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税制(庶民増税・徴税), 平和・憲法 (強権的徴税)

2010年04月02日 第174回 通常国会 財務金融委員会 【564】 - 質問

沖縄密約 普天間滑走路は日本の負担で整備と答弁/地方税 「機械的な差し押さえをするな」と追及

 2010年4月2日、佐々木憲昭議員は、財務金融委員会で「沖縄返還に伴う財政負担に関する密約」について質問し、米軍普天間基地問題とのかかわりをただしました。
 これまで自民党政権は沖縄返還協定で公表された日本側の負担は、3億2000万ドルで、それ以外の密約は「一切存在しない」としてきました。しかし、この間の財務省による機密文書調査で3億2000万ドルを超える「負担や別途の使い道」に関して「秘められた約束があった」ことがわかっています。
 佐々木議員は、この財政負担の出発点といわれる密約「柏木―ジューリック文書」(1969年2月署名)を示して、「普天間飛行場の滑走路は日本の負担でつくったのではないか」と指摘しました。
 楠田大蔵防衛政務官は「普天間飛行場の改良などにかかわる経費は日本側の負担でおこなった」と認めながら、「密約との関係はわからない」と答えました。
 佐々木議員は、「米軍は戦後、沖縄県民の土地を銃剣とブルドーザーで取り上げ、家を焼き払って基地をつくり、その後も沖縄返還協定と密約によって、膨大な財政負担を日本に押しつけ、基地機能を強化するという、まったく許せないことがおこってきた」と批判しました。



 次に、佐々木議員は、千葉県長生村で地方税の滞納を理由に年金が差し押さえられたお年寄りが餓死するという悲惨な事件(2010年1月)を取り上げ、機械的な徴収はやめるよう厳しく求めました。
 佐々木議員は、国税庁が税務運営方針に「納税者に対して親切な態度で接し、不便をかけないように努める」と掲げていることを示し、地方税においても、その精神を踏まえて対応すべきだと主張。渡辺周総務副大臣は、これを認めました。
 佐々木議員は、それにも関らず差押えによって納税者の生活が困窮するケースが多数発生していると指摘し、「少なくとも差押えの前に、生活実態などを掌握し、滞納者と直接対話して判断すべきだ」と求めました。
 渡辺総務副大臣は「生存権を脅かす徴収はあってはならない」と答弁しました。
 佐々木議員は「問題なのは、銀行口座に振り込まれれば、年金など差押え禁止財産でも容赦なく差押えしていることだ」と強調。菅直人財務大臣らが「差押え禁止財産は口座に振り込まれたからといって差し押さえることは法の趣旨に反する」との認識を示してきた(2010年3月1日財務金融委員会で質問)ことをあげ、「地方税法では容赦なく差し押さえることができるのか」と迫りました。
 渡辺総務副大臣は「非人道的な徴税はあってはならない。この認識を地方とも共有したい」と答えました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 日米間の密約の問題に関連して、最近政府が調査を行いました。今、核密約が焦点になっておりますが、きょうここで取り上げますのは、沖縄返還に伴う財政負担に関する密約の問題でございます。
 これまで自民党政権は、沖縄返還協定で公表された日本側の負担は3億2千万ドル、それ以外の密約は一切存在しない、こういう見解をとってまいりました。しかし、菅大臣のリーダーシップで財務省としても調査を行って、3月12日にその結果が公表されました。それによりますと、沖縄返還協定で公表された3億2千万ドルを超える負担や別途の使い道に関して秘められた約束があった、こういうふうにされております。
 この協定の3億2千万ドルを超える部分、すなわちこの別枠になっている部分にはどのような項目があり、金額がどのようになっているんでしょうか。
○菅財務大臣 今回の調査においては、財務省の中の資料も相当調べましたけれども、残念ながら財務省の中には関係する資料が発見できなかったわけでありまして、それに加えて、アメリカの公文書館等にある資料を担当者を派遣してコピーをとって、それが本来正しいものであろうということも含めていろいろ調査をした結果を、今御承知のように発表したわけです。
 今回の調査においては、米国資料等によって、米国側において、沖縄返還協定に定めた3億2千万ドルにとどまらない負担に関しては、基地改善費6500万ドル、労務管理費1千万ドル、それに無利子預金、約1億ドルでありますが、があったと説明がなされていたことが米国の資料で確認されました。このうち基地改善費6500万ドル及び労務管理費1千万ドルについては、財務省に行政文書が存在せず、当時の予算への計上などの事実関係は確認をできておりません。
 他方、無利子預金については、米側当局の協力を得て調査を進めた結果、柏木・ジューリック文書の記述におおむね見合う金額、沖縄返還時の通貨交換の額、1億347万ドルについて無利子で運用されていた事実が確認をされたところです。
○佐々木(憲)委員 今ありました柏木・ジューリック文書というのが、1969年12月のものですが、お手元の配付資料にあります。これは、菅大臣の談話では、最終的な秘められた約束に至る日米間の交渉の出発点になったと考えられるとされている文書ですね。
 例えばこの中に、「基地移転費用と返還に伴う費用―2億ドル」、これは2ページ目ですけれども、こういう記述がありまして、この中でこう書いているんですね。「両政府は、那覇港や那覇空港等の既存の施設に見合う新しい施設について検討する。当該支払いは、必要に応じて、日本の予算に複数年に渡り計上される。」としているわけです。
 これは実際にどのように執行されたのか。先ほどはよくわからないという話ですが、これは実際にはどうなっていたのでしょうか。
○菅財務大臣 この2億ドルあるいは先ほど申し上げた基地改善費6500万ドルと労務管理費の1千万ドルについて、その後の5年間にどういう形でそれが予算計上されたのか、私の方でその後の予算についても調査をさせました。
 これがこれに当たるという一対一対応という形はなかなか、現在わかるところからは確定まではいきませんでしたが、一応わかったところまで申し上げますと、在日米軍施設に関する経費、旧防衛施設庁予算における提供施設整備費等については、昭和47年度に施設・区域提供関係工事費として38億円が計上されているほか、昭和49年以降、沖縄所在施設の移転に関する経費が計上されていることが各年度の予算書や国の予算から確認ができました。これらの経費に米側文書に記載された基地改善費6500万ドルに該当するものが含まれていた可能性もあると思っておりますが、行政文書がこれに関して残されていないことから、先ほど申し上げたように、そうであるということを断定するところまではいっておりません。
 また、当時の旧防衛施設庁予算には調達労務管理事務費が計上されていますが、これは地方公共団体への事務委託費や法令に基づく離職者への給付金等として従来から計上されていた予算であり、米側文書に記載された労務管理費1千万ドル、これは米側が負担する労務費の節減分と米側の資料では説明されておりますが、この1千万ドルと関連するものであるかどうか、これも必ずしも明確にはなっておりません。
 そういったことで、そういうものがその後負担されていた可能性はありますが、必ずしも一対一対応での確認はとれておりません。
○佐々木(憲)委員 資料の管理の問題ももちろんあると思うんですが、事実関係というものが正確に調査ができない事態になっているというのは、私は非常に大問題だというふうに思っております。
 これは、今問題になっている普天間基地にもつながる問題なんですね。沖縄県の宜野湾市の市長、伊波洋一さんは、我が党の赤嶺政賢衆議院議員と雑誌で対談をして、普天間がなぜあれほど危険な場所になったかについてこう言っております。
 沖縄返還の時点では、72年当時の普天間飛行場はまだヘリ基地でもなく、今のような大きい滑走路がある基地ではなかった、72年に那覇空港基地が返還され、そこのP3C哨戒機が嘉手納基地に移った、そのP3Cの訓練をどこかで行わなければならないということで、普天間飛行場が舗装されて、74年に滑走路がつくられた、その後、どんどんヘリ部隊も移転されるなど、いろいろな機能が集約されて、耐えがたい騒音、事件、事故、こういうものが頻発をして甚大な被害をもたらしているわけです、世界一危険な基地とも言われるような事態になった、こういうふうに伊波市長は述べているわけです。
 防衛省に聞きますが、普天間に滑走路をつくったこの費用は、アメリカが負担したのか、日本が負担したのか、あるいは協定や密約との関係はどうなっているのか、この点、説明していただきたい。
○楠田防衛大臣政務官 お答えをいたします。
 当時の予算委員会の分科会で討議をされた中でもお答えをさせていただいていることでありますが、普天間飛行場の改良等に係る経費といたしましては、日本側の負担によりまして、昭和47年度予算において26億1400万円、普天間飛行場の関係として計上しております。ただし、当該予算は昭和48年度に繰り越しされたということであります。
 これが、先ほど指摘がありましたように、その部分に加わるかどうかということは、現時点では確たるお答えをすることは困難であるということであります。
○佐々木(憲)委員 これは非常に重要な問題でありまして、米軍は戦後、沖縄を占領して、県民の土地をブルドーザーと銃剣で取り上げて、家を焼き払って、そこに基地をつくったんですよ。沖縄県民にとっては非常に屈辱的な事態だったわけです。その後も、この沖縄返還協定と密約で、今度は財政負担を日本に押しつけて基地機能を強化する、こういう非常に許せないことが行われてまいりました。国民の税金を使って危険な基地までつくる、こういうことは私は絶対に許せない事態であって、その全容を明らかにすべきだと思っております。
 きょう、もう一つお聞きしたいのは、協定以外の、いわば密約にかかわる別枠の部分、この部分で日本政府、日本側が負担をした総額というのはどのぐらいあるのか。アメリカに預金をしたドルを円にかえる際に、そのドルを預金したというのは先ほど説明がありました、これは財政負担というよりも別な概念になりますが、財政負担として日本国民の税金で支払った分、これはどのぐらいの規模になるのか、説明をしていただきたいと思います。
○菅財務大臣 御承知だと思いますが、柏木・ジューリックのところに書いてある2億ドルというのが、その後いろいろ中身の表現が変わって、最終的には3億2千万ドルになっていくわけです。しかし、それ以外に、今言われたように、その3億2千万ドル以外に払われたであろうというのが、基地移転費の6500万ドルと、それから労務管理の節約分とされる1千万ドル、合わせて7500万ドルであろうということであります。
 そして、それに加えて、この無利子預金のことは、いわゆるドルを円にかえることによる棚ぼた的な利益をどちらがどうするのかということで、ある種の折り合いの中で25年間の無利子という形の扱いがされた。ですから、これは一概に、負担をしたとかしなかったということとは若干性格が違う。
 そういう意味では、今の御質問については7500万ドルということになろう、こう思っております。
○佐々木(憲)委員 そのアメリカに預金をしたという部分についても、評価はいろいろあると思います。我々は、その利子を一体なぜ受け取らないのか、アメリカに渡したらアメリカに対する利益供与になるじゃないか、大体そういうやり方が果たして正しいのかどうなのかというような問題、いろいろあると思います。それから、総額として大体こうだというけれども、実際に何にどのように使われたか、こういうものの詳細がいまだに明らかになっていないという問題があります。
 これらの点についても、引き続き私どもは、実態の調査も含めて、今後議論していきたいというふうに思っております。

 さて、では少しテーマをかえまして、税金の集め方の問題、徴税問題についてお聞きをしたいと思います。
 国税庁の税務運営方針、これは大分昔に出されたものでありますが、そこには、税務行政にかかわる職員の心得として次のように記載されております。「納税者に対して親切な態度で接し、不便を掛けないように努めるとともに、納税者の苦情あるいは不満は積極的に解決するよう努めなければならない。」「税務相談に当っては、正確で適切な回答をするとともに、納税者の有利となる点を進んで説明し、納税者に信頼感と親近感を持たれるように努める。」こう書いてあります。
 これは、現在でも財務省、国税庁の基本方針ということで理解してよろしいでしょうか。
○菅財務大臣 御指摘の税務運営方針は、昭和51年に国税庁長官が職員に対して、税務行政を遂行する上での原則論を示したものであります。引き続きこの運営方針の趣旨に沿って税務行政が進められていることには変わりがないもの、私もざっと読みましたが、まさにこういう形で進められるべきだ、こう考えております。
○佐々木(憲)委員 地方税の徴収に当たっても、地方自治体の職員は基本的にこの精神を踏まえて徴税に当たるべきだと思いますが、渡辺総務副大臣の見解を求めたいと思います。
○渡辺総務副大臣 委員御指摘のとおりでございまして、地方税の徴収業務についてもこの精神が当てはまるということで認識をしております。
 同方針の中には、納税者に対して親切な態度で接し、あるいは納税者の主張に十分に耳を傾けなさい、一方的であるという批判を受けることがないよう細心の注意を払わなければならないというこの精神に沿って、当然、地方税においても当てはめているところでございます。
○佐々木(憲)委員 ことしの1月に、千葉県長生村で年金の差し押さえが行われた後、77歳の高齢者が孤独死をするという非常に残念な事件がありました。栄養失調で餓死をするという痛ましい事件でありまして、その新聞報道はお手元の資料にあります。
 後ろから3枚目が朝日に出た、「声」の欄に載った「年金差し押さえで孤独死、何と残酷」というので我々気がつきまして、この地方版を見ますと、次のページにありますように、非常にむごい実態がここで報道されているわけであります。
 この事件は、木造二階建てのアパートの一階の部屋で、薄い布団をかけ、あおむけに寝た状態で亡くなっていたんです。この男性はひとり暮らしで、ミイラのようにやせ細っていた。税金滞納を理由に年金が振り込まれる銀行口座を差し押さえられて、生活費に困窮して、電気もとまった寒い部屋で孤独死をしていた。
 渡辺副大臣はこの事件を知っておられましたか。
○渡辺総務副大臣 実は、きょうのこの質問があるまで知りませんでした。
 しかし、いただいた千葉県版の朝日新聞の記事を見て、ああ、こういう事件があったのかということを認識した次第でございます。
○佐々木(憲)委員 これは、去年の10月15日に年金が振り込まれた銀行口座を差し押さえするまでに、税務課が督促状を出したんです。出しただけで、納税者とは直接話をしていないんですね。にもかかわらず、いきなり全額を差し押さえたわけです。これでびっくりして、この方が苦情を電話で申し入れた。ところが、そのときに、この人は困ると言ったんですね。5千円はタクシー代だから、5千円だけ置いて、何とかしてくれという話になって、結局、後で5千円を解除したというんですよ。
 この人の生活実態、資産状況、経済状況を把握せずにいきなり年金を差し押さえて、生活がどうなのかも確認せずですよ、それで実行した。こういうことで、非常に私は、やり方が余りにも乱暴だと思います。
 私が昨年取り上げた鳥取県の児童手当差し押さえ事件、先日取り上げた千歳市の年金差し押さえ事件、それから参議院総務委員会で山下議員が取り上げた大阪の事件も今回の餓死事件も、ともかく、納税者の生活がどうかということを十分把握せずに、機械的にいきなり差し押さえるというやり方、これは、生活実態を把握し、納税者と直接対話し、その上で判断をするというルールといいますか、筋が違うんじゃないか、それと違うやり方をしているんじゃないか。
 私は、きちっと事前に実態把握、対話、そういうことをやるべきだと思いますが、渡辺副大臣、どのようにお考えでしょうか。
○渡辺総務副大臣 参議院の山下委員も総務委員会で、和歌山県、大阪の例を例に出されて、同じような指摘がありました。そのときも申し上げましたけれども、とにかく、やはり人間の顔をした窓口といいましょうか、人間の顔をした徴収業務を職員は行うべきだろうと思います。
 とにかく、今回の事案についても、私も新聞社の記者をやっていましたので新聞記事は信用しますが、本当にこれが新聞に書いてあるような中身だったのか。もしかしたら、村の役場の方の名誉もあります、私が追い詰めて殺したのかというようなとり方をされても、その村役場の方の名誉もあるでしょうから、個別の案件についてどうとは言えませんけれども、ただ、やはり本当に、実態はどうだったのかということは、これは何とか調べられれば、私は何らかの形で聞きたいと思います。
 また、とにかく、人の生命までも、生存権までも脅かすような、まさに問答無用の徴収、徴税があっては絶対ならないというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 実態はどうなのかということで私どもも、現地にスタッフが行って実際に聞いてまいりました。
 そうしましたら、今副大臣がおっしゃったように、徴税する側も大変な事態なんですよ。職員がたった二人しかいないんですよ。しかも、差し押さえは年間140件だというんですね。だから、差し押さえる前に一人一人の話を聞くなんというゆとりはない。こういう人員配置にも私は非常に大きな問題があると。
 ですから、税務署あるいは税務課の職員の置かれている労働条件の問題もありますので、親切に対応するというのは、ゆとりを持った人員配置、それからゆとりを持った対話の時間といいますか、そういうものが保障されなきゃならぬと思う。私はこれが欠けていると思いますよ。
 つまり、今までどんどん、ともかくコスト削減で、人件費を抑制で、もう人を減らせばいいという話で、結局そういうことをやってきた結果が納税者に対して厳しい事態を生み出しているという面があるんです。ですから、これは非常に、そういう点も含めてぜひ調査もしていただきたいと思います。
 それから、国税徴収関連法規を見ますと、例えば徴収法には、超過差し押さえあるいは無益な差し押さえの禁止、それから差し押さえ禁止財産、そういう規定があります。それから納税の猶予、換価の猶予、滞納処分の停止などが規定されています。こういうものをしっかり踏まえて適用されていれば、高齢者の年金を差し押さえて、生活を破壊して餓死させるなんということはあり得ない。ですから、地方税でも、この辺をきちっと踏まえて、そういうことの起こらないような対応が必要だと思います。
 ぜひ渡辺副大臣にお願いをしたいのは、こういう事態が二度と繰り返されないように、その考え方の徹底、通達を出すなり、そういうことをしっかりやっていただいて、それから、これは差し押さえの範囲を超えておりますから、私、資料を配りましたが、時間がありませんので説明しませんが、明確に範囲を超えています。そういうことのないように徹底するということをぜひ約束していただきたいと思います。
○渡辺総務副大臣 先ほどの千葉の例ですけれども、税務の職員が少なくとも、例えば民生委員の方に、生活実態についてもし把握しているなら何らかの情報提供を受けるとか、やりようがあったのかなかったのか。
 やはりそういうことも含めまして、とにかく、繰り返しになりますけれども、今委員が御指摘されましたような痛ましいことが、因果関係が本当にどうであったかはちょっとまだわかりませんけれども、それにしても、こういうことが二度とないように、万全の対策を当然国もすべきであろうし、また、地方に対しても、こういうことがあるという情報を共有して、やはり二度とこういうことがあってはならないということで、何らかの検討を進めていきたいというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 一つだけ。銀行口座に入ったら無条件にばっと全額差し押さえるというようなことは、これは今までのルールからいってもできないはずなんですが、この点は確認しておきたいと思います。
○渡辺総務副大臣 これは最高裁の判決にもありますが、一回口座に入ったというものは本人の財産ということになるわけでございますけれども、ただ、個々の事情があって、差し押さえられたら生きていけない、本当に食事もとることができないという、まさに非人道的な扱いをするようなことは絶対にあってはならない。それは、個々の事情を必ずしんしゃくされるということで私どもとしてはとにかく認識をして、また、そういう認識を運用の中で共有していきたいというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 これは、税務運営方針や徴税法における納税者の権利ということをしっかり踏まえて、まず納税者の生活実態、これを把握した上で慎重に徴税に当たるということが大事であります。
 とりわけ年金などは、これは財産差し押さえ禁止対象なんですね。つまり、差し押さえてはならない、本来そういうものなんですよ。この差し押さえ原則禁止、これを徹底する、そういうことをしっかりと注意喚起を行っていただきたい、そういうことを徹底していただきたい、最後に確認したいと思います。
○渡辺総務副大臣 国で禁止の規定があるものは地方でも規定をしているというふうに認識をしておりますし、また、国税通則法と同様の徴収猶予が設けられておりますので、まさに、それは本当に、人の生命、一人の人間の尊厳を奪い、命を奪うようなことが決してないように、これだけは、私ども地方の中でもやはり徹底をしていくべきだろうというふうな認識でございます。
○佐々木(憲)委員 最後に、菅大臣に確認をしたいと思います。
 前回もこういう問題で、国税も地方税も、徴税のあり方について、納税者の権利というような問題、あるいは民主党自身も、昨年の総選挙では納税者権利憲章というような提唱もされています。
 そういうことを踏まえまして、税調の中でしっかりと議論をして、親切で納税者の権利をしっかり守るような税務行政に切りかえていく、こういう立場でぜひ議論をしていただきたいと思いますが、見解を最後に伺いたいと思います。
○菅財務大臣 御指摘のように、納税者権利憲章については、納税者の税制上の権利を明確にし、税制への信頼確保に資するものとして重要な意義を持っていると考えております。
 納税者権利憲章を初めとする税務手続の見直しについては、平成22年度税制改正の大綱において、具体的な見直しを行うために、税制調査会のもとにプロジェクトチームを設置し、1年以内をめどに結論を出すということにいたしております。
 現在、税制調査会専門委員会に設置された納税環境整備小委員会において専門的かつ実務的検討を行っており、その検討結果等も踏まえつつ、22年度税制改正大綱の方針に沿って、このような権利憲章をつくる方向で検討してまいりたい、このように考えております。
○佐々木(憲)委員 時間が参りましたので、以上で終わります。

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