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金融(銀行・保険・証券) (金融消費者保護)

2008年05月23日 第169回 通常国会 財務金融委員会 【459】 - 討論

金商法改正は一般人を金融被害に巻き込む 反対討論

 2008年5月23日、政府提出の金融商品取引法(金商法)改定案が、衆院財務金融委員会で、自民、公明、民主などの賛成多数で可決されました。日本共産党は反対しました。質疑は、4月25日5月8日参考人質疑5月13日に行われました。

 この改正案は、インサイダー取引への課徴金水準の引き上げなど「市場ルール」を構築するとしています。
 しかしその一方で、(1)専門知識を持ったプロ投資者に限定した取引市場の創設、(2)ETF(上場投資信託)など金融商品の多様化、(3)証券会社・銀行・保険会社間の役職の兼職規制の撤廃など、政府のいう「貯蓄から投資へ」の流れに沿って規制緩和をすすめるものとなっています。 

 採決に先立って、佐々木憲昭議員は、日本共産党を代表して反対討論に立ちました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党を代表して、金融商品取引法改正案に反対する討論を行います。

 反対する第一の理由は、新設される特定投資家市場、いわゆるプロ向け市場と一般投資家との遮断が不十分なため、プロ向けのリスク商品取引に一般人が巻き込まれる懸念があることです。
 一般投資家への転売禁止の規制が設けられるものの、プロ向け市場で流通する高リスク商品を投資信託などを通じて一般投資家に販売することに新たな規制は設けられておりません。そのため、転売禁止規制が運用上無力化する懸念があります。また、国内外の新興企業の将来性を分析し、リスクを判断するだけの能力を持っているとは言いがたい地方自治体や法人、資産家を特定投資家とし、プロ向け市場に参加できる資格者であるとする合理的根拠は見当たりません。知識もリスクテーク能力もない一般投資家がハイリスク・ハイリターンの市場に巻き込まれる可能性が残された本制度には賛成できません。

 第二の理由は、商品現物との交換可能なETFを解禁することによって、新たな金融被害の火種をふやすことになるからであります。
 金や米、麦などの商品先物は、ハイリスク・ハイリターンの金融商品として、本来厳しい規制のもとで取引が行われるものであります。しかし、現実には、監督行政も甘く、個人投資家、消費者保護制度が不十分なため、商品先物などの金融商品による被害が続発しています。たとえETFとはいえ、商品先物に連動するハイリスクの金融商品が銀行の窓口等で販売されることになれば、リスクを理解できない高齢者や一般投資家を巻き込む危険性を高め、新たな金融被害を生じかねません。消費者保護制度の改善には手をつけず、このようなリスク商品を拡大することには賛成できません。

 第三の理由は、銀行、証券、保険の間のファイアウオール規制の緩和です。
 証券会社、銀行、保険会社の間の役職員の兼職規定の撤廃など、ファイアウオール規制を緩和することは、利益相反による弊害防止策を大きく後退させるものです。金融ビッグバン以降、コンプライアンス重視を標榜する監督行政のもとで規制緩和を進めてきましたが、金融機関の不祥事は後を絶ちません。融資先の中小企業に金融派生商品を押しつけた三井住友銀行が事件を起こしたのも、ほんの2年前のことです。金融機関の管理体制にゆだねる形の規制緩和には反対です。
 本法案には、課徴金制度の強化など若干の改善内容を含んではいます。しかし、約束してきた金融サービス法の制定を先延ばしにし、規制緩和をさらに推し進める内容となっています。これらを総合的に判断し、本法案に反対するものであります。

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