが、最も重要なのは、公務員の労働基本権制約の代償機能としての役割であります。
憲法28条が保障する労働基本権、すなわち、団結権、団体交渉権、争議権は、本来、公務員にも保障されるべきものと考えております。ところが、現在の国家公務員法は、公務員の地位の特殊性を理由に、公務員の労働基本権を制約しております。そのことから人事院が代償機能を求められているわけであります。
人事院は、政府から独立して、中立の立場で、国家公務員の身分、任免、服務、さらに、賃金や労働時間など労働条件を定める役割を担っているわけであります。同時に、人事院は、中央人事についての準司法的権限もあわせ持ち、公務員の中立、公正、公平を確保する役割を担っているわけであります。
したがって、三人の人事官というのは、こうした任務の重要性を自覚して、政府から独立し、中立の立場で職務を遂行する、こういうものでなければならないと思います。
まず、その認識を伺いたいと思います。
○一宮参考人(人事官候補者(仙台高等裁判所長官)) 全て、おっしゃっていただいたとおりであると思いますので、その重責を意識しながら、微力ではございますが、三人で協力して重責を果たしてまいりたいというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 これまで、公務員の定員一律削減あるいは総人件費抑制政策、公務員給与の引き下げ、こういうことが政府側の意向によって行われてきたことがたびたびございます。
人事官というのは、中立、独立の独自の判断というのが必要であって、その時々の政府の意向によって簡単に左右されるべきではないと私は考えます。
この点で、中立公平な機関であるはずの人事院が、その役割を十分果たせないような状況が続いているのではないか。この点について、どのように評価されていますでしょうか。
○一宮参考人 人事院勧告は、国家公務員法に根拠を有して、労働基本権制約の代償措置として憲法上も重要な意義を有するものでありますので、政府においてもこれを最大限尊重すべきである、そして、政府もそのような基本姿勢に立っておられるであろうと考えていることは、先ほども申し述べたとおりです。
その上で、政府が人事院勧告と異なる判断をする場合には、国民に対してその合理的理由を説明する責任があるというふうに考えております。
人事院としては、公務員人事の公正性の確保及び労働基本権制約の代償という役割を担う中立な第三者機関として、その使命や責務を果たしていくというものであると理解しております。
○佐々木(憲)委員 次に、公務員制度改革ですけれども、一番大事なのは、労働基本権の回復問題であります。
ILOは、日本が進めている公務員制度改革にかかわって、監獄職員の団結権、一般の公務員についての争議権、労働協約締結権を保障するなど、国際労働基準に従った改革を進めることを求める、そういう勧告を行っております。
これをどのように受けとめておられますか。
○一宮参考人 ILOから勧告があることは承知しておりますが、日本においては、労働基本権が制約されていることに対する代償措置として人事院勧告という制度が存在して、適切に機能しているということについて、ILOの理解を得ていく必要があるというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 最後に、天下り問題ですけれども、民間企業との癒着を生み出すということでかなり批判が強かったわけですが、この点については、どのようにお考えでしょうか。
○一宮参考人 公務員の場合には、役所の力をバックにして、特定の組織にOBを送り込むとか、何度も組織を渡り歩いて高額の退職金を受け取るというような、いわゆる天下りということが国民の不信を買って、厳しい指弾を受けているところであるというふうに思っております。
これについては、これまでに、再就職のあっせんが禁止されるなど改革が進められているところであると認識しておりますので、国民の信頼を損なうような天下りの根絶に向けて、厳格に対応することが必要だというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 労働基本権の回復というのは大変大事な課題であると私は思っておりますし、そういうことをしっかりと自覚していただきたいなというふうに思います。
以上で終わります。
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