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税制(庶民増税・徴税), 財政(予算・公共事業) (定率減税の廃止, 強権的徴税, 年金制度, 児童扶養手当・子ども手当, 社会保障・税一体改革)

2011年11月30日 第179回 臨時国会 厚生労働委員会 【645】 - 質問

年金名目の増税を批判/子ども手当当日の母子家庭から差し押さえやめよ

 2011年11月30日、佐々木憲昭議員は、厚生労働委員会で、年金財源法案についてと子ども手当などを違法に差し押さえている問題について質問しました。

 まず、佐々木議員は、基礎年金の国庫負担を2分の1に引き上げる年金財源法案について質問し、「年金財源のためといって庶民に増税を押し付けながら、年金に使われていない」とし、穴のあいた年金財源を口実に、さらに消費税増税を行うことは認められないと追及しました。
 佐々木議員は、自公政権が2004年、定率減税の廃止と年金課税強化を財源に国庫負担割合を引き上げるとしていたが、これは公明党が言い出したアイデアだった。実際の増収はいくらあったのかと質問しました。
 財務省の藤田幸久副大臣は「2兆8400億円」(平年度ベース)と答弁。また、厚生労働省の栄畑潤年金局長は、このうち年金に使われた額は、定率減税廃止後は平年度で約3300億円しかないことを明らかにしました。
 佐々木議員は「庶民増税で財源を確保しながら、年金にはほとんど使われていない」と指摘。小宮山洋子厚生労働大臣は「厳しい財政状況のなかで可能な限り確保していく」としか答えられませんでした。
 佐々木議員は「自公政権の責任もあるが、民主党政権も目的通りに使ってこなかったのは問題だ」と批判しました。



 佐々木議員は、地方自治体の課税当局が滞納を理由に子ども手当などを違法に差し押さえている実態を告発し、直ちに止めさせるよう求めました。
 佐々木議員は、年金を差し押さえられ餓死した千葉県の高齢者、子ども手当を差し押さえられた福島県の母子家庭の実態について、手当が振り込まれた当日に差し押さえが行われたことを記した預金通帳のコピーなどを示して追及しました。
 年金、子ども手当などが法律で差し押さえが禁止されているにもかかわらず、「納税者の実情をまともに調べずに、差し押さえることは許されない」と強調しました。
 小宮山洋子厚生労働大臣は「子ども手当は目的のために使われるべき」と答弁。総務省の黄川田徹副大臣は「地方税務当局の判断に基づき適切に判断されるべきもの」などと答えるにとどまりました。
 佐々木議員は、安住淳財務大臣も「控えるべき」とのべていることを示し、総務省に対策をとるよう要求。黄川田総務副大臣は「私も政府の一員なので同じ考え」と述べざるをえませんでした。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 いつもは高橋千鶴子議員が質問をするんですけれども、きょうは、かわりに私が質問をするということで、よろしくお願いをいたします。
 法案に関連してお聞きをしますけれども、前提として、最初に確認をしたいと思います。
 基礎年金に対する国庫負担のあり方について、2004年度の与党税調税制改正大綱、これは2003年12月17日に発表されておりますけれども、その中には、お配りした資料にありますように、「年金課税の適正化を行う。この改正により確保される財源は、平成16年度以降の基礎年金拠出金に対する国庫負担の割合の引上げに充てるものとする。」それから、「恒久的減税(定率減税)の縮減、廃止とあわせ、三位一体改革の中で、国・地方を通じた個人所得課税の抜本的見直しを行う。これにより、平成17年度以降の基礎年金拠出金に対する国庫負担割合の段階的な引き上げに必要な安定した財源を確保する。」こう書かれていたと思いますが、これは間違いありませんか。
○小宮山厚生労働大臣 今委員がおっしゃいましたように、平成16年度の与党税制改正大綱で、年金課税の適正化により確保される財源は、平成16年度以降の基礎年金拠出金に対する国庫負担の割合の引き上げに充てる、定率減税の縮減、廃止による増収分により、平成17年度以降の基礎年金拠出金に対する国庫負担割合の段階的な引き上げに必要な安定した財源を確保するとされています。
 これを踏まえて、各年度の予算編成過程で、基礎年金国庫負担引き上げが決定され、それを実現するための法律改正が逐次実施されてきたというふうに承知をしています。
○佐々木(憲)委員 次の資料、2枚目を見ていただきたいんです。
 もともと、この年金課税の強化と定率減税の廃止で財源をつくるというアイデアは公明党が考えたものでありまして、日本共産党は財源はほかにあるじゃないかということでこの増税には反対したんですけれども、当時、公明党は、必要な財源は、定率減税を三段階で廃止して約2兆5千億円、年金課税で約2千億円、合わせて2兆7千億円を確保できる、こう言っておりました。
 財務省にお聞きしますけれども、定率減税の廃止、年金課税強化で、実際に幾ら増収になったでしょうか。
○藤田財務副大臣 お答えいたします。
 お尋ねの国税に関する影響でございますけれども、平年度ベースで、年金課税の見直しが2400億円程度、これは、公的年金等控除の見直しによる増収が1160億円、老年者控除廃止による増収額が1240億円の合計2400億円、それから定率減税の縮減、廃止が2・6兆円程度、合わせて2兆8400億円程度と見込んでいるところでございます。
○佐々木(憲)委員 年金の財源として、今説明がありましたように、この方針でいきますと、2兆8400億円が入っているわけです。これだけあれば、基礎年金の国庫負担割合二分の一、この財源は十分に確保できたはずなんですね。
 では、実際に使われたのは幾らでしょうか。
○榮畑政府参考人(厚生労働省年金局長) 平成16年の税制改正における年金課税の改革による増収分のうち、基礎年金の国庫負担の二分の一への引き上げのために充当された額は、平成16年度では約300億円でございますが、平成17年度以降これを通年度化しておりますから、それとしましては約1600億円ということでございます。
 また、平成17年から18年にかけまして定率減税の縮減、廃止が行われまして、これの国庫の増収分のうちで基礎年金の国庫負担の引き上げのために投入された額は、合わせまして約3300億円と承知しております。
○佐々木(憲)委員 2兆8400億円の増収があった、しかし、ほとんど使われていないんですよ、年金のためには。
 この資料の3枚目をあけていただければわかりますけれども、十分な財源がありながら年金のためにはまともに使われていない。この下の黒っぽい階段のようなところ、この部分だけしか使われなかった。だから、結局足りないというわけですね。では、足りない分はどこからか見つけなきゃならぬということで、大変な四苦八苦をしているわけであります。
 厚労大臣にお聞きしますけれども、年金の財源として2兆8400億円、これだけの財源が確保されていながらまともに回っていない、私はこのやり方は非常におかしいと思うんですけれども、率直な感想をお聞かせいただきたいと思います。
○小宮山厚生労働大臣 平成16年度の与党税制改正大綱を踏まえまして、平成16年度以降の予算編成過程で、それぞれの年度の基礎年金国庫負担割合の引き上げ幅を決定して、その実現を図るための法律改正を、これは逐次、少しずつですけれども実現をしてきているというふうに思っています。
 厚生労働省としましては、年金財政の長期的、安定的な運営を図る観点から、基礎年金国庫負担の段階的な引き上げについて毎年度の予算編成過程で最大限の努力を行っておりまして、ことしもまた努力はしていきたいと思っていますが、大変厳しい財政状況の中で可能な限りの額を確保していくということだというふうに承知をしております。
○佐々木(憲)委員 これだけ財源がありながら回せなかったというのは、自民党も公明党も、そう決めていながら実行しなかった責任があるし、民主党も当然、これは財源確保の目的どおりにその財源を使う、そういう努力をしてこなかったというのが問題だと私は思うんです。
 次に、話題をかえますが、小宮山大臣は、民主党の中で子ども手当の創設に初めから非常に深くかかわってこられて、子ども手当をつくり出す、生みの母といいますか、そういう方だと思っておりますが、子ども手当がなぜ必要だと思っておられたのか、その辺の考え方をまず聞かせていただきたいと思います。
○小宮山厚生労働大臣 それは、もともと税制改正の中から、財源の話から生まれてきたもので、さまざまな控除がありますけれども、控除は高額所得の方に有利なので、控除はなるべく複雑なものを廃止して、必要な方に社会保障のサービス給付にしようという、控除から手当にという考え方がもともとございました。
 それで、年少扶養控除ですとか、当時は配偶者控除も考えていたんですが、そうしたものを廃止した財源を何に充てるかといったときに、子供に対する社会保障給付費が、高齢者の、当時も今も恐らく同じぐらいだと思いますが、17分の1ぐらいという、本当に世界各国の中で非常に少なかった。ですから、その控除で出てきた財源を子供への手当にしようというのがもともとの発端です。
 考え方としましては、もちろん家族が育てるんですけれども、今、家族の人数が2人台と少なくなった中で、家族だけでは支え切れませんので、そういう意味で、社会全体で子供の育ちを支えていこう、それが子ども手当をつくり出したもとの考え方でございます。
○佐々木(憲)委員 子ども手当も含めまして、年金ですとか児童手当、児童扶養手当、こういうものは、法律によって差し押さえというものが禁止をされているわけです。国税徴収法などによる差し押さえ禁止規定だけではなくて、それぞれの社会保障制度の給付についても、わざわざこの差し押さえ禁止という規定が書き込まれております。
 その理由はどこにあるのか、説明をしていただきたいと思います。
○高井政府参考人(厚生労働省雇用均等・児童家庭局長) 例えば、子ども手当の受給権について申し上げますと、ほかの社会保障給付と同様に一身専属的な権利である、こういうことから、現在の子ども手当特別措置法第14条によりまして、受給権の譲渡、担保提供、差し押さえが禁止されている、こういうことでございます。
○佐々木(憲)委員 実際の子供の養育支援ということで、それが確実にそのために支給されるように、要するに、出されたものは差し押さえてはならない、子供のために使うんだ、こういうことで禁止規定というのがあるんです。
 ところが、現実にはこれがなかなか守られていない。国民健康保険税とか住民税、自動車税などを滞納したという理由で、年金や子ども手当が銀行口座に振り込まれた途端に地方自治体の課税当局で差し押さえが行われるという事態が発生しております。
 例えば、昨年1月に、千葉県長生村で年金の差し押さえというのが行われました。差し押さえに遭った77歳の高齢者の方が栄養失調で餓死するという大変痛ましい事件であります。
 木造二階建てのアパートの一階の部屋で、冬なのに薄い布団をかけ、あおむけに寝た状態で亡くなっていた。この男性はひとり暮らしで、ミイラのようなやせ細った体であった。税金の滞納を理由にして、年金が振り込まれた銀行口座をいきなり差し押さえた。電気もとまった暗い寒い部屋で孤独死をしていたということであります。
 お配りしておりますのは、2008年6月11日の鳥取県で起こった児童手当の差し押さえ事件の資料であります。これは、差し押さえられたことを示す預金通帳なんですね。本人の了解のもとで、資料として皆さんのところに配付しております。
 不動産業者、仮にAさんとしますが、この方の銀行口座に振り込まれた児童手当13万円が鳥取県東部総合事務所に差し押さえられております。理由は、県税の滞納が24万あったからだ、こういうわけです。見てわかりますように、残高が73円なんですね。そこに13万円が振り込まれた。13万73円、この全額がごっそりと県税事務所によって差し押さえられて持っていかれたということです。
 その下の資料、それからその次の資料も似たようなものであります。
 この後ろの方の、福島県郡山市による子ども手当の差し押さえ。この人も、母子家庭のお母さんで、これは残金わずか43円です。43円のところに、10月7日、5万2千円の子ども手当が振り込まれた。「コオリヤマシコドモテアテ」と書いてあります。これも瞬時にして5万2043円が差し押さえられて、残金ゼロなんです。
 本当に血も涙もないやり方でありまして、差し押さえてその相手がどういう状況になるのか全く考慮されていない。餓死をしたり、あるいは生活ができない、こういう事態になっているわけです。
 こういうことが起こっているということについて、小宮山大臣はどのような感想を持ちますか。
○小宮山厚生労働大臣 個別の徴収については厚生労働省がやるところではございませんが、そこの法令に基づいて行われていることだというふうには思います。
 ただ、この子供に対する手当は、とにかく子供の育ちと子育てをしている家庭に向けて支給をされているものですので、それはその目的のために使われるようにしておくべきだというふうに私も考えております。
○佐々木(憲)委員 このどの事例も共通しておりますのは、納税者の実態を調べていないということなんですよ。これを差し押さえたらこの人はどうなるのかということについて調べていない。いきなり差し押さえをやる。しかも、ねらい撃ちをやっているわけです。払い込まれた当日の、払い込まれた直後、数分後、差し押さえる。こういうのは余りにもひどいと私は思っております。
 財務副大臣にお聞きしますけれども、こんなねらい撃ちのような差し押さえは、衆議院の財務金融委員会で、与謝野財務大臣や安住財務大臣はこれまでどういう答弁をされていたか、紹介をしていただきたいと思います。
○藤田財務副大臣 お答えをいたします。
 衆議院の財務金融委員会におきまして、安住大臣は、差し押さえ禁止財産となっている子ども手当などが預金残高のない口座に振り込まれているのを待って、これをねらい撃ち的に差し押さえされるようなことは差し控えるべきであるというふうに答弁をしております。
 また、与謝野大臣も、当時は児童手当でございましたが、具体的に支給されたものが実際使用できなくなるような状況にすることも禁止されているというふうに解釈することが正しいと思うというふうに答弁をされております。
○佐々木(憲)委員 このように、政府の答弁でも、差し押さえ禁止対象となっているものは、その目的どおり使われるべきであって、差し押さえてはならないと。これは基本なんですね。
 財務大臣の答弁がありましたけれども、小宮山大臣も同じだと思いますが、もう一回確認しておきます。
○小宮山厚生労働大臣 これまでもいろいろと、裁判の判例もいろいろな形で出ておりますし、先ほど申し上げたように、それぞれの役所が法令に基づいてやっていることだとは思いますけれども、この子供に対する手当は、やはり子供の育ちとその子育てしている家庭が使えるようにしておくべきだというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 総務省も当然同じ立場だと思いますけれども、この、残金がないところに子ども手当が振り込まれた、ねらい撃ちのように全額差し押さえるというのは、これは差し控えるべきだと思いますが、そういうことは確認してよろしいですね。
○黄川田総務副大臣 お答えいたします。
 まず、税についての基本的な考え方でありますけれども、負担の公平の観点から、まず、必ず納めていただくということでございます。これは原則でございます。しかしながら、滞納者やその家族の最低限度の生活の保障等の社会的配慮から、法律で一定の財産について差し押さえを禁止されているところであります。
 そしてまた、法律上、子ども手当を受ける権利については差し押さえが禁止されておりますが、しかしながら、同手当が銀行口座に振り込まれた後には、その性格は預金に変化いたしまして、差し押さえは禁じられていないというふうなものと認識しております。最高裁の判例等も出ておるみたいでございます。
 その一方で、滞納処分の実施に当たっては、滞納者の個別的、具体的な実情を踏まえ、滞納者の生活を著しく窮迫させるおそれがあるときなどにおいてはその執行を停止させることができるとされておりまして、地方団体の税務当局の判断に基づき、適正に対応されるべきものと考えております。
 この問題については、やはり、法律のたてつけと、それから、その法律を具体的に適用する中での課題だ、こう思っております。
 市町村当局も、あるいはまた市町村議会も、福祉の向上のためにみんな汗をかいておるわけであります。地域主権の時代でありますので、現場でしっかりとした適切な判断がなされるものと思っております。
○佐々木(憲)委員 何かもう一つ歯切れの悪い答弁なんですね。
 私が聞いたのは、財務大臣の答弁、小宮山大臣の答弁、これと基本的に同じかというふうに聞いたんですね。
 つまり、残金がないところに子ども手当がぼんと入る、あるいは年金が入る、それを全額差し押さえるというのは、目的のために使われなくなるじゃないか、したがってそういうことは差し控えるべきだ、これが政府答弁なんですが、同じかどうかと聞いているんですよ。
○黄川田総務副大臣 法律のたてつけはそうでありますけれども、具体的な適用となれば、例えば今般も東日本の大震災で、義援金、弔慰金あるいはまた生活再建支援金等々も、法律上、子ども手当と同じような制度設計だと思っております。
 生活ができなくなる、あるいはまたそういう部分の中で適切な判断ということでありますので、税務当局も我々も、さまざま、前の渡辺副大臣のときにも答弁されて、そして税務当局にも機会あるごとにしっかりとした配慮をしなさいということを申しておりますので、適切な運用ができていると思っておるわけであります。
 ただ、聞いていることが違うと。それぞれ厚労省もあれも、残金がない中ですぐさま引き去るのはどうなのかというところでしょうから、それは私も、他の委員と、政府の人間でありますので、同じ考え方であります。基本的な認識であります。
○佐々木(憲)委員 もう時間ですので終わりますけれども、先ほども少し言われましたが、以前、渡辺周総務副大臣は、人の命までも、生存権さえも脅かすような、まさに問答無用の徴収、徴税があっては絶対ならない、こういうことが二度とないよう万全の対策を当然国もすべきであろうと答弁しているんですよ、国もすべきであろうと。こういうことを答弁しているわけだから。
 何か、例外があるかのような、あるいは、振り込まれたら別な性格に変わってしまうと。そんなことはありません。子ども手当は子ども手当です、振り込まれても。そういうものをでたらめな解釈で差し押さえて、当たり前だみたいなことを各地方自治体がやっているということ。それを正すというのが、本来、総務省なりあなたの立場だ。そのことをしっかりと肝に銘じてやっていただきたい。このことを最後に申し上げまして、終わります。

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