2014年05月09日 第186回 通常国会 財務金融委員会 【785】 - 質問
金融商品取引法、投資者保護強化こそ必要だ
2014年5月9日、金融商品取引法と保険業法の改定案が財務金融委員会で自民、民主、維新、公明、みんな、生活の賛成多数で可決、日本共産党は反対しました。佐々木憲昭議員は、質問と反対討論を行いました。
金融商品取引法改定案は、新たな制度をつくり現在禁止されている未公開株の勧誘に道を開くものです。未公開株は元本がゼロになる可能性もあるリスクの高い金融商品です。イギリスのように資産に対する投資総額の上限規制すらなく、規制は不十分です。
佐々木議員は、未公開株をめぐる被害や相談が高齢者を中心に急増している実態を示し、「規制を緩和すれば詐欺などの被害を拡大しかねない。投資者保護のルールこそ強化するべきだ」と求めました。麻生太郎財務大臣は「高齢者の被害事例が増えていることは憂慮している。被害防止に全力で取り組む」と答えました。
保険業法改定案には保険会社が海外金融機関などを買収した場合、現行法では原則禁止されている保険以外の業種を行う子会社の所有を5年に限り認めることが含まれます。国際競争力強化を狙う保険業界の要求にこたえた施策です。子会社の破綻リスクや為替の変動リスクなどにより、保険会社本体の経営に悪影響を及ぼす可能性が高まります。
佐々木議員は「保険契約者の保護や健全性の確保のためのルールをなし崩し的に後退させるものであり、認められない」と批判しました。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
今回の金融商品取引法改正案は、新規・成長企業に対するリスクマネーの供給を促進する、そのために制度整備等を行う、こういう目的で提案をされております。
そのポイントの一つはクラウドファンディングという仕組みですが、これは、ネットを通じて手軽に多数の者から資金を調達できる、このようにするものでありまして、法案では、一般消費者が未公開株も買うことができる、そういうことになっていると思いますが、まず、この点を確認しておきたいと思います。
○麻生財務・金融担当大臣 これは、佐々木先生、今御指摘のありましたように、この法制度の改正というか制度の整備におきましては、いわゆる投資者保護のための措置を講じた上で、証券会社による非上場株式の投資勧誘を、インターネットを通じた、少額、50万円のものなどに限定して解禁するということを予定しているということであります。
これによって、一般投資者保護が図られた枠組みのもとで、一般投資者の非上場株式への投資というものがこれまでと比べて容易になるんだ、私どもはそのように考え、それが結果として、今寝ている大量の、1600兆を超えます個人金融資産、中でも現預金800何十兆という金が少なくとも投資等々に回って、日本の企業の成長を促す一助になればというように考えております。
○佐々木(憲)委員 今御答弁のあった、投資者保護の措置を講じた上でというふうに言われましたけれども、そこのところが、今回の法案は本当にそうなっているのか、我々としては非常に大きな疑問を持っておりまして、それは後で触れたいと思います。
まず、基礎的なことですけれども、未公開株と公開株、その基本的な違いはどこにありますか。
○桑原政府参考人(金融庁総務企画局長) お答え申し上げます。
公開株は、市場で取引が行われているため、流通性が高いという特徴を有しておるのに対しまして、未公開株は、取引を行うための市場が存在していないということで、流通性が低いという特徴を有しているものと考えております。
○佐々木(憲)委員 その結果、未公開株の場合には、市場が存在しませんので、値段の見積もりが非常に困難である、発行者である役員、その関係者が引き受ける場合が多いわけであります。
したがって、未公開株を一般消費者が投資対象として購入するということは、なかなか判断が難しい。これは、損害をこうむったり、あるいは詐欺的な行為によって被害を受ける、こういうケースが最近も非常にふえておりますけれども、その危険性が高まるのではないかと思います。
例えば、国民生活センターはこう言っているんです。プロ向けファンド業者に関する相談は増加しており、つまり、プロ向けファンド業者の関係の未公開株を購入して損をした、そういう関係の相談が増加しておって、2012年度は1518件の相談が寄せられた、3年前の2009年度に比べて約10倍になっている、契約当事者も60歳以上の高齢者が9割を占めている、こういうことなんですね。
この相談が急増していることについて、大臣はどのようにお考えでしょうか。
○麻生国務大臣 これは、プロ向けのファンドということなんですが、現実はプロ向けじゃないというのが一番話を込み入らせているというか、被害を大きくしているんだと思います。
いずれにいたしましても、高齢者を含めまして、一般の投資家の被害事例が発生しておるということなんだと思っております、先ほどの数字は。
これは私どもも極めて憂慮しているところでして、この問題につきましては、証券取引等監視委員会の建議が4月の18日、また消費者委員会の提言が4月の22日に、それぞれ、プロ向けファンドの特例について、一般投資家の被害発生などを防止するための適切な措置を講ずる必要があるという指摘がなされたところであります。
こうした指摘を踏まえて、金融庁としては、投資者保護を図りますために、プロ向けファンドの勧誘ができる投資家の範囲を見直すという方向で検討を行うことといたしております。
また、今後とも、関係当局と連携を図りながら、投資者への注意喚起というのはもちろんですけれども、被害の防止に向けて取り組んでいかねばならぬところだと思っております。
○佐々木(憲)委員 法案のクラウドファンディングは、一人当たりでは少額の投資を集めるということでありますが、インターネットを通じて不特定多数の方々に投資を呼びかける、こういうものですね。
したがって、法案のすきを突いて、悪質な業者あるいは詐欺グループ、こういうものが仲介者として参入したり、あるいは発行者として制度を悪用したり、仲介者、発行者それぞれの役割を分担して被害を及ぼす、こんなことも考えられるわけであります。
ウエブサイト上に虚偽の事業内容、事業計画を掲げて資金を集めるというやり方は典型だと思いますけれども、これに対する防止の手だてを一体どういうふうに考えているのか、示していただきたいと思います。
○桑原政府参考人 お答え申し上げます。
投資型クラウドファンディングを悪用した行為といたしましては、発行者によって行われる詐欺的な行為と、クラウドファンディング業者によって行われる詐欺的な行為の二類型が考えられるのではないかと考えております。
前者の、発行者によって行われる詐欺的な行為、これの被害を防止または極小化する観点からは、まず、クラウドファンディング業者に発行者の事業内容をチェックすることを義務づけることといたしております。また、それとともに、発行者一社に対する投資家一人当たりの金額に50万円以下という上限を設け、リスク分散をきかせることとしているところでございます。
また、後者の、クラウドファンディング業者によって行われる詐欺的な行為を防止する観点からは、クラウドファンディング業者の登録の要件として、適切に業務を行うための体制が整備されているということを求めることといたしますが、その登録申請時に登録拒否事由、要件に照らして当局として厳格に審査するとともに、登録後におきましても適切な監督に努めてまいりたいと考えております。
○佐々木(憲)委員 今の答弁では、何を開示させるのか、何をチェックするのか、具体的な内容がまだ不明確でありまして、これから政省令とか内閣府令によって詳細を定めていく、こういう話ですね。しかも、適切な情報提供あるいは事業内容のチェック、こう言いますけれども、これは、いわば業者任せであって、まともな規制になっていないと私は思います。
投資家に対して虚偽の情報提供をした場合の民事責任についてどうかという点でありますが、上場株式等における情報開示については、現在、事業者に対して無過失責任を課す、こういう規定がありますが、今度の法案には、事業者及び仲介業者に対して立証責任を課す規定はありますか。
○桑原政府参考人 お答え申し上げます。
今回の金商法の改正案におきましては、発行者や仲介業者が投資家に対して虚偽の情報を提供した場合に、立証責任を投資家から発行者や仲介業者に転換する特別の規定は設けておりません。
したがって、このような場合、投資家は民法の不法行為責任の一般原則に基づいて損害賠償請求を行うこととなります。
○佐々木(憲)委員 ですから、無過失責任から過失責任に原則を変えるということは、投資者の損害賠償請求訴訟における負担を増大させるということになるわけです。
この法案は、投資者保護と証券市場の公正、こういう金商法の本来の目的からそういう点では外れていると言わなければならぬ、そう思います。
国民生活センターは、これまでの未公開株の売買に係る被害について数多く注意喚起を行っておりまして、最近では、昨年12月19日、「投資経験の乏しい者に「プロ向けファンド」を販売する業者にご注意! 高齢者を中心にトラブルが増加、劇場型勧誘も見られる」、こういう注意喚起が行われております。
イギリスでは、投資対象企業の50%から70%が倒産しているわけであります。FCA、イギリスの金融行為規制機構でありますが、ここも、未公開株への投資は非常に危険である旨を繰り返し消費者に訴えているわけです。その内容は、誰もが買えるような類の金融商品ではないこと、それから、多くのクラウドファンディングが破綻していること、さらに、投資資金がゼロになる可能性が極めて高いこと、こういうことを挙げて注意を呼びかけているわけです。そして、捨ててもよいお金以外は投資するな、ほとんどの起業ビジネスは破綻しているという事実を知れ、こういう警告をしているんですね。これは事実でしょうか。
○桑原政府参考人 お答え申し上げます。
英国当局は、2012年8月に、「クラウドファンディング あなたの投資は守られていますか」と題された文書を公表したものと承知いたしております。
その内容でございますけれども、大多数の創業は失敗するため投資全額を失うおそれがあること、クラウドファンディングの持ち分は流動性が低く流通市場も存在しないこと、全取引がオンラインで行われるものであり詐欺のリスクがあること等について、投資家に注意喚起を行うものであると承知いたしております。
○佐々木(憲)委員 そういうことを国際的には、特にイギリスの場合には相当強く呼びかけが行われているわけですけれども、今回の法案では、未公開株に投資する規制を緩和するという形になっております。
現在、未公開株の勧誘は、リスクが高いため、原則禁止であります。しかも、先ほど申しましたように、苦情、被害、こういうものが急増している。こういう中でこの法案でこの規制を緩和するということになると、これはますます事態を深刻にさせるということになるんじゃないでしょうか。
○桑原政府参考人 お答え申し上げます。
先ほどから御議論がございますように、投資家保護という大事な要請と、もう一つはリスクマネーの供給という要請、これをいかにバランスをとるかということが重要であろうかと考えております。
そうした中で、クラウドファンディングにつきましては、リスクは高いという側面はありますけれども、その一方で、極力、投資家保護に資するような施策、措置も導入しつつ、リスクマネーの供給を図るということを意図しておるものでございます。
○佐々木(憲)委員 その投資家保護がどうも不十分だというふうに思うわけです。
リスクマネーの供給を確保したいということはそれなりの理由があると思いますけれども、しかし、今極めて被害の急拡大という状況の中で、さらに未公開株の売買を進めていくということになりますと、大変に危険性を拡大すると言わざるを得ないというふうに思います。むしろ投資家保護の具体的な対応を強化する、これとあわせてやるというならまだ話はわかりますけれども、そうなっていないと言わざるを得ない。
次に、保険業法の改正案ですけれども、この法案では、日本の保険会社が海外の金融機関等を買収した場合、その傘下にある子会社のうち、国内では認められていない業務を行う会社についても5年間の保有を認める、こういうことになっております。
改めて確認をしたいんですが、これまで保険業法の子会社の業務範囲規制というのはどのような理由で行われてきたのか、確認をしておきたいと思います。
○桑原政府参考人 お答え申し上げます。
保険業法におきましては、保険契約者を保護する観点から、保険会社を保険業に専念させ、他の事業に起因する不測のリスクの波及を回避するため、認めるべき特段の理由がない場合には、他業を行うことが禁止されております。
子会社につきましても、法人格が異なるため事業のリスクはある程度遮断されると考えられるものの、例えば、経営困難に陥った子会社に対する財政支援などによって、子会社の事業リスクが保険会社本体に波及すること等も考えられるため、業務範囲に制限を設けているものでございます。
○佐々木(憲)委員 その制限を、海外の金融機関を買収する際の子会社については、日本では禁止されているのに、5年間に限って認めますよと緩和するわけですね。
ダブルスタンダードをやろうというわけですけれども、この海外の子会社のリスクと国内の子会社のリスク、本体業務と関係のない子会社があった場合に、本質的な違いというのはあるんでしょうか。
○福岡内閣府大臣政務官 仮に法制度の内容に差異がなく、子会社の業務内容や規模が同じ場合については、大きな差異はないという考え方もございます。
ただ、各国の法制度は違いますし、国内外の経済情勢の差異によってリスクが異なることもあり得ますから、一概にお答えすることは困難だというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 基本的な差異はないと。
ただ、海外の場合は、為替のリスクですとか、あるいは、その事業内容についても国内から海外への監視の目が届きにくいとか、いろいろな問題があって、むしろ私は海外の方が危険が大きいかなと思うんです。
ところが、その海外の方は規制を緩和して、5年間どうぞやってくださいと。こうなりますと、逆じゃないかというふうに思うんです。
前回の保険業法改正の際に、海外保険会社を買収するケースについて、2011年7月27日の金融審議会の保険会社のグループ経営に関する規制の在り方ワーキング・グループの審議では、審議委員からこういう指摘がありました。「できるだけ例外的な措置として、非常に限定的に規制を外していくということになる」。
この法案では、できるだけ例外的な措置、こう指摘されていた部分を今回拡大するわけですけれども、金融審議会でこの点について今回どのような検討が行われたのか、御紹介いただきたいと思います。
○桑原政府参考人 お答え申し上げます。
今回の法改正につきまして、金融審議会において直接的な議論は行われておりません。
ただし、今回は外国の金融機関の買収についての特例でございますが、平成24年には、外国の保険会社の買収の特例を設けております。その特例を創設した際には、金融審議会で健全性の観点から御議論が行われております。
また、平成25年には、銀行法において、今回の改正と同様の見直し、すなわち外国の金融機関等の買収についての見直しが行われた際には、金融審での御議論が行われております。
また、平成25年の金融審の分科会報告においても、一般論としてではございますけれども、子会社の業務範囲について、健全性に及ぼす影響や既存の子会社の業務との関連性等を踏まえつつ、拡大する方針が示されているところでございます。
方向性といたしましては、従来からの金融審議会の議論に沿った内容と認識いたしております。
○佐々木(憲)委員 周辺の議論はあったとしても、今回、この法改正についての直接的な議論はない、こういう答弁でありました。前回例外的な措置と言っていたものを、金融審議会で検討しないで法案を改正して出してくる、おかしいんじゃないかと思うんですね。
今回の措置は一体誰の要請で、直接どこの要請があってこういう法案を出してきたのか、御答弁いただきたい。
○桑原政府参考人 お答え申し上げます。
現在、保険業界におきましては、海外への展開等を活発にやろうという動きがございます。そうした動きの中で、外国金融機関等の買収についても、国際的な競争力等の観点も踏まえて、こういう見直しを行ったということでございます。
○佐々木(憲)委員 業界の要望だということだと思うんですね。
これは、規制改革ホットライン検討要請項目の現状と措置概要、こういうものがありますけれども、その中に、生命保険協会から、海外の企業を買収する際の子会社、これは日本で禁止されていても、外国の場合はここのところは認めてほしい、こういう要請が出されているわけですね。金融庁は、これに応えて、検討します、こうなっているわけですよ。
つまり、金融審議会で、公平なというか、それなりにバランスのとれた、各業界やあるいは消費者の側からの発言も含めた議論というものなしに、業界側から要請があった、これに直接応える形で今回法改正を行っている。これは私は極めておかしなやり方だと思います。保険契約者から要請が出ているか、こんなことはありません。誰が見ても、これは一方的だと思うんです。
海外子会社をグループ化することのリスクをどう捉えているのか、また、破綻した際の本体へのリスク波及、買収した後5年の間にそういう事態が起こった場合、どのようにこれを見ているんでしょうか。
○福岡大臣政務官 今回の改正につきましては、海外のMアンドAに際して、あくまでも原則5年間に限り、他業子会社処分の猶予期間を設けるものであり、恒久的なリスクの増加をもたらすものではないと考えております。かつ、現在、国際競争上不利な状況に置かれているところ、むしろ財務、経営の強化に資する面もあるということに留意することが必要だと考えています。
加えまして、子会社の取得に当たりましては、金融庁の認可事項となっておりまして、認可申請の際には、認可申請保険会社の収支及び保険金等の支払い能力の充実を示す比率が良好であり、子会社を取得した後も良好に推移することが見込まれるか等をしっかりと審査させていただいているところでございます。
子会社を取得した後も、連結対象となる会社の場合には、連結ソルベンシー規制により、財務の健全性についてモニタリングをしておりますほか、グループ全体での適切なリスク管理体制が構築されているか等、保険会社からのヒアリング等を通じて確認を行っております。
○佐々木(憲)委員 そういう答弁では、何か、今回こういう規制緩和をやるのに対応した新たな措置というものが強化されるという感じは受けませんね。
不利な状況、国際的な競争がある、競争に勝つためにということで緩和をしていくんだけれども、かえってそのことが、財務体質を強化しようとしていながら、逆に、他業務を抱え込んで、そしてマイナスの利益をこうむってしまう、それで財務体質そのものもおかしくしてしまう可能性さえあるわけなんです。そういうことを考えますと、今回のこのやり方というのは、契約者にとっては私はプラスではないというふうに思います。
では次に、保険の窓販規制の問題であります。
以前は、銀行が保険を窓口で売るということについては禁止されておりました。そのような措置をとっていた理由について確認をしておきたいと思います。
○桑原政府参考人 お答え申し上げます。
銀行等による保険販売につきましては、影響力を行使した圧力募集などの弊害の可能性や、銀行等に係る他業禁止の観点から禁止されておりました。
他方、いわゆる銀行の窓販につきましては、販売チャネルの多様化等を通じて利用者利便の向上に資すると考えられますことから、必要な弊害防止措置を講じた上で段階的に解禁されまして、平成19年12月に全ての保険商品の募集が認められたものでございます。
○佐々木(憲)委員 これは、銀行業務に支障を及ぼさないということで他業務を禁止していたわけであります。昔は銀証分離とかそういう形で行われていたわけでありますが、今は、これがどんどん緩和されまして、銀行が窓口でいろいろな保険等を販売できるようになっている。
その結果、いろいろなトラブルが起こっているわけです。銀行というのは、安全なところである、あるいはかたい仕事をしている、こういうイメージがありますから、そこが売っているものは何でも大丈夫だろうと。ところが、買ってみたら大変な損害を受けた、こういうような事例が多発しているわけですね。特に高齢者がそういうトラブルに巻き込まれる可能性があります。
例えば、国民生活センターが銀行の窓販について警告を発していると思いますが、どういう内容のものがありますか。
○細溝政府参考人(金融庁監督局長) お答え申し上げます。
平成24年4月に国民生活センターが公表いたしました「銀行窓口で勧誘された一時払い終身保険に関するトラブル」という文書がございますが、その中で、高齢者への不適切な勧誘が急増しているとして、幾つかの事例を挙げて注意喚起をしております。
いろいろな事例がございますが、代表的なものを御紹介いたしますと、判断力が低下している高齢者に販売勧誘をしたケース、断っているのに何度も勧誘を受け断り切れずに契約してしまったケース、元本保証で利率がよい商品と説明されて契約したが一時払い終身保険だったというケース、経過年数によっては中途解約時の解約返戻金の金額が元本を下回るというデメリットにかかわる説明が不足していたケースなどが挙げられております。
○佐々木(憲)委員 やはり大事なことは、今回のこういう保険業の改正、金融商品の新たな仕組みの導入、こういうものによって、投資者あるいは消費者、こういう方々が被害を受けないような仕組みを同時につくっていくということをしないと、緩和でどんどん進んでいくと、それはプラスの面もあるかもしれないけれども、結果的に国民の側に被害が多発するというようなことになりますとマイナスですから、そういうことのないようにどういう姿勢で今後臨むか、大臣に決意をお聞かせいただきたいと思います。
○麻生国務大臣 これは、佐々木先生、この種の話で改正をするときには常に考えておかねばならぬ一番大事なことでありまして、業界にとってプラス、イコール保険に加入しておられる方々、投資をしておられる方々等々、皆一様に不当な不利益をこうむるということのないように今後とも最大限配慮してまいりたいと考えております。
○佐々木(憲)委員 時間が参りましたので、以上で終わります。