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金融(銀行・保険・証券) (銀行公的資金注入)

2004年04月20日 第159回 通常国会 財務金融委員会≪地方公聴会≫ 【240】 - 質問

公的資金新法案にたいし東京・八王子で地方公聴会 金融機関の融資姿勢に中小企業者から批判の声

 2004年4月20日の財務金融委員会では、13日に引き続き金融機能強化特別措置法案に関連して、東京都八王子市での地方公聴会と金融機関各協会長に対する参考人質疑が行われました。
 金融機能強化特別措置法案に対する地方公聴会が東京・八王子市でおこなわれました。財務金融委員会の各党代表と、意見陳述者として青梅信用金庫・大杉俊夫理事長、多摩中央信用金庫・佐藤浩二理事長、八王子商工会議所・河合和郎専務理事、地元中小企業者など6名が出席しました。
 佐々木憲昭議員は、八王子商工会議所・河合専務理事が紹介したアンケート調査の結果を踏まえ、大手の金融機関と中小金融機関の貸出姿勢の落差について意見を聞きました。
 八王子商工会議所のアンケート調査の結果は、金融機関の融資姿勢について、「以前より厳しくなった」というのが41%、「緩やかになった」が9%となっており、「都市銀行の無気力さが気になる」ことを指摘しています。
 これに対し河合専務は、中小企業の実感は景気回復というニュースからはほど遠いことを強調したうえで、都市銀行について、「融資担当者を含めて、何が何でもこの企業を救済してやろうという意気込みがどうも感じられない。融資担当者は書類の運び屋であっては困る。申請書類を持って本店に帰って、これは本店決裁でこうなりましたということでマイナスの決定だけを伝えてくる。それでは企業にとってはあなたは何なのということになる」と実感を込めて語りました。
 また佐々木議員は、青梅信金、多摩中央信金の両理事長に対し、信用金庫の中小企業への融資姿勢と金融庁検査の影響についてたずねました。
 両理事長は、金融機関の融資姿勢の厳しさを示した八王子商工会議所のアンケート調査について「金融機関に対する大変厳しい御指摘をいただき、真剣に反省させていただきたい」「中小企業の経営者の方の信頼をこれからつくっていく必要があると痛切に感じている」などと述べました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 河合さんと大杉さん、佐藤さんに質問させていただきます。
 まず、河合さんにお尋ねしますけれども、このアンケート調査というのは大変参考になりまして、ありがとうございます。
 ここで1つ特徴が出ているのは、「景気の見通し」のところで横ばいが7割ですけれども、「大企業は回復しているが中小企業は悪化している。」と、非常に深刻な表現なんですけれども、先ほどの御説明でも零細企業はむしろ悪化しているというふうにおっしゃいました。それから、2ページのところで「中小企業は立ち遅れている。」ということで、内需の拡大ということを政策としてぜひということが書かれているわけです。ここに今の景気回復の1つの特徴が出ているんじゃないかと思います。それで「懸念材料」として個人消費の動向、個人消費が低迷しているということ、それから税、社会保障負担の負担増というのが大変大きな比率になっていると。
 こういう実態の中で、金融機関の融資の姿勢ですけれども、「以前より厳しくなった。」というのが四一%、「緩やかになった。」が9%ですから、景気も中小企業にとっては大変厳しい状況の中で、融資の方も厳しい状況というものが改善されていない。こうなりますと、これはなかなか大変じゃないかというのが、このアンケートの結果から見ますと感じるわけです。
 そこで、地域密着型金融機関に対してどのようなことを今望んでおられるか。それから、このアンケートの中にあります「都市銀行の無気力さが気になる。」というふうに書かれているんですが、これは確かに気になるんですが、どういうことなのか。大手の金融機関と中小金融機関の落差をどのように感じておられるのか。この点について河合さんにお聞きしたいと思います。
 それから、大杉さん、佐藤さんにお伺いしたいのは、金融機関として地域に貢献をしていく、その場合、中小企業のおやじさんの顔を見て、あるいはその企業の将来性というものを見て、一時的に赤字でも将来性があるということで融資の面で非常に努力をしておられるというふうに思います。ただ、その場合、中小企業の融資の査定を、別冊中小企業融資編というのが出されましたけれども、お聞きしますと、これがなかなかしんしゃくされていないんじゃないかというふうに聞いております。つまり、金融庁の検査あるいは監査法人の監査、これが中小企業の融資の面で配慮をしたものになかなかなっていない、かなり大手と同じしゃくし定規なやり方をしているんじゃないかという声を聞くんですが。そうなってきますと、不良債権ということで、先ほど比率を下げていったとおっしゃいましたけれども、検査が厳しくなればなるほど中小企業向けの融資が思うようにできないという状況が生まれているのではないか。その辺を率直に、検査のあり方といいますか、言いにくい面もあると思いますけれども、この際ぜひお聞かせをいただけないかというふうに思います。
 以上です。
○河合和郎君(八王子商工会議所専務理事) まず、中小企業は悪化をしているというこのアンケートの内容でございますけれども、先ほども申し上げましたように、私どもが中小と呼んでおりますのも、1億円、百人の体質の会社もございますし、ほんの数人の企業もございますので、どちらかといえばそういった零細企業を中心に考えていただけたらおわかりいただけると思います。
 特に、業種等で申し上げますと、建設業とかあるいは運輸、タクシー等でございますけれども、景気の動向によって一番最初に景気の波をかぶって、回復するときには一番最後まで回復の波が来ないというような業種も多々ございますので、そういったものも含めて、まだまだ新聞で書かれているような企業の景気回復というニュースからはほど遠いというのが、多分このアンケート調査の実感であろうと思います。
 それから、地域の金融機関に何を望むかということでございますけれども、これはやはり企業の実態をよく判断していただくということ以外にないだろうと思います。経営者の資質というものを見抜いていただいて、本当にやる気があるのか、あるいは私財をつぎ込んでまでやっているのかというような実態をよく見ていただいて、将来性を判断していただくというのが企業にとっては一番望ましいことであろうと思います。
 それから、都市銀行の無気力さということでございますけれども、これは融資担当者を含めて、何が何でもこの企業を救済してやろうという意気込みがどうも感じられないというのが企業の受けとめのようでございます。融資担当者は書類の運び屋であっては困るということが実感でございまして、申請書類を持って本店に帰って、これは本店決裁でこうなりましたということでマイナスの決定だけを伝えてくる。それでは企業にとってはあなたは何なのということになりますので、そういうときに、本気になってこの企業を救ってやるんだというような情熱があるのかないのか、また、そういう職員を会社として育てているのかどうか、その辺の問題が非常に大きいということと担当者の判断というのが全く生かされていないというのが、企業から見ると、実感としてそういう感じがするということを強く言っておりますので、その辺の落差の問題が非常にこれから大きなポイントになるだろうと思います。
○大杉俊夫君(青梅信用金庫理事長) お答えいたします。
 最初の、こちらの八王子商工会議所さんの調査につきまして、金融機関に対する大変厳しい御指摘をいただきまして、これは私ども反省させていただく面もあろうかと、真剣に反省させていただきたいと思います。
 ただ、今お話いただきました中で、ちょうど私たちがやっていることがまさに別冊で出てきたというふうに思っております。やはりお客様とのコミュニケーションが深くとれているかによってお客様をどう御判断するかという形、ですから、私、お客様のことをもっとよく知ってと最初に申し上げたとおり、先ほど御答弁ございましたけれども、やはり担当者が一番よくお客様のことを知っていらっしゃる、また、担当者が一番お客様のことを思っていらっしゃる、そういうことを強くうちのシステムの中に組み込んでいきたい。
 実際、この別冊を使いまして、12月末の自己査定で監査法人さんとやり合わせていただきました。その点につきまして、うちも主張すべきことは主張しまして、監査法人さんも主張されたわけですけれども、我々の定性面の判断を一年間見ていただきたい、それがだめだったら監査法人さんの御指摘どおりランクダウンはさせますけれども、私たちはそうは見ておりませんというふうにしてかなりランクアップさせていただきました。そういう意味では、大変使い勝手がよくなってきたというふうに思っております。
 それから、融資につきましても、よく佐藤理事長さんがおっしゃっているとおり、我々は自己資本のために融資しているわけではございませんので、あくまでも地域内のお客様が必要とされる場合にはそれに対応する、これが信用金庫が生まれました、生んでいただきましたもとの組織理念というんですか、そういうふうに理解しております。そういう意味で、この法案で新しい補完がされることもあり得るというふうには考えております。
 以上でございます。
○佐藤浩二君(多摩中央信用金庫理事長) お答えいたします。
 お断りしておきますけれども、必ずしも業界の方々の意見と違うということもあるかと思いますので、あくまでも私の私見ということで述べさせていただきたいと思います。
 先ほど大杉理事長も言われたように、金融機関の姿勢につきまして厳しくなったという41%という数字、非常に私も強く感じまして、こういったことに対して真剣に受けとめなければいけないというふうに考えております。
 ただ――ただと申しますのは、私どものやっている、力不足ということがそもそもあるんですけれども、そうしたことがまだまだ御理解いただいていないということもその原因の1つであって、これまで信頼をなくしてきた過程があったわけで、そうしたものを、中小企業の経営者の方の信頼というものをこれからつくっていく必要があると痛切に感じております。
 それから、別冊融資編という金融検査マニュアルが問題でございますけれども、私もたまたまことしの2月に検査を受けたわけですけれども、そういう中でそうしたものの精神が非常に生かされてきたというふうに感じております。やはり、我々がお客様のところへ行きましていろいろな問題を一緒に解決していこうという姿勢、そうしたものがかなり定性的な面として認められて主張が通っているというふうに感じておりまして、その結果としまして、ほとんど査定の違いがなかったという結果が出ておりますので、私としてはそういうふうな印象を持っております。
 それから、もう1つあえて申し上げますと、検査そのもの、私どもが自己査定をするわけですけれども、そうしたものはやはり厳しくすべきだというふうに考えております。なぜかと申しますと、中小企業の経営者にとりましても、どんないいときであってもいろいろな問題を抱えているわけで、そうした問題を一緒にえぐり出すことがどうしても必要になる。そういう意味では、そうした査定の中でどうしても問題点というものをしっかりと把握しなきゃいけませんし、そういう認識を共通に持つということが今後の経営をよくしていくという意味では非常に大事なことなので、その上で、私どもは、どうやってよくしていくかということのために、場合によっては破綻懸念先といった先であっても将来に向かって融資する、そういう形をとっておりますので、私としては、検査を厳しくするということと、これからお取引が問題になるということとは別なことだと考えておりまして、そうした姿勢でこれからやっていくという、これが私どものモデルということだと思っておりますので、そうした考えだということを御理解いただきたいと思います。
 それから、必要ないかもしれませんが、私は、メガバンクさんの生き方というものを信用金庫と同じように、逆に、信用金庫はメガバンクと同じようなやり方をしていけと、そうした政策であればこれは困ったことだと思いますけれども、やはりメガバンクさんにはメガバンクさんが存在しなきゃいけない理由と、貢献という意味でどこでどういう貢献をするかということをしっかりやっていただく、私どもは私どもでそうしたものをしっかりつくっていく。こうした違いというのはどうしても必要ですし、これが今の状況なので、お客様にもその辺を理解いただければ、お客様にとってみますとそれぞれ使い方が違う、そういうふうになっていくのではないかというふうに考えております。
 以上です。

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