国会での活動
【06.03.10】日銀の福井総裁に家計の「逸失利益」について質問
2006年3月10日、財務金融委員会で日本銀行の「通貨及び金融の調節に関する報告書」に対する質疑が行われ、佐々木憲昭議員は、福井俊彦日銀総裁に質問しました。
質問前日、日銀は、金融政策決定会合で、2001年3月から5年にわたって続けてきた量的緩和政策の解除を決定しました。
当面は、ゼロ金利を継続するといいますが、この時点で、これまでの超低金利政策がどのような影響を与えたかについて、検討すべきです。
国民経済計算にもとづいて三菱総合研究所が試算したところ、91年の金利水準をもとにすると、これまでに家計が失った利益(逸失利益)は累計で283兆円にのぼります。
その反面、企業負担は260兆円軽減され、金融機関は利子所得を95兆円増やしています。
佐々木議員は、「低金利を通じて、企業、金融機関に家計から巨額の所得移転が進んだということか」と質問。福井総裁も、この傾向については認めました。
次に、佐々木議員は財政赤字と資金の流れについて質問しました。
すでに国の長期債務残高は605兆円にのぼっており、地方が204兆円、重複を除いても国・地方あわせて775兆円の債務残高になります。
この債務残高は、GDPの150%にあたる莫大な額です。仮に、金利が1%上がれば、それだけで7〜8兆円もの財政負担増になります。
今後、普通国債の発行残高は、政府の予測によれば、いまの542兆円程度から、2012年の753兆円、2017年度の892兆円に増加します。
地方債もあわせると2012年に948兆円、2017年に1120兆円となると予測されています。
いったい、これだけの膨大な公債をどのようにして消化するのか。また、その際の金利はどうなるのかが問われます。
経済財政諮問会議に出された資料をもとに、2003年度と2017年度を比較すると、「民」から「官」に流れる資金は、650兆円から950兆円に増えます。
そうでなければ財政が支えられないからです。はたして、それが可能なのでしょうか。
佐々木議員は、「郵政の民営化によって新たな問題が出てくる」と指摘しました。
これまで、郵政公社の資金運用は、基本的には国債またはそれに準ずるものに限定されてきました。つまり、信用リスクを取るような運用をしませんでした。だからこそ、国債発行の受け皿になってきたのです。
じっさい、日銀の「資金循環統計から見た国債保有者別内訳の変化」という統計を見ても、1994年度末と2004年度末をくらべると、郵便貯金の比率が5.4%から14.7%へ、簡保は2.5%から7.7%へと上昇しています。
しかし、郵政事業が民営化されることで、リスクを取る運用に変わります。そうなると、国債を安定的に引き受ける公的な部門がなくなります。
佐々木議員は、「これだけ膨大な国債は、どこが引き受けていくのか、日銀に、政府から圧力がかかっていくのじゃないか」と質問。
これにたいして、福井総裁は、「日銀の直接引き受けは、ありえない」と明言しました。
佐々木議員は、日銀が膨大な国債を引き受けることになれば、「財政規律がますます失われていくことになる」「無制限に引き受けるようなことは絶対あってはならない」と述べました。