アドレス(URL)を変更していますのでブックマークされている方は変更してください。
<< ホームへ戻る

国会での活動

国会での活動 − 国会質問税制(庶民増税・徴税)

【07.06.13】「税源移譲」だけでも住民税が最大9万7500円の増税になる

 2007年6月13日、財務金融委員会が開かれ、佐々木憲昭議員は、住民税増税問題について質問しました。  

 税源移譲によって、所得税は1月から総額年約3兆円減り、住民税は6月から総額年約3兆円増えます。政府は、個人の負担は“変わらない”と宣伝していますが、それは、昨年と今年の所得が変わらないことが前提です。
 所得税は今年の所得をもとに計算され、住民税は前年の所得をもとに計算されます。07年に所得が大幅に減少した人の場合、税源移譲による所得税の減額分は少なくなります。一方、住民税は、前年の所得をもとにして計算されるため、税源移譲による増加額は、より大きくなります。
 そのため、所得税と住民税をあわせると差し引き増税になります。この上さらに定率減税全廃による増税額が加わります。
 しかし政府は、定率減税にまともにふれず「税源移譲によって、所得税と住民税とをあわせた全体の税負担が変わることは基本的にありません」と宣伝してきました。
 ところが、この日の質疑で、所得税から住民税への税源移譲によって「最大9万7500円の増税になる」世帯のあることを政府が認めました。
 佐々木議員は、2006年に比べ、07年に大幅に所得が減った人の場合、税源移譲によるものだけでも、所得税と住民税の合計額が増税になると指摘しました。
 そのうえで、06年700万円だった年収が、07年300万円に減少した夫婦世帯の場合、5万4500円の増税になる例などをあげました。
 これにたいして総務省の岡崎浩巳官房審議官は、「最大9万7500円増加することになるのは事実」「課税所得が極端に大きく減った場合には増税分が出てくる」とのべました。
 そのうえで「07年に所得税が課税されない程度の所得に減った人を対象に、07年度分を対象に、07年度分の住民税を税源移譲前の額まで減額するという経過(救済)措置を設けている」とのべました。
 佐々木議員は、それがほとんど知られていないため、その救済措置の周知徹底を求めました。
 また、税源移譲によって増税になったが救済措置の対象にならない人に対しても、救済措置を講じるように求めました。
 岡崎官房審議官は、「指摘があったので、できるだけ早期に周知に取り組む」と言明しました。
 尾身財務大臣も「周知徹底をはかりたい」と答えました。

解説

 リストラによる失業や賃金をカットされた労働者、仕事が減った派遣社員やフリーター、今年から年金生活になった高齢者や育児休業にはいった労働者は、昨年の所得にたいし、今年の所得が大幅に減少します。こうした場合には、税源移譲だけでも、ほとんどの場合、増税になります。
 税源移譲による住民税の増額を盛り込んだ06年度の「地方税法改正」では、収入が激減した人の一部を救済するための「経過措置」が盛り込まれました。
 この措置は、07年の収入が、所得税の課税最低限以下にまで低下した人(07年の所得税がゼロになる人)を対象とし、07年度の住民税額を「改正前の税率」(税源移譲前の税率)で計算した額まで減額するとしています。ただし、この措置を受けるには、08年7月1日から31日の間に納税者本人から各自治体への申告が必要です。
 全国の住民税の納税義務者は約5500万人(06年度、所得割)です。一部自治体の調べによると納税義務者の約6%から7%が救済措置の対象になる見込みです。全国的に同じ水準だと仮定し推計すると、その対象者数は約330万人から約390万人に達します。
 一07年の収入が、06年と比べ大幅に減少したものの、07年の所得税がゼロにならない人は、地方税法の「経過措置」(同救済措置)の対象外になります。
 税源移譲によって増税になったにもかかわらず、救済措置の対象にならない人たちを救済できる制度の検討と導入が求められています。
 自治体によっては、すでに前年と比べ今年度の収入が大幅に減額になった住民を対象に、住民税を減免する措置を設けているところもあります。


Share (facebook)

このページの先頭にもどる