国会での活動
【08.09.09】雇用促進住宅の退去期間延期 厚労省が説明
独立行政法人の雇用・能力開発機構が所有・管理している雇用促進住宅を廃止するという政府の方針が、住民のあいだに不安と怒りを広げています。
2008年9月9日、厚生労働省が、日本共産党国会議員団に対して、退去期間を延長するとともに、説明会がすべて終わるまでは契約修了通知を送らないことを明らかにしました。
佐々木憲昭議員をはじめ、小池晃参議院議員、穀田恵二衆議院議員、井上哲士参議院議員、山下よしき参議院議員が、説明をうけました。
説明によると、(1)全入居者にたいして十分かつ丁寧な説明を行う、(2)低所得、高齢などで転居先の確保に困難をともなう入居者には特段の事情を考慮する、(3)適切かつ公平に退去に向けた準備期間を確保するというものです。
佐々木議員は、「期限が来てもなお退去困難な事情にある人にたいしてはどうするのか。強制的なやり方はなすべきではない」と言いました。
これにたいして、厚労省の担当者は、「柔軟に対応する」と答えました。
小池晃参議院議員(党政策委員長)は、「年内に一方的な強制退去という事情はまぬがれたが、雇用促進住宅全廃という方針は変えていない。全廃方針の見直しをあらためて求めたい」と要請しました。
厚労省によると、正当な理由がないかぎり、契約更新しなければならない普通借家契約の入居者にたいして、説明会開催後、順次発送するとしていた契約更新拒絶の通知を中止しました。
すでに「通知」し終えた入居者には、早急に「訂正を通知する」としています。
党国会議員団が、8月26日、各地の入居者の実情と要望を受け、舛添厚生労働大臣に5項目の見直しを要請し、同大臣が改善策を説明すると約束していました。
日本共産党と入居者の運動が、一定の見直しを実現したことになります。
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解説
「しんぶん赤旗」2008年9月11日より
雇用促進住宅の退去期間延期
居住者とともに共産党
繰り返し交渉
厚生労働省・雇用能力開発機構は9日、全国14万戸、35万人が住む雇用促進住宅を全廃する方針について、その退去手続きを一部「見直し」することを明らかにしました。
その内容は、(1)全入居者に対して十分かつ丁寧な説明を行う(2)低所得、高齢など転居先の確保に困難を伴う(入居者の)特段の事情を考慮する(3)適切かつ公平に退去に向けた準備期間を確保する―などというものです。
具体的には、退去期間を1年延期するとともに、今後、定期借家契約も含めすべての住宅で説明会を開き、それが終了するまで強制退去は求めないとするものです。
この「見直し案」は「通知の紙一枚で退去とは何事か」「居住権の侵害だ」とする住民の怒りの声を背景にした居住者の運動の反映であり、一定の成果です。
日本共産党は国・機構の強引なやり方に戸惑った人たちと一緒に議員や支部と協力して、居住権を守ろうと署名やアンケートなどに取り組むとともに、八回にわたる政府交渉を行いました。8月26日には、党国会議員団が直接、舛添要一厚生労働相に会い、「居住者の理解を得ない一方的な住宅廃止決定を白紙に戻す」ことなどを内容とした五項目の要請を行い、厚労相も検討のうえ回答することを約束しました。
今回の見直しは、雇用促進住宅の全廃に何の大義名分もなく、現行借地借家法の立ち退き請求の正当事由にも当たらない不法不当なものであることを改めて示しました。
日本共産党は引き続き、「一世帯も路頭に迷わせない」との居住権保障の観点から、改めて住宅全廃決定を白紙に戻すとともに、ネットカフェ難民やワーキングプアと呼ばれる人々への住宅対策の一環として、雇用促進住宅の活用を早急に検討することを求めています。
(日本共産党国民運動委員会・高瀬康正)