憲昭からの発信
【12.07.16】消費税増税法案付託 「景気条項」はまやかし赤旗
しんぶん赤旗 2012年7月16日付
写真は12年6月26日質問
野田首相 「前提でない」
3党合意 「努力目標」
民自公3党が成立をねらう消費税増税法案に付された「景気条項」。野田佳彦首相は「引き上げ前に経済状況を確認する」などと増税の歯止めになるかのように説明していますが、それがまやかしであることが国会論戦で明らかになっています。
法案には、引き上げについて「経済状況を好転させることを条件」との文言が盛り込まれていました。橋本内閣時の5%への引き上げが大不況の引き金を引いたと批判されたことが背景にあります。しかし、法案は経済成長率を増税後の2020年に「名目3%、実質2%程度に近づける」としているだけで、野田首相自身「前提ではない」と表明しています。3党「合意」でも成長率は「努力目標」と確認され、増税実施の条件でもないことが明らかとなりました。
日本共産党の佐々木憲昭議員が「好転しない限り増税しないか」と追及(6月26日、衆社会保障・税特別委)したのに対し、野田首相は「総合的に勘案する」、安住淳財務相も「経済の状況をみながら時の政権が判断する」と答えるだけ。佐々木氏は「何の歯止めにもなっていない。達成されなくても増税を実施する」ものだと批判しました。
消費税増税と年金・介護保険料の引き上げなどを合わせると今回押し付けられる国民負担は、97年当時の9兆円負担をはるかに上回る20兆円です。ところが、岡田克也副総理は、駆け込み需要があるから「消費水準はほとんど落ちない」と開き直りました(6月1日、特別委)。佐々木氏は、「(経済成長が)マイナスに落ち込んだまま戻らない」とする日興証券の試算を示し、増税や年金削減、医療費負担増などの負担が「固定化する。恒常所得が減り続ける」と批判しました。
野田首相は、経済を「好転」させるためとして「新成長戦略を加速化させる」と強調しています。しかし、その中身は「法人実効税率の引き下げ」「パッケージ型インフラ海外展開」など、破綻済みの大企業支援策が中心です。
さらに、3党修正案では、消費税増税などにより「財政による機動的対応が可能となる」と強調。「成長戦略や事前防災および減災等に資する分野に資金を重点的に配分する」ことを盛り込みました。すでに自民党は10年間で200兆円、公明党は同100兆円にのぼる公共事業投資計画を掲げています。
まさに「庶民増税の打ち出の小づちを手にして、新たな無駄遣いをやろうという宣言」(日本共産党の市田忠義書記局長)です。