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金融(銀行・保険・証券) (銀行公的資金注入)

2004年04月13日 第159回 通常国会 財務金融委員会 【239】 - 質問

新たな国民負担強いる公的資金新法案 銀行の体力強化のため地域金融機関を再編

 2004年4月13日から「金融機能強化特別措置法案」の質疑が財務金融委員会ではじまり、佐々木憲昭議員が質問に立ちました。
 この法案は、公的資金によって地域金融機関の再編成をすすめることを目的としており、債務超過に陥っていない健全な金融機関も資本注入の対象となります。仮に投入した公的資金から損失が出れば、国民負担となります。
 佐々木議員は、地方銀行や信金、信組を対象に、破たんや債務超過状態でない金融機関にまで公的資金を投入し、損失も国民負担で穴埋めすることになると批判しました。
 佐々木議員は、政府が「(金融危機の)危険がある」ところ以外には公的資金を使わないとしてきたことを、宮沢喜一元蔵相(当時)の答弁(2000年3月31日の衆院大蔵委員会)などで裏付けるとともに、法案が破たんや債務超過でない金融機関を対象にしていることを指摘、「これまで政府が原則としてきた考え方とも根本的に異なる」と強調しました。
 また、損失負担をめぐり「金融機関負担を原則」(2000年衆院本会議の小渕恵三首相=当時=答弁)としていたと指摘。これが今回「国民負担と業界負担」の両論併記(金融審議会の第2部会報告)に変わったうえ、法案では、政府が国民負担で穴埋めすることを批判、「銀行業界の圧力に屈した結果ではないか」と追及しました。
 竹中平蔵金融担当大臣は「危機対応ではない。(資本注入の銀行には)しっかり利益を出してもらう」とのべ、銀行の体力強化が法案の目的であることを認めました。
 佐々木議員は「危機ではないのに健全な銀行に税金を投入、責任のある銀行には負担を求めず国民負担にするなどスジが通らない。ますます悪質」と批判しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭です。
 今度提案されました法案は、金融機関に公的資金で資本注入を行い、地域金融機関の再編成を進めるということだと言われているわけですが、公的資金の注入につきましては、従来政府がとってきた見解というのがありますので、まずこれを確認したいと思うんです。
 これまでの公的資金投入制度では、信用秩序の維持に重大なおそれがあること、つまり、システミックリスクの危険、これがある場合が資本注入の前提であるということでありました。
 例えば、2000年の改正で、預金保険法が改正されました。そこに盛り込まれました金融危機対応措置についても同様の考え方が提唱されているわけです。私は、2000年の3月31日の衆議院の大蔵委員会で質問をさせていただいたわけですが、そのときに、何を基準に公的資金を投入するのか、こういうふうに聞いたわけであります。これに対して、当時の宮沢大蔵大臣はこういうふうに答弁をしました。「非常な危機があるときに、クライシスマネジメントをしなければならない、」「ほとんど通常考え得るような事態ではない、しかしそのおそれが高い、」というような場合だというふうにお答えになったわけです。
 私は、そのおそれというのは一体どの程度のものなのか、こう聞きました。これに対しまして宮沢大蔵大臣は、「今おっしゃったような声音の怪しいな程度では」なく「本当に怪しいなと。もう少しこう、本当にその危険があるということじゃないでしょうか。」というふうに答えられたわけです。つまり、システミックリスクの危険があるということ以外には使わないのだという答弁だったわけです。これは事実だと思いますが、いかがでしょうか。
○竹中国務大臣(金融担当) 佐々木委員御指摘の答弁は、2000年、平成12年の預金保険法改正に当たっての国会の質疑だったというふうに思います。
 このときのやりとりといいますのは、金融危機に対応するための恒久的な措置としての預金保険法の第102条措置を整備しようとする際に、そのような恒久的な公的資金制度としては金融危機対応措置に限られる、そのような前提の中でのやりとりであったのだろうというふうに承知をしております。
 今のお尋ねの点に関しては、今申し上げたとおりでございます。
○佐々木(憲)委員 こういうやりとりがあったということをお認めになったわけでありますが、つまり、システミックリスクの危険があるという状況、そういうおそれがあるということ以外には使わないんだ、公的資金の投入はしないんだというのが原則だったわけですね。
 ところが、今度提案されている法案では、これとは180度違うものになっておりまして、法案では、資本注入の対象として、個別行がリストラなどの組織再編成を行う場合、営業の一部譲渡の場合、主要行と地域金融機関の合併の場合、それから、同一業態内での合併や営業の全部譲渡の場合、こういうものを対象としているわけですね。それから、要件としては、破綻金融機関や債務超過行でないという規定があります。
 つまり、これらの金融機関を除いた金融機関、つまり、破綻金融機関ではない、債務超過ではない、いわば、こういうものを除いた、健全行を含むすべての金融機関が対象となる、そういうことになっていますね。確認を。
○増井政府参考人(金融庁総務企画局長) お答えいたします。
 基本的にそのとおりだと思います。
○佐々木(憲)委員 ということは、この法案の資本注入には信用秩序維持等の事項は一切ないわけでありますね。金融機関の体力強化のための公的資金の投入というのが目的であると。つまり、これまで政府が原則と言っていた考え方、原則にしていた考え方と全く反する、そこからはかなり正反対の性格を持った法案である、そういう性格のものだということはお認めになりますね。
○増井政府参考人(金融庁総務企画局長) お答えいたします。
 今の御質問でございますが、この法律の第一条に、「この法律は、金融機関等をめぐる情勢の変化に対応して金融機関等の金融機能の強化を図るため、金融機関等の資本の増強等に関する特別の措置を講ずることにより、金融機関等の業務の健全かつ効率的な運営及び地域における経済の活性化を期し、もって信用秩序の維持と国民経済の健全な発展に資することを目的とする。」ということでございますので、そういう意味で、信用秩序の維持というのは目的ということになっております。
○佐々木(憲)委員 信用秩序の維持というのは、最終的に言葉でつけ足しているだけの話でありまして、信用秩序の危機という状況でしか投入できないというものではなくて、先ほどお認めになったでしょう、つまり健全行も含む金融機関に対して公的資金が投入できる、つまり体力を強化するための公的資金であると。
 こういうことでありますから、今まで政府が私どもに答弁をしていた、システミックリスクの危険のおそれがある、そういう場合以外には使わないんだと言ってきたことと比べますと、これは反対の、今まで否定されたことを今度は実行する、そういう内容になっているんですねと言っているわけですよ。
○竹中国務大臣(金融担当) そういうことではございません。
 先ほど佐々木委員が御指摘になった宮沢国務大臣の平成12年の答弁等々ございますけれども、その佐々木委員の御質問そのものが、102条が厳格になっているかどうか、そういうことで聞いておられます、102条についての御質問でございます。
 この答弁、宮沢大臣の答弁は、平成12年の預金保険法の改正によって、金融危機に対応するための恒久的な措置としての102条を整備する際に、恒久的な公的資金制度としては金融危機対応措置に限られる、そのような旨の答弁をしておられる。それは、佐々木委員御自身が預金保険法102条についてというその中での御質問に対して、宮沢大臣がそのようにお答えになったものと承知をしております。これは、繰り返しますが、恒久的な公的資金制度としては、金融危機対応措置に限られるということでございます。
 しかし、一方で、政府というのはその時々の金融経済情勢に応じて必要な措置を適時適切に講じていくこと、これは重要な政策でございます。現実問題として、一昨年、この場で御審議をして成立をしていただきました例の組織再編の特措法そのものは、まさにこのような適時適切な時々の金融情勢に応じて必要な施策ということで御承認をいただいたわけでございます。
 したがって、もちろんそういうものは時限的な法律ということになりますが、今回の法律も、そうした意味では、時々の政策要請に応じて必要な時限的な措置という位置づけになるわけでございます。
○佐々木(憲)委員 そうではないんですね。つまり、公的資金を投入するというのは極めて限定的なものであるというのが政府の見解だったわけです。それは、信用秩序全体を危機に陥れるような状況というものをつくってはならない、政府の説明ではですよ、そういう限定したものにしか使えないんですと。つまり、健全行に入れるなんということはもともと想定はしていないんです、こういう考え方なわけですよ。
 ところが、今回出てきたのは、絶対にそういうものに使わないんですよと言っていた、やってはならない、こう言っていたものをやるわけですから、これは今までの政府の答弁とは全く違う、そういうことをやろうとしているということだと思うわけです。それ以外に考えられない。
 では、次にお聞きをしますが、その資金の注入を一体だれが負担するかという問題であります。
 2000年の3月23日の衆議院本会議の、当時の小渕総理大臣の答弁を振り返ってみますと、こういうふうにおっしゃっていたわけです。
 例外的措置の発動に係る費用は金融機関の負担金で賄うことが原則であり、財政措置を講ずるのは、あくまでも「負担金のみで危機対応業務に係る費用を賄うとしたならば、金融機関の財務の状況を著しく悪化させ、我が国の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがあると認められるとき」に限っているところであります。
 要するに、費用は金融機関の自己負担で賄うというのが原則ですよ、こういう答弁でありました。これは事実ですよね。
○竹中国務大臣(金融担当) 今、佐々木委員がお読みくださいました当時の小渕総理の答弁でございますけれども、これは、金融危機への対応に係る政府の財政措置に対するお尋ねでございます、金融危機への対応に係る政府の財政措置。まさに預金保険法の条文そのものを総理は答弁しておられますし、その部分を今佐々木委員は御引用なさったということだと思います。
 すなわち、ペイオフコストを超える特別資金の援助等、危機的な事態が想定される場合にとるべき例外的な措置である預金保険法102条措置における負担のあり方としましては、セーフティーネットの参加者たる金融機関が負担することを原則として、恒久的な措置であることから、そのときの状況によって政府の補助が可能になっている、そういう趣旨のことを当時の小渕総理は述べておられるわけでございます。
 他方で、今回の新たな公的資金制度は、金融機能の強化を目的にして、経営改革を行って、地域の金融の円滑化等、健全な金融機能を発揮し得る金融機関を対象として、時限的に国が資本参加をするという制度でございます。したがって、この制度の趣旨、目的に照らして、恒久的な金融危機対応措置における負担のあり方と異なるということは、これは当然否定されないわけでございます。
○佐々木(憲)委員 恒久的か時限的かで、公的資金の投入が国民負担なのか銀行負担なのかが変わってくるなんというのは、これは極めておかしな話でありまして、当時のこの答弁の基本は、要するに、銀行に対して公的資金を入れるという場合は、それは、基本は金融機関の負担金で賄うというのが原則である、一時的に政府が財政資金を入れても、最終的には金融機関の負担というのが原則である、こういうことを言っているわけであります。
 それから、もう一つ確認しておきたいのは、現行の預金保険法の金融危機対応措置というのは、損失処理のために金融機関から負担金を徴収するということは明文化されていますね。
○増井政府参考人(金融庁総務企画局長) お答えいたします。
 そのとおりでございます。
○佐々木(憲)委員 今度出された政府のこの案はどうなっているかということなんです、損失負担をどうするのかということ。
 この点については、金融審議会のワーキンググループの検討過程で、報道によりますと、こういう議論があった。公的資金に損失が発生した場合は、預保法と同様に他の金融機関から預金保険料を徴収して穴埋めする民間業界負担方式が妥当、そういう議論が行われたと言われております。
 しかし、最終的に、この取りまとめられました金融審議会金融分科会第2部会、「金融機関に対する公的資金制度のあり方について」という報告書があります。これは去年の7月28日ですけれども。この報告書を見ますと、預金保険料を徴収して穴埋めする、つまり、金融機関の負担で最終的な損失補てんをするんだというこの考え方は後景に退きまして、2つの考え方が併記されているわけです。つまり、銀行負担の考え方もありますよ、それから国民負担という考えもありますよと。いつの間にか両論併記になったわけであります。
 その上で、出てきたこの法案を見ますとどうなっているか。この法案が2007年度末以降に役割を終えて勘定を廃止するという場合、勘定に欠損金が生じた場合の処理、これはどのように行うということになっていますか。
○増井政府参考人(金融庁総務企画局長) 新たな公的資金制度でございますけれども、金融機能の強化を目的に、経営改革を行って、地域における金融の円滑化等、健全な機能を発揮し得る金融機関に対して国が資本参加をするということでありまして、金融危機対応措置である預金保険法102条とは異なる目的を有している。しかも、先ほど来大臣からも御答弁いたしていますように、時限的な特例措置であるといったことがまずございます。
 それから、金融機能の強化を図るために、将来性を展望し得る金融機関に限って国が資本参加をするというものでございますので、必ずしも、損失が発生するという前提、そういうことには限らないというものであるといったこともございます。こういった観点から、新たに設けます金融機能強化勘定におきましては、あらかじめ損失の負担について規定を設けることはしないということにしているところでございます。
 いずれにいたしましても、金融庁といたしましては、金融機能の強化を目的としながら、損失が生じた場合に他の金融機関に負担を求めるということは、金融システム全体に偶発債務を負わせ、かえって金融機能の低下を招きかねないということから、適当ではないというふうに考えております。
○竹中国務大臣(金融担当) 基本的な考え方は今局長から答弁をさせていただいたとおりでございます。
 佐々木委員、先ほど、最初はこういう考え方だったはずなのに両論併記になった、そういう御説明がございましたが、ちょっとそれは、私はそのように認識はしておりません。いろいろな御議論は当然のことながらあったというふうに思っておりますが、これは委員御指摘になりましたように、7月28日に取りまとめられました金融審の第二部会の報告におきましては、この負担のあり方について、しっかりと2つの考え方が書かれているわけでございます。
 余り長くは繰り返しませんけれども、一つは、各金融機関の収益力を強化する措置に係る負担を他の金融機関に求めるべきではないのではないか、国がしたがって負担すべきではないのか、そういう考え方。それともう一つは、金融システムに関する問題を解決していくための財源は金融システムの中でやはり賄うことが原則なのではないか、金融機関が負担することによってかえって信用秩序の維持に極めて重大なおそれがある場合には、国が補助する仕組みにしてはどうか、そういう考え方が7月28日の報告には書かれている。こうした考えを踏まえて、現在の我々の制度設計を行ったわけでございます。
 これに関しては、今も局長が答弁したとおりでございますけれども、金融危機対応措置である預保法102条とは異なる目的を有している。しかも時限的な措置であるということ。それと、これは金融機能の強化を図って、それで入れる。したがって、将来を十分展望し得る金融機関に入れるものである。必ずしも損失が発生するとは限らない。したがって、金融機能強化勘定においては、あらかじめ損失の負担について規定を設けるということはしていないところでございます。
○佐々木(憲)委員 要するに、2つの考え方が出たわけです。事前にどういう議論があったかというのは、いろいろな議論があると今大臣おっしゃいましたから、それはそういうことでしょう。
 しかし、この第2部会の報告では、銀行業界が最終的に損失を負担する考え方と、もう一つは、財政負担、国民負担をしますよという考え方と、2つあったわけです。2つあったにもかかわらず、その一方を選んだわけです。今の答弁ですと、銀行業界に負担はさせません、国民負担ですよと、これを選んだ。法文には書いていないけれども、そういう運用をする、別途予算措置を講じて、つまり国民が負担をする、こういうことになったということですね。これはそういうことですね。結論だけ。
○増井政府参考人(金融庁総務企画局長) お答えいたします。
 今の新しい公的資金制度につきましては、最終的に勘定を廃止する時点で必ずしも損失が発生するとは限らないということでございますので、早期健全化勘定あるいは金融機関等の経営基盤強化勘定、要するに今までの勘定と同様に、あらかじめ損失負担の規定を設けることはしていないところでございます。
 万一、勘定の廃止時に最終損失が生じた場合には、財政当局とも調整の上、必要に応じ適切な予算措置をお願いするということになるものと考えております。
○佐々木(憲)委員 要するに、国民負担にしますよと、最終的にその勘定を閉じたときに損失があった場合には銀行負担ではなくて国民負担にしました、こういうことじゃないですか。
 これは極めて重大でありまして、今まで銀行負担というのは、さまざまな形でこういう勘定の場合には行われていたわけです。ところが、今回、国民負担だということを決めてしまった。何で国民負担にしなきゃならぬのですか。おかしいじゃないですか。この理由は何ですか。銀行業界がこれに対して、不満である、自分たちの業界負担はやめてくれ、国民負担にしてくれと言ったからじゃないんですか。
○増井政府参考人(金融庁総務企画局長) ペイオフコストを超える特別資金援助等、危機的な事態が想定される場合にとるべき例外的な措置である102条の負担のあり方については、今のような、先ほど先生から御指摘のあった形になっておるわけでございます。
 これは、預金者等を保護するための恒久的なセーフティーネットにおける負担のあり方として、セーフティーネットの参加者だから金融機関が負担することが適当であるということであることから、これを原則とする。ただし、恒久的な措置であるから、その時々の状況によって、金融機関の負担金のみで損失を賄うということになりますと、金融機関の財務の状況を著しく悪化させて、我が国の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生じるおそれがある可能性を踏まえまして、政府の補助が可能となっているというのが今の制度でございます。
 一方で、この新たな……(佐々木(憲)委員「質問に答えなさいよ、質問に」と呼ぶ)はい。新たな制度でございますけれども……(佐々木(憲)委員「そういうことはさっき聞いたから、質問に答えて。銀行の要望にこたえたんでしょうと聞いているんだよ」と呼ぶ)はい。はい。
 したがいまして、先ほども申し上げましたように、新たな制度につきましては、従来の早期健全化法の早期健全化勘定あるいは組織再編特措法の金融機関等の経営基盤強化勘定と同様に、あらかじめ損失の負担については規定を設けることはしていないということでございます。
 したがいまして、銀行から何かそういった圧力があったとか、そういったことではございません。
○佐々木(憲)委員 今の答弁は、さっきからの仕組みの説明だけやっているだけで、私が聞いたことに答えていないんです。最後の1秒だけですよ。その1秒をさっと答えればいいのに、質問時間がなくなるじゃないか。長々長々と2回も3回も同じことばかり繰り返して。とんでもないよ、そんな答弁の仕方は。端的に答えなさいよ。
 私は、さきの参考人質疑のときに、全銀協の会長の三木さんにお聞きしたわけです。今2つの案が出されるような状況がある、国民負担と銀行負担と。このときに、三木会長は、銀行に負担を求めるような法案が出たら反対だと言っていたという報道がありましたから聞いたわけです、私は。そうしましたら、三木会長は、こう答えたわけです、「日本全体の金融機関が弱体化される、共倒れになりかねないということを私は懸念いたしまして、そのように発言いたしております。」つまり、銀行負担になるような法案なら反対だ、しかし、国民負担ならそれはいいと。
 結局、この中身を見ますと、両論併記で出されたこの報告書と、法案を見ると、両論併記のうちの一方だけとった。つまり、銀行負担はしないで国民負担にしますよ、そういう結論を選んだということですよ。つまり、銀行の圧力に屈したんですよ。やっていることは、結局、そういう形で国民負担をふやすという選択をした。
 では、今2兆円という枠組み、これを用意しているといいますけれども、2兆円で済むんですか。自民党の与謝野馨金融調査会長は、日経新聞2月26日のインタビューで、「資金枠は2兆円で足りるか。」という質問に対して、「必要であれば補正予算や来年度予算で手当てすればいい。」こう言っているわけです。あるいは、日経金融新聞12月22日によりますと、自民党の財務金融部会長代理の増原義剛さんは、こう答えているわけです、「規模については、おそらく毎年度2兆円枠を作っていくことになるのではないか。2007年度までの四カ年で8兆円になり、十分に措置している。2兆円でも足りないならば補正を組めばいい」。これは、2兆円といっても、足りなければ補正を組んでどんどんふやしていく、2兆円上限じゃないんですね。
 そういう考え方なんでしょうか、大臣。
○竹中国務大臣(金融担当) まず、先ほど、銀行の要望にこたえて資金の負担を決めたのか。これは断じてそんなことではございません。我々は監督検査の当局でございます。銀行の要望だけ聞いていたら、これは監督検査の当局にはならないわけでございまして、我々はそんなことでは物事を決めません。これは、全体の政策としての制度設計の中で、何が整合的かという観点から、我々は、行政の責任において判断をしたわけでございます。
 重要な点は、繰り返すとまた怒られるかもしれませんが、これは、いわゆる危機対応ではないということ。それと、これは、将来有望な機関に対して政府がお金を出すわけでありますから、現時点でこれは損失が発生するわけではない、むしろ、我々は、しっかりとフォローアップをして、しっかりと利益も出してもらえるような、そういう制度としての運用をするつもりでおります。この考え方は、早期健全化勘定でありますとか金融機関等の経営基盤強化勘定と同じでございます。
 それと、今お尋ねのその枠、これは与謝野先生、増原先生の御意見を引用なさいましたけれども、我々としては、新たな公的資金制度は申請に基づいて資本参加を行うものでありますから、今後、具体的にどの程度の資本参加が行われるか、これは予測は大変難しいということをまず御理解いただきたいと思います。
 こうした中で、新たな公的な資金制度の政府保証枠につきましては、これは、例の組織再編特措法における積算の勘定を援用する形で機械的に計算を行ったものでございます。相当程度の合併が1年間に集中的に生じたとしてもなお対応が可能となるような水準としております。
 いずれにしましても、新たな公的資金制度の趣旨とか目的とかを踏まえまして、この16年度の政府保証枠として我々なりに適切な計上を行ったものというふうに考えております。この性格をぜひ御理解賜りたいと思います。
○佐々木(憲)委員 銀行の要望を聞いたわけではないと言いますが、結果的にこういう法案を出してきたということは、銀行の意向を酌んで出していると言わざるを得ない。それなら銀行負担にすべきなんですよ。業界負担という案が、2つのうちの1つあるわけですから、国民負担にせずに銀行負担にするという法案を出してくればいいじゃないですか。それを出してこなかったことというのは、銀行の要望に応じた。結果的にそうなっているわけですね。
 しかも、危機対応ではないから国民負担なんだと言うわけでありますが、それなら危機対応のときに、原則は業界、銀行負担だと言っていたその考え方に比べますと、危機ではないときに健全銀行にお金を入れる、それを国民負担にするんだと。これはますます悪質ですよ。
 我々は、危機の、ああいう状況のときも、銀行が当然業界として相互に負担をし合うという仕組みにすべきだという主張をしてまいりました。国民負担にするのは大体筋が通らない。銀行が、自分の経営がうまくいかない、経営危機で税金を投入する、何で銀行の経営に責任のない国民が負担をしなきゃならぬのか。これは責任のある銀行が負担するのが当たり前じゃないですか。
 今は銀行の危機というのは遠のいた、しかし再編が必要だ、そこにお金を投入する、これは全部国民負担です。ますます悪質だということを指摘しまして、質問を終わります。

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