アドレス(URL)を変更していますのでブックマークされている方は変更してください。
<< ホームへ戻る

国会での活動

国会での活動 − 政治経済キーワード税制(庶民増税・徴税)

【政治経済キーワード】恒久的減税

2004年11月12日


 11月9日の会合で、政府税制調査会は来年度の税制改正答申に、「所得税の定率減税廃止」を明記することで一致しました。

 この定率減税は、「現下の著しく停滞した経済活動の回復に資する」という目的で、1999年度に当時の小渕内閣が実施した「恒久的減税」のひとつです。

 当時は1997年に実施された消費税の税率アップあるいは医療費負担で、国民に9兆円の負担増が課され、消費が非常に停滞していました。そういう中で景気が落ち込み深刻化するする経済情勢を回復させることが中心課題でした。

 そのため、恒久的減税として、(1)所得税の最高税率を50%(3000万円超)から37%(1800万円超)への引き下げ、(2)税額から20%を控除する所得税定率減税の導入、(3)法人税率の引き下げなどを実施し、国税と地方税分を含め、約7兆円という大型の減税となったのです。

 なぜ、「恒久」ではなく「恒久的」と言うのでしょうか。政府は「個人所得課税および法人課税のあり方についての抜本的な見直しを行うまでの間」の暫定的な措置であり、見直し時期を明示せず実施したと説明していました。

 谷垣禎一財務大臣は、「不良債権問題、過剰債務問題というのがようやく解消に向かってきて景気回復が底堅いものになってきている」(2004年11月9日財務金融委員会佐々木憲昭議員質問への答弁)として定率減税廃止の条件が整ったとの認識を示していますが、現実には、増税により3兆円もの負担をかぶる民間労働者の収入には一向に回復の兆しが見られません。

 国税庁の統計でも、恒久的減税が導入される前年の1998年と比べて、2003年度の企業収益は8.6兆円増加する一方、民間企業が労働者に支払った給与総額は同期間に19兆円も落ち込みました。民間企業で働く労働者の平均給与も1998年以来、毎年減少しています。

 それなのに、担税能力がある大企業の法人税を上げるのでなく、家計が弱体化している労働者に所得税の大増税を押しつけるのは、重大な問題があります。

 日本総合研究所はレポートで、定率減税を縮小・廃止すれば、個人消費を1.3兆円押し下げるとの試算を公表しました。その他のシンクタンクも、来年実施すれば景気に悪影響を与えるとの見方を示しており、とても定率減税を廃止する環境が整ったとはいえません。

 いまやるべきことは、担税能力のある大企業の法人税を適切に引き上げることです。

Share (facebook)

このページの先頭にもどる