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金融(銀行・保険・証券), 金権・腐敗政治 (不良債権処理, 鈴木宗男議員疑惑, 国際協力・ODA)

2002年02月13日 第154回 通常国会 予算委員会≪総括質疑≫ 【155】 - 質問

NGO排除問題 鈴木宗男議員の関与はあったのか/海外援助まるで私物化・「ムネオハウス」に「ムネオ診療所」/大処理を進めるほど不良債権が増える

 2002年2月13日、NHKで中継された予算委員会で総括質疑が行われました。
 佐々木憲昭議員が質問に立ち、NGO排除問題、鈴木宗男議員の北方四島支援・アフリカODAをめぐる疑惑、「構造改革」と不良債権処理について、追求しました。

鈴木宗男議員の関与はあったのか 外務省の言い分だけを聞く政府の「調査」

 佐々木議員は、アフガン復興支援会議から2つのNGOが排除された問題で、2月4日に引き続いて、政府の調査内容を追及しました。
 質問の冒頭で、佐々木議員は、NGOに対する小泉総理の認識をただしました。
 「NGOは、貧困、飢餓、難民、地球環境の悪化などさまざまな問題の解決に向けて、市民の立場で国境を越えた活動をしている非政府組織だ。政府にできないことを、政府と協力しながら対等の立場で活動している。国連機関や欧米では政府のパートナーとしての役割を果たすものと高く評価されている」との佐々木議員の指摘にたいし、小泉総理は、「いろいろな地域の発展のために意欲にあふれた方々が活躍されるということは大変頼もしい。日本政府としてもどんどん協力していくべき団体の一つだ」との考えを示しました。
 「このように重要な役割を果たしているNGOを、1月の『アフガニスタン復興支援国際会議』に正式に招待していながら、2つの団体を直前になって排除した」と問題の重大性を強調した佐々木議員は、「この過程で、鈴木宗男議員の関与があったのかどうかが問題だ」として、先週末(2月8日)、予算委員会の理事会に提出された政府の「調査結果」の内容をただしました。
 佐々木議員は、政府「調査結果」が、外務省の言い分だけを調べて「鈴木議員に言われたり圧力を受けたことはない」と結論づけたものだと断じ、「もう一方の当事者である田中前外務大臣らの申述はいつ聴取するのか」と政府の対応をただしました。
 答弁に立った福田官房長官が、「外務省職員からは事情聴取をした」と、それ以上の対応を行う姿勢を示さなかったため、佐々木議員は「一方の関係者である田中前外務大臣やNGO代表の大西さんの意見を聞かずに、真相を究明できるはずがない。政府が聞こうとしないなら、この委員会で話を聞いて、具体的な事実関係を究明する必要がある」として、田中前外務大臣、鈴木宗男議員、野上事務次官を参考人として予算委員会に呼ぶよう要求しました。



海外援助まるで私物化・「宗男ハウス」に「宗男診療所」 佐々木議員の追及に、首相も「感心した。調査する」
 次に、佐々木議員は、外務省のロシア・北方四島支援とアフリカODA事業に鈴木宗男議員がからみ、受注業者から献金を受けている実態を暴露し、外交の私物化だとして、小泉総理に厳正な実態調査を求めました。
 小泉総理は「よく調べているなと感心した」「よく調査しなきゃいかぬ」と約束しました。

◎北方四島支援 後援会幹部業者が受注し鈴木氏に献金
 「鈴木さん、あなたは私たちの友達です」。国後(くなしり)島の「友好の家」に、赤と青のインクでくっきり書かれた横断幕の写真。議場は「オー」と大きくどよめきました。佐々木議員が「現地ではムネオ・ハウスと呼ばれている」とたたみかけると、自民党議員からも苦笑がもれました。
 ロシアの「北方四島への人道援助」事業が始まったのは1992年。2000年度までに約87億8000万円が費やされました。
 通常の国家間援助は、相手国の正式な要請に基づきJICA(国際協力事業団)などが現地調査します。その報告書を検討し閣議決定したうえで、相手国との交換公文(契約書)に署名。その後、入札で事業に携わる業者を選定します。
 ところが「北方四島支援」に関してはこれらの手順をふまず、四島住民代表からの支援要請を外務省ロシア支援室などが検討して「贈与証明」をつくり実行するもの。特定の議員が関与する余地が残ります。
 佐々木議員は、「支援」目的でつくられた「友好丸」と「希望丸」という船の問題を取り上げました。昨年6月はじめに進水式をした「友好丸」は、5ヶ月間も引き取られないままに造船会社に放置されていました。佐々木議員は、船の利用目的について、日本とロシアの間で一致していなかったことを指摘し、「目的がはっきりしていないのに、船だけ先につくる。おかしいではないか」と追及しました。
 この船を受注した「根室造船」の社長は、鈴木宗男議員の政治活動を支える「21世紀政策研究会」根室支部の代表で、根室市の後援会幹部です。
 重大なのは、この企業が鈴木議員へ献金していることです。佐々木氏が4年間で240万円にのぼると紹介すると、資料に目を落としながら「ほう」という感嘆の声や「自民党いいかげんにしろよ」とヤジが起きました。
 「船の発注と密接な関係といわざるを得ない。こんなことが許されていいのか」と迫る佐々木氏に、小泉純一郎首相は「いま突然聞かれても事実関係がよく分かっていない」といいながらも、「よく調べていると感心した」と答弁せざるをえませんでした。
 鈴木議員と「支援」事業とのかかわりはこれだけではありません。国後(くなしり)島の宿泊施設「友好の家」―通称「ムネオ・ハウス」をはじめ、色丹(しこたん)島の診療所は地元で「鈴木宗男診療所」、四輪駆動車は「ムネオ号」といわれている―。佐々木議員は、調査で明らかになった実態を次々と告発しました。
 佐々木議員は「国民の税金による援助なのに、どうして個人の名前が出てくるのか」と批判。事業を受注した企業から鈴木議員に献金が還流する構図を「おかしいと思わないか」と追及すると、首相は「よく調査すべきだと思う」と答弁しました。

◎アフリカODA事業=受注11社から鈴木氏に献金700万円
 佐々木議員は、北方四島支援と同様に、アフリカのODA事業を受注した11社から鈴木議員へ、6年間で約700万円もの献金が渡っていることも明らかにしました。
 鈴木議員は、ケニアのソンドゥ・ミリウ水力発電事業をめぐっても、深く関与しています。
 外務省の公電によれば、鈴木議員は小渕内閣の官房副長官として99年8月にケニアを訪問した際、「帰国次第、関係省庁に連絡・指示を行い、本件プロジェクトへの円借款供与への迅速な検討を進めることを約束する」と発言。このプロジェクトの二期工事はまだ円借款の決定がされず、お金のメドがたっていないにもかかわらず、工事の入札・発注が早々と行われるという異常な事態になっています。
 同発電事業を受注した鴻池組をはじめアフリカのODA事業を受注した11社から、6年間で約700万円の献金が鈴木議員に渡っています。佐々木氏は、鈴木議員が16ものアフリカ関連の議員連盟会長を務めていることも指摘。「利権構造の実態にメスを入れることが大事ではないか」との問いに首相は、「その通り。指摘の点を外務省もよく調査し、疑惑の持たれないようなODAを考えるべきだ」と答えました。
 佐々木議員は、疑惑を解明するために鈴木宗男議員の証人喚問を要求しました。


大処理を進めるほど不良債権が増える 破たんの政策の転換を
 また、佐々木議員は、小泉「構造改革」政策の根本的転換を求めました。「かつてない倒産と失業、ホームレス、多重債務者、自殺者の急増…。これがこれまで小泉内閣がやってきた政策の結果だ」と批判しました。
 佐々木議員は、小泉内閣になってからすべての経済指標が悪化していることを指摘。「構造改革」の中心的柱である「不良債権の早期最終処理」について、内閣府の試算でも60万人、民間研究所の試算では新たに100万人以上の失業者が発生するとしていると述べ、「これだけの失業者が出ても不良債権処理をあくまで進めるというのか」と追及しました。
 小泉総理は、「将来の発展にとってこういう段階(高失業)も必要なこと」「金融機関の不良債権が足をひっぱって元気のある企業に融資できなくなる」と述べ、あくまで「不良債権処理」を進める考えを繰り返しました。
 これに対し佐々木議員は、「不良債権があるから金融機能が低下して資金が回らなくなっているのではない」と批判。政府の『経済財政白書』でも、不況の深刻化や銀行の貸し渋り・貸しはがしが資金停滞の原因となっていると分析していると述べ、「これを改めない限り日本経済が良くなるわけがない」と主張しました。
 また、佐々木議員は、大手銀行の「不良債権」は減るどころか小泉政権発足後、2.5兆円の不良債権処理をしながら、一方で3兆円の新規発生があったために、5000億円も増えている実態を指摘し、その原因は、「不良債権処理」を強行して、失業・倒産を増やしてきたからだと強調。政府・与党が70兆円の税金投入の枠組みをつくるなど銀行支援のためにあらゆる措置をとってきたにもかかわらず、「不良債権」は減らず、景気はますます悪くなっており、「小泉内閣の政策はすでに破たんしている」と、家計応援の政治への転換を主張しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 まず、アフガン復興支援会議から二つのNGOが排除された問題についてお聞きをしたいと思います。
 その前に、NGOに対する総理の認識を確かめたいと思うわけであります。
 NGOは、貧困、飢餓、難民、地球環境の悪化、さまざまな問題に対して、その解決に向けて、市民の立場で国境を超えた活動をしている非政府組織でございます。政府にできないことを、政府と協力しながら対等の立場で活動している。ですから、国際機関やあるいは欧米の政府のパートナーとしての役割を果たしていると高く評価をされているわけですけれども、総理はNGOについてどのような認識をお持ちか、まずお聞かせをいただきたいと思います。
○小泉内閣総理大臣 今、各地区で国境を超えてNGOがそれぞれの分野で活躍されております。政府の組織でもない、企業でもない、そういう中で、いろいろな地域の発展のために力をかそうという意欲にあふれた方々が各分野で活躍されるということは大変頼もしいことでありまして、これからも、いろいろなNGOがあると思います。そういう有益ないいNGOだったならば、日本政府としてもどんどん協力していくべき一つの団体ではないかなと思っております。
○佐々木(憲)委員 今総理もお認めになりましたように、大変重要な役割を果たしているわけですけれども、そのNGOを1月のアフガン復興支援会議に正式に招待していながら、二つの団体を直前になって排除したということで重大な問題が起こったわけであります。
 この過程で鈴木宗男議員の関与があったのかどうかというのが問題となったわけです。先週末、予算委員会の理事会に私も出席しておりましたけれども、この調査結果という文書が発表されました。
 これを見ますと、外務省の言い分を調べたものでございます。結論は、鈴木議員に言われたり圧力を受けたりしたことはないということでありました。しかし、政府が1月28日の夜、政府見解というものを出しましたけれども、これには、「1月24日の予算委員会における田中外務大臣の答弁と外務省事務当局の答弁との間に相違があるが、政府としては、引き続き関係者の申述等を聴取し、事実関係の確認に努める。」このように書かれているわけであります。
 福田官房長官にお聞きしますけれども、片方の当事者である外務省の言い分は確かにお聞きになって、このような調査結果を発表されました。それでは、もう一方の当事者であります田中前外務大臣や、排除された側の大西さんの申述は、いつ聴取されるんでしょうか。
○福田内閣官房長官 28日の段階で政府見解を出しました。ここでは、1月24日の予算委員会の田中外務大臣の答弁とそれから外務省事務当局の答弁との間に相違がある、こういうことでございまして、「政府としては、引き続き関係者の申述等を聴取し、事実関係の確認に努める。」こういうふうにしたわけですね。それで、たしか翌日だったと思いますけれども、申述をいたしました。これは役所関係です。
 大臣の方はとおっしゃいますが、これは、国会で答弁されていらっしゃいますので、その答弁が、これは公のものでございますから、これでもって大臣の答えというように理解しております。
 大西氏のことにつきましては、私どもは大西氏まで調べるという、そういうことはする必要があるかどうか。と申しますのは、政府の関係ではございませんし、そういうふうな、調べる権限と申しますか、また、大西氏がおしゃべりになったことが真実かどうかということを確認する方法もないという、そういうこともございますから、私どもは調べておりません。
○佐々木(憲)委員 前外務大臣は国会で答弁をしているから調べる必要はないと。外務省当局も国会で答弁したじゃないですか。国会で答弁をした二つの見解が全く違った。答弁が違った。だから、その違いについて真実を調べていく。政府見解では、「事実関係の確認に努める。」と書いてあるんですよ。外務省の言い分しか聞いていないじゃないですか。
 だから、もうやっていることは全く、一方の関係者の田中外務大臣、あるいは大西さんまで調べるのはいいかどうかという問題はあるのかもしれませんけれども、ここで答弁が食い違ったわけですから、もう一人の当事者の田中外務大臣の意見を調べる、聞く、事実関係を究明するというのは当たり前なので、大体、政府見解で述べたことさえやらない。政府が聞こうとしないわけですから、これはどうにもならぬわけであります。
 委員長、私は、そういう状況ですから、やはりこの委員会で話を聞いて、具体的な事実関係を究明する必要がある。田中前大臣は、呼ばれればいつでも出て真実を述べます、こうおっしゃっているんですね。あるいは、鈴木議員も、自分も話をしたいんだ、こうおっしゃっているわけでありますから、この問題の究明のために田中前外務大臣、鈴木宗男議員、野上事務次官を参考人として呼んでいただきたい。
○津島委員長 参考人の問題については、協議をいたしております。
 福田官房長官。
○福田内閣官房長官 この1月28日の調査というのは、調査をなぜするか。これは、外務大臣と外務省事務当局との答弁の違いということでありますけれども、その違いというのは、1月24日のやりとりのことなんです。特に、1月24日の朝の外務省における田中外務大臣と外務省の職員との間のやりとりであるという意味でありますので、その職員、全部で九人だったと思いますけれども、この九人について事情聴取をした。ただ、野上事務次官についてはこれはしておりません。国会でも答弁いたしておりますので、これはいたしておりません。この残りの外務省職員についてはすべて申述調書をとっておるわけであります。
○佐々木(憲)委員 全然説明になっていないじゃないですか。なぜ一方だけを調べて。24日の問題ももちろんありますよ。24日だって一方しか聞いていないんだから、これ自体だって問題じゃないですか。しかし、真実は何か、圧力があったのかどうかというのを明らかにすることが大事なんです。
 鈴木さんはいろいろ問題がありまして、ロシアとの関係の深さというのはもう周知の事実でございます。実際、先日イワノフ・ロシア外相が来日したときに、森前総理と一緒に、議運委員長をやめたばかりの鈴木宗男議員が同席しております。総理は、今後鈴木議員の影響力は格段に少なくなるでしょう、こういうふうに答弁をされました。相変わらず、ロシアに対する影響力を持っているということじゃありませんか。
 そこで、外務大臣に経済援助の手続の問題についてお聞きをしますが、通常、国と国の間の援助の場合は、相手国政府から正式の要請があって、例えばJICA、国際協力事業団が事前に調査団を派遣して調査をして、外務省に調査報告書を提出する。それを検討して、閣議決定を行って、相手国政府との交換公文に署名をする。その上で業者の入札が行われるという手続になると思うんですが、そういう流れだというふうに理解してよろしいですね。簡単にお答えいただきたい。
○川口外務大臣 概略、そういうことかと存じます。
○佐々木(憲)委員 平成4年、1992年から北方四島への人道援助という名目の援助が始まっております。これは、これまで総額で幾らの援助が行われましたか。また、この北方四島支援というのはどういう手続を踏んで行われているか、お答えをいただきたいと思います。
○川口外務大臣 総額でございますけれども、まず、ソ連邦崩壊後、旧ソ連諸国を支援するための国際機関として支援委員会が設立をされまして、我が国がその委員会を通じまして平成13年9月までに実施した人道支援でございますが、これが約135億6千万円でございます。
 また、支援委員会以外にも、赤十字国際委員会等を通じまして、平成13年末までの10年間で約75億9千万円の支援を実施いたしております。
 それから、北方四島の住民に対しまして、実績値が確定しているところでは、平成12年度までに約87億8千万円の人道支援を実施いたしております。
○佐々木(憲)委員 今私がお聞きしたもう一つは、どういう手続を踏んでこの支援が行われるかという点であります。
 私がお聞きしたところ、まず四島住民の代表から支援要請が来る、それが日本政府に伝えられて、その内容を外務省のロシア支援室を中心に検討して、その上で、住民の皆さんにこういうものを贈ります、こういう贈与証明というものがつくられる、そして四島住民に渡される、こういうやり方をしていると思うんですが、まずそこを確認しておきたいと思います。
○齋藤政府参考人(外務省欧州局長) お答え申し上げます。
 北方四島住民支援につきましては、北方四島住民から直接外務省のロシア支援室に対しまして支援要請がなされます。これを受けまして、ロシア支援室が要請を検討いたしまして、支援内容を決定しております。支援委員会事務局に実施を指示いたしまして、同事務局において、コンサルタント、業者の選定、物資運搬手段等の調達手続を行うことになっております。また、島側に対しまして支援内容を記した贈与目録を送付する、また、外務省より在京ロシア大使館に対しまして支援団派遣を口上書にて通報いたしまして、在京ロシア大使館から受け入れ回答を得る、そういうことでございます。
○佐々木(憲)委員 つまり、通常のODAと違う形式をとっているわけですね。こういう流れですと、特定の議員の関与の余地というのは非常に大きいわけであります。
 具体的にお聞きしたいと思います。
 昨年の6月初めに進水式をしました友好丸という船があります。これは北方四島支援のためにつくられたものでありますが、(パネルを示す)この船ですけれども、ところが、これは5カ月間引き取られずに造船会社にいわば放置されていた。この船ですね。なぜ5カ月間もこれが放置されたままになっていたんでしょうか。
○齋藤政府参考人 友好丸を受け取ります島側の手続が遅延したためにおくれたというふうに承知しております。
○佐々木(憲)委員 手続というのは何ですか。まず初めに住民の側から直接要請があるとおっしゃいましたよね。つまり、このように使いたい、このためにこの船が必要ですからよろしくお願いします、こういう要請が来ますよね。それなら、何も調整は必要ないじゃないですか。調整なんか何もないですよ。これは、できたら、はい、できました、よかったといって引き取っていけば、すぐそれで使えるじゃないですか。何の調整をやるんですか。おかしいじゃないですか。
○齋藤政府参考人 私どもといたしましては、迅速な手続を求めてきておりましたけれども、島側におきまして、免税手続等の所要の手続に時間がかかったというふうに承知しております。
○佐々木(憲)委員 全然事実と違いますね。
 これは、新聞報道ですけれども、日本側は、返還に向けた環境整備として、つまり、友好丸を色丹島の港とその沖合の船との連絡手段、はしけとして想定していた。しかし、ロシア側は、色丹―国後島間の定期便として活用する、こういう予定であった。
 おかしいじゃないですか。要するに、ロシア側は定期便として使いたい。しかし、この定期便というのは、こういうものをつくりますと社会基盤の整備という範疇に入るために、人道支援から枠の外に出てしまう。だから、日本は、そうではない、人道支援にするためには、この船ははしけとして使わないと人道支援の枠に入らない、そういう違いがあったんじゃないですか。いかがですか。
○齋藤政府参考人 そもそも、北方四島支援につきましては、北方四島住民が大変困難な生活環境に置かれていたということに加えまして、1994年の北海道東方沖地震によりまして甚大な被害を受けましたために、さらにその困難の度を増すこととなりました。
 このような困難な状況に置かれている四島住民に対しまして、政府としては、人道的な観点に加え、実効性があり、また目に見える支援を迅速に実施することが、四島住民の我が国政府に対する信頼感、期待感を高め、ひいては領土問題解決のための環境整備にも資するとの考え方に立ちまして、人道支援を行ってきております。
 先ほどのはしけの件でございますが、我々としては、島側に対しまして、はしけとして使うという確約をとりまして供与したものでございます。
○佐々木(憲)委員 だから、確約をとって供給したんでしょう。それまでは食い違っていたんですよ。
 だから、こういう援助というのはそもそも税金を使うわけですから、最初から何に使うかという目的を明確にして、その上で入札が行われて船が発注される、こういうのが順序でしょう。この北方四島支援というのはそうなっていないじゃないですか。
 平成9年度にも希望丸という船がつくられていますが、これも国後島のはしけで、1億395万円の工事費がかかっております。一体、この友好丸と希望丸、この二つはどこが受注しましたか。どんな入札をやりましたか。
○齋藤政府参考人 一般競争入札に基づきまして、根室造船という会社が受注してございます。
○佐々木(憲)委員 根室造船。しかし、一般競争入札といいますけれども、たった2社しか入札していないんですよ。何が競争ですか。これは随意契約と変わらないじゃないですか、ほとんど。
 問題は、根室造船の社長の河原勝治さんという方がどんな人物かという点でありますが、この人は、鈴木宗男議員の政治活動を支えている21世紀政策研究会根室支部の代表であります。ここに選管に出した書類があります。これがその書類ですけれども、根室市の鈴木宗男後援会のこれは幹部なんです。
 鈴木宗男議員の後援会の幹部がつくった船じゃないですか。最初から目的がはっきりしていないのに、船だけは先につくる。おかしいじゃないですか。
 では、ちょっと資料を配付してください。
 重大なのは、この会社から鈴木宗男議員に献金が行われている。希望丸が発注されたのが97年でありますけれども、ちょうどその前の年の96年、その後毎年献金が行われて、合わせて240万円。船の発注とこれは密接な関係と言わざるを得ませんね。
 総理にお聞きしますけれども、こんなことが許されていいのでしょうか。
○小泉内閣総理大臣 今突然聞かれて、事実関係がよくわかっていないのですから、それは、今聞かれて、本人にも確かめないでどうだと言うのも、これまた失礼でしょう。
 よく調べて、確かに、今言っているのは初めて聞きましたし、よく調べているなという、感心しながら聞いていましたけれども、疑いのないような、疑念を抱かないようなODAなり、目的に沿った使われ方をすべきだなと思いながら伺っていました。
○佐々木(憲)委員 この支援そのものが極めて不透明な面が多いのですね。そこに鈴木氏の後援会の会社がかかわって、そこから献金が流れる。人道支援あるいは税金が食い物にされるということじゃないですか、これは。
 しかも、やっていることはこれだけじゃありません。国後に、日本政府が4億1685万円を拠出して、友好の家というのがつくられているのですね。我が党もこれは調査しましたし、国後に行った人からも話を聞きました。この友好の家は、ムネオハウスと呼ばれております。この家はムネオという有力政治家がつくってくれたんだ、現地ではそう言っているのですよ。鈴木議員がいかに深く関与しているか、明らかであります。
 このムネオハウスの工事受注者は犬飼工務店、この社長犬飼勝氏は、鈴木宗男中標津後援会の会計責任者でございます。ここにその証拠が、選管に出された書類がございます。この後援会幹部からも82万4千円の献金が行われております。
 このムネオハウスには何が書かれているかというと、「鈴木さん、あなたは私たちの友達です」こういうものが書かれております。ムネオハウスという家に行くと、こんな横断幕があって、しかも食堂の壁には鈴木宗男議員の写真が飾られている。これは極めて異常ですよ。
 それだけじゃありません。色丹の診療所の所長にお聞きしますと、これは道議会議員が訪ねたそうです。ここは鈴木宗男診療所と言われているんだ、堂々とそうおっしゃっている。94年に贈られた十人乗りの四輪駆動車はムネオ号と言われている。マイクロバスにも、鈴木さんは友達ですという横断幕が張られている。
 すべて国民の税金でこのような援助が行われているにもかかわらず、何で個人の名前がこんなに出てくるのですか。税金の私物化、援助の私物化としか言いようがありませんね。
 配付した表のように、鈴木宗男議員の関係者が北方四島人道支援の仕事を受注して、受注した企業から鈴木宗男議員に献金が行われる、資金が還流する。この6年間で鈴木議員に1182万、大変な金額の献金が流れている。おかしいと思いませんか、これ。直ちに調査をして事実を究明して、改める点は改める、これは当然やるべきだと思いますが、総理、いかがですか。
○小泉内閣総理大臣 個人のお金で寄附したならともかく、ODA資金で、そのような、今言われているような形で使われているようだったら、これはよく調査しなきゃいかぬと思っております。
○佐々木(憲)委員 鈴木議員は、ロシアだけじゃないんです、アフリカへの関与も大変なものでございまして、ケニアのソンドゥ・ミリウ水力発電事業というのがありますね。日本の経済援助の対象となっているようですけれども、この第二期工事は、いまだに円借款、つまりお金のめどが立っておりません。しかも、政府の間で交換公文という契約書も結ばれておりません。ところが、奇妙なことに、工事の入札、発注だけは早々と行われている。
 参議院で我が党の富樫議員がこの点をただしたところ、川口外務大臣は、「入札に関しては、ケニア側が自らの責任において手続を進めた」という答弁をされましたが、とんでもない答弁だと思うのですよ。ケニアが単独でやれるような事業ではございません。日本の円借款がなければ、こんな事業はできませんよ。
 なぜ入札と発注のその前にきちんとした手続を踏まないのか。最初のODAの手続と全然違う、逆のことをやっているのですから、この点をはっきり答えてください。
○西田政府参考人(外務省経済協力局長) お答えをいたします。
 先ほどの御質問のケニアのソンドゥ・ミリウの事業につきましては、前回の通常国会の際にも国会の審議で質問をいただいております。その際、田中外務大臣からも明確にお答えいたしましたが、この件につきましては、現在まだ、引き続き政府部内でこの案件を採択するかどうかは検討中でございます。
 また、先ほどのいわゆるケニア側における入札につきましては、政府としまして正式に本件を取り上げることを決定した上で、JBICのガイドラインに従って改めて審査するということでございます。
○佐々木(憲)委員 入札と発注の前に手続が行われていないのです。その上で、入札だけが、発注だけが進んでいる。私は、これは極めて異常な状態だと思う。ここにも鈴木宗男議員の関与がある。
 鈴木議員は、小渕内閣の官房副長官をしていた当時、平成11年8月にケニアを訪問しておりますが、そのときの状況を報告した外務省の公電がここにあります。ここに記録されているのは、鈴木宗男議員の発言なんですね。こう言っているのです。「自分が帰国次第、関係省庁に連絡・指示を行ない、本件プロジェクトへの円借款供与への迅速な検討を進めることを約束する」こう述べたと書いてあるのです。これは、平成11年8月18日21時10分ケニア発。
 ですから、入札、発注が行われたのは、こういうことがあったから行われたのじゃないですか。この会談の後、外務省は鈴木議員から指示を受けたのじゃありませんか。
○西田政府参考人 お答えをいたします。
 御質問のとおり、当時、鈴木宗男官房副長官は、政府を代表しましてケニアを訪問し、政府の意見としてただいまの御発言をされたということでございます。したがいまして、戻られてから政府関係機関に検討するようにと言われたことは当然のことと考えております。
 それから、先ほどのことでございますが、これは、ケニア側におきまして、当時、委員御案内のとおり、債務削減ということについて政策を迷っておりました。したがって、債務削減を行いますれば当然新規の円借款はできませんので、その件についてケニア側の対応をただすというのが、当時における会談の主要な目的の一つでございました。その際、ケニア側から債務の削減を行わないという明言がございましたので、それに対応した形で官房副長官より、では、この案件についての採択について政府として検討を進めたいという旨を発言されたものでございます。
○佐々木(憲)委員 会談の後、外務省は鈴木議員から指示を受けた、そういうふうに今、事実上おっしゃいましたね。
 このソンドゥ・ミリウ発電所の土木工事を受注した日本企業はどこですか。
○西田政府参考人 これは国際入札を行いまして、日本の企業が入った国際的な企業連合であったというふうに承知をしております。(佐々木(憲)委員「企業名」と呼ぶ)日本側の企業は鴻池組でございます。
○佐々木(憲)委員 ここでも鴻池組の名前が出ましたが、事業を受注したゼネコンのこの鴻池組から鈴木議員に献金が渡っているんですよ。
 ちょっともう一つの資料を配ってください。
 アフリカのODA事業受注者から鈴木議員への献金は、鴻池組は4年間で180万円。アフリカのODA事業の受注業者から鈴木議員への献金はこれだけじゃありません。この6年間で、実に11社、696万円が渡っております。これはもう北方四島支援と全く同じ構造でありまして、鈴木宗男議員は、この業者の利益を図り、ODAを食い物にしているとしか言いようがありません。
 ここにパネルがありますが、これは鈴木議員が議連会長を務めているものであります。16の議連の会長を務めております。これは鈴木議員が自分で走り回って、3年ほど前に一斉に立ち上げたんですよ。ちょうどソンドゥ・ミリウのこの公電の事件のあたりであります。鈴木議員が自分で走って歩いて、結局、20数人がそれぞれ重複して名前を連ねたと言われているんですね。
 自民党きってのアフリカ通だとかロシア通などと言われているけれども、利権まみれじゃないですか、これじゃ。自分がすべての決定権を握っているように圧力をかけて介入し、外務省が唯々諾々と従っている。常識では考えられない、余りにもこれは異常な世界であります。
 総理、このアフリカ問題についてもきちっとメスを入れるということが大事だと思いますけれども、いかがですか。
○小泉内閣総理大臣 そのとおりだと思います。今御指摘の点を外務省もよく調査して、疑念の持たれないようなODA、それを考えるべきだと思います。
○佐々木(憲)委員 私は、これらの疑惑の真相を解明するために、鈴木宗男議員を当委員会で証人喚問するように求めたいと思います。
○津島委員長 委員長として、理事会で協議をいたします。
○佐々木(憲)委員 次に、経済問題についてお聞きをしたい。
 日本経済は大変な事態となっております。もうつるべ落としのように深刻な状況が進んでおりまして、失業も倒産も最悪であります。成長率もマイナス。
 アメリカのフォーブス、これは2月18日号ですけれども、「タイムズ・アップ、ジャパン」、時間切れの日本という大変ショッキングなタイトルの特集を組んでおりまして、日本経済は12年間の低迷を経て最悪の状態にまで悪化した、各種経済指標の落ち込みは1930年代の世界恐慌を引き起こしたアメリカの状況とよく似ていると。構造改革を掲げる小泉内閣に対してはこう言っている。内閣発足以来九カ月たっても、彼はレトリック以外にはほとんど実行してこなかったと断言しております。
 実際、小泉内閣になってから、もうほとんどすべての指標が悪くなりました。国際的にも批判を浴びておりますが、総理にお聞きしますけれども、こういう批判というのは、今の日本の実態から見て当然の批判だと思うのですけれども、どのようにお考えですか。
○小泉内閣総理大臣 私は、その批判には同意できません。着実に構造改革が進んでいる。そういう中で、1、2年の低成長は覚悟しながらやっているわけです。確かに、不良債権を進めろという声と、まあもっと緩やかにしようという声もありますけれども、私は、不良債権処理を進めていかない限りは、日本の経済の再生は成り立ち得ないと。そういう中で、企業の倒産も起こり得ます。失業者の方々も困難に直面しています。しかし、この構造改革を進めることなくして、私は日本国経済の再生はないと思っていますから、その間における、構造改革を進めるためのデフレ阻止あるいは金融不安を起こさせないための措置はあわせてしていかなくてはならない。非常に狭い道でありますけれども、この道は、進めていかざるを得ない道だと思っております。
○佐々木(憲)委員 不良債権早期最終処理というのは、小泉内閣が掲げる構造改革の中でも中心的なスローガンになっておりますが、こんなことをやりますと大変な失業と倒産が生まれる、デフレを加速するということを我々は前から指摘してまいりましたけれども、本当に、現実的に大変な事態になったなというのが実感であります。しかし、総理は、これはあくまでもやるんだと。
 政府の甘い試算によっても、このことによって新たに60万人の失業者が発生する、これはもう政府自身が、失業者がふえるんだと言っているんですから。民間の研究所の研究によりますと、この不良債権処理によって新たに100万人以上の失業者が生まれる。我々の試算でも、20万、30万の倒産が生まれて、100万人以上の失業者が生まれるということになるんです。
 こういうことを進めなければならないのか。私は、今、2、3年とおっしゃいましたけれども、先がどうなるかわかりませんよ。このまま、どんどんどんどん不況が深刻化しても、総理はあくまでも、それでもやる、こうおっしゃるんですか。
○小泉内閣総理大臣 今出されましたフォーブスの批判論者は、たしか、不良債権の処理が遅いということで批判しているんじゃないでしょうか。そこが共産党と違うんですね。もっと早くやれと言っているんですよ。これは非常に、各党で意見の分かれるところであります。私は、着実に進んでいるんですけれども、それでも、早過ぎるというのと遅過ぎるという両方批判が出ているのは、これは承知しております。
 私は、今の状況において、より成長の可能性の高い分野に、また生産性の高い分野に早く必要な資金が回るような改革をする中でのいろいろな痛みでありますので、こういう段階というのは、将来の発展を考えると必要なことではないかと。
 それで、不良債権処理を進めませんと、金融機関においても、あるいは、これから、不良債権が足を引っ張る形になって、元気の出る企業に働いてもらおうという融資ができなくなる、そういう面も考えなきゃいかぬし、同時に、新しい時代に対応できる企業、できない企業というのはどの時代にもあります。全部の企業をそのまま倒産しないで活性化できるんだったら、これは最高です。そういう状況でないから今難しいのであって、確かに失業者はふえています。しかし、そういう中にあっても、今、雇用対策を打っておりますし、なおかつ、いろいろ失業者がふえている中にあっても、新しい雇用も生まれている産業もあります。
 こういう点をよく注視しながら、私は、この改革を進めるための諸施策を講じていく責任があると思っております。
○佐々木(憲)委員 新しい分野に資金が回る、そのことが必要だからやるんだ、こうおっしゃいましたけれども、これは全然事実と違うと思うんですね。
 資金が回らないのは、金融の機能が低下しているからではありませんよ。今は超金融緩和じゃないですか。ほとんどゼロ金利ですよ。じゃぶじゃぶ供給が行われている。しかし、銀行から先に資金が回らない。
 なぜかといえば、政府だって言っているでしょう。これは内閣府の経済財政白書、この中で、景気悪化は不良債権が減らない理由の一つだ、債務者区分や貸出資産等の査定を厳格化しているからだ。つまり、銀行から先に回らないのは、景気が悪いから資金需要が減っている、銀行が貸し渋りをやっている、貸しはがしをやっている、資産査定を厳しくやっているからそうなるんですよ。そこを直さないで、不良債権だからどんどんつぶしてもいいんだ、こんなことで日本経済がよくなるはずありませんよ。
 では、不良債権を処理したら、本当に不良債権が減っているんですか。不良債権が、昨年3月11・7兆円。ではこの9月に減りましたか、幾らになりましたか。数字だけ言ってください。
○柳澤金融担当大臣 破綻懸念先以下の債権だけ、今、佐々木委員はおっしゃられました。
 しかし、私、それだけで申し上げても、今回、5千億ふえて12兆2千億になっているわけですけれども、これは、オフバランス化をした後ということでございまして、大体5千億ぐらいの増加ですけれども、これはオフバランス化と新規発生がお互いを引っ張り合ったわけですけれども、若干新規発生が多くてこういう結果になっている、こういうことでございます。
○佐々木(憲)委員 結局、処理をしたのが2・5兆円で、新規に不良債権が3兆円ふえているんですよ。
 それで、金融庁が出した資料を見てもはっきりしていますね。破綻懸念先以下債権の債務者の業況悪化等による新規発生です。つまり、どんどん実体経済が悪くなっているから不良債権がふえているということなんです。不良債権の早期最終処理ということで処理をどんどんやればやるほど倒産がふえ、失業がふえ、業況が悪くなって、ますます不良債権がふえている。
 悪くなった原因は、政府が不良債権処理を強行して、倒産や失業をふやしたからじゃないですか。この政策によって、どれほど国民が深刻な痛みを押しつけられてきたか。かつてない倒産と失業、ホームレス……(発言する者あり)与党の方から、そのとおりだという話ですから、多重債務がふえ、自殺者がふえている。これが今までの小泉内閣がやってきた政策の結果ですよ。
 一方で、では、銀行にはどんなことをやったか。70兆円の税金投入の枠組みをつくって、30兆円も投入した。10兆円はもう返ってこない。超低金利政策で、銀行に預けたって利子がつかない。国民の懐から10兆円あるいは20兆円、これを取り上げた。大企業の債務を免除した銀行に対しては減税措置を行う。
 こういうことで、大銀行にはもうこれ以上やりようがないほど至れり尽くせりの応援をやっている。それでも不良債権は減らない、景気はますます悪くなる。だから、小泉内閣の政策はもう既に破綻しているんですよ。それにもかかわらず、まだやるんだと、破綻した政策をますます大がかりに広げる。
 ブッシュ大統領が来日するということなんですけれども、公的資金をまた新たに10兆円も15兆円も投入するなんという話がありますけれども、本当にそんな約束をするんでしょうか。この点だけちょっとお聞きしておきます。
○柳澤金融担当大臣 今、佐々木委員、10兆円はほぼ返ってこないというようなお話をなさいましたけれども、これは銀行にやったものじゃないですね。預金の全額保護のために、預金者にその全額を保護して、ペイオフしないで、預金者の預金を確実に返す、返還する、こういうことのためにやったんです。預金者、金融債の保有者のためなんです。
 そこを間違われて、銀行にこのお金をやって返ってこないんだなんというようなそういう誤解を生むような表現は、ぜひ委員の良心にかけてもそういうことをおっしゃらないでいただきたい。冗談じゃありません。それは訂正してください。
○佐々木(憲)委員 訂正する必要はありません。
 公的資金を30兆円、29兆円ぐらい投入しましたね。返ってこないのが10兆円、これは事実ですよ。それがどのように使われたかというのは、それは私は今問題にしているんじゃないんです。税金をそんなに使って、不良債権はふえる、国民の懐から利子は取り上げる、こんなやり方をして果たして日本の経済はよくなるのかということを聞いているんですよ。
 それで、先ほど総理の、新たにまた10兆円、15兆円の公的資金投入という話がありますが、そういう約束はされないんでしょうね。
○小泉内閣総理大臣 現時点でそのようなことは必要ないと思っています。デフレ阻止のためには、あらゆる手だてを大胆かつ柔軟に講ずる。金融不安を起こさせない。金融危機を起こさせない。
○佐々木(憲)委員 金融不安を起こさせない、そのためには何が必要か。経済全体を活性化させる、そのためには実体経済をしっかりと立て直さなきゃならぬのです。実体経済の半分以上の6割が家計消費、個人消費で支えられているんですから、その部分をどう支援するか、これが今我々に課された課題であります。
 私どもは、社会保障の充実あるいは雇用不安の解消、消費税の減税、こういうことによって家計をしっかりと応援するという政治こそ日本経済を活性化させる最大の道だ、また、金融不安を起こさせないというならそういう方向に転換することこそ今求められているんだ、このことを申し上げまして、中林議員に交代をいたします。

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