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国会での活動

国会での活動 − 国会質問金融(銀行・保険・証券)

【14.05.09】金融商品取引法、投資者保護強化こそ必要だ

 2014年5月9日、金融商品取引法と保険業法の改定案が財務金融委員会で自民、民主、維新、公明、みんな、生活の賛成多数で可決、日本共産党は反対しました。佐々木憲昭議員は、質問と反対討論を行いました。

 金融商品取引法改定案は、新たな制度をつくり現在禁止されている未公開株の勧誘に道を開くものです。未公開株は元本がゼロになる可能性もあるリスクの高い金融商品です。イギリスのように資産に対する投資総額の上限規制すらなく、規制は不十分です。

   佐々木議員は、未公開株をめぐる被害や相談が高齢者を中心に急増している実態を示し、「規制を緩和すれば詐欺などの被害を拡大しかねない。投資者保護のルールこそ強化するべきだ」と求めました。麻生太郎財務大臣は「高齢者の被害事例が増えていることは憂慮している。被害防止に全力で取り組む」と答えました。

 保険業法改定案には保険会社が海外金融機関などを買収した場合、現行法では原則禁止されている保険以外の業種を行う子会社の所有を5年に限り認めることが含まれます。国際競争力強化を狙う保険業界の要求にこたえた施策です。子会社の破綻リスクや為替の変動リスクなどにより、保険会社本体の経営に悪影響を及ぼす可能性が高まります。
 佐々木議員は「保険契約者の保護や健全性の確保のためのルールをなし崩し的に後退させるものであり、認められない」と批判しました。

佐々木議員の主張

 金融商品取引法改正案のポイントのひとつは、クラウドファンディング(少額電子募集取扱業務)という仕組みです。
 これは、インターネットを通じて手軽に多数の者から資金を調達できるようにするもので、中小事業者が利用しやすい面もあります。ただ、その仕組みでは、一般消費者が未公開株(非上場株式)も買うことができるよういになります。それが、問題です。

 なぜか。未公開株(非上場株式)は、公開株(上場株式)と違って、株式の発行者である役員やその関係者が引き受ける場合が多く、基本的に取引市場が存在しません。そのため「換価」つまり値段の見積もりがそもそも困難なのです。
 経済的な価値を把握することが難しい株式を買うというのは、一般消費者・投資者の投資対象としては、ふさわしくないことは明らかです。これまでも未公開株を購入して損害を被ったり、詐欺的な行為によって被害を受ける事件も増えています。

 国民生活センターは、こう言っています。「プロ向けファンド業者に関する相談は増加しており、2012年度は1518件の相談が寄せられ、3年前の2009年度に比べて約10倍となっています。また、契約当事者も高齢者(60歳代以上)が9割を占めています」。
 このような被害を防ぐ方策が、法案にきちんと盛り込まれていなければなりません。

 クラウドファンディングは、一人当たりでは少額の投資を集めるものとはいえ、インターネットを通じて不特定多数の者に投資を呼び掛けるものです。
 法案のスキを突いて、悪質な業者や詐欺グループ等が仲介者として参入したり、発行者として制度を悪用したり、仲介者と発行者それぞれに役割を分担して被害を及ぼすことも考えられます。

 たとえば、ウェブサイト上に、虚偽の事業内容・事業計画を掲げて資金を集める方法がその典型です。被害を防ぐどのような手だてがあるのでしょうか。
 確かに、クラウドファンディング業者にたいして、「ネットを通じた適切な情報提供」や「ベンチャー企業の事業内容のチェック」を義務づけています。しかし、何を開示させるのか、何をチェックするのか、内容が定かではありません。
 しかも、適切な情報提供や事業内容のチェックが、事業者任せとなっています。これでは、規制にはなりません。

 では、投資家に対して虚偽の情報提供をした場合の民事責任についてはどうでしょうか。

 上場株式等における情報開示については、事業者に対して無過失責任を課す等の規定がありますが、今度の法案に、事業者および仲介業者に対し立証責任を課す規定があるのでしょうか。ありません。

 「無過失責任」から「過失責任」に原則を変えるのは、投資者の損害賠償請求訴訟における負担を増大させるものです。
 この改正案は、投資者保護と証券市場の公正という金商法の目的から外れていると言わなければなりません。

 国民生活センターは、これまで未公開株の売買に係る被害ついて、数多くの注意喚起を行っています。
 最近では、2013年12月19日に「投資経験の乏しい者に『プロ向けファンド』を販売する業者にご注意!――高齢者を中心にトラブルが増加、劇場型勧誘もみられる」という注意喚起があります。

 イギリスでは、投資対象企業の50%〜70%が倒産しており、FCA(金融行為規制機構)も、未公開株への投資は非常に危険である旨を繰り返し消費者に伝えています。
 (1)だれもが買えるような類の金融商品ではないこと、(2)多くのクラウドファンディングが破綻していること、(3)投資資金がゼロになる可能性が極めて高いことなどをあげて、こう呼びかけています。
 「捨ててもよいおカネ以外は投資するな。ほとんどの起業ビジネスは破綻しているという事実を知れ」と。

 未公開株の勧誘は、リスクが高いため現在原則禁止となっているにもかかわらず、未公開株をふくむ投資関連の被害や苦情相談が急増しています。
 それなのに、この法案で未公開株に投資することを認めれば、ますます事態を深刻にさせるのではないでしょうか。法案は、消費者に被害を与える可能性をさらに広げるものであると言わざるをえません。


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