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金融(銀行・保険・証券) (銀行公的資金注入)

2004年04月21日 第159回 通常国会 財務金融委員会 【242】 - 質問

公的資金新法案では地域金融は強化されない 中小企業向け貸出の残高増加を求めず

 2004年4月21日の財務金融委員会では、20日の東京都八王子市での地方公聴会金融機関各協会長に対する参考人質疑に引き続き、午前中に竹中金融担当大臣に対する金融機能強化特別措置法案の質疑が行われ、午後には小泉純一郎総理大臣が出席して法案の締め括り質疑が行われました。

 今回の法案は、地域経済の活性化を目的に掲げ、地域金融機関の再編成すすめるものです。この日の質問で佐々木憲昭議員は、法案が地域経済の活性化には何らつながらないものであることを追及しました。
 1つは、法案が公的資金を投入する銀行に対し、収益性と業務の効率性の向上を数値目標で求めているにもかかわらず、中小企業向け貸出については残高を増加させる目標を求めていないことです。
 佐々木議員は、これは法案の重大問題だとして、「公的資金の注入は受けて利益はふやしましたが、中小企業向け貸し出しは減りました、それでも結構でございますという法律だ」と、中小零細企業への資金供給という地域金融機関の役割を弱めるものになると批判しました。
 2つ目は、この間、地域金融機関の合併・再編が進み、地域金融機関の数が全体として大きく減ってきているにもかかわらず、貸出残高も減少しているという事実です。
 金融監督庁が発足した99年から昨年3月までに第2地銀が8行、信金が70機関、信組が132機関も減少し、貸し出しも大幅に減っています。
 佐々木議員は、「金融機関の再編は金融の円滑化にはつながっていない」とのべ、今度の法案では公的資金投入の上限と歯止めも取り払われることになると批判。地域金融機関の再編をすすめる今回の法案が、金融機能の強化どころか金融機能を弱体化させ、地域の中小企業への融資を困難にするものだと強調しました。
 佐々木議員は、「システムの危機もない平時に、健全行を含む金融機関の体力を強めるといって、公的資金を投入し、損失が出ても銀行の負担はなく国民にツケが回るというのは許されない。(金融危機のときだけ投入という)政府のこれまでとってきた見解とも違うのではないか」とただしました。
 小泉総理は「従来の方針と違いはない。強制的に公的資金を注入するものでない」と強弁。竹中金融担当大臣は「合併の効果で財務基盤が強化された」などと実態を見ない答弁に終始しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 先ほどの長妻議員の質問にも少し関連をするんですが、法案では、申請金融機関が提出する経営強化計画というものがありますが、その中に、明確な、中心的な数値目標を義務づけられているものというのは一体何でしょうか。
○竹中国務大臣(金融担当) 要するに、経営改革を進めていただかなければいけない。その観点から、まず、御指摘のように、収益性の問題があります。収益性が向上しないと内部蓄積が進まない、リスク対応力ができないわけですから、これがまずございます。これを数値目標と指定する。
 もう1つ、しかし重要な点は、効率性の向上というのがあると思います。効率性の向上の代表として、経費率の削減はやはり重要であろうかと思います。これは、経営改革がどの程度実行されているかという経営の姿勢を示すことにもつながりますし、また、これをコントロールすることによって安定収益の確保にもつながるという面があろうかと思います。
 3番目が、バランスシート面でございます。バランスシートというのは、やはりリスクをしっかりと管理して、それを吸収していかなければいけないという役割を担っておりますので、例えば、貸し出しの高収益化を目指す余りに不良債権が増加するというようなことがあってはいけないわけであります。したがって、不良債権の処理についても、それをしっかりと目標としてコントロールすることが必要であるというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 収益性と業務の効率性の向上については、法案の条文でも「目標」というふうに言葉が書かれていて、数値目標を盛り込むというふうになっているわけです。これは審査基準の中にも盛り込まれております。つまり、最大の目標といいますか中心的な目標は、収益性を、数値で掲げるということでそれを達成することを求めているわけですね。資本注入を受けた金融機関は、その履行状況を定期的に金融庁に報告し、報告徴求を金融庁は行い、監督上の措置をとることができる、こういうふうになっていまして、大変厳格な目標の設定とその達成、それの監督ということになっているわけです。
 その一方、中小企業向け貸し出し、これはこういうレベルの数値目標としては出されていない。そういうことですね。
○竹中国務大臣(金融担当) これは、国の資本参加に当たりまして、信用供与の円滑化等地域経済の活性化に資する方策というのを具体的に記した計画の提出を求めて、それを厳正に審査する、そのようにしております。
○佐々木(憲)委員 つまり、収益性の目標というレベルとは違って、中小企業向け貸し出しの場合は数値目標としては示さない。そして、「地域における経済の活性化に資する方策として主務省令で定めるもの」というふうになっているわけですから、これは明らかに、中小企業向け貸し出し目標というものは収益性の目標とは違う、そういうレベルの位置づけになっている。つまり、明確な数値目標というものは掲げる必要はない、これが法案の内容ですね。
 そこで、確認したいんです。これまで公的資金が注入された銀行は、経営健全化計画という中で、中小企業向け貸し出し目標の提出が義務づけられておりました。例えば金融機能早期健全化法、この中には、法律で、経営健全化計画の中に「資金の貸付けその他信用供与の円滑化のための方策」を盛り込むことを求めまして、金融再生委員会告示で、中小企業貸し出しについては残高ベースで増加させるということを義務づけていたわけです。金融安定化法あるいは金融機能早期健全化法では、残高ベースで実績をふやすということを求めたわけであります。
 これは非常に大きな違いでありまして、なぜ具体的な目標を定めないのか。これは、収益性優先、中小企業向け貸し出しは二の次、三の次、こういうことになるんじゃありませんか。
○竹中国務大臣(金融担当) 今委員御指摘のありました早期健全化法の場合は、御指摘のように、公的資金を注入した金融機関については、貸し渋り等々を背景として、経営健全化計画において「資金の貸付けその他信用供与の円滑化のための方策」を定めるというふうにされておりまして、その内容としては、告示において、「特に中小企業者向け貸出しの総額については、原則としてその残高を増加させる」、そのように規定をされているところであります。
 一方で、今回御審議をいただいております新たな公的資金制度においては、国の資本参加に当たっては、先ほども申し上げましたように、信用供与の円滑化等地域経済の活性化に資する方策を織り込んだ計画を提出するというふうになっている。それは、地域経済の活性化のためにはやはり多面的な取り組みが重要だろうというふうに考えられるからであります。これは、貸出残だけではなくて多面的な評価が要る、一律の目標ではなく、活性化の方向の進捗が外部から評価できるように、しっかりとこれは計画に織り込んでいただかなければいけないというわけであります。
 例えば、そうした指標としましては、中小企業あるいは地元の企業に対する信用供与の比率、総資産に対する割合が考えられるというふうに思いますし、その他の指標も組み合わせて、その実績を公表することによって、パブリックプレッシャーのもとで取り組みを促すこととしている。
 要は、この活性化のための方策というのは非常に多様なものだということです。特にバランスシート調整等々も考えながらやっていく中では、単に貸し出しがふえるというよりはもっと支援をすることも重要な場合もありますでしょうし、そういう多様な評価をしていくという位置づけをしているわけでございます。
○佐々木(憲)委員 いろいろな説明をされましたが、多様な判断が必要である、あるいは多様性が求められる、一律の数字ではあらわせないんだというようなことをおっしゃいました。
 しかし、金融機能が真に発揮されるかどうか、その地域の経済、地域の中小企業に資金が円滑に供給されるかどうかというのは、ある数字を見て、減っているか、ふえているかというのは非常に重要なわけです。減っていれば信用供与が円滑にいっていないではないか、ふえていれば、それは円滑にいっている証拠である、従来はそういうことで数値目標を決めていたわけですね。しかし、今度は、その数字が減っても、いや円滑なんだ。こういうことは、幾ら考えてもちょっと理屈に合わないわけでありまして、私は、今回の法案というのは非常に重大な問題があるというふうに思うのはその点であります。
 収益性は縛りをかけても達成する、中小企業向け貸し出しは、これは縛りはかけませんよという内容になっているわけでありまして、これは余りにも偏った法案ではないのかというふうに思うんです。
 そういう意味で、これは真の地域経済の貢献にはつながらない、公的資金の注入は受けて利益はふやしましたが、中小企業向け貸し出しは減りました、それでも結構でございますという法律なんですよ。これはもう本当に、私は、これ1つとっても、この法律、賛成するというふうにはとても言えません。
 それから、もう1つお聞きをしたいのは、今度の法律は、出発点は金融再生プログラム、一昨年10月30日の、竹中大臣が発表されました。この金融再生プログラムは、2004年度に向けた主要行の不良債権問題の終結を掲げて、新しい公的資金制度の創設というものを、その検討を打ち出したわけですね。
 このような金融再生プログラムの中の位置づけを見ましても、この制度の対象としていたのは主に大手行であったわけです。これは間違いありませんね、その当時は。
○竹中国務大臣(金融担当) 金融再生プログラムの目標等々、例えば償却ルールの適用等々は、これは主要行を対象にしたものでございます。その中で公的資金制度を検討しようということを書いて、その中で金融審のワーキンググループでこの審議が始まったわけでございます。
 経緯はそのとおりでございます。
○佐々木(憲)委員 大手行を対象にということで始まったわけでありますが、金融審議会金融分科会、これが昨年7月に第2部会報告というのを出しまして、それを受けて金融庁の中で法案化の作業が進められた、その結果、最終的にまとめられた法案は、地域金融機関の再編というのが非常に強く打ち出された、意識されたものになっているわけです。
 大手行を念頭に置いて検討が始められた公的資金のこの新制度が、どうして地域金融機関の再編のためというものにすりかわっていったんですか。
○竹中国務大臣(金融担当) 金融再生プログラムそのものの資産査定等々の適用は大手行を対象にしたものでございますけれども、この公的資金の制度そのものは広く検討が始まったというふうに理解をしております。
 その中で、今委員御指摘のありました、7月の公的資金制度のあり方というその報告の中で、考え得る枠組みとして次のように書いております。この地域金融機関についてですけれども、地域金融機関について、「その金融機能が低下すると、地域によっては、地域経済に重大な支障を招く可能性があることから、公的に資本増強をサポートして金融機能の強化を図り、地域経済の下支えをする必要がある場合が考えられる。」その意味では、この審議会の議論の中で、地域の金融機関に焦点を当てて金融機能の強化ということが議論をされてきたという経緯だと承知しております。
 ちなみに、これは地域金融機関の再編を目的とした法律ではございませんので、改めて御認識を賜りたいと思います。
○佐々木(憲)委員 これは合併、再編ということを念頭に置いて定められている法案だというふうに理解をしております。公的資金で地域金融機関の合併が進んで、あるいは再編が進み、地域金融機関の数が全体としてこの間減ってきているわけです。公的資金でそれを今回は加速していこうというものですね。
 しかし、合併や再編が進んでいけば本当に地域への金融が円滑になるのか、地域への金融がふえるのか、これが問題でありまして、金融監督庁が発足した1998年以降、地域金融機関の再編というのは全体として非常に進みました。昨年3月末までに、結果的に第2地銀が8行減りました、13.1%減。それから、信用金庫は70機関減りました、17.7%減。それから、信用組合が132機関減りまして、これは40.9%も減っております。四割減ったんです。これは大変な減り方なんです。
 地域金融の破綻、合併が進んできたわけですけれども、果たしてこれが金融の円滑化につながったのかどうか。いかがですか。
○竹中国務大臣(金融担当) さまざまな経済の変動、そして金融市場の変動の中で金融機関の数が減少したという御指摘は、そのとおりだと思います。
 しかし、その中で合併の効果いかんということでありますが、これは、仮にもしこの合併なかりせばどのような状態が生じていたのか、やはりそこを基準に考えなければいけないのだと思います。合併だけがすべてよいわけではもちろんありませんが、極めて厳しい金融環境が続く中で、合併をしたからこそ財務基盤が強くなって、それによってこの厳しい状況をサーバイブしている、そういう金融機関も私はあるというふうに理解をしております。
 もちろん、地域の金融機関でありますから、やはり、規模が大きければよいというものではもちろんなくて、地域に対してしっかりと根を張って、きめ細かな金融サービスができるようにならなければいけない。その意味では、効率性を背景に財務基盤をしっかりさせるということと、それによって存続そのものを可能にするということと、本来地域金融機関の役割である、きめ細かな、地域に根差した金融サービス、これはやはり、厳しい中ではありますが、何とか両立をしていただかなければいけない問題であろうかと思っております。リレーションシップバンキングの考え方そのものになるわけでございます。
 合併に関しては、それなりの効果を伴いつつ、しかしまだ多くの問題があるので、しっかりと見ていかなければいけない状況であるというふうに認識をしております。
○佐々木(憲)委員 この間、地域金融機関、信金、信組に対する検査というのが非常に厳しく行われまして、その結果、不良債権の評価が甘いというような評価が下されて不良債権をどんとふやされた、評価がえをさせられた。そのために引当金を積まなければならない、引当金を積めば、それで債務超過に陥ったりあるいは経営機能が大変不安定になる、こういうことで破綻し、再編し、あるいは吸収合併される、こういう形が非常にふえたわけです。つまり、金融庁の検査、一律の検査がこのような結果を招いている、これは大変大きな問題だと私は思っております。
 それで、財務強化が進んだと言いますけれども、全体として見ますと貸し出しは一体ふえたのかどうか。例えば2000年の1月から2004年1月、ことしの1月までの4年間をとりますと、地銀がマイナス1兆8千358億円、これは17%のマイナスです。第2地銀はマイナス九兆百七億円で17.8%減らしております。信用金庫はマイナス7兆5千668億円、パーセントにして10.8%減であります。信用組合は、これもマイナス5兆2千192億円で、36.2%。これは日銀統計ですけれども。
 つまり、金融機関の再編は進んだ、金融の財務体質が強化された、そういう面もあるというふうにおっしゃいました。しかし、結果的に言いますと、金融の円滑化にはつながらなかったというのがこの間の金融再編の結果ではないか、それが実態ではないのか。大臣、どのようにお考えですか。
○竹中国務大臣(金融担当) 銀行の貸出残高が減っているという御指摘はそのとおりでございます。しかし、これも何度か御答弁をさせていただきましたけれども、80年代の半ばぐらいからバブルのピークにかけて、日本の銀行の貸出残高、つまり信用が物すごい勢いで膨張をいたしました。GDP比70%ぐらいだった、それで安定していた貸し出しが100%を超えるところまでいって、それがバブル崩壊後も収縮しなくて、97年ぐらいからようやく収縮を始めて、今80%台のところに来ている。私は、その意味では調整の最終段階に差しかかっているという認識で、今この時期を乗り切るのが大変重要だと思っているわけですが、しかし、やはり、そういった非常に長期のバランスシート調整のまだ途上にあるということなんだと思います。
 しかし、そうした中で、不良債権処理をしっかりとして、かつ、財務基盤を合併等々という手段も含めて強くした結果として、やはり金融機能に関しても前向きの動きが今ようやく出てきつつあるというふうに認識をしております。
 量的な調整はまだ続いているわけでありますが、例えば借り入れ企業から見た銀行の貸し出し態度、資金繰り等々のさまざまなDIを見ますと、これは明らかに不良債権比率の低下とともに改善をし始めた。さらには、ローンの質でありますけれども、地域金融機関の八割が、今、担保、第三者保証等々に頼らない融資制度を検討して、実際に始めているところもある。そういうところで、やはり金融機能を発揮している状況にある。
 まだ厳しい調整の期間は、バランスシート調整は続くわけではございますけれども、不良債権比率の低下、金融機能の強化に向けた動きが始まっている、その動きをぜひ大切にしなければいけないというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 金融情勢の認識が根本的に違うと思うんです。
 バブル経済が崩壊をし、その結果、さまざまな問題が噴出をして、銀行の過剰融資というものが問題になり、その悪質な不良債権の部分については処理は一段落したというのはもう数年前に言われているわけですよ。銀行自身も言っている、金融庁も言っていた。
 ところが、現在ある問題は、長期的な不景気の中で中小企業の業況が悪化し、そして経営が困難になっている、そういう状況が新たに、これは政府の政策の結果でもあるわけですけれども、広がっているわけですね。そういうことに対してまともに対応していないじゃないか。バブル崩壊の調整過程じゃないんですよ。別な新たな不況下での中小企業の経営難というものに対して、それを改善していくという具体的な金融上のアプローチが全然見られない。今までと同じように不良債権を処理すればそれで済むんだという。そんなことをやって、ずっとやってきて、何も改善しないじゃないですか。
 結果的に、金融機能はますます弱体化し、地域に対する金融は、円滑化どころかますますパイプが詰まっているというのが実態であります。
 それから、貸し出し態度について言いますと、昨日も地方公聴会がありました。八王子商工会議所がアンケートのデータを出しました。そのアンケートの結果を見ましても、銀行の貸し出し態度は以前より厳しくなっているというのが4割であります。そして、改善されたというのは9%です。1割に満たないんです。
 そういう状況ですから、私たちはやはり現場の声をよく聞く必要がある。そういう実態を踏まえてどう対応するかということを考えないと、何か公的資金を入れて、収益性を、目標を大きくして、その目標だけを追い求めて、中小企業向けはさまざまな手段があるからといって目標も掲げない、そういうやり方が今の地域の金融機能を弱体化させ、ますます地域の中小企業が融資を受けることが非常に困難になっていく、そういう事態をみずからつくっているんじゃないか。
 それからもう1つ、法案の内容について言いますと、公的資金の入れ方なんですけれども、今まで組織再編促進法というのがありました。金融機関の合併再編を進める際に、合併によって2つの金融機関が、自己資本比率が違う金融機関、例えば一方が6%、一方が10%、こういう自己資本比率だったとします。合併すると、それがその分低下する。その場合の公的資金注入の上限は10%までということだったと思いますが、それはそのとおりですよね。
○竹中国務大臣(金融担当) 特措法に関してはそのとおりでございます。
○佐々木(憲)委員 ところが、今回の法案は、自己資本比率が6%の銀行と10%の銀行が合併して、12%にする、仮に。そういう場合にも、そこまで公的資金は入れますよ、こういう仕組みですね。
○竹中国務大臣(金融担当) 今ちょっと例でお話をしてくださっておりますけれども、十分な金融機能を発揮できるようなところに従来の特措法とは違う形で入れることは可能だという意味では、そのとおりでございます。
○佐々木(憲)委員 そうすると、この公的資金の入れ方も、今までは一定の歯どめがあった。我々はそれでもそんなことをやる必要はないと思いましたけれども、しかし歯どめがあった。今回は、この歯どめも取り払って、もちろん回収が困難でないというような審査基準があるようですけれども、しかし、今までの組織再編促進法で掲げられたそういう基準と違って、いわば天井なしといいますか、そういうことになっている。しかも、その負担は、これは金融機関はやらないんですよ、最終的に欠損が出たら国民に全部ツケを回すんですよ、こういう内容になっているわけですね。
 こういう法案というのは、私は、これは本当にモラルハザードを招くし、しかも、システミックリスクで、それに対する危機的な瞬時の対応というような説明を今までされていましたけれども、そうではない、いわば平時の、しかも健全金融機関まで含めたそういうものが対象になる。これも本当に、今までの政府の従来の考え方からいっても極めてルーズな、そういう公的資金の投入の仕方になっているというふうに思うわけです。これは余りにもひど過ぎるというのが私の結論であります。
 私は、こういうやり方を幾ら続けても日本の金融機能は強化されないし、中小企業の融資に対する不安、これも解消されない、あるいは貸し出しの貸し渋り、貸しはがしという事態もますますこれで深刻な事態は続く、こう言わざるを得ないということで、この法案については反対であると明確に申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

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