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金融(銀行・保険・証券) (銀行の収益性, 銀行の手数料, 中小企業融資, 優越的地位の乱用, 信託業法)

2004年11月12日 第161回 臨時国会 財務金融委員会 【264】 - 質問

信託業法改正案について質問/銀行が高い手数料で利益をあげている問題について質問

 2004年11月12日財務金融委員会で、佐々木憲昭議員は、政府提出の信託業法改正案について、銀行が高い手数料で利益をあげている問題について質問しました。

 今回の信託業法改正案では、信託の受託対象財産の制限を取り払い、知的財産権など新たな財産権を信託の対象に認めるということ、さらに、信託を取り扱う業者として金融機関以外の参入も認めるというものになっています。
 佐々木議員は、「これによって、様々な富んだ商品が生まれ、新たに参入してくる業者も広がる事で、同時にトラブルも予想される」と指摘。「例えば、横断的な、業界を超えた金融サービス法の制定を展望していくということが緊急に必要だ」と金融庁を正しました。
 伊藤達也金融担当大臣は、「利用者の保護をしっかりやっていくということが極めて重要なことだ」「私どもとしても、十分問題意識を持って、よりしっかりとした制度が設計できるように努力を積み重ねていきたい」と答弁しました。

 これに先立ち、午前中、信託業法改正案にかんする参考人質疑がおこなわれました。
 また、法案の質疑終了後、採決に付され、全会一致で可決しました。



 次に、佐々木議員は、銀行が高い手数料で利益をあげている問題について質問しました。
 佐々木議員が、みずほ銀行や東京三菱銀行で100円を1円玉に両替すると、315円も手数料をとられると指摘すると、議場内では「ほーっ」とため息がもれました。 
 佐々木議員は、銀行が中小企業に対し、貸し渋り、貸しはがしを続けている上に、銀行が勝手に手数料を決め、利用者に押しつけているのが現状だと指摘。「まさに、優越的地位の乱用にあたるのではないか」と追及しました。
 この中でも、中小企業向け貸出計画を達成していない北陸銀行では、借入金の返済条件の変更をおこなうと、1件3万1500円も手数料がかかる事を紹介。佐々木議員が「中小企業いじめだ」と調査を求めたのに対し、金融庁の佐藤隆文監督局長は「検討したい」と述べました。
 また、都銀の手数料収入は、90年代は8000億円台でしたが、2004年3月期には、1兆3000億円に膨れあがっています。
 佐々木議員は、このような一方的な手数料の設定とその引き上げが横行している背後にあるのは、「収益力の向上を金融庁があまりにも強調しすぎることだ」と批判しました。
 伊藤達也金融担当大臣は、「利用者の信認を得ることが重要だ」とのべました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭です。
 まず、信託業法改正案について聞きたいと思います。
 今度の改正は、信託の受託対象財産の制限を取り払って、知的財産権など新たな財産権を信託の対象に認めるということ、さらに、信託を取り扱う業者として金融機関以外の参入も認めるというものになっているわけです。これによってさまざまなバラエティーに富んだ商品が生まれ、新たに参入してくる業者も広がる、同時にトラブルも予想されるわけですけれども。したがって、これらの信託会社には、一般投資家の保護あるいは受託者責任をしっかり果たすということが大切だと思うわけです。また、そういう資質と能力がそれぞれの会社に求められると思います。
 これを金融庁としてどのように担保していくかということであります。例えば、投資家に対する説明義務、あるいは不当勧誘などの規制、監督規制、そういうルールを定めているわけですけれども、新規参入を含む全業者に対して新たなルールというものをどのように徹底するのか、まずその考え方をお伺いしたいと思います。
○伊藤金融担当大臣 お答えをさせていただきたいと思います。
 本法案は、今委員からも御指摘がございましたように、受託可能財産の範囲の制限というものを撤廃していく、そして、金融機関以外の者の信託業への参入というものを可能にしていく、こうしたことで、信託の活用に対するニーズに柔軟に対応していく一方、信託サービスの利用者の保護を適切に図るための措置というものをあわせて講じることによって、信託のさらなる発展を目指しているものであります。
 具体的には、免許制あるいは登録制というものを導入させていただいて、その際、業務執行体制や財産的基礎等を個別に審査することにより、不適切な事業者の参入を阻止することといたしております。
 また、信託商品は実績配当が基本でありますので、受益者の自己責任を求められることや、あるいは信託商品スキームは極めて複雑となり得ることを踏まえて、信託に係る取引の公正を確保し、そして信託者の保護に欠けることがないように、信託関係の設定についての勧誘時における一定の行為の禁止、あるいは信託商品に関する説明義務、そして契約時の書面交付義務等の規定を整備して、信託会社にこれらの遵守を求めているところでございます。
 さらには、信託会社については、信託財産の状況報告の交付義務、そして忠実義務等の行為準則を設けるとともに、立入検査やあるいは業務改善命令等の監督上の措置を講じているところでございます。
○佐々木(憲)委員 それは法律の説明でありまして、私が聞いているのは、その法律が成立した後、新たに参入してきた業者に対して金融庁としてどのようにこれを徹底するのか、徹底の仕方を聞いているわけです。中身の説明、前提の話はもう結構ですから、どのように徹底するか、そのことについてお答えいただきたい。
○伊藤国務大臣 周知徹底をしていくということは非常に重要なことでありますので、これは、審査に当たってもこの法の趣旨というものを十分理解していただいて、そして、新しい参入者に対しても、先ほどお話をさせていただいたようにしっかりとした審査をしていく、あるいは参入に当たっての私どもの考え方というものを明確にさせていただいているところでございます。
 そして、周知徹底を図っていくために、私どもとしてもさまざまな努力をしながら利用者の方々にも理解をしていただくということは大変重要なことでありますので、そうした広報活動も含めて、留意をしながら対応していきたいというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 その際、トラブルをどのようにして適正に処理していくかということが大変大事だと思うわけです。元本保証のない新たなタイプの信託商品が出回るとかいうことになっていきますと、それだけトラブルが発生しやすいわけであります。
 信託協会には信託相談所というのがあるそうですけれども、お話を聞いていると、苦情があった場合に、それを受け付けて、それで関係する会社を紹介して、話し合ってくださいよ、こういうことが中心で、どうも解決能力が備わっていないように感じるわけであります。
 午前中の参考人質疑で神作参考人が、販売をする段階でのトラブル、例えば、勧誘の仕方あるいは善管義務の遂行についてのトラブル、それから商品の仕組みそのものについてのトラブル、それから受託者の行為に関するトラブル、こういう問題がいろいろあり得る、三つのレベルのトラブルがあるというふうにおっしゃいました。
 したがいまして、これを解決するためには、やはり客観的なものをしっかり見ることができる立場の方に参加をしていただいて、第三者的な機関というものがあれば一番いいわけですけれども、そういうトラブルの解決の仕方というのが大事だと思いますけれども、どのような考え方を持っておられますか。
○伊藤国務大臣 現在、信託業務に関する苦情につきましては、個別の信託銀行のみならず、業界団体である信託協会においても信託相談所というものを設置して、顧客からの苦情の受け付け、その迅速な解決に努められているものと承知をいたしているところでございます。
 また、信託を含む金融分野における裁判外紛争処理制度の改善については、これは平成12年の6月、金融審議会の答申というものを踏まえて、消費者団体、各種自主規制機関、業界団体、弁護士会、そして、学識経験者及び関係行政機関の自主的な参加による金融トラブル連絡協議会というものが設置をされ、そしてさまざまな取り組みが行われているところでございます。さらに、裁判外の紛争解決手段については、本国会でいわゆるADR法案というものが審議をされているというふうに承知をいたしているところでございます。
 金融庁といたしましては、以上のような動きを踏まえつつ、新たな担い手となる信託会社が、これらの苦情処理体制の中にどのように位置づけていくことになるかについて十分考慮をしていきたいというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 法体制の整備ですけれども、例えば、横断的な、業界を超えた金融サービス法の制定、先ほども少し議論になったようですけれども、そういうものを展望していくということが非常に大事だと思うんです。私は、これは緊急に必要だと思いますけれども、その予定はあるのか、あるいは検討はどの程度進んでいるのか、お伺いしたいと思います。
○伊藤国務大臣 先ほどもお話をさせていただきましたように、多様な商品や多様なサービスが提供されていく中で、利用者の保護をしっかりやっていくということが極めて重要なことだというふうに思っております。
 金融審議会においても、先ほども御紹介をさせていただきましたように、こうした考え方が示され、そして、今、具体的に投資サービスにおける投資家保護のあり方について精力的な議論がなされているところであります。今後のスケジュールにつきましては、来年の春をめどに基本的な考え方を取りまとめていくというふうにお伺いをしておりますので、その後、必要に応じて、より具体的な要綱案の検討に移る方針であるというふうに承知をいたしているところでございます。
 私どもとしても、十分問題意識を持って、よりしっかりとした制度が設計できるように努力を積み重ねていきたいというふうに思っております。
 次に、中小企業向け貸し出し問題についてお伺いしたいと思います。
 8月4日のこの財務金融委員会で、私は、公的資金注入行の中小企業向け貸し出し計画の未達成問題について触れました。皆さんにお配りしている資料の1枚目ですけれども、都銀でいいますとUFJ、それから地銀でいいますと、北陸、親和、和歌山、この全4行が対前期比でマイナスである、もちろん未達であるわけです。
 その質疑の際に、金融庁の佐藤監督局長が、「中小企業向け貸し出しが減少した資本増強行に対しましては、銀行法に基づいて報告徴求をいたしておりまして、その中で、なぜ中小企業向け貸し出しが減少したのか、その理由、それから、今後の取り組みの状況等について報告を求めているところでございます。その報告が出てきたところで、それを精査いたしまして、より詳しい分析をしたい」、こういう答弁をされましたね。
 そこで、その詳しい分析の結果というものをここで述べていただきたい。
○佐藤政府参考人(金融庁監督局長) ただいま御指摘いただきましたように、16年3月期におきまして、資本増強行のうち、中小企業向け貸し出しが減少した四行、UFJ銀行、北陸銀行、親和銀行、和歌山銀行に対しまして、銀行法24条に基づいて、減少した理由等について報告を求めたところでございます。
 その結果でございますけれども、まずUFJの方でございます。
 UFJにつきましては、企業グループ内の資金効率向上といったことで、調達を親会社に集中させるということの結果、傘下子会社が借り入れが減ったといった、そういうバランスシート改善を目的とした財務リストラによる借入金の圧縮といったこと、あるいは地方三公社等からの資金返済があったということ、あるいは要管理先からの回収が進んだといったこと、こういった点が報告がございました。また、無担保貸し出し商品等多様な新商品の投入とか拠点体制の強化、あるいは新規貸し出し専担部の対象拠点の増設といったことで、新規先の獲得への一層の注力はしているわけでございますけれども、十五年度下期にはその効果が出て、多少下期は増加しておるということなんですが、上期における落ち込みを挽回するには至らなかったというようなことでございました。
 それから、残りの地銀三先でございますけれども、各行からは、貸出先企業における財務リストラによる借入金の圧縮、あるいは大企業グループ全体における財務リストラということで傘下中小企業の資金返済、あるいは信用保証協会保証のついている貸し出しのうち制度融資、具体的には金融安定化保証制度でございますけれども、これが終了したことに伴う約定返済、こんな要因が大きかったというふうに報告を受けております。
○佐々木(憲)委員 貸し出しの減少というのはいろいろな要素があって、銀行側の説明はそれはそれとしてあると思いますが、しかし、借り手の中小企業にとっては、貸しはがし、貸し渋り、依然として深刻な事態があるという訴えもありますので、厳しくその点は監視をしていただきたいと思います。また、未達については、そういうことのないようにということを徹底していただきたい。
 次に、銀行の手数料の問題についてお聞きをしたいと思います。
 伊藤大臣にお聞きしますけれども、例えば大臣がみずほ銀行ですとかあるいは東京三菱銀行に行きまして100円玉を1円に両替したと、そういうことはほとんどないでしょうけれども、しかし、中小企業はそういうことは結構あるんですね。その場合に、100円を1円玉にかえたら、手数料は幾ら取られると思いますか。
○伊藤金融担当大臣 私の立場ですと、ちょっと個別行の名前を出してはお答えができないことはお許しをいただきたいと思うんですが、私の経験からしますと、両替機で100円以上の場合に、100円であったり200円であったりということがあるんではないか。一方で、50円未満であれば無料であるということではないかな。さまざまな選択肢があるというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 お配りした資料の3枚目を見ていただきますとそれが出ているんですけれども、100円玉を1円に両替いたしますと、みずほ銀行、東京三菱銀行は315円の手数料を取られるんです。100円を1円にかえて何で315円取られるんですか。これはおかしな話ですよね。これは正常な手数料と言えるのかどうか。大臣の感じ方をお聞きしたいと思います。
○伊藤金融担当大臣 これは私の立場で、手数料の設定の適否でありますとか、その水準がいい悪いということは、お話しすることはできないということについては御理解いただきたいと思います。(発言する者あり)
○佐々木(憲)委員 いや、そういう立場だから言わなければならぬという話も今聞こえてきましたが、100円の両替で300円以上も手数料を取られるというのは、これは私は異常だと思うんですけれども、そうは思いませんか。
○伊藤金融担当大臣 これは選択のことだと思うんですね。個別行のことについて私は申し上げられませんけれども、100円、200円、300円という手数料が設定されている一方、50枚以下であれば無料という選択肢もあるんだというふうに思います。各銀行、さまざま、いろいろな手数料の設定の仕方をしておりますので、それをどう選ぶかは、これは利用者の問題であろうというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 金利自由化で、利子については原則として自由である、交渉によって決められるということですね。手数料はだれが銀行と交渉して決めているんですか。
○伊藤金融担当大臣 済みません、手数料は、今の両替の手数料のことでしょうか、それともほかの手数料……(佐々木(憲)委員「ほかも含めて」と呼ぶ)
 両替の手数料については、それは利用者の方が両替機でどうするかという御判断になると思いますし、ほかの、ローンの借りかえでありますとか手数料については、これは債務者との間での話し合いで決まっていくものだというふうに承知しております。
○佐々木(憲)委員 そうじゃないんですよ。手数料を決めるときに、利用者と相談して決めているという事例というのはあるんですか。
○佐藤政府参考人(金融庁監督局長) 一般的に、手数料につきましては、銀行の側で、こういう範囲の取引、こういう範囲の手続については幾らぐらいというふうにあらかじめ示しているケースと、それから大臣からお答えいただきましたような、相対で、交渉で決まってくるというケースと両方あろうかと思います。
○佐々木(憲)委員 ほとんどが銀行が勝手に決めているわけですよ。銀行が私のところはこういう手数料をいただきますよと、それを利用者に押しつけているわけです。預金者あるいは融資を受けている側に、こういう手数料をいただきますと。ですから、選択の余地はないんです、ほとんど。両替の手数料だって、例えば、300円は高い、100円にまけておきなさいよと言ったって、銀行はまけますか。そういうことはしませんよ、ほとんど。交渉の余地があるといいましても、結局銀行は優越的な地位を持っておりまして、事実上押しつけるわけですね。ですから、そういう点はしっかり監視をして、不当なものはやはり是正するというのが当然だと思うわけであります。
 例えば中小企業あるいは個人に対して融資でさまざまな名目で手数料を取っているわけですが、今の一枚前の方の、二枚目の手数料を見ていただきたい。これは現在金融庁でいろいろ調べていただいているんですけれども、不況が長引いておりますから、返済の期限を少し延ばしていただきたいというような条件変更を求める、そうすると条件変更の手数料を取るわけですよ。それから、逆に、少し資金のゆとりができたので期限よりも早目に返済をしたいということで早く返済したら、それもまた早く返済した手数料を取るというんです。それはおかしいと思いませんか。こういう事実、大臣、知っておられましたか。
○伊藤金融担当大臣 各種の手数料が設定されているということについては承知をいたしております、私もローン等を利用したことがございますので。
○佐々木(憲)委員 いや、各種の手数料でなくて、中小業者が融資を受けた際、その融資を返済する条件を変更する、その際に手数料が取られるということを知っておられたかということなんです。
○伊藤金融担当大臣 私もかつて中小企業を経営しておりましたので、そうした手数料があるということは承知をいたしております。
○佐々木(憲)委員 都銀ではそういうことはありましたか。
○佐藤政府参考人(金融庁監督局長) 都銀一般ということでお答えをさせていただきますと、あらかじめそういう手数料を取るということで明示しているケース、あるいはそもそも取らないというケース、あるいは交渉で決めるといったケース、さまざまあろうかと思います。
○佐々木(憲)委員 私はこの資料を、これは金融庁で調べたんですよ。みずほ銀行、東京三菱、三井住友、UFJ、りそなは条件変更の手数料を取っていますか。
○佐藤政府参考人(金融庁監督局長) 済みません。最後のところ、ちょっと聞き落としました。(佐々木(憲)委員「条件変更の手数料を取っているか」と呼ぶ)
 条件変更の手数料につきましては、取っているところと取っていないところがあるというふうに承知いたしております。
○佐々木(憲)委員 どこが取っているんですか。
○佐藤政府参考人(金融庁監督局長) まさにお示しいただきました資料にもございますように、みずほ銀行の場合には、条件変更の際に、個人向けのローンで5,250円を取っている。繰り上げ返済の分につきましても5,250円を取っているというケースはございます。
○佐々木(憲)委員 私が聞いているのは、中小企業向けの融資に関する条件変更の際に手数料を取っている都市銀行がありますかと聞いているんですよ。ないでしょう。
○佐藤政府参考人(金融庁監督局長) 申しわけございません。ちょっと勘違いをいたしました。
 都銀で中小企業向け貸し出しにおいて、条件変更の際に手数料を取っているというのは今のところ把握しておりません。
○佐々木(憲)委員 把握してないというか、ないわけですね。これは金融庁が調べたんですから、それに基づいて私は言っているわけです。ないんです。
 それで、先ほどの、対前期比で中小企業向け貸し出しが減少した銀行だけを取り上げまして、地銀の事例で調べてみまして、私、驚いたのは、北陸銀行なんですよ。これは地銀の中で非常に突出していまして、条件変更をしたら一律に3万1500円手数料を取る。私が融資を受けている方から聞いたところ、31,500円というのが最低ラインだというふうに銀行が言っている。このラインから始まって、上限は10万5000円だ。それで、例えば二本の条件変更をしたら、この倍取られるわけですから、21万取られる。三本条件変更したら31万5000円だ。これは余りにもひどいんで、こういうことは自由にやってよろしいのかどうか、大臣、お考えを聞きたいと思います。
○伊藤金融担当大臣 債務者が融資の条件変更やあるいは繰り上げの返済を申し入れた場合、金融機関が当該申し入れに応じた場合に発生する事務コスト等を勘案して手数料を徴収することはあり得るわけでありまして、一概に、どのような水準が妥当であるか、これを申し上げることは大変困難ではないかというふうに思います。
 いずれにいたしましても、こうした申し入れを受けた金融機関は、取引に係る手数料について十分説明を行って、そして、債務者の理解を得られるよう努めるなど円滑な取引に取り組んでいくことが重要であるというふうに考えております。
 先ほど委員から優越的地位の乱用の問題についてもお触れになられました。この乱用の問題については、所管は公正取引委員会でありますので、私からの答弁は差し控えさせていただきたいと思いますが、金融庁といたしましては、金融機関がその優越的地位を乱用して取引を行うといったことがないように、銀行の業務の適切性を確保する観点から、法令に基づいて適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 コストを反映した適切な手数料であるというんであれば、それは話はわからないでもない。現に都銀はそんなのは取っていないわけですから、コストがかからないという認識なのでしょう。
 何で北陸銀行だけが10万とか、あるいは三本条件変更したら30万以上だと。そんなにコストがかかるものなんですか。これは異常ですね。どうしてそんなことをやるんですかと業者が聞いたらしいんですね。そうしましたら、それは簡単に条件変更をさせないためなんだと。これは余りにも中小企業いじめではないのか。こういうことを一方的に決めること自体、優越的地位の乱用に当たると私は思うんですね。私、これは、どういう根拠でこういうものを設定しているのか、ぜひ調べていただきたいと思うんですが、いかがでしょう。
○佐藤政府参考人(金融庁監督局長) 一般論としてこういうふうに感じますというお答えになろうかと思いますが、最初の契約をするときに、条件変更について、どういう条件変更があり得るか、いつあり得るかといったようなことも含めて全体が恐らくパッケージで契約されているというケースがあり得て、その中では条件変更について何らかのブレーキをかけるような条項を織り込むといったことはあり得るんだろうと思います。全体の中の一部としてそういう部分が出ている可能性というのはあろうかと思います。
 ただ、いずれにせよ、優越的地位の乱用に当たるような、そういう合理性のない取引というのは不適切だろうというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 ですから、この事例について、それに当たるのか当たらないのかぜひ調べて報告をしていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
○佐藤政府参考人(金融庁監督局長) 個別の銀行の個別の手数料についての御指摘でございますので、ピンポイントでそういうところに焦点を当てて調査をするということが、緊急性あるいは必要性あるいは適切であるかどうかを含めてちょっと検討させていただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 これは、今並べただけでも、三つの地銀だけですけれども、北陸銀行だけなんですね、こんなに取っているのは。ほかに調べていただいていますけれども、まだその調査結果はわかりませんが、こういうことがどの程度行われているのか、また、不当であるのかそうでないのかという、その検討が私は必要だと思います。したがって、調査の上、是正すべき点がもしあれば、当然それは是正すべきだという点を申し上げておきたいと思いますので、今、調査の点について検討したいとおっしゃいましたから、ぜひぴしっとやっていただきたいと思うんです。
 さて、そこでもう一つ、今度は手数料一般に戻しまして、お配りした資料の次のページなどをあけていただきますと、銀行の手数料収入というのが最近異常に膨らんでおりまして、いろいろな名目で手数料が設定されて取れるようになっているわけです。ともかく収益を上げるために何でも手数料を取るというのがどうも最近の傾向のようで、都銀の手数料収入を見ましても、これは役務取引等収益という形で出てくるわけですが、大変ふえているわけです。
 91年から2003年までの間の数字がそこに出されておりますが、90年代は、これは都銀全体で大体八千億ぐらいだった。ところが、今や1兆2,700億になっている。2、3%だったのが13.9%。全体の利子の支払いというものがどんどんどんどん減って、預金を預けても利子がつかない。そういう中で、取れるところは何だということで手数料ばかり取っていく。それが非常に大きな不満になって、利用者の方々が、余りにも手数料が高過ぎるのではないか、こういうふうにおっしゃっているわけです。
 したがって、私は、この点について、その背後にあるのは、銀行に対して収益性、収益力の向上、こういうことを金融庁が余りにも強調し過ぎる、その点がこういう形で、逸脱も含めていろいろな問題を発生させているのではないかと思います。
 そういう点で、今後の金融行政を考える場合に、銀行の利益はもちろん必要でしょうけれども、同時にまた、利用者の利便性、利用者へのサービス、この点もバランスをとってやっていくことが必要だと思うんですが、最後に大臣の見解をお聞きしたいと思います。
○伊藤金融担当大臣 これは、銀行の経営をしていくに当たって、利用者の方々からの信認を得るということは極めて重要なことではないかというふうに思っております。
 そうした意味からも、委員が後段で指摘されたように、利用者の本当の意味での利便性の向上、そして利用者のニーズに的確にこたえていく、そういう経営をする中で収益向上策というものをつくり上げていくというのが銀行本来の姿であるというふうに私自身も思っているところでございます。
○佐々木(憲)委員 終わります。ありがとうございました。

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