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税制(庶民増税・徴税), 金融(銀行・保険・証券) (定率減税の廃止, 大和都市管財の巨額詐欺事件)

2007年06月13日 第166回 通常国会 財務金融委員会 【407】 - 質問

大和都市管財の巨額詐欺事件 「税源移譲」だけでも住民税が増税

 2007年6月13日、財務金融委員会が開かれ、佐々木憲昭議員は、8日に引き続き大和都市管財の巨額詐欺事件について質問しました。

 この事件は、被害者1万7000人、被害総額1100億円という大規模なものです。中でも被害者には高齢者が多く、退職金などを根こそぎ奪われるという深刻な影響を与えています。
 佐々木議員は、被害者の書かれた手記を紹介し、大臣の感想を聞きました。
 山本有二金融担当大臣は、「被害者の皆様には本当にお気の毒で、同情にたえません」と述べつつも、「現在、控訴期間中ですので、コメントは差し控えたい」と答えました。

 佐々木議員は、前回要求した資料を元に、金融庁に確認しました。
 1995年8月21日、近畿財務局は大和都市管財に対する業務改善命令を発出する決済が行われました。しかし、同日夕方の連絡記録票には、業務改善命令書を読み上げ交付したが、処分を受ける覚えはないと強硬に主張し受け取りを拒否したと書かれています。
 命令書を発出したのに、相手が受け取れないと言って拒否をしたから、命令書を読み続けることもせず、拒否されたまま発出を見合わせたということです。これでは、決済がおりているのに、行政処分をしなかったということになります。
 佐々木議員は、「では行政処分を撤回したということか」と質問。佐藤監督局長は、「命令書を読み上げたところ、大和都市管財の資金繰りには問題がない等の強い弁明がなされるとともに、財務局の指導には今後も従う等の発言があった」と答えました。佐々木議員は、「相手が怒り出した、それでひるんで、撤回したのだ。後で理屈を立てているとしか言いようがない」と批判しました。
 また、金融庁は深刻な経営実態にあることを十分把握していたにもかかわらず、何の手立ても取ってきませんでした。
 金融庁は、94年に大和都市管財に対して、立入検査を行い、経営が行き詰る危険性が高いと認識し、95年8月に業務改善命令を発出していました。さらに、97年6月18日、金融庁は大和都市管財の本体と関連会社に対する立ち入り検査を行っています。当時、金融庁は関連会社の実態把握をする必要があると認識していながら、一度入手した資料を返却したり、破棄したりしています。その後、金融庁は、97年12月21日、大和都市管財の更新登録を認めました。
 佐々木議員は、「こんなでたらめな検査がどこにあるのか。実態把握を放棄したと言わざると得ない。その結果、被害者がどんどん増え続けた。行政の責任は極めて重大である」と批判。山本大臣は「御指摘は大変重要な争点なので、コメントは差し控えたい」とまともに答えられませんでした。
 佐々木議員は、「控訴すべきではない。むしろ被害者救済することを最優先すべきだ」と主張しました。



 また、この日の質問では、佐々木議員は、住民税増税問題についても質問しました。
 税源移譲によって、所得税は1月から総額年約3兆円減り、住民税は6月から総額年約3兆円増えます。政府は、個人の負担は“変わらない”と宣伝していますが、それは、昨年と今年の所得が変わらないことが前提です。
 所得税は今年の所得をもとに計算され、住民税は前年の所得をもとに計算されます。07年に所得が大幅に減少した人の場合、税源移譲による所得税の減額分は少なくなります。一方、住民税は、前年の所得をもとにして計算されるため、税源移譲による増加額は、より大きくなります。
 そのため、所得税と住民税をあわせると差し引き増税になります。この上さらに定率減税全廃による増税額が加わります。
 しかし政府は、定率減税にまともにふれず「税源移譲によって、所得税と住民税とをあわせた全体の税負担が変わることは基本的にありません」と宣伝してきました。
 ところが、この日の質疑で、所得税から住民税への税源移譲によって「最大9万7500円の増税になる」世帯のあることを政府が認めました。
 佐々木議員は、2006年に比べ、07年に大幅に所得が減った人の場合、税源移譲によるものだけでも、所得税と住民税の合計額が増税になると指摘しました。
 そのうえで、06年700万円だった年収が、07年300万円に減少した夫婦世帯の場合、5万4500円の増税になる例などをあげました。
 これにたいして総務省の岡崎浩巳官房審議官は、「最大9万7500円増加することになるのは事実」「課税所得が極端に大きく減った場合には増税分が出てくる」とのべました。
 そのうえで「07年に所得税が課税されない程度の所得に減った人を対象に、07年度分を対象に、07年度分の住民税を税源移譲前の額まで減額するという経過(救済)措置を設けている」とのべました。
 佐々木議員は、それがほとんど知られていないため、その救済措置の周知徹底を求めました。
 また、税源移譲によって増税になったが救済措置の対象にならない人に対しても、救済措置を講じるように求めました。
 岡崎官房審議官は、「指摘があったので、できるだけ早期に周知に取り組む」と言明しました。
 尾身財務大臣も「周知徹底をはかりたい」と答えました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 私は、前回に引き続きまして、大和都市管財の詐欺事件についてただしたいと思います。
 この事件は、被害者1万7000人、被害総額1100億円、大規模なものであります。中でも、被害者には高齢者が多く、退職金などを根こそぎ奪われるというような深刻な影響を与えているわけです。
 ここに被害者の書かれた手記がありますので、幾つか紹介して、後で大臣の感想を伺いたいと思います。
 例えば武蔵野市の82歳の方。これは手記を書かれてから何年かたっていますから、もっと高齢になっておられると思うんですが、十数年前退職し、初めてまとまったお金を手にし、運用を考えていました折、勧めていただいたのが大和都市管財の抵当証券でした。抵当証券と聞いただけで数々の不祥事件が頭に浮かび、不安がる私に、政府のお墨つきだからこんなに安心できるものはない、当社の該当する物件はすべてバブル以前に当社の所有物になっており、借金が一切ないのが当社の強みだ、こう力説されて買った。主人は、さすがに、ちょっとおかしいから引き揚げろと申しましたが、解約の話を持ち出すと、今までと人が変わったように怒り出し、今まで何かまずいことが一度でもありましたか、お客様のために一生懸命努力しているのに私の立場がない、こう怒りまして、一層利率のよいものに強制的に書きかえられてしまいました。最後の再契約は、破綻間近の平成12年12月1日と平成13年2月16日です。今は、わずかな年金の中から固定資産税、介護保険料を差し引くと、生活保護者以下の暮らしです。年齢的にも今後は介護に頼りたくなると思いますが、在宅介護の負担金も施設入居のお金もなく、願いは、国家賠償でお金を戻してほしいというもののみであります。これが80何歳の高齢者の声です。
 あるいは76歳の滋賀県の方は、豊永浩というのがこの社長ですけれども、豊永浩とその手下には、抑えても抑え切れない怒りでいっぱいです。多数の被害者にまともに返済できる能力も財力もないのに、1万7000人余りの人たちの汗とあぶらでこつこつためられた宝を何人もの手下を使ってだまし取るとは、まともな人間のすることでしょうか。契約書には大阪法務局の大きな印鑑がしっかり押されており、手続に来た社員は、定期預金と同じと考えてくださいということでしたので、安心して、頑張って、お金がたまれば購入しておりました。もっと早い時点で業務停止命令を出していけば、被害も少なくて済み、多くの人の悲しみも軽くなったと思います。どうか被害者を助けてください、お願いします。1万7000人の被害者は全員同じ気持ちです。こういう手記が延々とここには書かれているわけです。
 山本大臣、こういう声をどのように受けとめておられるでしょうか。
○山本金融担当大臣 被害者の皆様には、本当にお気の毒でありまして、同情にたえません。また、犯罪行為によってそうした被害が起こるわけでございまして、犯罪者に対する怒りも禁じ得ないところでございます。
 ただ、6月6日に大阪地裁で言い渡された判決でございまして、現在、控訴期間中でございます。係属した訴訟でもございますので、その意味で、コメントは差し控えたいと思います。
○佐々木(憲)委員 私は、きょう、事実関係を確認したいと思います。
 前回の質疑で幾つか資料を要求いたしまして、すべて提出していただきました。そこで、それを踏まえて確認したいと思います。
 まず、平成7年8月21日のことであります。近畿財務局は、大和都市管財に対する業務改善命令を発出するということについて最終的な決裁が行われたと思います。これは事実ですね。
○佐藤政府参考人(金融庁監督局長) 事実でございます。
○佐々木(憲)委員 お配りした資料を見ていただきたいんです。
 まず1枚目、1と右上に書いてある資料であります。これが、近畿財務局が行った決裁の写しでございます。大和都市管財に対して業務改善命令を出すことについての決裁文書で、こう書いているんですね、改善を命じてよろしいかという決裁文書。これに対して、よろしいということが承認をされたわけで、今答弁があったとおりであります。
 さてそこで、この決裁に基づきまして命令書が作成されました。資料の2、これが命令書でございます。見ていただきますとわかりますように、8月21日、近財金三秘第99号という資料であります。これは命令書がつくられた。ここにあるわけですが、当然、これは確認できますね。
○佐藤政府参考人 近畿財務局において作成された命令書の案でございます。
○佐々木(憲)委員 今、案とおっしゃいましたが、どこに案と書いてありますか。
○佐藤政府参考人 この命令書案は最終的に発出が保留されたということでございまして、その旨、今般の裁判において国は主張をしているということでございますので、そのように申し上げました。
○佐々木(憲)委員 保留された、果たしてそうなのかどうか、それをただしたい。
 この命令書には案というものが抜けております。命令書、そして、8月21日、近畿財務局長渡辺と書いてあります。そして、五点の改善命令がここに記されております。
 さて、それでは、この命令書は、8月21日、その当日、大和都市管財の豊永社長にどのような形で伝達されましたか。
○佐藤政府参考人 今回の訴訟におきまして、被告、国は、御指摘の平成7年8月21日の経緯につきまして、以下のとおり主張をいたしております。
 一つ目、近畿財務局金融三課長が、一人で来局した同社社長に対し、同人の前に業務改善命令書を置き、同命令書を読み上げ始めたところ、同人から、大和都市管財の資金繰りには問題がない等の強い弁明がなされるとともに、財務局の指導には今後も従う等の発言があった。
 第二、同課長は、同社に対し、さらに指導を行い、必要な資料が提出されるなどすれば、それまで疑義を抱いていた資金繰り等が判明し、その結果次第では、抵当証券購入者の利益を害する事実が否定される可能性もあると考えた。
 第三、このため、同課長は、業務改善命令の内容を最後まで告知したり、同命令書を交付することのないまま、業務改善命令の発出を見合わせた。
 第四、同社社長も、そのまま、命令書の交付を受けないまま、席を立って退席したということでございます。
○佐々木(憲)委員 では、お配りした資料の次を見ていただきたい。資料の四であります。これは連絡記録票というものでありまして、その当時の事実関係について、財務局の部内でつくられたものであります。
 これによりますと、相手方の所属氏名、豊永社長、連絡応答者、理財部金融第三課、氏名が書いてあります。連絡日時、7年8月21日16時25分。件名は、業務改善命令書の交付について。
 何が書いてあるか。これを見ますと、「抵当証券業の規制等に関する法律第23条に基づく業務改善命令書を読み上げ交付したが、以下のとおり強硬に主張し受け取りを拒否。」というふうに書かれております。明確に、交付したとされているわけです。相手側の言い分は、「今回の命令は行政処分であるが、当社が処分を受ける覚えはない。命令書を受け取る必要はない。」こう言って、受け取りを拒否したようであります。
 いずれにしましても、命令書を作成する、命令書を発出する、その決定を行い、先ほど見たように、決裁が終了し、命令書が作成され、その命令書を当人の前で読み上げ、交付した、このようにここで書かれているわけであります。
 したがって、この交付自体は明確な事実ではないのか。ここまでは明確でしょう。途中まで読み上げたのか、最後まで読み上げたのか、いずれにしても、交付の執行の過程にあったということは明らかであります。それは事実ですね。
○佐藤政府参考人 御指摘いただきました点について、今回の訴訟において、国としては以下のとおり主張をいたしているところでございます。
 すなわち、平成7年8月21日付、連絡記録票、これはただいま御指摘いただいたものでございますが、これには「読み上げ交付したが、」などと記載されているが、同書面は、業務改善命令の発出を見合わせた状況を早急に報告する必要があって作成したために、正確性を欠く表現になったにすぎない。大橋課長が業務改善命令書を読み上げ始めたところ、豊永浩から強硬な反論がなされたため、最後まで読み上げることができる状態ではなかったものである。
 こういった旨の主張をいたしているところでございます。
○佐々木(憲)委員 いずれにしても、命令書を発出するという決裁は既に終了し、命令書を作成し、その命令書を読み上げていたわけであります。
 これは、執行の過程にある、発出そのものではありませんか。発出されたからこそ、ここに書いてあるように、相手が言っているのは、「今回の命令は行政処分であるが、当社が処分を受ける覚えはない。」と、行政処分を受けているという認識を相手が持っているわけであります。これはだれが見ても、命令書の発出そのものです。そこまではお認めになっておるわけですね。
 命令書を発出したのに、相手が、こんなもの受け取れるかと言って拒否をした。拒否をした後、その命令書を読み続けることもなく、拒否されたままで発出を見合わせた。こうなりますと、決裁がおりている命令書を執行しなかったということになるんじゃありませんか。執行しなかったというのは、決定したことを、行政処分をしなかったということですよ。
 その行政処分を、では、なぜ撤回したんですか。その執行を留保した。いつやったんですか。その理由はどこにあるんですか。
○佐藤政府参考人 先ほどの8月21日の経緯のところでも申し上げたところでございますけれども、被告、国の今般の裁判における主張の中に、近畿財務局金融第三課長が、一人で来局した同社社長に対し、同人の前に業務改善命令書を置き、同命令書を読み上げ始めたところ、同人から、大和都市管財の資金繰りには問題がない等の強い弁明がなされるとともに、財務局の指導には今後も従う等の発言があった。同課長は、同社に対し、さらに指導を行い、必要な資料が提出されるなどすれば、それまで疑義を抱いていた資金繰り等が判明し、その結果次第では、抵当証券購入者の利益を害する事実が否定される可能性もあるというふうに考えたということかと思います。
○佐々木(憲)委員 これは全く理屈に合わないですね。命令書が作成され、それは執行されていたわけですよ。相手が怒り出した、こんなの受け取れるかと。それでひるんで、一度決定したものを執行しなかったわけです。それを撤回と言うんです。勝手に撤回して、後で理屈を立てているとしか言いようがない。
 では、相手は、こんな処分を受ける覚えはないと言った。その瞬間に、それまでの、命令書を作成する過程で確認をしていた大和都市管財の危機的な状況、これが何か変わったんでしょうか。その判断が急に変わったんでしょうか。相手が強い口調で拒否をしたということが、その発出を撤回した理由なんじゃないですか。
○佐藤政府参考人 先ほどもお答えをさせていただきましたけれども、同社社長の方から財務局の指導には今後も従う等の発言があったということで、金融第三課長が、同社に対し、さらに指導を行い、必要な資料が提出されるなどすれば、それまで疑義を抱いていた資金繰り等が判明し、その結果次第では、抵当証券購入者の利益を害する事実が否定される可能性もある、こう考えたということでございます。
○佐々木(憲)委員 今後も従うのであれば、業務改善命令に従うべきじゃありませんか。業務改善命令に従う、それは当たり前のことじゃないんですか。
 業務改善命令に何が書いてあるか。御存じのように、五点にわたる改善内容というのが書かれているわけです。経営健全化計画を作成し、確実に実施する。財源計画を作成、提出し、確実に実施する。これが業務改善命令に従うということなんじゃないんですか。これを実行させるのが決定を執行することになり、また、これを受け入れるのが、相手側の、今後も従うということの意味なんじゃないんですか。
 それを、途中でこれをやめてしまう。やめてしまいました、これは執行を留保しました。どこでそれは承認されたんですか。いつ承認されましたか。
○佐藤政府参考人 その点につきましては、やはり今回の訴訟において、被告、国は以下のとおり主張しているところでございます。
 近畿財務局においては、平成7年8月21日に業務改善命令の発出を見合わせた後、同年10月20日ごろまでに、大和都市管財の資金繰りが当面問題ないと判断するに至った。これを踏まえ、当社に対しヒアリングを実施し、経営健全化を指導する。また、みずから経営健全化を図る意思がないことが明白になった場合には業務改善命令を発出する。こういう対応をとることとし、大蔵省にも報告したということでございます。
 このため、近畿財務局における業務改善命令書に係る決裁については、特に文書による廃案処理は行われなかったということでございます。
○佐々木(憲)委員 その撤回した理由が、相手が大きな声を出して、こんなもの受け取れないと言ったことにあったことははっきりしているんじゃありませんか。
 平成7年8月1日の、弁明の機会を付与するに係る通知書というのがありますね。これは、私も要求して、出されました。
 その通知書に何が書いてありますか。前年、平成6年9月8日を基準日として実施した立入検査の結果によれば、貴社の貸付先はいずれも経営状況が極めて悪く、結果的に貴社の経営が行き詰まる危険性が極めて高い、こういう判断をされていたんです。前年の検査結果。業務改善命令を発出するということに至った理由はここに書かれているわけです。そして、8月1日にその通知が行われた。ここに書かれているようなことを理由としてやった。
 この根拠が、何で、8月21日、命令書を発出して読み上げるときに変わるんですか。根拠は変わっていないでしょう。8月21日の時点で、それを読み上げる途中で撤回してしまった。その理由は、全く今の説明では理解できません。撤回をした最大の理由は、ただ相手が大声を出しておどしたからじゃないんですか、いろいろなことを言って。それが唯一の理由でしょう。
 そのときに、何か、資金繰りの追加説明を出すからというようなことを言ったと。そんなもの、まだ出ていないわけですから、業務改善命令をそのまま執行すればいいわけです。執行した後で、ちゃんと資金繰りの財務状況を、改善計画を出して、そしてそれを点検すればいいわけです。8月21日の時点では新しい追加説明の資料がないでしょう。
 その段階で、相手側が追加説明を、資料を持ってきてそこに提出しましたかどうか、それを聞きたい。
○佐藤政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますけれども、8月21日の経緯の中で、当社社長から財務局の指導には今後も従うといった発言があり、課長の判断として、同社に対し、さらに指導を行い、必要な資料が提出されるなどすれば、それまで疑義を抱いていた資金繰り等が判明し、その結果次第では、抵当証券購入者の利益を害する事実が否定される可能性もあると考えたということでございます。
 なお、先ほど申し上げました10月ごろになっての判断でございますけれども、この点につきましては、判決文において以下のような記述がございます。
 近畿財務局理財部次長と金融第三課長とは、平成7年10月末ごろ、大和都市管財には、中途解約に問題なく応じることのできる支払い余力がある、平成7年9月末現在で約58億円の手元資金がある、特約つき融資を行うことのできる資金調達力がある。これらの観点からすれば、大和都市管財の資金繰りには問題ないとの結論も正当づけられ得るとして、同年11月初めころ、近畿財務局長及び理財部長へも報告し、上記結論について了承を得た。その結果、このころ、平成7年業務改善命令については、近畿財務局において廃案処理に準じた手続がとられた。
 このように判決文でされております。
○佐々木(憲)委員 資金繰り表が10月ごろ出された。しかも、これは裁判では、こんなのは形だけだというふうに断定されているわけです。
 つまり、8月21日の業務改善命令、これの執行段階では、今説明ありましたように、資金繰りを改善するという説明書も何もない。その段階で、ただ相手が、そのうち出すからと。それを聞いて、ああ、わかりました、命令書を撤回します。そんなばかなことがありますか。しかも、撤回をするという決定がいつなされたか、さっぱりわからない。これは明らかに、おどされて撤回した。今の説明を聞くと、それしかないじゃないですか。
 前の年、平成6年に立入検査を行い、この会社はもう危ない、関連会社の状況は極めて悪い、したがって大和都市管財の経営が行き詰まる危険性が高い。そう認識して、そこで8月の時点で業務改善命令を発出し、その決裁が終わり、発出し、執行していた、このことは極めて明確な事実であります。資料によって裏づけられている。
 つまり、もう既に決定されて、執行されていたわけです。それを撤回する理由は一切ないんです。後で、10月ごろ出てきたなんというのは理屈になりませんよ。そのまま執行するのが当たり前じゃないですか。本当に私は、そういうやり方で、大和都市管財の言いなりになってずるずると傷口を深めていった、そこに被害を起こした最大の理由があったと思う。結果として、大和都市管財は、平成9年8月ごろまで手形商品の販売を続けたんです。
 次にお聞きをしたいのは、こういう深刻な経営実態にあることを十分把握し得たにもかかわらず、それをしなかったという問題がある。平成9年12月21日、大和都市管財の更新登録を認めた、これは極めて重大です。その結果、ますます被害が広がっていったわけです。
 具体的にお聞きしたいんですが、平成9年の大和都市管財に対する立入検査、これはいつ行われましたか。
○西原政府参考人(金融庁検査局長) お答え申し上げます。
 平成9年の6月18日でございます。
○佐々木(憲)委員 その立入検査の際、大和都市管財の本体だけでなく、関連会社に対する融資の実態、返済の見通しがあるのかどうか、これを把握することが非常に大事なんです。といいますのは、本体の経営に直接影響するからです。関連会社の融資が返ってこなければ、これは破綻しますよ。
 大和都市管財にある関連会社の帳簿等、これを検査しましたか。
○西原政府参考人 お答え申し上げます。
 抵当証券業者に対する立入検査と申しますのは、通常、あくまで当該抵当証券業者、これの業務、財産の状況について行われるものということではございますが、この平成9年の大和都市管財に対する立入検査に際しましては、近畿財務局といたしまして、同社の財務状況の実態や資金繰りの状況を検証する観点から、融資先である関連会社の経営状況を把握する必要があるという認識を有していたということと承知いたしております。
 したがいまして、実際にも近畿財務局は、この検査の際に、関連会社の経営状況を把握するために、大和都市管財を通じて、関連会社の関係書類を提出するよう要請をいたしております。
 その結果でございますが、要請した関係書類のすべてではございませんが、例えば関連会社の決算書等について提出を受けたというぐあいに承知いたしております。
○佐々木(憲)委員 関連会社の帳簿の一部のコピー等を入手した、この点については、私は重大な問題があると思っているんです。といいますのは、入手したものを返してしまっているんです。
 配付した資料の6枚目を見ていただきたいんです。これも裁判所に提出された国側からの証拠書類ですが、連絡記録票というのがありますね。立入検査について書かれております、関連会社の帳簿まで検査したことについて。
 次のページの7のところを見ていただきますと、融資先について当局はこういうふうに言っているわけです。「融資先で関連会社でもあるが一切当社として徴求していないことから全体の資金繰りの確認のためにお願いした訳である。」こういうふうに、全体の資金繰りの確認のために関連会社の資料を徴求したい。これに対して、相手側は何と言ったか。下の方にありますように、「元帳を見てコピーまで持ち帰ることが許されるのか。」と、これまた開き直っているわけです。それで、一番下のところを見ていただきますと、当局としては、今回の検査はグループ全体の資金繰りを見るために依頼したもので、顧客元帳も、取締役でもある部長の了解のもとにいただいたものだと、必要性を主張しているわけですね。
 ところが、その次の8ページ目を見ていただきますと、こういうものは持っていってもらっちゃ困るという話が出されまして、それに対して当局は「コピーはすでに昨日お返ししている。」と。コピーが別途残っている、とっているのであれば、それも破棄していただきたいと言われて、「必ず破棄しておく。」と。
 こういう形で、関連会社の実態を正確に把握しなければならない立場にありながら、あるいは正確に把握する必要があると認識していながら、一度入手した資料を返却したり破棄したりしているんです。これで果たして実態が把握できるのか。
 元帳のコピーを返却したり破棄した、これは事実ですか。
○西原政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の訴訟におきまして、被告の国は、平成9年の立入検査につきまして、以下のとおり主張をしているものと承知しております。
 一つは、近畿財務局は、平成9年の立入検査期間中、大和都市管財及び融資先関連会社の経営状況を把握するため、大和都市管財の職員に依頼して、融資先関連会社よりその総勘定元帳を持ってこさせ、提出を受けた。しかしながら、その後、大和都市管財及び融資先関連会社から、立入検査に当たり融資先関連会社の総勘定元帳を検証することは了解していないとの抗議があり、近畿財務局としては、融資先関連会社に対する検査権限が及ばないことから、その返還を余儀なくされた。
 このような形で、訴訟において国側は主張しているというふうに承知いたしております。
○佐々木(憲)委員 一度入手をした、しかし、抗議があって返した、これを認めたわけですね。
 今、勘定元帳等は検査の対象にならないような話をしましたけれども、そんなことはないですよ。大和都市管財が保有している帳簿はすべて検査の対象じゃないですか。それを、返してしまった、コピーは破棄しちゃった。平成6年の段階でも既に経営状況は極めて悪く、結果的に大和都市管財が行き詰まる危険性が極めて高いと認識していながら、検査に入って入手した資料さえ返してしまう、そんなでたらめな検査がどこにあるんですか。実態把握を放棄したと言わざるを得ませんよ、これは。
 その結果、被害者がどんどんどんどんふえ続けたんです。そんな甘い検査によって、まだ大丈夫だろう、こういう判断で登録更新を認める、その結果、被害がふえちゃったんです。ぎりぎりまで、1万7000人の被害者が発生するまで放置した行政の責任は極めて重大です。私は、これは責任を自覚してもらわなければならないと思います。
 今認めたように、手に入れたものまで返した。山本大臣、こういう状況、検査の状況としては極めて私はいいかげんな検査だと思います。これが真っ当な検査だとはっきり言えますか。
○山本金融担当大臣 佐々木委員の御指摘は大変重要な争点でございまして、裁判でも争いになっているところでございます。それについてのコメントは差し控えたいと思います。
○佐々木(憲)委員 私は、こういう事実関係、もうここで資料をもとにして議論するだけでも極めてはっきりしていると思う。こんな裁判を続けたって、国は絶対勝てませんよ。必ず負けます。こんな状況で、国がやったことが正しかったなんて絶対言えないです。現に、地裁では国は負けているわけです。これ以上続けようなどという、控訴してやろうなどという考え方はとるべきではない。むしろ被害者を救済する、そちらを最優先すべきだということを私は申し添えておきたいと思います。
 では次に、テーマを変えます。税制問題であります。
 この6月に、先ほども古本議員の指摘がありましたが、住民税、大変増税になりまして、その通知が届きまして、税額が2倍になったとか、10万円もふえた、とても払えない、こういう国民の悲鳴が上がっております。
 政府は、税源移譲であるので増税ではないとか、所得税が減るから総額ではふえないんだ、こういう宣伝を行っております。この宣伝自体、定率減税の廃止によって増税になるということを、先ほど見たように、資料にありましたが、私も同じ資料を提出しております。提出資料9、ここに、所得税が1月から減り、住民税が6月からふえる、全体の税負担が変わることは基本的にありません、こう書きながら、余り目立たない字でその下に注書きがありまして、定率減税措置がとられなくなることや云々と書かれまして、実際の税額は変わります。これはどういう意味かというと、定率減税が廃止されますので増税になりますということなんです。
 それを、何かわけのわからぬあいまいな表現で、何か書いたかのようにここに記されておりますが、これはとんとんになるはずがないわけであります。
 尾身大臣にまず確認をしたいんですが、定率減税の廃止で、国と地方の税収というのは当然ふえるわけですよね。
○尾身財務大臣 定率減税の廃止は、かつて小渕政権のときにやりました特例、特別的な減税を廃止するわけでありますから、その分は2年にわたってふえるということになります。
○佐々木(憲)委員 小渕内閣で実施したときは、恒久的減税として実施したんです。一時的な理由じゃないですよ。
 それから、次にお伺いしますが、人によっては、定率減税の廃止、これは事実上の増税になるわけですが、その部分はさておいても、では、税源移譲というのは本当にとんとんなのかという問題がある。
 税源移譲でも差し引き増税になる人がいるのではないか。昨年に比べて、ことし例えば大幅に所得が減った人の場合、これは、住民税は高かった昨年の所得で計算され、所得税は低くなったことしの所得で計算される、だから、住民税のふえる分は大きくて、所得税の減る分は少ないんですね。差し引きで、こういう方は増税になると思いますが、いかがでしょうか。
○尾身財務大臣 これは少し細かい問題になりますので、私が答えるよりも、正確を期する意味から、政府参考人に答えさせていただきます。
○岡崎政府参考人(総務省大臣官房審議官) お答え申し上げます。
 このたびの税源移譲は、国と地方を合わせた財源総額を変えずに国から地方へおおむね3兆円の税源を移しかえるということが目的でございますので、所得税と個人住民税に係る適用開始時期はいずれも平成19年ないし19年度からといたしておりまして、所得税は19年分から、住民税は19年度分から税率が変わるとなっております。
 なお、これまでも、定率減税の導入あるいは縮減、廃止など、個人所得課税全体として負担水準を変動させる際には所得税と個人住民税の改正の適用開始時期は同一としているのが通例でございます。その上で、個々人の税負担について税源移譲の前後で基本的に変わらないように措置するために、年度間で所得が変わらないケースを前提に、財務省とも協力いたしまして所得税と住民税の税率を設定するなどの具体的な制度設計を行ったものでございます。
 しかしながら、御指摘のように、所得の変動は、多かれ少なかれ、多くの納税者に現実には生ずるものでございます。その結果、御指摘のようなケースもございますし、逆に、所得が急に増加した場合などは減税の方が多くなるようなケースもあるわけでございます。こういうすべての変動に対しまして税額の調整を行うということは、事務執行面などを考えましても困難でございます。
 なお、税源移譲の広報に当たりましては、税源移譲によっては所得税と住民税を合わせた税負担は基本的に変わらないとするものの、これとは別に、例えば、先ほど御指摘の部分ですが、収入の増減などの要因によりまして実際の税負担が変わるものであるという旨の表現を盛り込んで、あわせて周知を図っているところでございます。
 また、極端に収入が減少した場合には、経過的な住民税の減額措置なども設けているところでございます。
○佐々木(憲)委員 要するに、今回、住民税の税率が倍になっているわけですね。これは、今までと全く違う新しい現象であります。前年比で所得が減る人は、所得税が減る分よりも住民税がふえる分の方が大変多いということで、事実上増税になる。
 これはどのぐらいの人が影響を受けるのか、その試算はありますか。
○岡崎政府参考人 課税所得が前年に比べて増減するという原因にはさまざまなものがございまして、例えば、個人の経済状況によりまして収入そのものが変化するというのが一番のケースですが、さらには、収入自体が変わらなくても、家族構成が変わったりしますと控除が違いまして、課税所得が増減するわけでございます。
 こういういろいろな事情があるということに加えまして、国税当局も市町村も、それぞれの納税義務者ごとに所得の経年的変化を把握するということは困難でございまして、恐縮でございますが、所得が前年に比べて減少する人の数につきましては、お答えをいたしかねるところでございます。
○佐々木(憲)委員 幾つか政府の統計を見て推計をしてみると、例えば社会保険庁の業務年報によりますと、毎年新たに厚生年金の受給権を得る人が約130万人いるわけです。退職をする人がすべてではないかもしれませんけれども、毎年このぐらいの人が年金生活に入るわけですね。当然収入が減るわけです。
 それからもう一つ、例えば雇用保険の統計によりますと、1年間に失業手当を受給開始する人は170万人いるわけですね。この人たちは、勤めていたときに比べると収入は減少する。
 それから、総務省の労働力調査で、転職した人がいますね、これは346万人でありますが、転職したから全部収入が下がるとは限らない。まあ半々ぐらいでしょうと甘く見ましても、収入が以前より減ったと回答している人も百数十万人いるわけですね。
 あるいは国税庁の申告納税者の統計によりますと、納税者のうち、前年より所得が減った人は144万人です。
 これを四つ全部合計すると500万人ぐらいになりますけれども、これはダブりがありますので、ダブりを調整すると大体300万人ぐらいじゃないかと思いますが、その程度じゃありませんか。
○岡崎政府参考人 引き続き研究してみますが、私ども、ただいま持ち合わせている課税データでは、ちょっと数字を申し上げる段階には至っておりません。
○佐々木(憲)委員 推計で大ざっぱに申し上げましたが、約300万人。これは非常に多い数なんですよ。大変な数ですよ。1万、2万という話ではないんですね。
 例えば、昨年の年収が700万円の方が退職して、ことしの年収が300万円になった。そういう場合、私、試算してみますと、例えば、独身者で3万5500円税金がふえます。夫婦のみの場合5万4500円、夫婦子供2人の場合9万7500円、こういう増税に事実上なるわけですが、これは間違いありませんね。
○岡崎政府参考人 ちょっと今、済みません、細かい部分について若干聞き漏らしておりますが、基本的には、最大で9万7500円増加することがあるというのは事実でございます。
○佐々木(憲)委員 これは本当に、しっかり救済しないと大変な被害が出るわけであります。
 所得がゼロになってしまうような人には、先ほども少しありましたが、経過措置ということで救済する措置があるそうです。課税最低限以下の方に対して設けているというのですが、それはどういう内容のものですか。
○岡崎政府参考人 税源移譲に伴いまして、ほとんどの方は、平成19年分所得税が前年に比べて減少しまして、その分、19年度分の個人住民税が増加するということになるわけでありますが、御指摘のように課税所得が極端に多く減ったような場合には、確かに増税部分が出てくるというところはあるわけでございます。
 今御指摘のありました経過措置でございますけれども、18年分には所得税が課税されていましたが、19年に所得が極端に減少いたしまして、19年の所得税が課税されない程度にしか所得を有しなくなった方、こういう方を対象といたしまして、平成19年度分の個人住民税を、税源移譲する前の税率を適用した額まで減額するというものでございます。
 具体的には、来年ですが、平成20年7月中に、対象となる方から申告をいただきまして、19年度分の課税市町村が減額を決定し、減額分を対象者に還付するということになるかと思います。
 今回の措置の対象者は、19年において極めて低所得になった方であるということにかんがみまして、円滑な税源移譲に資するように、こうした経過措置を講ずることとしたものでございます。
○佐々木(憲)委員 今複雑な説明をされましたが、簡単に言いますと、ことしの所得が所得税の課税最低限以下に落ち込んだ場合、住民税のふえた部分は返しましょう、こういうことですね。
 問題は、これ自体は私は結構だと思いますが、これは条件があるんですね。それは、本人が申告しないと適用されないということなんじゃないんですか。
○岡崎政府参考人 御本人から、平成20年7月1日から31日までの間に御申告をいただくという仕組みになっております。
○佐々木(憲)委員 これは、サラリーマンの場合はほとんど住民税の申告というのはしないんですね。会社で所得税の年末調整をしたデータが市町村に報告されて、そのデータをもとに市町村が住民税の額を計算して徴収するという仕組みですね。課税するときは申告なしに税額を計算しているのに、税金を返そうということになると、本人が申告しなきゃだめだ。どうも私は、これはバランスを欠いていると思うんです。
 申告しなくても、所得のデータというのは市町村が把握しているわけですから、それを調べて、所得がどのくらい減ったかすぐわかるわけで、経過措置の対象になる人かどうか、本人の申告なしでも、これはきちっと減額して渡せばいいんじゃないですか。なぜ、役所まで来いということをやるんですか。きちっと計算して返せばいいじゃないですか。
○岡崎政府参考人 所得税、個人住民税が課税されない程度の収入しか有しない方につきまして、課税市町村が19年分の所得情報を必ずしも十分に得られるということになっていない面がございます。そういう意味で、申告いただいて、調査をする必要があるのが一点。
 またもう一つは、平成19年中に市町村の区域を越えて住所移動した場合などにつきましては、19年度分の課税市町村と20年度分の課税市町村が異なりますので、19年度分の課税市町村においては20年度分の課税情報は全く有しておりませんので、職権で対象かどうか判定することは不可能な面があります。
 こういうことでございまして、申告をお願いすることにしておりますが、納税者の御負担というのは最小限にしたいと思いまして、実は、様式につきまして既に定めておりますが、住所、氏名、生年月日、電話番号を記載すればよいような、いわゆる申し出書みたいにしておりまして、その申し出をいただきまして、市町村において所得情報を調査、決定する、減額額も決定するというふうなことにいたしておりますので、御理解いただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 その程度の申告をやるなら、もうやらないで自動的に返せばいいわけで、住所、氏名、電話番号ぐらいなら、別に何も一々出す必要はないんじゃないですか。
 問題は、この制度を知らない人が多いことなんです。大体、確定申告するといっても、普通は2月、3月ですよ。7月に申告するというのは、普通、ないわけなんですね。しかも、7月1日から31日までだ、この1カ月でやってもらわないとだめだよ、こういうことになりますと、忘れてしまったり、制度を知らない人というのは全く漏れてしまうわけであります。これは年金の支給漏れと同じようなもので、税金の還付漏れということが起こり得るわけでございます。
 私は、制度が周知されていないという問題をもっと深刻に考えていただきたいと思います。国会でこの経過措置が決まったのは昨年の3月です。もう1年以上たっているわけですが、国民は全くこれは知りません。国民あるいは市町村向けにどのような広報活動を行うか、これが非常に大事だと私は思いますが、どのように考えておられますか。
○岡崎政府参考人 お答えいたします。
 経過措置に関する広報の重要性でございますが、今、税源移譲の広報を一生懸命行っておりますのは、多くの納税者に対しまして、限られた広報資源の中で、今一番情報として必要なことをわかりやすく簡潔に周知する必要があるということで行っているわけでございます。
 特に、多くの人は、1月から所得税が減りまして、そのかわりに6月から住民税がふえるというようなこと、ただし、時期はずれますが、両方合わせた税負担は税源移譲によっては変わらないこと等について現在は重点的に広報をしているところでございます。
 こうした中で、御指摘の措置につきましては、対象者自体が、ことし1年経過しないと所得が大幅に減るかどうかというのがなかなか把握しづらいこともあります。またさらに、納税者の申告が、申し上げましたように来年の7月だということがございますので、現在までの税源移譲の広報においては、この点、特に重点的には広報いたしていないところでございます。
 ただ、御指摘のとおり、対象となる方々にとりましては大変重要な情報でございますので、こうした方々に不利益が生じないよう、今後、地方団体とも連携協力いたしまして、しっかりと周知広報に努めてまいりたいと考えております。
○佐々木(憲)委員 税源移譲の広報はしっかりやっていると言うけれども、さっき言ったような広報では話にならないわけであります。
 むしろこういうところに今のようなものを書かなきゃいけないんじゃないんですか。住民税が変わります、国から地方へ、税源移譲でとんとんですというような話ばかり書いて、「所得税と住民税が変わるゾウ」、どんなふうに変わるんです、こういう広報をしていても、一番肝心な、還付できますよということは何一つ書いていないじゃないですか。これは本当に私はやり方がおかしいと思う。
 これからやると言っている。いつからどのようにやるんですか。これはすぐやっていただきたい。
○岡崎政府参考人 今まさに納税通知書の送付時期でございまして、多くの方々に影響する、この所得税が減り住民税がふえるというようなことに対するお問い合わせは窓口でも大変多いわけでございまして、現在はそうした多くの方にかかわる広報に全力を尽くしているわけでございますが、これが一段落いたしました時点で、できるだけ前倒しで広報に努めるように努力したいと思います。
○佐々木(憲)委員 一段落するまでやらないというのはおかしいんじゃないですか。去年3月に決まっているんですよ。それを、こればかりやって、いつ一段落するんですか。もう今すぐやってください。
○岡崎政府参考人 税源移譲そのものについてのお問い合わせ等が大分市町村もふえておりまして、そういう中で、個別のケースにつきましては、いろいろこの点についても御案内しているわけでございますけれども、御指摘もありましたので、できるだけ早期に周知に取り組むようにいたしたいと思います。
○佐々木(憲)委員 これはもう直ちにやっていただきたい。
 私が大事だと思うのは、この還付される対象となる方々は所得税の課税最低限に達しない方々に限定されておりまして、しかし、この課税最低限を超えた人は対象外なんです。私は、これはおかしいと思うんですね。税源移譲だといって、そして、とんとんですと思っていたら増税になった、しかし課税最低限を超えている、そういう人は何にも還付の対象にならない。こういう問題も根本的に再検討して、こういう方々にも還付するというのが私は筋だと思うんですね。その点は大いに検討していただきたいと思うんです。
 最後に、尾身大臣、今回のこういう税制の改正で思わぬ増税になる方々に対して、大いに、それはこういうふうに軽減されますよとしっかり周知すること、それから、この対象にならない方々についても検討をするというぐらいはお答えをいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○尾身財務大臣 御指摘の住民税の経過措置は、18年の所得を基準とした平成19年度分の住民税について平成20年7月の申告により適用することとした地方税に関する経過措置でございますので、基本的には、今後、総務省において、ただいまのお話のように周知を進めるものと考えておりますが、納税者に適用漏れがないよう、財務省といたしましても必要に応じて協力をしてまいりたいと考えております。
○佐々木(憲)委員 時間が終了しましたので、以上で終わります。

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