国会での活動
国会での活動 − 政治経済キーワード、税制(庶民増税・徴税)
【政治経済キーワード】定率減税
2004年10月1日
定率減税の縮小・廃止問題が浮かび上がっています。定率減税とは所得税と住民税の額の一定割合を削減する措置で、1999年に成立した法律によって実施されています。「経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律」という長い名の法律です。
バブル崩壊後の長期不況に加えて、97年に橋本内閣がおこなった消費税の増税や医療費改悪などによる9兆円の負担増は、景気をますます冷え込ませました。こうした経済情勢の下で、小渕総理(当時)は「景気に最大限配慮して、6兆円を相当程度上回る恒久的な減税を実施」することを表明し、実施されるにいたったものです。
減税の規模は総額で6.9兆円。そのうち所得税2.9兆円、住民税1.1兆円、法人税1.7兆円などというものでした。
定率減税はこのとき行われた所得・住民税減税の一部で、所得税額の20%、住民税額の15%を税額控除するものです。このほか最高税率が所得税については50%から37%に、住民税については15%から13%に引き下げられました。
またこのとき、法人税の税率が34.5%から30%に、法人事業税の税率が11%から9.6%に引き下げられました。これによって国・地方をあわせた法人の実効税率は40.87%となり、前年(98年)に続く2年連続の引き下げで、一気に10%の大幅引き下げとなりました。
このように定率減税は所得税や住民税の最高税率の引き下げや、法人税の税率引き下げとセットで実施されているものです。したがって定率減税を見直すというのであれば、同時にこれらの措置についても見直されるべきでしょう。
政府与党は05、06年の両年で定率減税を縮減・廃止することを合意しています。どのような形で縮減・廃止するかは決まっていませんが、05年に半減し、06年に全廃する説が有力です。
縮減・廃止した場合の家計への影響についてみると、年収500万円世帯(夫婦子2人)の場合、半減で1.8万円、全廃で3.5万円の負担増、年収600万円世帯なら、半減で2.8万円、全廃で5.6万円という大きな負担増となります。
こうした負担増は、消費支出を抑えることは必至であり、景気に悪影響を与えかねません。日本総研の試算によれば、半減されただけでも個人消費を0.45%引き下げる影響が予想されています。年金保険料の引き上げなど、他の負担増とあわせ、さらに景気を落ち込ませることになることは必至です。