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金融(銀行・保険・証券) (インサイダー取引事件)

2008年04月25日 第169回 通常国会 財務金融委員会 【454】 - 質問

財務金融委員会で野村證券インサイダー取引事件の真相究明を求める

 2008年4月25日、財務金融委員会が開かれ、金融商品取引法改正案の質疑がおこなわれ、佐々木憲昭議員も質問しました。

 佐々木議員は、法案質疑の前提として、野村證券社員によるインサイダー取引事件に関し、再発防止のために真相を徹底究明するよう求めました。
 この事件は、中国籍の野村証券社員が職務で得た企業の合併・買収情報を使ってインサイダー取引を行った疑惑で、22日に容疑者3名が東京地検特捜部に逮捕されました。
 佐々木議員は、「インサイダー取引などの事件が急速に増えている」とし、金融庁の検査内容を質問しました。
 これにたいして、証券取引等監視委員会の内藤純一事務局長は、「事件を防止するため、社内体制などに着目している」と答弁しました。
 佐々木議員は、「今回の事件では、入社間もない人が企業機密を扱う部署に配置されている。社内体制に問題があったのではないか」と追及しました。
 渡辺喜美金融担当大臣は、個別の案件にはコメントしないとしつつ、「証券会社は市場の信頼を損なわないことが大事。適切な内部体制をとることが必要だ」と述べました。
 逮捕当日、野村證券の渡部賢一社長が「社外の口座を使った取り引きは、実態を把握するのが難しい」などとのべています。
 佐々木議員は、会社の責任をあいまいにしょうとしていることを批判し、真相解明と再発防止のためにも同社長を参考人として招致することを求め、理事会で協議することになりました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 法案の審議に入る前に、今回の、野村証券の社員によるインサイダー取引事件についてただしたいと思います。
 今回、三人が逮捕されておりますが、事件の概要、現在把握しているところ、説明をいただきたいと思います。
○内藤政府参考人(金融庁証券取引等監視委員会事務局長) お答えいたします。
 本件につきましては、4月22日でございますが、富士通デバイス株式会社に係る内部者取引事件ということの嫌疑に基づきまして、強制調査などに着手をいたしております。現在、調査を目下精力的に進めているというふうな段階でございます。
 しかしながら、個別の事案ということの内容につきましては、本件は目下調査中でございまして、従来より、個別事案の内容につきましてはお答えを差し控えさせていただいているというところでございまして、本件についても、同様に差し控えさせていただきたいというふうに考えております。
 これは、証券取引等監視委員会の活動を円滑に進めるという観点からも必要であるということでございますので、ぜひ御理解をいただきたいというふうに存じます。
○佐々木(憲)委員 調査中ということでありますが、最近はこの種の事件が急速にふえておりまして、証券取引等監視委員会にお聞きをしますと、風説の流布、偽計、相場操縦、内部者取引、これで勧告を受けた件数は、平成17年度と18年度はそれぞれ九件でありましたが、平成19年度になると20件にふえている。倍以上であります。大変ゆゆしき事態だと思うわけです。
 渡辺金融担当大臣にお聞きしますが、インサイダー取引事件がこのように増加をしている、その理由というのは一体どこにあるとお考えでしょうか。
○渡辺金融担当大臣 まず言えますことは、こうした取引をつかまえる最初の段階、つまり、ちょっとこの取引は異常ではないか、そういったことを審査する件数が大体年間884件ぐらいございます。そして、その中から、どうもこれは臭いなというのを捕捉するその精度が高まってきたということが一つは言えようかと思います。
 インサイダー取引につきましては、平成17年4月に課徴金制度が導入をされております。また、監視委員会は、市場の公正性の確保、投資者保護の観点から、機構、定員の増強を行い、市場監視体制を強化してきたわけでございます。
 このような市場監視のための体制が強化され、多様化された手段を戦略的に活用し、迅速、効率的な調査を行ってきた結果、近年、インサイダー取引についての多くの事案の告発及び課徴金納付命令の勧告がなされるようになったものと考えております。
○佐々木(憲)委員 その精度が高まったからふえたと言うわけですけれども、では、それまでは見逃していたのかという話にもなりますので。ただそれだけではなくて、全体の取引の活発化の中でこういう事件が非常にふえてきている。その理由は何かということをもうちょっと詰める必要があるというふうに思うんです。
 そこで、お配りした資料は、野村証券に関する証取法、金商法違反事件でありますが、このとおり繰り返されているわけです。金融庁の検査は、資料の下の欄にありますけれども、このように行われております。一番新しいところを見ますと、上の欄で、2003年8月、ニチメンによる子会社のTOBに絡むインサイダー取引というのがあったわけです。検査は、まさにこの時期の2003年、2004年、2006年というふうに行われているようですけれども、当然、このインサイダー取引を念頭に置いて検査というものが行われているはずだと思いますが、いかがですか。
○内藤政府参考人(金融庁証券取引等監視委員会事務局長) お答えいたします。
 今、先生御指摘のとおり、野村証券に対する検査でございますけれども、直近の検査は平成18年8月28日に着手をいたしまして、平成19年2月19日に終了しております。この配付資料にございますとおり、この検査の結果、個人勧告という形での処理をしている、そういうことでございます。
 検査でございますけれども、私ども監視委員会の検査は、常に市場動向等に関心を持って情報収集、分析を行うとともに、検査対象先の市場における位置づけでございますとか、あるいは抱える問題点、そういったものを勘案しまして、重点的に、リスクに応じた検査をやっておる。
 特に検査の過程では、このインサイダー取引の事案そのものについての解明というよりは、むしろ、その未然防止といいますか、社内の体制がどういうふうになっているのかというような、リスクの管理体制あるいは内部の管理体制といったものに着目をいたしまして検査をしているというふうなことでございます。
 他方、インサイダー取引の個別事案の解明というものにつきましては、私ども監視委員会の別の課で、市場分析審査課というのがございます。そこで一般的な情報を集めまして、そこでその情報を分析いたしまして、さらにその調査を深掘りをしていく、それで疑いがかなり濃厚であるというような場合には、特別調査課あるいは課徴金課それぞれにおいて本格的な調査をしていく、こういう体制でいわば多面的な調査をいたしまして、問題の解明に努めているというふうな体制をとっております。
○佐々木(憲)委員 多面的に検査、調査を行っていると言いますが、大臣、こういうふうに繰り返されているわけです。ずっと検査が何回も行われているわけですが、いまだにこういうインサイダー取引の事件が何度も起こっている。今、未然防止と言いましたけれども、未然防止の具体的な措置が検査結果に基づいてとられていても、それが起こる。
 では、どこに原因があったのか。そういう究明は当然やる必要はあると思いますが、検査をただ繰り返していても、なぜこういう形で事件が起こるのか。その対応に問題があったのではないかというふうに思いますが、大臣はどのようにこれを受けとめていますか。
○渡辺金融担当大臣 こういった犯則事件を抑止していくためには、まさに委員御指摘のように、その原因を究明していくことは極めて大事なことと考えます。
 一般的な問題でございますが、例えば、証券会社の内部管理体制がどういうぐあいになっていたのか、どこに問題点があってこのような事件が起きるのかということを解明していくことは、必要であろうかと思います。
○佐々木(憲)委員 具体的に例えば事例を挙げますと、今回のこの野村証券の場合は、海外での事業展開を行うために外国籍社員の登用を積極的に進めてきた。今回の容疑者の一人もその一人でありまして、入社したのが一昨年の2006年2月、すぐにMアンドAなどを行う企業情報部に配属された。昨年12月まで在籍していた。ですから、重要な非公開情報に接する部署に会社に入って間もない人物を配置する、これはちょっと我々は常識的には考えられないんですけれども、こういう人事配置のあり方、こういうところにも問題点がなかったのか。
 例えば大臣、この人事配置の問題についてはどのように御所見をお持ちでしょうか。
○渡辺金融担当大臣 個別の会社の人事配置にまで口を差し挟むつもりはございません。
 一般的に、証券会社においては、証券市場の信頼を損なわないことが大事でございます。証券会社がイカサマをやっているんじゃないかなどと思われたら、これはアウトですよ。適切な内部管理体制を構築し、適切な業務運営を確保する、そういう体制をとっているんですという信頼は非常に大事なことだと思います。
○佐々木(憲)委員 この容疑者が逮捕された直後に、野村証券の渡部賢一社長は記者会見で、なぜ見抜けなかったのかと聞かれまして、把握できないので言えない、あるいは、ほかで口座を持つとチェックはできないんだ、こういう答えをしているわけですね。これでは、最初から不正がチェックできないんだ、事件を防ぐことはできないかのようなとられ方をされかねないわけであります。
 こういう対応について、大臣としてはどう受けとめていますか。
○渡辺金融担当大臣 個別の問題についてはコメントはいたしませんが、一般論として、市場仲介者として公共的な役割を担っております証券会社が、市場の信頼を損なわないように、コンプライアンス体制、内部管理体制の整備を徹底して行っていただくことが大事でございます。
 当然、それぞれの証券会社において、こういう認識のもとで業務運営を行ってもらう必要がございます。
○佐々木(憲)委員 この渡部社長は、4月22日の会見で、いつ事件を把握したのか、こう聞かれまして、けさ初めて聞いた、調査に協力する過程でインサイダー取引を確認したと答えているわけです。しかし、今回の容疑者逮捕は、野村証券の協力を得て、周到な準備の上で踏み切ったとされているわけです。
 中日新聞の4月23日付によりますと、こう書いているんです。「監視委は社員の事情聴取を行うため、野村に協力を要請。出張で来日させるという手の込んだ手法で、22日朝、身柄の確保に成功。」したと。
 監視委員会にこのことを聞いても答えないと思いますが、報道がこのとおりだとすると、野村証券は、逮捕以前に容疑者のインサイダー疑惑を知っていたということになる。なぜ渡部社長はけさまで知らないと答えたのか。これは、社長に知らせていないとすれば、これは野村証券のコンプライアンス体制が疑われるわけでありますし、社長は、知っていながら、きょうの朝初めて聞いた、こういううその答弁をしたことになる。
 こういうことで、私は、今回の事件、野村証券の社長の姿勢も非常に重大な問題点を持っていると思いますので、委員長、この野村証券の社長の参考人招致をぜひ当委員会で行っていただきたいと思います。
○田中(和)委員長代理 後刻、理事会で協議をいたします。
○佐々木(憲)委員 事件が繰り返されるのはなぜかという点、先ほども申しましたけれども、その原因を究明するということが非常に大事でありまして、それに対する対応というものがしっかりなされなきゃならぬ。
 社内で例えばコンプライアンス体制を確立したという場合、ルールはつくられているかもしれないけれども、それだけじゃだめなのであって、それが果たしてワークしているのかどうか、機能しているのかどうか、このことが改めてしっかりと問われなきゃならぬ。
 例えば、研修というものは一体どうなっているのか。例えば、入ってすぐにこういう重大な情報に接する部署に配置する場合にどのような社内教育が行われているか。あるいは、情報管理の社内体制、これが一体どうなっているのか。今回も、担当以外の情報というものも知り得たというようなことでもありますので、その点をしっかりと調査する必要がある。
 それから、重大事実を知り得る立場は、社内だけじゃないですね。社外の関係、例えば印刷だとか、そういう関係者のインサイダー取引というのはこれまでも問題になってきた。そういうことに対してどのような対応が必要なのかということなどもしっかりとこれは検証されなきゃならぬし、また、不備があればそこを穴埋めもしなければならぬというふうに思うわけです。
 これらの点について、具体的な対応策を金融庁として今後どのように考えていこうとされているのか、大臣の見解を伺いたいと思います。
○渡辺金融担当大臣 一般的に、証券会社が適切な内部管理体制を構築するというのは、これは当然のことでございます。コンプライアンス体制の徹底を含む、役職員管理の一層の努力を求めたいと考えております。
○佐々木(憲)委員 今回提案されている金商法改正案というものは、課徴金のあり方なども含めて新しい提案が行われておりますけれども、果たしてこれが、このような事件にしっかりと対応できるような内容になっているのかどうか。今後、その内容について議論を深めていきたいというふうに思います。
 きょうは第一回目ですので、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

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